1)USAIDとウクライナ戦争
トランプ米大統領による米国の政治改革は革命的であり、その影響は世界に広がっている。DOGE(政府効率化部門)が主導するUSAID(米国国際開発庁)の調査の中で、その予算の大部分が所謂グローバリストの戦略に沿った諜報活動等に使われていたことや、それに絡んでの左派或いは似非左派(ネオコン)政治家の腐敗を明らかにした。ネオコン(新保守主義)は、民主党多数派とほぼ同じ思想のようなので以下区別しない。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12746100027.html
例えば、ウクライナでの反ロシアの活動支援などに多額のUSAIDの資金が、当時の国務次官補のビクトリア・ヌーランドを通して使用されたことから、ウクライナ戦争がウクライナを米国の代理とした米露戦争であるという本質が、この資金の流れから確認されることになった。
この戦争は、ロシアという膨大な大地の資源と経済の占有を目指す金融資本グループの戦略の一環だが、そのような策略を米国民から隠すには、飢餓対策や災害復旧などの対外支援を名目とするUSAIDの資金が便利だったのである。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まる前に、ことの本質を既にブログ記事として本サイトにアップしている。2004年の政変(オレンジ革命)から、米国のユダヤ人富豪のジョージ・ソロスの暗躍が明らかになっており、ソロスの財団(オープン・ソサエティー財団)へもUSAIDの資金が流れていたことも今回明らかになった。この戦争の経緯が世界中のある程度知的な層には既に明らかになっているのである。(補足1)
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html
従って、ウクライナ戦争の終結には、米国とロシアが雑音なしに交渉することが必須である。その停戦&和平交渉が米露間でサウジアラビアにおいて始まった。NATOのメンバーでこの戦争の協力者であった英仏独等の左派政権は、その交渉の場に自分たちの椅子など無いことを知り、はしごを外された格好になったのでパニック状態のようだ。https://globe.asahi.com/article/15630313
例えば英国のスターマー(Sir Keir Starmer)首相やマクロン仏大統領は、自国軍のウクライナ派遣を言い出す始末。戦争当事者の一角にありながら、自軍を平和維持軍などの名目でウクライナに派遣するというのは、非常に奇妙な論理である。そのような発言は、停戦を妨害したいからとしか考えられない。https://jp.reuters.com/world/ukraine/DUFMRKXS6ZNYRJUAIFUUQDXGFU-2025-02-20/
対ソ防衛の同盟だったNATOは、ソ連崩壊後はロシア潰しの道具となり、米国の左派(=ネオコン)政権の道具となった。英仏独その他は、ウクライナ戦争においてNATO構成国としてこき使われたが、トランプ政権になって舞台に取り残されたピエロのような存在になったのだ。
2)戦争屋廃業後の米国及び世界の政治&経済
ただ、上記DOGEの政府効率化は、一次効果としては米国の経済にとって必ずしもプラスではないだろう。経済学的には政府サービスの減額であり、GDPの減少要因となるからである。政府が金を使えば、その政府債務は国債という国民の金融資産を生み、バラまかれた金とともに新しい投資の原資になる可能もある。因みにこの後半の理屈は、日本の財政拡大派政治家の論理でもある。
一般に、不正に多額の金を政府から得たとしても、その金を受け取った側がジャンジャン使えば、それはGDPの増加に寄与し、米国経済の数字を押し上げる作用をする。それは、金に困って銀行強盗等悪事を働く者が多くなって、犯人たちが得た金を消費に回せば、一次効果としてはGDP増加の働きがあるのと同様である。住みやすさとGDPの増加は必ずしも一致しない。
二次効果においても、銀行は警備に費用をかけるだろうし政府は警察官の増員をする等の対策が考えられ、この種のサービス業は繁盛する。悪事を切っ掛けにしてでも、経済の数字にはプラスの効果が大きい。
戦争の種を世界各地に植え付けて大きく育てあげ、“自由と民主主義の布教・定着”の名目で米国の若者を武器弾薬と共に送ってきたことも、米国を含む世界のGDP総計の増加に寄与してきた。その資金を様々なプロセスで米国に還流することで米国の世界経済支配のメカニズムとするのがネオコン戦争屋の政策だった。(補足2)
この軍産複合体メカニズムを、それへの言及を陰謀論というラベルを貼って潰してきたネオコンたちの企みとともに、金の流れという証拠とともに明らかにしたトランプ政権の人類への貢献は大きい。トランプ改革を最後まで進めるために、現在顕在化しつつある経済問題を是非解決してもらいたい。
