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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2022年3月29日火曜日

自民党中堅議員の知的レベル

松田学元衆議院議員のyoutubeサイトで、自民党中堅議員の城内実氏をゲストに招き、ウクライナ戦争などについての議論している動画が配信されている。それを観て、自民党の中堅議員のレベルがあまりにも低いのにびっくりした。それと、自民党の公式見解を出てはならないという姿勢は、党議拘束という日本の政治の悪弊とともに、ウンザリさせられる。

 

城内議員は、自由民主党所属の衆議院議員(6期)で元外務官僚。現在、衆議院外務委員長で56歳。父親は元警察官僚で、1992年警察庁長官、1995年 在ギリシャ日本国大使館特命全権大使。親子代々の霞ヶ関住民なのだろう。

 

 

『城内実議員に訊く!ウクライナ危機。与党議員としてどう見ているのか?』

 

城内議員のウクライナ戦争に関する話の中に、オレンジ革命(2004)やマイダン革命(2014)と言われる米国のこれまでのウクライナ政治に関する関与が全く出てこなかったことに驚いた。

 

それとなく米国資本のロシア権益を握ろうとする姿勢に反発したプーチンと、NATOの拡大とロシア潰しを考える米国の話は出てくるが、それもyoutubeで俄勉強をした成果だろうと疑う。城内氏の杓子定規なプーチン攻撃の姿勢は、9割方「ウクライナ侵略は国際法違反であること」を根拠にしており、さすが警察官僚の子であると思う。国際法は、個人で言えば口約束レベルのもので、権威も権力も無いことは知っているのだろうが、その知識の底は非常に浅いと思う。

 

「泥棒にも三分の理」とは、安定で豊かな国の不幸な逸れ者を、富者である支配者が裁く論理である。その同じ論理が、貧困で世情穏やかならざる国では、「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人おや」に変化することなど、想像すらしていないだろう。

 

つまり、国際社会は豊かで安定な国内とは程遠い。しかし、日本は豊かな安定な現在という瞬間を享受しているので、今回のプーチンの国際法違反には、「泥棒にも三分の理」を恥ずかしながら適用させてもらう位の後ろめたさがあるべき。

 

そのくせ、プーチンの視点で考えることも大事だと政治家的言い訳をおこなっている。グローバリストとナショナリストの戦いという面にも触れているが、新聞の表題だけを読むように、youtube動画を予習した成果なのだろう。

 

2)日本のデフレ経済について

 

城内議員は、「責任ある積極財政を推進する議員連盟」の幹部だそうだが、自分が若手なのに「若手の人が頑張っているので、なるべく口を出さずに色んな形でサポートしせていきたい」なんて言うのに呆れる。(動画の終わり近く)


「自国通貨だての国債が発行でき、それを日銀が引き受けてくれる限り財政破綻はない」なんて、「借金の証書に、返金は俺の財布から出来るだけする」と書くのと同様である。もし、日銀がまともな株式会社なら、社長は今でも日本国債は値下がりの危険が大きく買い取りませんと言うだろう。

 

国民の預金が紙切れになるようなインフレが起こることなど、どうでも良いのだろう。松田議員(元財務官僚)も民間銀行での信用創造が大事だなんて言っているが、利率が低いのだからお金に対する需要がないことを忘れているのか? 重ねて言うが、これ以上の財政拡大は、猛烈な円安とインフレで国民の預金が紙切れになる道である。そんなこと、お金持ちにはわからんのだろうか?❗️ そこで以下のようなコメントを書いた。

 

積極財政で日本の経済成長が再開するなんて、バカの言うことです。労働生産性の向上を忘れて、安易な MMT(注:米国左翼の貨幣理論)のような道を考えるのは、財政破綻はしないが途上国へ逆戻りだ。自民党中堅議員のレベルはこの程度なのか。

 

ウクライナ戦争でも、プーチン側の視点も大事だとか、グローバリズムとナショナリズムの対立などとおっしゃるが、それらは習わぬ経を読んでいる感じ。グローバリズムと民主主義の関係は? グローバリズムと言っても、ワシントンコンセンサスとかいうものが背景にある経済体制で、単に経済の地球規模化ではない。

 

youtubeのコメント欄だが、ヨイショコメントばっかりでウンザリする。私のコメントに同意してくれる人は1%以下だろう。

 

補足: ウクライナ戦争の件、佐藤優氏により、外交官としてロシアに長期滞在した経験を基にした、ロシアの大国主義が一つの原因であるという説得力のある解説が、月刊誌「Hanada」5月号に掲載されている。同じ国際法違反でプーチンを裁くのなら、この程度の議論が欲しい。中国も似た様な大国主義(中華思想)を持つので、日本とウクライナは、本当に地政学的に類似している。

<以上>

<以上>

2022年3月26日土曜日

ゼレンスキーに国会で演説させたことの愚

今回のウクライナ戦争の本質は、バイデン政権がウクライナ市民の命を武器にプーチンのロシアを潰す企みである。そしてその手先としてユダヤ人のゼレンスキーがウクライナ国民を犠牲にして、協力しているだけである。昨年10月、ゼレンスキーがミンスク合意に違反してドンパスの親露エリアをドローン攻撃したのがそもそもの始まりである。https://mainichi.jp/articles/20220221/k00/00m/030/153000c

 

日本の国会議員たちはやる気の無い政治家のあつまりだ。ゼレンスキーは自分の利益のためにロシアを挑発し、戦争をしている。もしゼレンスキーが中立を守る姿勢を取れば、今回の戦争は防げた。勿論、それは彼の勝手である。それを賞賛する日本政府と議会が異常なだけである。

 

米国に国家の安全保障を完全に頼る非武装中立の愚(補足1)を、吉田茂以降自民党売国政権は続けているので、吉田茂、池田勇人、宮沢喜一などに続く宏池会・岸田政権にとっては当たり前なのかもしれないが、米国ベッタリの姿勢では、ロシアの一撃を食うのは日本かもしれない。日本は攻めやすい。米国に同盟国を守る覚悟が無いことを示すのには、絶好のサンプルだからである。(補足2)

 

1%程度の低い確率かもしれないが、そんな危機的状況が頭に浮かばないのは、彼らは家業として国会議員の職を継いだだけで、特別な動機も政治に関する本当の意味での関心も無いからである。

 

ゼレンスキーは、自分の人気下落(補足3)を一挙に挽回しようとしたのか、上述のように米国のバイデン政権の裏側からの指示なのか、恐らく両方の利益が一致したというのが本当かもしれない。しかし明確なのは、この戦争の導火線に火をつけたのはゼレンスキーだということである。

 

このような人物に国会で演説させて、最後に全員立ち上がって拍手するというのは愚かだ。

 

ロシアは国後島などで軍事演習を始めたようだ。

 

 

国後島では、島に上陸した敵兵を迎え撃つ演習をしているという。

https://www.ytv.co.jp/press/international/140888.html

 

しかし、理由なく国後に日本或いは米国が攻め込む訳が無い。国後を日本や米国が攻めるのには、その裏に、ロシアが米国に原潜を向かわせるとか、上述のように北海道へ侵攻するなどの計画がある筈である。非常に気味が悪い。

 

前者の場合は、ウクライナでの核使用が前提だろう。

=>19日のブログ参照:

 

川口マーン恵美さんが、ゼリンスキーは英雄か?という題で記事を書いているので、それをリファーしてこの文章を閉じる。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/93698

 

(10:00 編集、補足1、2の追加)

 

補足

 

1)マッカーサーの日本統治が始まったときに、吉田茂とマッカーサーの間に何らかの約束があったのかもしれない。早期の講和をすること、日本の復興に協力することなどが、米側から提案された可能性がある。

 

2)日本と米国の安保条約が単なる紙切れだったとわかると、NATO諸国は不安になり、米国の思うままには動かなくなる。プーチンはそのことを良く知っている筈。

 

3)3月2日に「ウクライナのゼレンスキー大統領は英雄なのか?」という題で記事を書いた。そこに引用したように、ウクライナのジャーナリストAnna Myroniuk氏がゼレンスキーの人気下落とそこからの回復について述べている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12729658563.html

 

2022年3月25日金曜日

マスコミ報道の新型コロナ感染者数は真の値からほど遠い

前回、日本政府は新型コロナ死者数を誤魔化している可能性が高いという内容の記事を書いた。それをリブログされた方が、私の記事内容を疑わしい説として紹介されているのは意外だった。=>リブログ記事

 

前回記事で紹介した論文は、東大や慶応の研究者も参加している国際的チームが行ったデータ解析の論文であり、LANCET論文と雖も信憑性が高い。(補足1)そこで、補足記事を書くことにした。

 

