新型コロナ肺炎(COVID-19)がパンデミックの様相を呈してきた。新型なのでワクチンなどはないし、ウイルスなので抗生物質は効かない。それをどのように抑えるか、切り札がない。そんな中で、阪大の予防用DNAワクチンの開発や、武田製薬の免疫グロブリン製剤の開発、など半年後には何らかの新しいものが出てきそうである。
その他、喘息薬で新型肺炎の症状がよくなるという話がある。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200303/k10012310671000.html
インフルエンザの薬のアビガンなども、新型コロナ肺炎の治療方として検討されている。https://www2.ctv.co.jp/news/2020/03/01/83359/
ここで紹介するのは、韓国、中国、米国で研究されている細胞内で亜鉛イオン濃度を増加させる方法である。亜鉛イオン(二価)は、ウイルスのRNA合成を妨害する働きがあるという。RNAポリメラーゼという酵素を亜鉛イオンが阻害する働きがあるというのである。
中国青島大学の薬学部の研究者(Jianjun Gao, Zhenxue Tian, Xu Yang)の論文(J-stage のBioScience Trendsの最新の論文(2020年2月)では、亜鉛イオン(Zn(2+))にマラリヤの薬であるChloroquine phosphate を併用することで、効果が得られると書いている。ここで、クロロキンは細胞内に亜鉛イオンを導く働きをする。
以下のサイトでは、Znイオンの役割を解説している。細胞内に入ったウイルスのRNAが、RNAの複製をする為の酵素:RNA依存型RNA重合酵素(RNA-dependent RNA polymerase)をつくり、RNAの複製を始める。その働きを亜鉛イオン(Zn(2+))が阻害するというのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=U7F1cnWup9M
亜鉛イオンを摂取した場合、体液中の濃度は増加するが、それは細胞内には入らない。それを可能になる為には、イオノフォア(イオン透過孔、ionophore)と呼ばれる箇所が無ければならない。この代わりをするのが、クロロキン(Chloroquine)である。薬剤としては、水溶性の燐酸塩(Chloroquine diphosphate)が用いられる。
2010年に試験管内実験(in vitro)で、このクロロキンが亜鉛イオンのイオン透過を助けることが確認されている。2014 の論文で、米国オクラホマと中国の研究者が、癌治療の一環で、クロロキン(Chloroquine)が亜鉛イオンを細胞内に導く働きがあることを見出している。
新型コロナ肺炎の治療への応用が、中国や韓国で始まっている。
韓国の医者たちはこの療法のガイドライン作りを行った。2020年2月13日の論文(Korea Biomedical Review)に掲載されている。それによれば若くて10日以上経過しながら、症状がマイルドな場合はこの方法を用いない。それ以外の場合、500mg/dayのクロロキン投与を10日ほど行う。中国からの似た報告も紹介されている。
ただ、本当に効くか効かないかは十分な比較研究がないと明確には言えない。ただ、イタリアと韓国の感染者数や死者数の比較をすると、韓国が圧倒的に死者や重篤者がすくないのは、この療法が効いている可能性があると示唆している。また、中国のNational Center for Biotechnology Development のZhang Xinmin氏の意見として、「中国で毎日報告される新型コロナウイルス対策の中で、最も有望な3つの薬の内の一つである」を紹介している。
以上、日本では殆ど紹介されていないので、素人ですが、紹介します。専門の方のコメント期待します。
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