現在の世界経済は、戦争屋であった米国を中心に市場経済のメカニズムで最適化された結果である。突然米国が戦争屋を廃業した時には、米国経済とともに世界経済の再構成が各国政府の努力と市場の原理で進むのを待たなければならない。国際政治の再構成も、その経済構造に適合する形に改変が進む筈である。
スキーのジャンプ競技のように、再度最適な経済構造や政治システムに軟着陸するには技術が必要だろう。トランプ政権の俊秀たちがそれを無事に成し遂げるまで、何とか米国及び世界の人たちの協力と忍耐を期待したい。
3)トランプの経済政策の問題点
トランプ政権の主要な課題は、米国政治の改革と米国民との約束である米国経済の好調維持である。ネオコン・グローバリストとの戦いも、米国民の支持を失ってしまえば「トランプ革命」は失敗に終わる。米国民に仕事と満足な給与を提供するにはどうすれば良いかを考えた結果、トランプは諸外国からの輸入品に高額の関税をかけると言い出した。
米国経済は、デジタル革命などで世界を席捲して多額の収入を得るなど、新規産業や金融業等においてはほぼ順調である。ただ、古くからの製造業においては外国に依存する傾向が強くなり、所謂「産業の空洞化」が進行している。(補足3)https://ameblo.jp/sherryl-824/entry-12886787053.html
産業を士農工商で分類すれば、米国は「工」の部分が非常に弱くなっているのである。「商」の部分でも金融業は別格であり経済だけでなく政治も牛耳るようになった。金融業(今では投資業)が主導しただろうWTO体制により、製造業の現場を低賃金国に移した結果、職を失ったブルーカラーの人々が下層に追いやられ、社会に分断を生じているのが米国の現状である。
労働者の味方となる筈だった(過去形です)左派政治家は、一般に自分勝手な(=想像力に欠ける)理想主義者が多い。物事をマクロにしか考えず、人の心理や現状の複雑さ等ミクロを排除して議論する傾向がある。彼らは思考モデルを描く想像力だけでなく、自身の欲望への抵抗力にも欠けるようで、過去の偉人の思考モデルと巨大資本の要請に唯々諾々となり、ブルーカラーの人たちの窮状など目に入らない。
産業の空洞化に加えて新たに加わる軍需産業や政府職員という“独占企業”から労働市場に放出されるブルーカラーたちに仕事と給与を与えることが、トランプ政権の偉業の背後で生じた大問題である。(補足4)トランプは製造業の米国回帰を考え、工業製品の輸入に高額関税をかけるという方針を出した。米国が、戦争屋廃業に伴う寒風を貿易障壁で一時的に凌ぐのは止むを得ないかもしれない。
関税を上げると、トヨタやホンダも米国内に工場を移し、仕事の確保に貢献する。米国の高い人件費を支払っても、そこでの車の競争力は関税分だけ有利となるのである。
このトランプの方針は、これまでの自由貿易の拡大の方向(WTO体制)とは真逆であり、米国の物価を上昇させるだけでなく米国及び世界の経済にマイナスとなる可能性が大きい。米国及び世界の経済的繁栄のメカニズムは、この経済のグローバル化にあったことは間違いないからである。
現在の米国を始めとする先進諸国が享受している豊かな経済は、適材を世界に探し、適所で生産し、それを短時間で世界に輸送するという政治経済システム(つまりWTO体制)で構築されてきた。その適材と適所は、自由な市場経済の結果として決定されている。そのシステムは、資本の移動を自由にし、関税は無くする方向で成長してきた。
それでも具体的な資本規制や関税率は、主権国家が出来るだけ豊かな国民生活を実現するという目的をもって決定することが出来た。トランプは、その時間(歴史)の流れを逆方向にするような性急な改革案を出している様にも見えないこともないのだが、ここは世界にある程度の寛容を期待する。
この問題の解決には、友好国間の連携が必要である。トランプ政権にとってもっとも簡単な解決策は、力で諸外国に犠牲を強いる方法であるが、それは友好国の信頼感を破壊し、結果として世界の経済をより深刻な事態にする可能性がある。戦争屋を追放したのなら、その予算を含めてトータルとして富は十分に存在する。その再分配を考えるだけだから、不可能では無い筈。
主権国家のローカルな事情とそこで暮す人々の生活と文化を無視して、地球国家を建設するというグローバリストのやり方も大きな問題だが(補足5)、西欧が築き上げた近代の国際政治の文化を全否定して、時代の流れを逆にしようとするのも問題なので、あくまで過渡的な手段としてもらいたい。
4)終わりに:トランプ革命の方法についての独自のモデル