新たに文章を書くもう一つの動機として、隣国韓国ではオミクロンに対する感染数が爆発的に増加しており、人口当たり日本の20倍以上だという事実がある。323日にも49万人(人口は5100万人)の感染者を出している。韓国は真面目に対応しているが、一方日本は非常に不真面目というか途上国的対応であり、この日韓の差が非常に気になるのである。 

 

残念ながら、新型コロナのデータに関しては、2年前から韓国の方が日本よりも遥かに国際的信用は高いだろう。ダイヤモンドプリンセス号での感染者に対する対応ミスで、「日本は先進国ではないのでは?」という疑いを世界に広げた。それに対する感情的反感が当時あったのだが、今年のオミクロン株への対応を見ると、日本政府や日本のマスコミには信用回復の気持ちがないようだ。

 

以下本論:

 

感染症対策の基礎には正確なデータが必要だが、そのデータ取得の段階で日本政府はまともな対応を放棄している。それにも拘らず、来年4月から4回目接種を始めるなどと話を発表する姿勢は、単に米国製薬会社に奉仕するためなのかと疑う。


下に示したのは、厚労省発表のPCR検査数と陽性者数のデータから陽性率を計算しグラフ化した図である。今回はこの図を示し、若干のコメントを追加することでこの補足記事を終わりたい。

 

データ元:https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.htmlにアクセスして、pcr_tested_dailyとnewly_confirmed_cases_dailyというファイルをダウンロードし、それを表計算ソフトにコピーして処理する。図の値は、各月の陽性者数の合計をpcr検査数の合計で割り算して求めた。(3/25/pm 2:40追記)

 

 

オミクロン感染が本格的になったのが2022年1月中旬であったが、検査数が感染者数に比例して増加していない。感染者数が100人程度の昨年11頃でも10万人程度を検査していたのだが、今年2月、感染者数7−10万人が続いていたにも拘らず検査数が30万人に満たない(平均27万余)。

 

勿論、オミクロン株では重症化の率が低いことや、病院が入院者数の増加で医療崩壊する可能性が高くなるという理由から、検査の範囲を抑えるのは、泥縄式対応としては分からないわけではない。しかし、感染者数を公表する際には、十分にその意味の変化を国民に説明しなければならない。その努力が全くなされていない。

 

このように陽性率の大きな変化は、多くの感染者を見逃していることになり、日本政府発表の感染数や死亡者数の信用度が、先進諸外国の発表値と比較して極めて低いことを意味する。(補足2)そのことに言及しないで日々感染者数を垂れ流すマスコミは、プロパガンダ機関なのかと疑う。

 

今回は、オミクロン株の流行以来の行政の対応変化とその根拠(法令や省令の改正など)の調査はしなかった。検査陽性率だけを示して、日々マスコミが発表する感染者数や死者数に関する信頼度が低いことを示す一つの証拠として提供することだけで終わる。

 

補足:

 

1)この論文誌は世界の一流医学誌であるが、コロナに関しては政治利用されたようである。従って、医療関係者以外には信頼度に疑問を持つ人も多いだろう。政治利用の例を以前の記事から示す。

 

ただ、医学誌としては5本の指に入る一流雑誌であることに変わりはない。

 

2)感染者数の信頼度は、被験者を無作為に多数抽出して、低い陽性率となった場合に大きくなる。濃厚接触者や症状を持つ者に限って検査する調査でも、陽性率が非常に低い場合には一定の信頼度があるだろう。しかし、症状を持つものとその周辺に限って行う検査で陽性率が高い場合には、得られた感染者数には信頼度はない。

2022年3月23日水曜日

日本政府はコロナの死者数を誤魔化している?

新型コロナの流行は徐々に収まりつつあり、118日に発令された蔓延防止等充填措置も321日に解除された。しかし、21日には未だ4万人余りの新規感染者を出しているので、再度の感染増が心配される。そんな中、気になるニュースがネットに掲載された。日本のコロナ関連死者数の値が政府発表のコロナ死者数より遥かに多く、10万人以上(政府発表の4倍)であるという記事が東洋経済ONLINEに掲載されたのである。https://toyokeizai.net/articles/-/540044

 

その記事が引用したのが、米国の一流医学ジャーナルのLANCETに掲載された論文である。その中に発表されているのが、20201月から2021年末までの政府発表の新型コロナで死亡した人数、その国の人口動態の発表数などから計算した同期間の超過死亡の人数、そしてそれらの比である。論文タイトルと掲載サイトは下の表に添えられている。オープンアクセスなので、誰でも見ることができる。(補足1)

 

 

ここで過剰死とは、それ以前の人口動態データから計算した平年値としての死亡数データと、注目する年の死亡数との差である。生死に係る主な出来事が新型コロナ肺炎の流行なら、その期間の超過死亡数は、新型コロナが直接的或いは間接的に原因となった死亡数と考えられる。

 

上の表によると、日本の2020/1/1~2021/12/31の間のコロナ死と発表された人数は、18400人である。同期間の超過死亡の人数は、約111000人である。誤差範囲としては、103000~116000が与えられている。(多分±2σの範囲だろう) 超過死亡の数がコロナで死亡したとされた数の6.0倍ある。日本のこの比例係数は、世界各国に比べて異常に高い。(補足2)

 

この比(コロナでの死亡数と超過死亡数の比)が日本においてが例外的に大きいのには幾つかの原因が考えられる。その一つは、この期間に自殺数が相当増加したことである。論文には、自殺数が目立って増えたのは日本だけであると書かれている。更にもう一つ重要な原因として、日本の新型コロナの検査体制が十分では無かったことが考えられる。

 

兎に角この結果は、改めて日本が世界の中の例外国であるとして注目されるだろう。

 

2)2022年の感染者数の過小評価

 

2022年からオミクロン株の感染が本格的となり感染者数が急増しため、死亡数もこれまでのアルファ株やデルタ株などの時よりもかなり多くなっている。しかし、死亡率がかなり低いこともあり、病床確保のために検査対象を絞ることになった。そこで、検査を受けた人に対する感染者の割合(陽性率)が非常に大きくなっている。

 

これは、本当の感染者を多く見逃していることを示している。そのため、おそらくデルタ株までの上記結果同様、新型コロナでの死亡者を多く見逃しているだろう。

 

日本は欧米に比べて、新型コロナの死者が非常に少ないことになっていたが、その一方でコロナ死亡者の数をかなり見逃していたことになるだろう。(補足3)これは先進国ではあり得ない恥ずかしいことである。更に、その期間の超過死亡数のかなりの部分が経済的困窮による自殺によるとしたら、日本の厚生労働行政は病的とさえ言えるだろう。

 

最後に、超過死亡数がコロナ死亡数の何倍かという比で世界を色分けした地図を示す。これも上に紹介したLANCETの論文から引用した。途上国の中に取り残された”先進国(?)日本”を確認し、危機感をもってもらいたい。

 

補足:

 

1)この論文は新型コロナ超過死亡共同研究者(COVID-19 Excess Mortality Collaborators)の著作となっている。その氏名のリストには、米国の大学や研究機関をはじめ世界中の研究者の名前がある。日本からも何人もの人(東大や慶応などに所属)が参加している。その筆頭に米国シアトルのワシントン大学にあるグローバルな研究機関Institute for Health Metrics and Evaluationの研究者が書かれているが、連絡先著者(corresponding author)の表示はない。

 

2)コロナ死亡数と超過死亡数の比(表のB/C)が幾つかの地域でマイナスになっている。その原因としては、その地域で非常に厳格な感染防止措置がとられ、且つ、感染予防の考えが市民の中に浸透したため、他の病気による死者数も減少したことが考えられる。日本でも2020年の3月頃には、超過死亡数がマイナスになっている。それは、インフルエンザの流行なども抑えられたからと報道された。

 

3)以前から日本は新型コロナの感染数などを誤魔化しているという疑いが外国から提出されていた。それについて記事を書いたことがある。

 

(3/22/11:59 編集、補足3追加;3/23/10:00過剰死亡数は超過死亡数に改め、前後の文も修正)

 

 

2022年3月19日土曜日

ロシアが核兵器を使う可能性について:ウクライナ戦争

ロシアによるウクライナ侵略は予想外に梃子摺っているようだ。その原因として、当初ロシアがウクライナを2−3日で降伏に追い込めると考えたこと、ウクライナの予想外の抵抗、ロシア兵の士気の低さなど、などが考えられている。https://news.yahoo.co.jp/articles/d03fb6117b030ff68c227087ca25a7648c0333fc

 

日本のマスコミは、片方の勢力からの情報を流すのみなので、ロシアがどの程度の経済的困窮にあるのかわからない。しかし、西側諸国から無尽蔵に武器やお金が運びこまれるウクライナに比較して、主に中国からのみの支援しか得られず、ロジスティック(兵站)で圧倒的に不利なロシアは、無様な敗戦すら意識し始めているだろう。

