Diamond online(ヤフーニュース)3月27日6時5分配信の上記表題の記事について反論をしておきたい。何故なら、このブログ・サイトでは、この記事と全く反対の意見をアップしてきたからである。つまり、日本では感染が既に拡大していたにも拘らず、感染クラスターと関係のある者だけを優先的に検査し、その結果、多くの深刻な発病者を見逃してきたと思うのである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12585094598.html
表題の記事では、日本が感染者の検査数を抑えたことによる、深刻なケースの増加はほとんどなく、もともと重症患者の発生が少なかったという主張である。その原因として、日本の人たちは、マスクの装着、手洗いの励行、学校閉鎖などの適切な措置をして、感染を抑えたと記している。(補足1)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200327-00232937-diamond-soci
日本の感染者数をめぐる 検証すべき「論点」として、以下を挙げている。
(1)検査数の少なさの影響は多少あるが、実際は日本の感染者は欧米ほど増えてはいない。
この点についての筆者の文章のみ、以下議論する。その他に、2つほど論点を挙げているが、それは補足に書いておく(補足2)
上記論点について、筆者は、検査漏れの感染者がいるだろうが、欧米のように何万人もいると言うことはないと書いている。その根拠として挙げているのが、以下の二つである。
①日本は死者数42人と他国と比較しても一桁以上少ない。そして、②「新型コロナによる死亡者の把握漏れがあって、実際の死者はもっと多い」などということは、起こり得ない。
更に、この記事では以下のように書いている:
日本では高熱が4日続く症状が出るなど、感染した可能性が高い人しか検査を行わない方針をとってきたことから、把握されていない感染者が一定数いることは、現実問題としてあり得ます。その人数を推論で見積もるならば、「コロナの致死率は実際は低く1%程度だ」という学説に基づき、日本の死亡者数から逆算した場合、把握されていない人を含めた日本の本当の感染者数は4000人程度いる可能性があると考えるべきです。
COVID-19の致死率を1%とするいい加減な説を用いての上記議論は、非常にレベルが低い。上記青色の文章で言いたいのは、実際に発見された約1500名以外の感染者(この人の計算では2500名)は全て軽症者で、死亡するほど重篤化する人は殆どいないはずだと言っているのである。これは酷い議論である。
私は上記②の成立は、非常に不確かだと思う。その根拠を以下に記す。先ず注目すべきは、この病気が急激に進行することを特徴とすることである。更に、この種の流行性肺炎の場合、死因は普通複数の要素が絡んでいるだろう。老齢の者や基礎疾患を持つ者が、急激に重症化するこの病気から生還するには、早期診断が不可欠であると思う。(補足3)
この急激に進行することに関しては、例えば、Bloombergの記事に以下のような記述がある。(COVID-19は)軽度-中等度から重度への進行は“非常に急速に”起こり得ると、合同調査を共同で率いたWHOのブルース・エイルワード事務局長補は指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-10/Q6WVA9T0AFB601
全く元気な人がこの肺炎に罹って死亡した場合、死因は明確にCOVID-19だと言える。しかし、COVID-19で死亡した人には、高齢者や、基礎疾患のある人が多い。そのような人が、Covid-19の病状が悪化し、それら基礎疾患との相乗作用が原因で死亡した場合、そしてその人がCOVID-19の診断を受けていない場合、通常の肺炎や心不全などが死亡診断書に書かれるだろう。その時、死亡者のPCR検査は絶対にしていないだろう。
もしPCR検査をして陽性だったなら、COVID-19肺炎を想定して治療していなかったことが、死亡の大きな原因とも考えられ、医療ミスとなる可能性が高いからである。
つまり、Covid-19での死亡者が少ない一つの原因とてし、この肺炎での死亡者を数え落として居る可能性が高いと思う。
このような状況が実際に起こっていると思うのは、韓国などに比べて日本の致死率が高いからである。韓国が検査を積極的に行っているからという理由だけではないことを以下に示す。
ここで2つの致死率を定義する。(以前は死亡率という言葉を用いたが、致死率に変更します。)
致死率1= 死亡者数/(死亡者数+回復した人数) (1)
致死率2= 死亡者数/確認者数 (2)
検査件数が非常に多くて、症状の無い人まで検出している場合、致死率2は低くでるだろう。しかし、致死率1、つまり、死亡者数の、死亡か回復かの決着がついた人に対する比率は、検査の早いか遅いかには依存しないと、「検査数をあまり多くしない方が良いのだ」という主張の方は思うだろう。
しかし、事実はそうではなさそうである。これら致死率を日本、韓国、台湾で表にしたのが下の図である。データは全て、John-Hopkins 大の29日午前6時のデータからとった。
https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
図で明らかなように、致死率1では、日本は韓国の4倍ほどである。診断をできるだけ多くして、早期隔離と早期治療することが大事であることがわかるだろう。致死率2は、韓国の倍程度である。これは、韓国の検査件数が圧倒的に多いからだという理由で説明可能である。韓国と日本は、人種的にも近く、中国との接触の度合いも最近は殆ど同じぐらいだと思われ、非常に良い対照を為していると思う。
(編集あり、22:00)
補足:
1)同様の議論が以下のサイトでもなされている。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200329-00010000-nishinp-sctch
2)残りの論点は:(2)検査数が少ないことについては、その是非について議論すべき論点が存在している。(3)別の問題として、「日本の公的統計は国際的な信頼を一度失っている」ことを憂慮すべきである。
3)著効を示す治療法が無いのだから、早期に入院しても、救急車で入院しても、結果は同じであるという意見もあるかもしれない。しかし、そうではない。例えば、フランスとドイツでのこの病気のデータ(同じJohn Hopkinsd大のページからとった)を比較すると、患者発生数は3月始めから同程度であったが、ドイツの方が圧倒的に死者数は少なかった。ドイツでは、基礎疾患があればそれへの配慮を十分にするなど、フランスと比較して、緻密な治療がなされたのだろう。
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