経済の急激なグローバル化は、先進国にはデフレ圧力となって、金融緩和競争となっている。その結果、日本国民の給与は相対的に低下し、富裕層と貧困層の二層化や通貨価値の下落による将来に対する不安などにより、社会を不安定且つ荒廃したものにする可能性が高い。一方、大企業にとっては、国の境を越えて活動出来るため、多くの企業とネットワークを組むことになり、”住み易い”環境となった。
この経済のグローバル化は、歴史の方向であるので、必然である。また、政治がしっかりしておれば、その環境下でより豊かでより平和な国にすることが出来ると思う。自国軍を持たない我が日本国政府には、以下のことを特に重要な問題として考えて欲しい。
中国であれ日本であれ、富は主に大企業が産む。二国間での紛争が起これば、それら大企業の活動に支障をきたして、両国だけでなく世界的な不景気の原因に成り得る。つまり、その不景気という脅威が、戦争や紛争のブレーキになっていることに注目すべきである。
ウクライナ紛争で、西欧諸国とロシアが本格的衝突を避けているのは、その良い例である。西欧諸国のガスを生産しているのはロシアであり、ロシアからのウクライナ経由のパイプラインが止まれば、大変なことになる。また、中国の周近平主席も、日本との関係改善を考えているのは、この大企業の経済環境を破壊したくないからである。
つまり、日本が高度な技術水準や科学的創造性を失わないことは、世界的な日本企業の地位を保ち、更に、優秀な新しい日本企業を産み育てることにつながり、それが経済だけでなく、国家の防衛にも大きく寄与するのである。その為、日本は知性ある人が海外に去りたくなるような国であってはならない。それを、国家防衛の一つとして考えるべきである。
昨日(9/5)のモーニング・サテライトによれば、東大経済学部の伊藤隆敏教授が、米国のコロンビア大に転出することになった。その理由は、「年齢が来れば業績もなにも関係なく定年退職になる日本に不満があった」とのこと。物理や化学のノーベル賞受賞者など、日本の研究者で米国在住を選んだ人がかなりいる。
創造的な人、高度な技術や知性を持つ人が住みたい国になることが、単純労働者を受け入れることよりも遥かに、この国にとって大切であると言いたいのである。
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