 

効果的にネットを利用するゼリンスキーのウクライナに対して、歴史に汚名を残す形での敗戦は、プーチン政権には耐えられないだろう。それは、プーチン政権だけでなくロシア国そのものも崩壊させる可能性が高いだろう。

 

この戦争の具体的目標は、ゼレンスキー政権と、主にウクライナ南部や東部でロシア人に暴挙を働く所謂”ネオナチ”グループを排除し、ドネツクやルガンスクの独立を確定することだろう。

 

ただ、今回の戦争の本当の動機として、プーチンは栄光あるロシア帝国の復興を夢想していたとすれば、敗戦はその夢を消し去るだけでなく、その汚名に塗れながら崩壊するロシアの悪夢に、プーチンは発狂状態になる可能性がある。そこで恐ろしいのは、戦術核の使用である。

 

https://www.youtube.com/watch?v=4g0XRAp9Tnw (9分から核使用について議論している)

 

2) 戦術核の使用

 

元陸上幕僚長の岩田静文氏によると、ウクライナ戦争で核兵器の使用として先ず考えられるのは、西欧諸国からの支援を断つ意味で、キエフの西方500km弱の所にあるリヴィウ(Lviv)の核攻撃である。(上に引用の動画〜12.5分)そこに核が落とされれば、ウクライナの敗戦は必至である。

 

このままロシアが敗れ日本のように半永久的に米国の支配下に置かれる道しかないと考えた時(本ブログサイトの考え)、プーチンは汚名を一身に背負う形で決断する可能性がある。安倍元総理との多数回の会談で、日本と米国の関係を特別に良く知っている筈である。(補足1)

 

この核使用のプロセスを関係ある大国が期待しているかもしれない。そのような大国の一つ目は中国である。

 

元々中国共産党政権は、台湾の併合を国家目標に掲げている。そして、ロシアのウクライナにおける核使用は、人類史において一旦貼り付けられた核兵器の封印を解くことになる。自分の権力を万全にしたい習近平にとって大歓迎だろう。(補足2)

 

つまり、核兵器は実際に使用される武器であると世界中が考えるようになったなら、中国人民解放軍が台湾に向かった段階で、台湾併合が確実になる。逆に、このままロシアがウクライナに負けるとすれば、中国は暫くの間台湾へ侵攻出来ない。

 

開戦しても、欧米や日本から近代装備が無尽蔵に補給され、しかも台湾は確固とした防衛意志を示すと考えられるからである。そこで、核爆撃を歴史に再登場させた汚名をロシアのプーチンが背負ってくれれば、その分荷が軽くなるのである。(補足3)

 

中国は台湾併合のプロセスを核の威嚇で簡素化するためにも、経済一般及び戦備品調達の両面で、長期戦に向かうべくロシアに協力するだろう。このような利点がなければ、親中国のウクライナを裏切ることは非常に辛いことだろう。

 

 

以下は異なる意見の方が多いかもしれないが: 更に、米国民主党を操縦する深層にある人々は、来るべき世界統一において、核兵器を使用可能な兵器にしておきたいだろう。それがもう一つの核の現実的威力を増加させたい勢力である。(補足3)

 

もしロシアが核兵器を用いれば、今後、核保有国と非保有国の間の格差は格段に拡大する。もし、ローマクラブが危惧するように、地球人口が地球の容量を遥かに超えるとなれば、核保有国が秘密裏に連携して、人口削減計画を実行することへの抵抗感も低下するだろう。

 

その場合、50年ほどすれば、生き残った地球人はその記憶を無くしている筈である。ローマ法皇の最近の発言のように、カインによるアベルの殺害のような神話として残るかもしれないが。

 

補足:

 

1)北方領土の返還交渉において、プーチン大統領は安倍元総理から、鳩山一郎内閣のときに二島返還での日ソ平和条約締結を妨害した米国の話を聞いている筈である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12710656048.html

 

2)日本人と違って、世界の人々の思考の幅は広い。ましてや、世界統一を考える絶対権力者にとって、人間の命など虫ケラのそれ同然だろう。鄧小平の天安門事件を思い出すべきである。自国民に対して、あのような態度が取れるのだから、もし損得勘定が合うのなら、敵国人100万人を一度に殺害することなど何の抵抗もないだろう。

 

3)中国人民解放軍の朱成虎(一時国家元首格を有した朱徳元帥の孫)は、2005年、アメリカが台湾有事に介入した場合、中国は核戦争も辞さないと発言している。また朱成虎は以前、「(日本やインドなど)人口密集地への先制核攻撃により人口削減をすべき時が来る」と発言している。(ウイキぺディアの“朱成虎”参照)

2022年3月18日金曜日

ウクライナ戦争から学ぶべきこと:

今回のロシアとウクライナの戦争は、両国の消耗により停戦となる可能性が出てきた。勝敗は明確には出ないかもしれないが、ロシアの戦略的失敗という点は明白だろう。日本人にも様々な教訓を与えたので、その幾つかを議論する。

 

 国際法はあてにならないこと

 グローバリストの勝利、ナショナリストの敗退

 核兵器が国家の防衛力を決定すること

 国の地政学的位置は外交戦略上の非常に重要であること

 

あくまでも一素人の理解です。

 

 国際法について:

 

国際関係が法治原則の下にないのは、今日の常識である。つまり、主権国家間の関係(国際社会)は、最終的には野生の支配下ということになる。ロシアのウクライナ侵攻は明確な国際法違反であるが、国際社会はそれを防止する能力がない。米国はスネに傷持つ大親分であり「国際警察」ではない。

 

ウクライナはソ連崩壊直後、世界有数の核保有国だった。しかし米国のクリントン大統領(当時)はウクライナ等から核兵器をロシアに移し、ロシアによる一元管理を考えた。ウクライナを核不拡散条約に加盟させる代わり、安全保障の覚書に署名した。ブダペストの覚書(1994年;核大国の米英露が署名と呼ばれる。(補足1)

 

法治の支配下にあれば、ブダペストの覚書は実効性のある契約書となり、ロシアにウクライナ侵略のオプションなど無かった筈である。ウクライナの悲劇は、ブダペスト覚書の本質が「核保持国のエゴイズム」だったことを証明した。そして、国際社会が野生の支配下にあることを再確認することになった

 

世界の一元支配が達成されれば、国際社会は法の支配の下に入る可能性がある。その理想論が、所謂グローバリズムだろう。そこへ直線的に目指すのは、共産主義革命の悲劇を繰り返すことになる。そのことはグローバリズムを主張している核大国の中心にある人たちは知っている可能性がある。

 

つまり、グローバリズムという理想論は戦略ではなく、つまり本当に世界の一元支配と法治化を目指しているのではなく、単に自己の利益のための一つの戦術の可能性がある。(補足2)それは、グリーンニューディールなどと同様である。本当に賢い(ずる賢い)人たちは理想論に毒されることはないだろう。

 

 

② グローバリスト米国の勝利、ナショナリストの敗退:

 

ウクライナは 1990 年、「受け入れない、作らない、手に入れない」の非核三原則を盛り込んだ『主権宣言』を採択し、翌年非核化の声明を発表しているので、ブダペストの覚書の決定は一応ウクライナ自身の選択でもあった。https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/68/68-1.pdf

 

この時ウクライナは中立国の方針を採択しており、ロシアとの関係もそれほど悪くなかった筈であるが、その後徐々に悪くなった。その裏に2004年と2014年の内戦があり、それらには米国の深い関与があったことは周知である。

 

2019年にNATO加盟を憲法に書き込んだのは、クリミヤをロシアに占領されたからであるが、NATOの意向を確認しないで憲法に書き込むのは異常である。上述のように、ウクライナをロシア攻撃の武器とするために米国が狡猾に誘導したのだろう。そうでなければ、恐ろしく粗雑な政府・議会ということになる。(補足3)

 

2019年の大統領戦では、ユダヤ人の新興財閥(オリガルヒ)が中心的役割を果たしている。国家を持たない民族は、国際的ネットワークを張り、情報と知恵の交換で生き残ってきた。世界の金融のみならず、方々の政治も裏で支配を強めつつあるということだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516264.html

 

ゼリンスキー政権には、公約違反が数々あり、ロシアのウクライナ侵攻まで国民の支持率が大きく低下していた。例えば、ドンパス地方でロシア人を殺害する極右団体を内務省下の正規軍にするとか、政権誕生から今日まで腐敗オリガルヒとの親密な関係などである。

 

これらゼリンスキー政権と極右団体との関係はウクライナのジャーナリストAnna Myroniuk氏の言葉として、3月2日の記事にも書いた。また、昨夜公開の及川幸久氏のyoutube動画では、アゾフ大隊のほか、C14とか右派セクター(the Right Sector)などの極右団体との関係もかなり詳細に説明している。(補足4)https://www.youtube.com/watch?v=xd2JuhnPhb0

