大相撲の宮城野親方(元・白鵬)が日本相撲協会に退職届を提出した。処分内容が不公平かつ屈辱的であると感じたことが背景にあるとされる。この件の経緯を振り返るとともに、相撲協会という公益法人の在り方について考察したい。
1. 宮城野親方の処分とその経緯
元横綱・白鵬はモンゴルから来日し、2000年に角界入り。幕内優勝45回という前人未踏の記録を打ち立てた後、親方として後進の指導にあたってきた。その貢献は大相撲界にとって非常に大きい。しかし、弟子・北青鵬による複数の暴力行為および金銭窃盗が発覚したことで事態は急変した。
日本相撲協会は2024年、北青鵬に対し「引退勧告」、宮城野親方に対しては「2階級降格と減俸」、さらに宮城野部屋の無期限閉鎖という厳しい処分を下した。部屋は伊勢ケ浜部屋に吸収され、親方は伊勢ケ浜部屋付の年寄として再出発を余儀なくされた。
1年を経ても処分が緩和される兆しはなく、宮城野親方は5月30日に退職届を提出。6月2日の臨時理事会で正式に承認される見通しだ。
2. 親方への処分は「リンチ」なのか
近代法体系においては、処罰の原則は「個人責任」である。北青鵬による暴力行為に対して、親方が一定の責任を問われることはあり得るが、その処分が本人の社会的地位や将来に著しく影響を及ぼすほどであることには疑問が残る。
過去の類似事件と比較しても今回の処分は重すぎると言える。たとえば2010年、時津風部屋の親方(第16代時津風)が野球賭博に関与し、警察の家宅捜索を受けたが、処分は1階級降格と5年間の昇給停止にとどまり、部屋は存続された。
これに対し、宮城野親方には刑法違反はなく、協会の内規違反があったとしても、二階級降格と部屋の閉鎖という処分は過度といえる。こうした対応は、公益法人としての相撲協会が感情的または政治的に動いた結果とも受け取られかねない。
また、宮城野親方が推進してきた「相撲の国際化」やその圧倒的な実績に対する嫉妬や警戒心が、執行部の処分判断に影響した可能性も否定できない。処分の背後に、閉鎖的な組織体質があるとすれば、問題は根深い。
3. 日本政府と公益法人としての相撲協会の責任
日本相撲協会は「公益財団法人」として、税制上の優遇措置を受けているだけでなく、文化的な公共性が強く求められる存在だ。大相撲の開催には政府要人が出席し、優勝力士には天皇杯が授与されるなど、国家行事的な色合いも強い。
であるからこそ、日本政府には相撲協会が公益法人として適切に運営されているかどうかを監督する責任がある。今回予想される処分が公益法人としてふさわしいかどうか、調査と指導が求められる。
さらに、本件は日本とモンゴルとの外交関係にも波及する可能性がある。東日本大震災時、モンゴルはGDP比で最大規模の支援を送ってくれた国であり、日本との友好関係は相撲界で活躍するモンゴル出身力士によっても支えられている。その象徴である元・白鵬が不当に処遇されるとすれば、モンゴル国民の感情を大きく損ねかねない。
この問題を契機に、公益法人の資格審査を年に一度実施し、その結果を国民に公開する仕組みの導入も検討すべきである。
補足情報
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白鵬杯の意義:2025年の「白鵬杯」には海外14カ国、国内153チーム、計1142名が参加。少年相撲を通じた国際交流に大きく貢献している。
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相撲協会の放映権:放送法に守られたNHKによる大相撲の中継も、公益性を失えば見直しの対象となり得る。
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公益法人の免税措置:日本相撲協会は公益法人として法人税などの大幅な優遇を受けている。
結び
今回の宮城野親方に対する処分は、相撲協会という組織の在り方を根本から問い直すものである。公益性・透明性・説明責任といった基本原則が形骸化していないか、日本社会全体で今一度問い直す必要がある。
追加:
夕方のNHKニュースで、優勝したときに客席に対して万歳三唱を誘導したことなど、白鵬が横綱として品格を欠いていると指摘されたという話が紹介されていた。しかし、相撲協会が外国人力士を入門させると決断した段階で、そのようなことにならない様、彼らに日本文化特に相撲文化について十分教育するシステムをつくっておくべきだったのであり、外国人力士である白鵬を一方的に批判する資格が相撲協会にあるとは思えない。(2日夜追加)
追加2:白鵬退職の原因となった北青鵬が力士となった経緯・白鷗親方との関連などについて解説している動画がありました。
本文上での考察やこの動画の内容から、相撲協会をまともな公益法人とするには第三者の介入が必要かと思います。
またこの件、日本の司法の劣悪な情況や外国人を大量に移民として受け入れる行政の無責任な姿勢などへの議論の材料となり得る出来事でした。(6月4日朝、追加)
(※OpenAIのChatGPTを活用して内容の整理・文章の校正を行いました。)