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2017年6月14日水曜日

憲法9条改正に反対する憲法学の権威

1)日本の知性のトップ層を育成するのは、主に東京大学を筆頭とする有名大学である。その東大の憲法学の教授は、日本が憲法9条を改正して独自軍を持つことに反対している。その根拠であるが、実に異常な論理展開を経て導きだしている。この最高学府の憲法学教授や低い質の政治家などから、日本全国の文系学部のレベルが非常に低いのではないかという危惧を抱く。(補足1)

上記東大の石川教授は、国家の防衛と国民の生命を守ることが政治の責任であり、憲法を守ることに優先することが解っていないのか、日本国民に悪意を持つのかの、どちらかである。正式な軍隊と十分な防衛能力がないのだから、準緊急時である現在、憲法を拡大解釈して集団的自衛権行使を可能にするのは至極当然である。

石川教授は、下に引用する討論の中で安倍政権の安保法制はクーデターだと言っている。そうだとしても、その責任は行政にはない。憲法を変更しなかった立法と、自衛隊が違憲だという判断をしなかった司法の責任である。(補足2)別の切り方をすれば、憲法を現状のまま固定化しようとする勢力の責任である。マクロにみれば、それは無知な国民の責任なのだが、更に視野に時間の座標も入れて4次元に拡大すれば、その原因として日本の不幸な歴史が存在する(補足3)。

2)東大の憲法学の石川教授の憲法感を以下に考察する。

石川氏の憲法に関する考えは、毎日新聞2017年5月3日(東京)の記事に討論の形で掲載されている。https://mainichi.jp/articles/20170503/ddm/004/070/044000c

上記記事の中から要点をピックアップすれば、以下の用になると思う。
①自衛隊創設については違憲論が有力だが、法解釈をやっている人間から言えば、政府の合憲論も導き出せないことはない。
②状況は変遷したが、同盟政策を排除する9条の規範があったおかげでアメリカに「あまり要求しないで」と言えたし、危険な状況に日本が陥らずに済んだ面がある。

(E・H・カーは著書「危機の二十年」において、国際政治におけるユートピアニズムとリアリズムの両方を意識することの必要性を論じている。その指摘のあと以下の様に述べている。)
③生存権の憲法25条も戦争放棄の9条も、そうしたユートピアを制度化したものである。現実とは距離のある観念を(現行)憲法はあえて置く。ユートピアニズムが制度化された中での、より強靱なリアリズム。戦後の国際政治、安全保障がめざすべきはそれであって、安易な同盟政策のリアリズムではないように思う。

この3つの意見とも、私は間違っていると思う。
①最初の法解釈学的に自衛隊は憲法9条に違反していないという意見は、言語もそれを用いた論理も否定している(補足4)。自衛隊はどう見ても戦力であり、自衛の為に戦うことは「国の交戦権」の発動である。中学生でもできる日本語の自然な解釈である。

②9条があったお陰でアメリカの要求を排除できたというが、それは本来の独立国になることを自ら放棄する論理である。「子供ですから強盗と戦っている人にも協力できません」と言っているに過ぎない。

③理想主義を憲法に書くべきとは、恐らくE.H.カーは言っていないだろう(私はまだ読んではいないが、想像はつく。(補足5))。理想を憲法に書いてしまえば、それは理想でなく不自由な現実になる。それが現在の日本の姿である。(馬鹿だこの教授は)

周辺諸国が現実主義で動いてきた歴史を考えれば、ユートピア思想で国家を縛ることは、民族の滅亡につながる。石川教授は、マオリ族にほとんど全滅させられたモリオリ族(平和主義的)の悲劇を知らないのか、日本がモリオリ族の様になることを希望しているかのどちらかだろう。

補足:
1)日本では、大学のポストはレベルの低い教授の恣意的基準で補充されている。しかし、自然科学分野では学問そのものが国際化されているため、例えば米国の学会誌などに論文が投稿できなければ、研究者として評価されない。その淘汰メカニズムがかろうじて大学人のレベルを維持していると思う。一方、文化系学部では、厳格な国際的物差しがないため、理系部門以上に大学のレベルが低下するのだろう。
2)最高裁は、行政に阿り自衛隊が憲法9条2項に違反しないという判断を示した。それを立法は利用して、改憲の議論という自分の国会での椅子をかけた仕事をしなかった。つまり、日本では三権分立など有名無実化しているのである。
3)米国の占領から独立を回復して、もう65年になる。しかし、未だに米軍が駐留し、日本には独自軍が憲法上存在しない。そのテイタラクの原因は、独立後の最も大事な10年程の間に、売国奴的政治家が日本の舵取りをしたのが原因の一つだろう。人の誕生後も、最初の10年ほどは人格の大枠ができるので非常に大事である。戦後の売国奴的政治については、例えば、鬼塚英昭著「白洲次郎の嘘」を参照。その歴史の直視など、国家も国民も全くできていない。
4)キリスト教では、言語は論理であり、神である。(ヨハネによる福音書冒頭)
5)この本は読んでいない。私は、国際政治が一つの標準的規範を作るには、構成国が現実主義の他に理想主義を強く意識する必要があると思う。その意識を最も強く持っているのが日本国であり、日本国を取り巻く大国の内、日本の安全に最も重要な影響を与える中国には、その意識が希薄だと思う。米国は理想主義を意識しているが、力の政治にうったえる傾向の方が強い。 

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