 

そのような背景で、(以下はプーチンの視点からの記述になるが)ロシアが国家の将来を賭け、ウクライナから極右人種差別者たち(ゼリンスキーを含め)を排除しようと乗り込んだ。それに対し、米国は究極の制裁を課した。あのウイグル人権問題などで国際的に非難された中国にも用いなかった、「SWIFT(国際決済システム)からの排除」である。

 

それに加えて、ネットやマスコミを用いる大々的プロパガンダで、ゼリンスキーは英雄でプーチンは21世紀のヒトラーというレッテルが貼られつつある。米国側は、総合戦力で圧倒的な力を見せつけた。以上の出来事は、”グローバリスト米国の勝利、ナショナリストの敗退”のように見える。時代の流れを感じる。

 

 核兵器の国家防衛上の重要性:

 

ソ連崩壊のとき、独立国家共同体(CIS)が作られたが、その中で最も独立志向が強かったのはウクライナであった。スターリンによるホロドモール(下のHaranoTimesさん等が字幕をつけた動画を公開しているhttps://www.youtube.com/watch?v=guT9DHjo3-Q)の記憶やクリミヤの黒海艦隊の帰属の問題でトラブルがあったので、当然かもしれない。

 

この時のロシアへの核兵器移送がなければ、ウクライナは今回攻撃されなかっただろう。シカゴ大のミアシャイマー教授は1993年の論文で、「独立を宣言後すぐに、ウクライナは独自の核抑止力を作るように静かに奨励されるべきだった。今でも、ウクライナに非核国家になるよう圧力をかけるのは間違いである」と書いている。https://www.jstor.org/stable/20045622

 

伊藤貫さんが以前、同教授が「世界の20程のまともな国は、核武装した方が世界の安定には良い」と言ったことを紹介した。それを聞いた対談相手の西部邁氏は「その20カ国の中に日本も入っているの?」と、日本がまともな国20の中に入っていることに、安心なのか意外なのか分からない相槌を打っていた。

 

ウクライナ自身による国軍の非核化はウクライナ自身の選択でもあったが、これはロシアと一定の友好関係を維持するという覚悟がなければ出来ない筈である。隣国との関係は時間と共に大きく変化する可能性があるので、出来れば残したかっただろうが、英米の圧力に屈したのだろう。

 

実際、あるロシア関連の研究者の著作には以下のように書かれている。チェルノブイリ原発事故による核アレルギーの影響もあるが、「主権宣言の採択から完全な非核化を遂げるまでの6年の過程では核保有を主張する声もあり、むしろ経済的危機を背景に核兵器の維持が不可能となり、西側諸国からの核保有論に対する批判から非核化に追い込まれたというのが実状である。」(末澤恵美、「ウクライナの核廃絶」スラブ研究センター研究報告シリーズNo68)(補足5)

 

地政学的な条件の重要性(日本とウクライナの比較)

 

ウクライナ大使館のHPには、主権宣言(1990716日最高会議採択)で「将来において軍事ブロックに属さない中立国となり,非核三原則を堅持する国家」となることを明らかにしている。それなのに何故、2014年に親米政権を樹立し、中立国という方針を放棄したのか? (このことは、2月24日の記事日の記事に書いた)

 

 

 

ここで日本の将来を考える。日本の地政学的位置は、ウクライナのそれに似ている。ロシアに相当する国が中国である。NATOに相当するのが、日米安保条約である。日本は安保条約で一定の侵略抑止効果を得ているが、セクション①に書いたように、条約は所詮紙切れである。

 

そして、ホロドモールの被害国はウクライナだが、中国国民が信じている南京虐殺では中国が被害国となっている。中国では低学年から反日教育が実施されているので、小学生に日本人について聞けば必ず、「日本人って悪い人でしょう」と答える。これら諸点は、隣国の侵略を考える時、日本はウクライナよりも圧倒的に悪条件下にある。

 

ウクライナよりも好条件なのは、日米安保条約だが、その米国政治の背後の資本家たちとそのブレインたちに、日本は嫌われている。更に、中国こそこれからの米国のパートナーであるという考えが、彼らには存在する。そのことについては2017年の記事に書いた。

 

 

ウクライナに戻る。隣国ロシアが一強米国の殲滅のターゲットであったこと、そのロシアの隣国であるという地政学的条件、更にロシア経済が今ひとつで将来にも明るい展望に乏しいことなどが総合的にウクライナの悲劇のエネルギーとなった。ネオナチなどは導火線にすぎない。(補足6)

 

日本国はウクライナよりも犠牲として打って付けである。その日のために、米中両国民には十分悪役としての刷り込みがなされている。中国に侵略のエネルギーが生じてきているか、その導火線となるものは何か、それらを常に考えて備えなければならない。今回はウクライナの件から得る教訓というところのみ考えた。

 

(21時50分、改訂)

 

補足:

 

1)実際は、ウクライナの他にカザフスタンとベラルーシも核不拡散条約(NPT)に参加する代わりに、米英露が安全保障の覚書に署名した。

 

2)世界の一元支配が達成されれば、この問題は消滅するという理想論が、所謂グローバリズムだろう。そこへ直線的に目指すのは、共産主義革命の悲劇を繰り返すことになるだろう。

インターネットと生産性の格段の上昇などにより、人類はその方向へ進んでいることにある日突然気づくかもしれない。その時まで地に足をつけて、現実的戦略をとるべきだと思う。

 

3)ロシア潰しのためにウクライナを利用するという戦略はあり得る。それは、日本を潰すために韓国を用いるようなものである。

 

4)ゼレンスキーはロシアとの対立を無くすることを約束して大統領に当選した。しかし、その後、ドンパスを訪問した彼は超民族主義者(ネオナチ)の味方になってしまう。そのあたりの事情をTowards Freedomという独立系メディアが報道している。立候補直後のゼレンスキーは、自分のユダヤ人としての血統を軽視していたが、ロシアとの全面戦争になり、プーチンがウクライナからのネオナチ追放を主張すると、自分の血統を宣伝し始めた。それは米国メディアも同様である。記事は「ロシアとの全面的な情報戦争に従事している米国のメディアにとって、大統領のユダヤ人の経歴は不可欠な広報ツールになっています」と書いている。=>Towards Freedomの記事

 

5)北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター(https://src-h.slav.hokudai.ac.jp

は国内唯一の総合的なスラブ・ユーラシア地域研究機関である。そこで発行されている研究雑誌だろう。この論文は上のセクション①で引用したサイトでpdfとして公表されている。https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/publictn/68/68-1.pdf

 

6)プーチンがロシア帝国の栄光を夢見たとすれば、それはロシア経済が未だに資源の切り売りで生きる姿から脱却できないこと、つまり「21世紀の技術立国ロシア」などのビジョンがあれば、大昔の栄光が脳内で大きくはならなかっただろう。

同様に、日本が恐ろしい事態を経験するとしたら、中国経済が傾き、その原因を外に転嫁する欲求を中国首脳が持ち始めた時だろう。その時、①で議論したように、日米安保など”屁の突っ張り”にもならないだろう。

2022年3月13日日曜日

ウクライナとロシアの戦争は一般の日本人が考えるより遥かに複雑である

1)ロシアは、赤ちゃんや妊婦が実際に入院している小児病院を爆撃したのか?