地球上の資源が有限であることや良好な環境を維持する上で許容される老廃物の量に上限があるなどの理由により、地球人口にも上限があるだろう。ハーバーボッシュ法(補足6)により食料による人口上限が一時的取り払われたが、それも再び人口上限決定因子となってきた。所謂グローバリストたちは、その問題を病的に恐れているように見える。
彼らが世界帝国の建設を目指す背景には、既に上限を突破したかも知れない世界人口を抑制する目的がある。彼らが秘密裏に考える解決法の背後には、非エリートの一般的な人たちは、自分たちエリートの支配下にあって当然だという思想があるようだ。
世界の人口問題は多くの人たちが経済的に十分豊かでない現在、緊急の問題ではない。しかし、現在グローバリストの中心に居る人たちの相対的力は、世界の金融経済の多くを保持出来ている今がピークである。彼らの多くは地球上で国家を持たないマイノリティであったことから、自分たちに有利に力で解決できる時間は限られており、その意味で彼らにとって緊急の問題だと言える。
トランプを支持する世界の人々は、政治および文化のグローバル化という化粧をした、世界帝国の建設に反対している。トランプは、非常に手ごわいグローバリストの周辺にあって、左足をイスラエルにおいて、つまり主権国家イスラエルを強固にするという方針で、この戦いを続けている。左足をそこに置く理由は、現在のグローバルエリートの力を分散させるためである。(補足7)
トランプの重点は右足である米国に置いて居る。米国を偉大にするという政治スローガンをテコにして、このグローバリストの企みに反対している。これに成功するにはバランス感覚が必要である。世界は、このことを知ってトランプに協力すべきである。
補足:
1)悪を隠す為に善の衣を着せることは、古くからの知恵なのだろう。また、大国であっても彼らマイノリティが牛耳る場合、敵を創造して滅ぼすには決して自軍が先制攻撃してはならない。自国の大衆を味方にするため、敵に悪の着物を着せ、敵を窮地に陥れて怒らせ、先制攻撃させるというのも彼らの知恵である。(例えば:真珠湾攻撃、トンキン湾事件) 自国大衆には敵が卑怯にも先制攻撃をしてきたとマスコミを利用し言いふらすのである。
2)この間の最大の被害者は、自分たちの大切な息子を戦場に送らなければならなかった米国の一般家庭である。現在彼らはほぼ目覚めている。友好国は彼らと連携してトランプの革命の成功のために協力する必要があると思う。
3)経済の発展によって、高機能の製品や新しいタイプのサービスなどが供給され、仕事はより専門的になる。それにより労働生産性が向上し、給与もそれに比例して上昇する。ただこれまでの品物を製造する企業は、関税を支払ってでも人件費を抑えるために工場を他国に移転した方が有利な場合が多い。その結果、仕事を奪われるブルーカラーが生まれる。彼らは、生活維持のためにより専門性の低い仕事につかざるを得ないが、他国よりもかなり高い給与をもらわないと自分の国で生きていくのが困難となる。その問題の解決は、所得の再分配という形で政治が行う場合が多い。
4)トランプのMAGA (make america great again) は、米国民マジョリティを味方にするためのキャッチフレーズである。トランプ政権の仲間たち、イーロン・マスクやロバート・ケネディ・Jr らの視野には米国だけでなく世界全体が入っている。MAGAは、政治家トランプの米国向けのキャッチフレーズである。MAGAを達成するには世界を視野に入れ、世界とともに繁栄させなければならないと考えてくれていることを切に願う。
5)世界が統一の方向に向かうのは、人類という認識がある以上、当然の方向だろう。しかし、ローカルな歴史を無視するわけにはいかないので、本来かなりの長時間を要する。更に、人類の一部が他を支配するという類の構造であってはならない。この考え方が非グローバリストの多くのものとするなら、真の理想主義者は非グローバリスト側である。グローバリストたちを左翼と呼ぶが、彼らの真実は民族主義者であり利己主義者である。何れにしても、左翼とか右翼と言う表現は廃止すべきである。
6)ハーバー・ボッシュ法は窒素と水素から直接アンモニアを合成する化学工業における大発明である。アンモニアは硝安や硫安などの窒素肥料となる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieenermix/100/6/100_690/_pdf/-char/ja
7)トランプの娘夫婦はユダヤ人である。トランプは平和が第一だと考えるユダヤ人一般を愛する人だろう。そのような人たちが住むイスラエルを安全で強力な国にしたいと思っているだろう。しかし、世界各地で戦争を引き起こし、世界を占有することを目指す人たちには強く反対している。トランプは人類一般を大事に考える人物であると、私は思っている。
(編集あり:16;00;翌朝編集とともに補足7を追加して最終稿とする)