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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

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2013年10月21日月曜日

経済発展と人材不足

 19世紀以降の急激な工業技術の発展により、我国そして世界の経済規模は飛躍的に増大した。それとともに、“文明”の中での所謂科学技術の役割が大きくなり、学術分野の拡大をもたらした。(注1)その結果、高等教育の分野拡大と細分化、人生における教育を受ける時間の割合増加、そして、社会に於ける学生等の人口比率の増加をもたらした。例えば、“医術”といわれていた医療技術は“医学”とよばれるようになり、先端的科学技術分野の中に転生し、我国においては秀才を集める様になった。また、各分野の発展には、その分野でプロとして通用するには、幼少期からの教育が必須になった。(注2)そして、所謂“専門バカ”の大量生産となり、社会の実相を眺めるに必要な広い分野での知識を持った人材が希有となってしまった。つまり、文明の拡大と各分野の専門化は、一つの分野での優秀な人材と総合的視野を持つ人材の両方の枯渇に結びついている。
 国家の実力は、社会のインフラとそこで活動する企業群、政治的安定と社会における信用、及びトータルな人材の質と量にある。土地の形状面積と気候、そこで産出する資源なども重要であり、地政学的リスクは政治的安定と不可分であるだろう。経済的な諸分野への人材配分は、相互の利益追求というメカニズムによりある程度効率よく行なわれる。しかし、政治分野への人材配分においては、日本にそのような機構がないので、(注3)安易に官僚からの転身(天下り)や世襲により定員を埋めてきた。
 今後、国家の隆盛と国民の幸福を決めるのは何かと考えれば、やはり政治が最も大きなそして同時に不安定な要因として存在すると考える。未だに国民が自由にものを言えない体制にあり、且つ、核兵器を保有する複数の国と、法治国家の概念が裁判所判事にすら行き渡ってない国に囲まれているという、地政学的リスクが大きくなる可能性大である。(注4)
 現在の日本を見ると、“科学技術”の分野では米国を除いた諸外国と殆ど対等と言えるレベルにあるが、政界や経済界の表舞台で社会を動かしている人を見ると、その実力は諸外国のそれに比較して大きく劣り、且つ劣化の一途であるように見える。これは、本文のテーマである文明の拡大が一つの原因であるが、それに加えて、日本国の硬直した人材養成の様式(注5)と社会の労働流動性の無さ(注6)や硬直した社会の層状構造(注7)が優秀なる人材の登用における障壁として加わっている。
 これらの問題の解決には時間を要するが、会社再建の方法と同じで、組織のトップに最も優秀なる者を持ってくるメカニズムを先ず創るべきである。そして、稟議とか会議とか無駄の多い決定プロセスを廃止して、国民に選ばれた首長がトップダウンで政治を行う体制にすべきである。その様な体制に耐える首長を各レベルで選ぶには、沈黙よりも議論を、精神よりも結果を、(注8)平等よりも実力による格差を、(注9)それぞれ重視する社会通念を育てることで、優秀な政治家を掘り出すメカニズムとすべきであると思う。

注釈
1) 哲学(philosophy)は知恵を愛することであり、人間、社会、自然全てを対象にする。“科学技術”文明の発展は、このうちの自然に関する部分である“自然哲学”を、科学と命名して独立した学術分野とみなし、科学は細分化されて、物理、化学、生物学となり、工学と結びついて、機械工学、化学工学、薬学、etcなどとなり、その他の哲学全体よりも遥かに大きな学術分野となった。
2) その顕著な例はスポーツ界である。教育の分野でも、私立中高一貫学校など、幼少期から方向を定めて行なう場合が多い。
3)本来選挙がそのメカニズムになるべきだが、小泉チルドレンや小沢ガールズで解る通り、選挙は正しく機能していない。取りあえず、一票の格差を完全に解消して、都市部の知性を軽視する選挙を改めるべきである。
4) 所謂儒教圏にある国家は、法の近代社会における重要性が理解されていない。日本国も、制限時速を10km/h超えても場合によっては良いじゃないかという国家公安委員長が居ることでも解る様に、法治国家とは言い難い。
5) 大学入学までがこの国での教育である。そこからは、大学のブランドと本人の“人柄”が全てを決める。明治時代以降、この教育制度と人材配布の様式は変わっていない。
6) 英国バーバリーのCEOが米国アップルの経営陣として加わることになった。日本でトコロテン式に昇進したCEOでは勝負になる訳が無い。
7) 「優秀な大学教授は弟子を育て大学教授等に出世させることだ」という言葉を良く聞く。学閥や同期などの言葉で人事が語られる限り、優秀なる人材を得ることは困難だろう。
8) 最近の紅綬褒章に関して、ひと言ブログで述べているので見ていただきたい。
9) 平等に最高の価値を置く考え方は、共産主義が社会を支配するまで待ちたい。しかし、共産主義国家が標準になる時代は、永久に来ないだろう。

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