 

ロシアとウクライナの戦争は既に二週間以上続いている。その中で、学校、病院、住宅などが攻撃されているようだ。中でも、ドネツク州の街マリウポリの小児科病院が攻撃されたことが、残虐な空爆として世界中に報道されている。この小児科病院の爆撃に対して、ゼレンスキー大統領はロシアによるジェノサイドの証明であると攻撃している。https://www.youtube.com/watch?v=0wzS6C_ARZM

 

その一方、ロシアのラザロフ外相は、「爆撃の3日前、ロシアは国連理事会にくだんの病院がウクライナのネオナチ部隊に占拠されていると報告済みだった」と語っている。我々にはどちらが真実かわからない。https://mainichi.jp/articles/20220311/k00/00m/030/007000c

 

ただ、この爆撃が実際に患者がいる小児科病院に対するもので、何人もの子供や妊婦が被害にあったとするなら、恐ろしいことだ。しかし若干の疑問が残る。それは、ウクライナの軍事施設や軍隊に使うべき武器弾薬を使って、市民を直接攻撃するのだろうか? ロシア側の指揮する人物は態々国際的孤立を目指しているのだろうか? という疑問である。

 

もし、ロシアのラブロフ外相が主張するように、ネオナチ集団、つまりオデッサでビルに逃げ込んだ50人ほどの親露デモ隊を焼き殺したアゾフ連隊(現在ウクライナ政府内の組織)などの集団、が占拠しているのなら、現状から考えて、ロシア軍にも十分に爆撃する動機が存在する。(補足1)

 

オデッサ事件と今回の戦争の背景についての解説動画を以下に引用する。

 

(補足2)

 

また、もしこれがロシア側の主張のようにフェイクニュースでないのなら、ロシアとウクライナの間の憎悪感情は恐ろしく増幅されており、戦術核が用いられるのも時間の問題かもしれない。我々日本人が真に考えるべきは、その事態を如何に避けるかということである。

 

このような人類の終末論的な危機を考えるべきとき、今朝のTV放送「ザ・プライム」は、「何らかの形で、NATOがウクライナに直接的にウクライナとロシアの戦い渦中に入るべきだ」と議論している。恐ろしく幼稚であると思う。

 

今は、ゼレンスキー大統領に、一旦は白旗をあげること、或いは、米国が2月中に打診したように、ウクライナを離れることを進言すべきだろう。(補足3)今、ロシアに軍を引かせることは至難だが、それに比べて(ウクライナが一旦親露政権になったとしても)戦後例えば数年後ウクライナに民主的な選挙が挙行されるように応援することの方が遥かに容易である。

 

今は、姑息だと思われるかもしれないが、全人類のことも考えて、ウクライナの人的被害を最小限に抑えるべきだと思う。

 

 

2)ウクライナのゼレンスキー政権とネオナチ集団との関わり:

 

ゼレンスキー大統領は、これまで汚職の温床のように言われてきたウクライナの新興財閥(オリガルヒ)の一人コロモイスキー氏の応援で大統領になった。彼は、コロモイスキー氏所有のテレビ局が放映した「国民のしもべ」で有名になった元コメディアンである。

 

因みに、ゼレンスキー氏が大統領となり、ウクライナは、大統領と首相の両方がユダヤ人である世界で二番目の国となった。https://www.huffingtonpost.jp/entry/who-is-zelenskiy_jp_621da790e4b06e1cc59413f9

 

爆撃されたという小児科病院は、ドネツク自治州の黒海沿岸の街マリウポリにある。ドネツクと言えば、2014年から始まる政変の主要舞台の一つである。この2014年のクーデターで欧米諸国(つまりNATOを構成する国々)は、暴力デモ集団の要求を受け入れるよう当時のヤヌコビッチ政権を制裁で脅している。その暴力デモ集団の一つがアゾフ大隊である。米国CIAがブラックウォーター(傭兵の派遣会社)の私兵集団をこの暴力デモに派遣した疑いもある。

 

アゾフ大隊がどのような組織かは、ウィキペディアにも書かれている。それは、上述のようにゼリンスキー大統領を応援したオリガルヒのコロモイスキーが所有した私兵部隊であった。しかし現在では、ウクライナ内務省管轄の国家親衛隊の中に組織されている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4435d40d5ece106952c0216b84c3ce42a0cd82c7

 

この組織については、以下のような報道もある。

ロシア系の人々を相手に暴力的な衝動を発散させたいアゾフ連隊と、ロシアに支援されたウクライナ東部を攻撃したい新ウクライナ政府の利害は合致し、アゾフ連隊はウクライナ国家親衛隊に組み入れられたのであるhttps://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21097

 

この事実を先ほどのテレビ番組にでている櫻井よしこ、橋下徹、佐藤正久、渡辺周などの人たちは知っているのだろうか?

 

更に、アメリカの現国務次官のビクトリア・ヌーランド氏が2014年の政変時(マイダン革命と呼ぶ場合もある)に、ウクライナ新政権の人選について話し合っている音声がYoutubeに暴露されているという。つまり、ウクライナとロシアの戦いは、米国(非トランプの伝統的政権;NATOのトップ)とロシアの戦いという大きな構図で捉える必要がある。

 

実際、米国で物を言う投資家として有名なジムロジャーズが、今回のロシアによるウクライナ侵略は、米国国務省がキエフでクーデターを引き起こした2014年に起因していると主張している。https://moneycentral.com.ng/markets/article/jim-rogers-none-of-this-should-be-happening-its-absolute-madness/

 

その様に考えたら、今「ザプラム」で行っている、2014年のクーデターには一切触れないで、ウクライア善でロシア悪というナイーブな議論を垂れ流す TV放送は、電波空間と日本人の頭の中を汚すだけだと思う。

(11:30 小編集;17:45最初のセクションの最後の文章を多少変更)

 

 

補足:

 

1)このセクションの太字部分は、双方が虐殺の責任を互いに追求されるべきことを示している。ゼレンスキーのウクライナのみがロシアに対して攻撃できる立場ではない。

 

2)この動画で、主権国家への侵略は言語道断だと話している。それは、国家間の関係に「法による正義の実現」という国内での犯罪行為の善悪論を適用できるのなら正しい。この場合の法とは国際法である。しかし、その枠内で事が治るのなら、全ての戦争は起こらない。ある国の他国への行いが国家の命運を左右するのなら、戦争は国際法の禁じるところではない。つまり、問題はロシアの侵略行為が防衛戦争なのかどうかということとなる。米国やNATOがロシアの発祥の地である隣国に、深刻な政治介入を行っているとした場合、そしてロシア国籍の人たちが虐殺の危険に晒されているとするのなら、ロシア側にも一定の理由があることを認めなければならない。

そうでないと、北朝鮮から軍事力で拉致被害者を取り戻すという選択肢が、もし独自軍を持つまともな国であったとしても、日本に無いことになる。

 

3)穿った見方をすれば、ロシアがウクライナを侵略した段階で、「悪者ロシア」の証明ができたので、ゼレンスキーさんの役割は終わったというのが、米国の考えなのかもしれない。

2022年3月11日金曜日

防衛体制の本格的構築は、コミュニケーション文化の改造から始めるべき

ロシアのウクライナ侵略を契機として、日本では防衛論議が盛んである。週始めの7日、三橋貴明氏の「恐らく今年中に中国は台湾への介入を開始し、台湾有事になれば即日本有事になる。それに備えて、日本は米国との核シェアリングするか、独自核武装をするかの議論を急いでする必要がある」という言葉を紹介した。

 

私は、核武装以前にするべきことがあると思う。それは、国家の在り方、防衛の在り方、防衛戦略の考え方を、国民の間に、そして政府・議会の中にまともに育てることである。急場凌ぎの核武装は、気狂いに刃物の危険性がある。

 

更にそれ以前に、日本にはするべきことがある。それは日本国が他国とのコミュニケーションがまともにとれる国にならなくてはならないこと。例えば尖閣諸島に中国公船が領海侵犯したと言いながら、その中国船とまともなコミュニケーションが出来ていない。警告射撃などしないでただ進路妨害をだけの対応は、人の社会では口の訊けない人か自閉症の方の対応である。

 

日々放送される尖閣での中国公船の領海侵犯とか、接続領域侵入の船の数などは、何のための放送なのかわからない。

また、北朝鮮に横田めぐみさんが拉致された105日が来る毎に、”恒例”の拉致被害放送がTVで流される。これも何のための放送かわからない。

 

拉致被害の解決を政府は言及するが、実際は何もしない。北朝鮮は解決済みと言い、日本側は未解決だと発表する。原点から一歩も解決の方向に進まない。北朝鮮の言葉が嘘だというのなら、武力以外では解決の方法がないことは明らかで、それを明確に国民に言うべき。政府が知らない筈はない。

 

このような政府に不信感と不審感を持たないのは、或いはそれらを持っても何も発言しないのは、日本人の文化に知らぬ人のわからない行動に対して、尋ねるという文化が無いからである。尋ねるような言葉を発するのは、敵とみなしてからである。その時には河内弁で、「馬鹿、どけコラ❗️」と怒鳴られるのは、初めての会話としては良い方である。(補足1)

 

それは日本には一歩家庭や会社のような“共同体”の外に出れば、物理的な人は居ても社会的な人は消滅することと関連している。何をアホなことを言っと るという人は、次の写真を見てもらいたい。

街中の看板や幟である、一体何を狙ってどの程度の効果を考えて、多大な経費をかけて態々街の美観を損なうこんなものを掲げたり立てたりするのか?犬に街角で糞をさせても知らぬ顔で立ち去るような人物に何も面と向かって言わないで、こんな掲示をして効果があるとでも思っているのだろうか?

 

夜間に痴漢が出没するとしても、このような旗を立てて何の効果があると思うのか? 「大人が変われば子どもも変わる」(小学校のフェンスにあった)何のこっちゃ。

 

北朝鮮の拉致を知っても、「拉致は人権侵害です。やめましょう」と海岸に幟を立てるのと、現在の政府の拉致問題にたいするアクションはほとんど同じである。つまり、政府の無策も日本の文化(文化と言えないような街づくり文化)と同根なのだ。

 

明治維新といわれるクーデターにおいて、大きな力となったのは、薩長が偽造して掲げた錦の御旗である。田舎の釜戸には、今でも愛宕神社のお札が貼られている可能性が高い。まあ、神や仏相手なら直接話はできないのだから、札や旗しか無いのかもしれない。しかし、人間が相手なら、まともにコミュニケーションを図るのが人類の文化だろう。

 

2)結論:

 

以上、国際的にノーマルなコミュニケーション文化を作り上げてから、国際社会での日本の存在を認めさせ、独自防衛を始めるべきだろう。当然、核武装は必要である。中国と米国の反対には、必要なコミュニケーションで解決を図るべきで、それは戦略的構想の下に運動を継続すれば可能だろう。

(11:45 編集あり;翌朝日本語編集)

 

補足:

 

1)1ヶ月ほど前、スーパーのレジに並ぶ時、少し離れた後方に親子連れの客が居た。列に入ると小学校5年生位の女の子が、鋭い視線で私を睨む。そこで、「列に並んでいたのですか?」というとうなづくので、彼女の背後に廻った。この間、母親らしき人は知らぬ顔をしていた。これって、どこか変だと思いませんか?

2022年3月9日水曜日

ウクライナ侵攻でプーチンロシアは沈没するがウクライナは再興されるだろう

ウクライナは戦争に負けるだろうが、プーチンは本来の目的を達成できないだろう。プーチンの目的とは、ウクライナを親ロシアに戻すことである。それは、プーチンが夢見る嘗ての偉大なロシアの再興の一環とも考えられるだろう。

 

今回のロシアによるウクライナ侵略は、(国際金融資本や軍産共同体などと呼ばれる勢力下の)米国による旧ソ連領域支配の最終プロセスに見える。それに抵抗してきた(ソ連の中心だった)プーチンロシアが、いよいよ丸裸になるだろう。以下にこの考え方のアンチテーゼ的な考え方を示す。それは、国境に映った侵略的な自分の姿に怯えるプーチンロシアという考え方である。

 

以前北野幸伯氏のメルマガとして紹介したように、全ロシア将校協会はウクライナ侵攻の約1ヶ月前に、今日の事態を見越してプーチンの辞任を要求した。この全露に公開された文章(ロシア語)の一部をグーグル翻訳すると、以下のようになる。(補足1)

 

ウクライナに対する軍事力の使用は、第一に、国家としてのロシア自体の存在に疑問を投げかけるでしょう。第二に、それはロシア人とウクライナ人を永遠に致命的な敵にするでしょう。第三に、一方と他方に数千人(数万人)の若くて健康な死んだ男がいるでしょう。これは確かに私たちの死にゆく国の将来の人口動態に影響を及ぼします。戦場では、これが起こった場合、ロシア軍は、多くのロシア人がいるウクライナの軍人だけでなく、多くのNATO諸国からの軍人と装備にも直面し、…

(敢えてグーグル翻訳のままに示す;)

 

その手紙には、以下のようにも書かれている。ロシアは過去の超大国だったころのロシアを再興するのではなく、身の丈にあった民主的なロシアになることが良い。そして、プーチンの対外戦略は間違っている。例えば、クリミヤを併合しても、国際的にはクリミヤは依然ウクライナに属すると見なされている。

 

この全ロシア将校協会の手紙の内容は、北野氏執筆の現代ビジネス誌上の記事に紹介されている。(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/92504?imp=0;補足2)

 

ソ連崩壊後にNATOの役割が一旦なくなったのは事実である。しかし、その後のロシアによる旧ソ連諸国等への軍事的介入が証明しているように、NATOはロシアの侵略を想定した軍事同盟として新しいバージョンとなった(NATOバージョンII)のである。

 

そして驚くべきことだが、全露将校協会のこの手紙では、NATOはロシアにとって脅威となるような活動をしていないとか、ウクライナがNATOに加盟する権利も認めるべきだと主張していることである。これはバイデン政権の主張と同じである。

 

ロシアの将校協会のこの記事は、1月の段階でロシアのウクライナ侵攻が高い確率で予想されていたことを明確に示している。日本の多くの記事や解説のロシアのウクライナ侵略は得にならないからあり得ないというモデル(例えばhttps://president.jp/articles/-/53674)は、完全に間違っていたのである。独裁的なトップには、国家と国民の経済的利益は第一の項目ではないのだ。

 

2)プーチンの戦略は愚かであった

 

上記全露将校協会の手紙が、そのトップの意見ではなく、その協会員の平均的意見なのかどうかはわからない。しかし、この協会は以前はプーチンを支持していたことを考えると、プーチンのウクライナ侵攻の動機は、ロシアの視点からも正しくない(つまりプーチンの夢想或いは偽装による)と考えるべきである。

 

つまり、NATOの東方拡大はロシアにとって脅威であるというのは、単にプーチンロシアが国境という鏡に映っている自分自身の姿を見ただけということになる。この点は、以前の私の記事の主旨を否定するものだが、ここで訂正しお詫びするしかない。

 

つまり、ウクライナのNATO加盟がロシアの脅威であるかどうかは、ロシア次第だということである。少なくとも、「ロシアが侵略的でなくなれば、NATOバージョンIIはロシアにとって脅威ではない」という前提で、ロシアは外交を展開すべき時になっていたのだろう。

 

勿論現在では、NATOの対ロシアに対する敵対姿勢は明らかである。例えば、2017年のワルシャワサミットにおいて決定された、ロシアの襲来を仮定してバルト3国とポーランドに仕掛けられた罠としての一個大隊(Tripwire Force )の配置は、明らかに反ロシア戦略である。

 

https://www.youtube.com/watch?v=AI2JuvQ15qo

 

ただ、ロシアとNATOの敵対関係を無くす努力はロシアがすべきだというのが、その手紙の主旨である。それは、ウイグル人や法輪功の団結に恐怖を抱く中国共産党政権にも言えることである。ウイグルでの出来事を理由に中国共産党政権を批判するのなら、このプーチンのNATOの恐怖を認めることは矛盾している。(追補1)

 

これで、プーチンは失脚するだろう。それは、ロシアの崩壊と同時進行するだろう。ウクライナは大破壊されるが、再興するだろう。

 

上記動画には、テレビにはあまり出てこられない二人の専門家の意見を引用して、客観的にロシアのウクライナ侵略について報告している。この二人のような専門家が、テレビなど表のメディアに出られないのが、日本の弱点だと思う。

 

 

終わりに:

 

この話題は、2月13日の記事で基本的な背景を書いた時に述べたように、正直“しんどい”。そして、ブログを書いている以上この問題に触れる義務があると思い、続けてきたことを正直にここに記します。尚、上記動画は、これまで引用してきた動画サイトよりも、より専門的で信頼できるものだと思います。

 

追補1)一人の人間は天才でも国家に比べれば非常に小さい。その小さい人間が小さい頭脳で考えて国家を治めることは至難である。権力が一人に集中するプロセスで、周辺に対する感受性の高さという天才的な能力が、最後には国内の大衆と周辺の諸国家に対する恐怖心となる。

(3月10日午前6時、全面改訂、追補追加;大幅改訂に対し、お詫び申し上げます。)

 

補足:

1)この記事を書いた北野幸伯氏は、210日のメルマガでこのことを原文のサイトを引用して配信している。http://ooc.su/news/obrashhenie_obshherossijskogo_oficerskogo_sobranija_k_prezidentu_i_grazhdanam_rossijskoj_federacii/2022-01-31-79?fbclid=IwAR2PimuTHdfkV3OegwLuOajfjYsbBxmiTWOriThAgNJF-R4rh-NY15DJSLY

後述のように、北野氏はこの記事を現代ビジネスに紹介している。

 

2)この内容は北野幸伯氏の記事に、まともな日本語で引用されている。このような書き方をするのは、元の報告、北野氏のメルマガ、そして私の213日の記事の関係を正しく示すことが必要だと思ったからである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

2022年3月6日日曜日

ゼレンスキーはウクライナの地政学的運命を受け入れ、NATO非加盟を宣言すべき

ウクライナでの戦争は長引いている。それに応じて、兵士や市民と街の被害が大きくなっている。こんなひどい戦争は即刻止めるべきだ。しかし、当事国二つの指導者にはなかなか止められない。自分の名誉と自分と家族の命は自分の地位と直結していることも、その大きな理由だろう。

 

主権国家体制の究極の弱点は、トップの指導者も一人の人間であることである。トップと言えども、一つの生命であり、自己と家族を国家の犠牲には簡単に出来ない。自分たちと国家など外の世界を比較して、どちらが大事かと言えば、平凡な生物の一個体なら自分である。従って、国家のトップは非凡でなくてはならない。(追補1)

 

ウクライナのゼレンスキーも、自分の名誉(補足1)と自分と家族の生命を考えれば、ウクライナに残って戦うしか道はないだろう。ただ、長く頑張ればそれだけ、ウクライナ市民の犠牲者が増加する。それにも拘らず、ヨーロッパ諸国はスイスまで含めて、ウクライナを軍事支援している。

 

その一方でNATOは、ゼレンスキーの要請を受け入れず、ウクライナ上空を飛行禁止区域に指定しなかった。これは、ウクライナ人民の犠牲者は増加しても良いから、ヨーロッパに戦火が及ばない形でウクライナに頑張ってもらい、なんとかロシアのプーチンを失脚させたいという考えがあってのことだろう。https://www.sankei.com/article/20220305-GXQIRWSDHNJVVEGNC7UF4PBLLM/

 

防衛省防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は、「私の考えはまさに、ゼレンスキー大統領が諦めるかプーチンが諦めるかどちらかだ」「諦める理由は、自分たちの社会がどれだけ大きな打撃を受けているか(についての正しい理解)だ」と話す。

 

更に、「ウクライナもロシアも、これから時間が経てば経つほど、弱くなる。ロシアが本当に弱くなるまでウクライナが耐え切れれば、そのときに、プーチン政権が倒れるかもしれない。そうなれば、戦争は終わる。そうでなければ、ウクライナのゼレンスキー政権が諦める、あるいはキエフが焦土になって諦めざるを得ない状態になる。そのどちらかしかない」(一部省略)

https://news.yahoo.co.jp/articles/639798048641a5b194cadbde0d7dea86e2d6ae91

 

つまり、米国や米国に同調するNATO諸国は、そのような最終的にどちらも崩壊する程度に弱体化しても良いから、ウクライナでどれだけの犠牲者が出ても構わないから、とにかくプーチンがいなくなり、ロシアが弱体化すれば良いという考えだろう。(補足2)その考えに従って、ヨーロッパ諸国はウクライナに支援しているのである。

 

プーチンもロシアからEU向けのガスパイプライン:ノルドストリーム1を閉鎖せずに、ドイツ等に天然ガスを送り続けている。それも、EUを巻き込んだ戦争を避けるためである。プーチンは、おそらくパラリンピック開会までに、ゼレンスキーがNATO非加盟や東部の独立を認める形で、戦争にキリがつくと考えていたのだろう。その見当違いが悲劇を大きくした原因の一つである。

 

しかし、現在ロシアが全世界を相手に戦う構図となっており(追補2)、上記ガスパイプライン閉鎖や核兵器による電磁パルス発生などのオプションまで考える可能性が出てきた。第三次世界大戦である。この悲劇の発生確率は低いと評論家の誰もが考えている。しかし、そもそもロシアのウクライナ侵略の可能性も低いというのが、実際に侵略が起こるまでの有識者の分析だったことを思い出すべきだ。

 

2)ウクライナはNATO加盟を諦めるべき

 

ここで前回と同じ主張を再度持ち出す。もし、ウクライナの悲劇を最小限にするという人道的見地に立つなら、ドイツやフランスは強引に即刻和平の仲介をすべきである。その際、プーチンが乗ってくるように、NATOの東方非拡大を両国が引き受ける形で確約すべきである。

 

ゼレンスキーにはウクライナの地政学的位置とウクライナとロシアの歴史を考えて、説得すべきだと思う。それが自然である。だいたい、ウクライナがNATOに加盟し、今後ロシアと対立することで安心できる市民がどこの国がいるか考えてほしい。兎に角、ウクライナと中国以外の全ての主権国家は、その力のバランスの構図に不満がない筈である。(補足3)

 

それは米国のグローバリストを裏切ることになるかもしれないが、今やそんなことを言っている段階ではない。

 

 

( https://www.youtube.com/watch?v=Skvf_csubT0;ここで話す渡辺惣樹氏は、米国のグローバリスト(フランクリン・ルーズベルト)を批判する米国フーバー元大統領の回顧録を翻訳された方である。最初の5分までにこのことに言及している)

 

また、ウクライナにはロシア系住民が多いので、ロシアと対立することは内戦の危険と同居することになる。それにも拘らず、何故ウクライナの前大統領ポロシェンコや現大統領ゼレンスキーはNATO加盟にこだわるのか。(補足4)

 

世界中の国々が、世界の覇権国である米国に逆らわない形で、グローバリスト勢力にとっての障害であるプーチンを取り除こうとしている。その尖兵がゼレンスキーだろう。プーチンのロシアは、グローバリスト勢力にとって最大の障害と考えられるのは、様々な国際会議でのプーチンの演説を考えてもわかる。

 

プーチンは家族関係や民族文化や主権国家体制に関して、伝統的な考え方を持っている。それはグローバリストが敵視するものである。(補足5)

 

グローバリストの米国民主党対トランプをはじめとする民族主義の対立の構図は、中間選挙や2022年の大統領選挙の図式である。それは、ウクライナ戦争にも当てはまる。と言うか、以前も書いたように、ウクライナ戦争の原因の一つだと思う。

 

中国は以前から書いているように、グローバリストたちの味方であったのだから、昨年まで世界中が中国を敵視するという構図は、彼らが考えている本来の構図とは全くことなる。この事態をひっくり返すことが、グローバリストたちにとっての今回のウクライナ戦争の二つ目の目的であると思う。

 

(本稿は、世界政治に関心を持つに至った素人が、自分の理解のためにネットで調査し、書いたものです。注意してお読みください。)

 

 

追補(12:20追加)

 

1)日本の政治の欠陥は、戦後ほとんどの期間凡人が政権トップだったことであると思う。何せ、政治家が代々の家業なのだから。

 

2)今年はじめ頃までは、人権無視の中国が全世界を相手に苦戦?していた。今回の戦争は、バイデン親中政権がウクライナを使ってプーチンを刺激し暴発させ、中国への世界の関心を逸らすことも目的の一つだろう。売電は、中国と対立しているようで、大事なときにケリー(オバマ時代の国務長官)を中国に派遣してきた。ケリーの娘婿とバイデンの息子は、ウクライナと中国で事業を展開して巨万の富を得た。トランプが就任したての2019年、ゼリンスキーに調査を依頼した件である。

 

補足:

 

1)ゼレンスキー大統領はアメリカ側から国外脱出を打診された時、「私が必要としているは弾薬だ。脱出の為の足ではない」とウクライナ脱出を拒否したという。これは前回ブログで紹介した。このワシントンポストの記事の深い意味は分からない。つまり、何故アメリカがそのような打診をするのか? ゼレンスキーは私が疑うように、米国支配層の要請に基づいてウクライナの大統領に立候補したのなら、理解可能である。

 

2)スイスが永世中立国の体面を捨てて、ロシアのプーチン大統領らの資産凍結など欧州連合(EU)と同じ内容の対ロシア制裁を科すと発表した。クラウス・シュワブの世界経済フォーラム(WEF)活動の拠点がスイスにあることを考えれば、このスイスの変質は自然と理解できる。

https://www.sankei.com/article/20220301-VMQ6CMFLJRLRFEP2IRUG4HZLZY/

 

3)ウクライナがロシアと仲良くなるのは、一帯一路の中国には本来面白い話ではない。ヨーロッパでの大事な親中国を失う可能性が高くなる。ロシアと中国は、シベリアに長い国境線を持つ潜在敵国同士である。極東での領土問題も中国の心の奥底に残っているだろう。

 

4)ウクライナ最高会議は20192月、EUと北大西洋条約機構(NATO)へのウクライナの加盟路線をウクライナ憲法に明記する憲法改正法案を可決した。https://globe.asahi.com/article/14291695 (本ブログの筆者は、ウクライナ憲法を直接読めないのでこの記事を信用します。)なお、この憲法改正案は、2014年の政変(米国が強く関わっている)で政権を得た勢力が提出したものである。

 

5)グローバリストたちは国境などなくなれば良いと思っている。それはメキシコから際限なく不法移民を流し込むバイデン政権の姿勢に一致する。彼らは親子関係も社会に従属すべきだと考えている。それはプーチンの考えと全く反する。以下の記事に引用した動画の多くがyoutubeで消去されていることがそれを証明している。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12706599166.html

2022年3月2日水曜日

ウクライナのゼレンスキー大統領は英雄なのか?

西側諸国の多くの報道では、ロシアのウクライナ侵略で毅然と戦うゼレンスキー大統領を英雄と呼んでいる。確かに立派に見える。しかし、本当に英雄だろうか?

 

FNNプライムオンラインで、フジテレビ解説委員の二関吉郎氏も「“英雄”に大化けしたゼレンスキー大統領とウクライナ国民に最大限の敬意を表す」という表題の記事を載せている。https://www.fnn.jp/articles/-/322326

 

二関氏は、米国ワシントンポスト紙に掲載されたウクライナのジャーナリストAnna Myroniuk氏の言葉を引用している。それによると、ゼレンスキー大統領はアメリカ側から国外脱出を打診された時、「私が必要としているは弾薬だ。脱出の為の足ではない」とウクライナ脱出を拒否したという。https://www.washingtonpost.com/opinions/2022/02/27/ukraine-russia-zelensky-president-changed-my-mind-inspired-millions/

 

そして彼女は、国家指導者に求められる今や最大の責務である国民の保護の為に、彼は敢然と立ち向かっていると語ったという。ゼレンスキーが必死に戦う姿は、確かに英雄のように見える。しかし、彼はその原因を作った一方の責任者である。

 

そのワシントンポストの記事でMyroniuk氏は、ゼレンスキー大統領が“キャプテン・ウクライナ”とか“初めての真のウクライナ大統領”とか、呼ばれるとは思っても見なかったと書いている。彼女が2019年の選挙のとき、ゼレンスキーに投票しなかった理由を以下のように語っている。

 

彼は政治の経験がなく、大統領という仕事に適しているとは思わなかった。彼の選挙運動での言葉は理想主義的で現実的ではなかった。ロシアに対しての大統領としての立ち位置を気にしてはいたが、彼の話は曖昧だった。彼には強力な億万長者の後援者がいた。彼をスターにしたテレビ番組「民衆の僕」の放送局を所有する億万長者である。 そして、ゼレンスキーは圧倒的な勝利を収めた。

 

彼の統治に良い印象を持たなかった。腐敗と戦うと約束しながら、彼は十分な対策をしなかった。ゼレンスキーは彼の支持者や同僚を重職につけ、彼らがスキャンダルに巻き込まれてもまともに対策をとらなかった。彼の就任後の3年間は、真にポピュリスト的であり、大衆に愛されることを希求した。彼はメディアの批判を大変気にしていた。(かなり意訳です)

 

ゼレンスキーの「ロシアは侵攻しない筈だ」という侵攻直前までの言葉を信じなかったMyroniuk氏は一旦キエフを離れたが、現在立派に国を守るべく戦うゼレンスキーを高く評価し、舞い戻って共に抵抗することを考えているという。記事は「ゼレンスキーは、国と世界の大部分の信頼を得ています。 彼が現在の姿勢を続けてくれることを願っています」と言う彼女の言葉で終わっている。

 

この記事は、全体を客観的に読むべきで、Myroniuk氏の言葉であっても、ゼレンスキーに対する最終評価のみを鵜呑みにするのは間違いだと思う。当初抱いたゼレンスキーへの懐疑論は本当に間違いだったのか?

 

知的なMyroniuk氏も、現在は“熱く”なっている。彼女もゼレンスキーも、そしてロシアのプーチンも熱くなっている。熱くなってからの言葉はそのまま受けとる訳にはいかない。それが戦争の恐ろしいところの一つだろう。

 

2)ミンスク合意を守らなかったゼレンスキーは英雄か?

 

戦いの渦中にあるウクライナの人たちや渦の外にいても近視眼的な大衆は、現在のゼレンスキー氏の姿を見て英雄と思うかもしれない。しかし、サブタイトルの命題の可否は、今日のウクライナとロシアとの戦いに至る長い経緯を考慮した上で冷静に判断すべきである。

 

ソ連崩壊後、2004年にはヤヌコビッチの大統領選勝利を取り消したオレンジ革命、2010年に政権についたヤヌコビッチ大統領をウクライナから追い出した2014年の親米派クーデターなどで、米国の深い関与が確認されている。それに続いて起こった親ロシア地域(クリミヤと東部ドンパス地域)での独立を巡る戦い、ドンパス地方での内戦を収めるための2015年のミンスク合意なども含め、ロシアと欧米の代理戦争的な歴史があった。

 

そして、それらを含めた大きい背景に、ソ連解体後の米国資本の介入(IMFなどの援助を含め)などにより、ロシアやウクライナ等旧ソ連諸国で新財閥(オリガルヒ;多くはユダヤ系)が多数誕生したこと、そしてそれらの周囲に蔓延した汚職など腐敗政治などがある。(補足1)

 

歴代のウクライナ大統領は、政治の腐敗を無くすと公約した。しかし、大統領になる為にオリガルヒと仲良くなり、彼らの支配するTVを利用するなら、最初から政権は矛盾を含む。そんな中、その大統領になる秘訣をフルに使って誕生したのが、理想主義で現実曖昧主義(上記ウクライナジャーナリストの言葉)のゼレンスキー大統領であったとすれば、簡単にはウクライナの英雄と呼べないだろう。(補足2)

 

「キャプテン・ゼレンスキーのウクライナという名のボートは、その指揮下でどう言う訳か大嵐の中に突っ込み難破した。しかし、その後のキャプテンは乗員乗客の救助を勇敢に行った」というのが実態だろう。その勇敢に戦っているという部分だけを切り取って、ゼレンスキーを英雄と呼べるのか? 大いに疑問である。

 

 

3)ゼレンスキー大統領はウクライナの地政学的運命に逆らったのか?

 

人もその共同体である国家も、運命には逆らえない部分がある。ウクライナの地政学的位置と歴史的経緯からは、現在の時点で反ロシアの姿勢を明確にすべきでは無かったと思う。早くても、プーチンと米国民主党政権との対峙が終わった時点にすべきだったと思う。

 

歴史の先生によれば、ロシアはウクライナの土地にあったキエフ公国から発祥した。ウクライナ語とロシア語は、東北弁と標準語位の差であるとか言う位近い言語であり、民族も同じスラブ系で非常に近い。https://www.youtube.com/watch?v=jsN2smDyuc0 

 

その兄弟国を反ロシアの軍事同盟と化したNATOに入れるという画策は、おそらくプーチンのロシアを丸裸にして、潰すための下準備なのだろう。ロシアの金融経済支配を潰された米国大資本家のプーチンへの恨み、ソ連時代に多くの仲間を殺された恨みなどもあって、米国の政治を陰で操る勢力(政治任用のESSESと呼ばれる高級官僚、CIA、巨大資本家、軍需産業、など)とロシアとの争いは、和解のない特別で長期的な争いだろう。

 

その熊と龍の戦いのなかに飛び込むようなことは、国家と国民を悲惨な境遇にする可能性が当然高い。NATOへの加盟が、ロシアに喧嘩を売ることになると考えなかった筈はない。NATOに入ることを政権の看板にするには、親ロシアであった国家の歴史と血統、地政学的位置、そしてその時の国際情勢を十分に考慮する必要があった。ゼレンスキー政権はそれらを十分理解していなかったのか、或いは、その争い(更に大きい世界の枠組みをリセットする企み;補足1引用の動画参照)の中で作られたものか、のどちらかだろう。

 

 

終わりに: 

 

この戦争の分析には、これまでの世界の歴史全体を考慮する必要があるのだが、日本のTVなどではその様にほとんど放送していない。戦争の悲惨さだけを、見せ物のように流す番組や、極めて短期間の経緯のみを放送する姿勢に非常に大きな違和感を感じる。

 

ウクライナの置かれた状況は、日本のそれによく似ている。我々日本人は、この戦争を冷静に分析し、今後の日本を考える必要があると思う。素人がこのような文章を書くのには非常に慎重であるべきだが、日本の将来を思うと、自分なりに分析しておく必要があると思い書いた。意見をいただければ、ありがたい。

 

補足:

 

1)その一端に、オバマ政権の時のバイデン副大統領とその息子ハンターバイデンによる収賄疑惑がある。ウクライナのオリガルヒとバイデン大統領の息子とのスキャンダルの捜査を、米国大統領時代のトランプが新しく大統領になったゼレンスキーに要請した(2019年)が、彼は捜査しなかった。https://www.cnn.co.jp/usa/35142945.html

 

2)本文には書けないが、ゼレンスキーはロシア語を話すユダヤ人である。ソ連崩壊でIMFなど様々な欧米資本との絡みで作り上げられた新興財閥(オリガルヒ)の多くも、ユダヤ人である。ロシアでのオリガルヒの多くはプーチンにより潰された。ゼレンスキーもウクライナのオリガルヒの一人に応援され、支配下のTVを利用して大統領になった。ユダヤ大資本家のジョージソロスのウクライナを反ロシアに育てる努力などを含めて、これらのことを考えるとこの戦争の地下の部分はあまりにも大きく、簡単には上記フジテレビ解説委員の解説には同意できない。

 

https://www.youtube.com/watch?v=yAwNtRh1SB4