2018年6月19日火曜日

米国外交の中心的テーマは中国の抑え込みだろう

1)ダイナミックなトランプ外交

①米朝首脳会談では、北朝鮮の非核化と体制保証の話し合いを行い、合意文書に署名した。その会場のあるシンガポールに。北朝鮮の金正恩は中国の飛行機で乗りつけた。その内容には、北朝鮮の非核化プロセスに具体性がないなど、大抵の人が予想したよりも北朝鮮に対して柔軟な内容だった。

その米朝会談について、日本政府は落胆したという意見が多かったし、米国本土でも民主党系の勢力から批判されたようである。https://jp.sputniknews.com/politics/201806134985617/

②トランプ米国大統領は6月18日米国に新たに「宇宙軍」の創立を指示した。「国家宇宙会議」で米国が宇宙で優位に立つ必要があると語ったという。“優位に立つ”という表現は、相手を意識するときに用いるのだが、その相手は明らかに中国だろう。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180619-00010000-sorae_jp-sctch

中国は、月面基地建設を国家プロジェクトとして検討している。嫦娥計画としてウィキペディアにも紹介されている。米国は月旅行や火星移住計画を民間企業が中心に計画しているようだが、このままでは中国の後塵を拝することになるだろう。中国の計画はネットにも多く書かれている。https://moonstation.jp/blog/lunarexp/china-discussing-unmanned-lunar-base

③最近、貿易不均衡を理由に中国からの製品にかなりの関税をかけることを命令した。中国の報復関税に対しても、更に関税品目を増加させるなどの対抗策を講じている。https://jp.reuters.com/article/trump-china-additional-tariff-idJPKBN1JF007

これでは貿易戦争になり、米国経済にもマイナスであると考えられている。

これら①ー③の米国の動きは、単独でみるのではなく全体としてみるべきだろう。そうすると、米国の中国の軍事拡大や勢力拡大に対する警戒心が見えてくるのではないだろうか。

つまり、今回のトランプの保護貿易的な動きは、各国との貿易不均衡を是正するという凡ゆる国を対象にする話だが、それだけではないような気がする。つまり本当の目的は、中国経済を抑え込むことで、世界における中国勢力の拡大を抑える戦略ではないだろうか。

2)金正恩の今後の外交:米中の間をうまく泳ぎ切るのだろうか

北朝鮮の金正恩は、今日中国に出かけた模様である。米朝首脳会談についての報告や打ち合わせに向かったのだろう。北朝鮮と中国が蜜月関係に入ったと単純に考えるのは、早計だろう。また、習近平も自分の意のままに北朝鮮を動かせるとは思わないだろうし、金正恩を100%信用している訳ではないだろう。

金正恩は、米国と中国の間でどのような外交を展開するつもりなのだろうか。おそらく、中国の属国になりたくはないだろう。属国になるのなら、米国の方を選択するような気がする。つまり、泳ぎ切った対岸は米国側であるような気がする。(補足1) それが、トランプの北朝鮮に対する柔軟な対応や中国に対する強硬な姿勢と関連しているような気がする。

米国と中国の間でどのような外交を展開するか、自国内部の中国にコネを持つ人物の動きなども見ながら、慎重に行動しないといけなくなる。金正恩は、米朝会談を終えて少し余裕ができたと考える向きも多いだろうが、本当はこれから正念場を迎えるような気がする。
以上は素人のメモです。

補足:
1)当然明確な米国寄り政権などできない。核兵器を米国の監視下で全廃をするように見せる。朝鮮半島は北朝鮮の経済復興のあと統一朝鮮とする。しかし、核兵器のかなりを隠し持つことを米国に見逃してもらうのである。自主独立路線を強調する新しい国となるが、当面は、米国との申し合わせにより親中政権を装う。

2018年6月16日土曜日

言葉とその定義空間について:北の将軍様は殺人犯か?

1)一般に民族系(右派)と考えられるネットテレビで、先日の米朝会談を受けてその評価と日本の今後についての討論番組が放映されていた。そこで、ゲストの4人が最初に米朝会談の評価を述べたのだが、T氏が、「金正恩が堂々とトランプと会談する姿を、宿代も払えないレベルの貧乏国のトップが米国のトップとあのように会談出来るのは、核兵器の力である。従って、彼は核兵器を絶対に手放さないだろう」と話した。

この指摘は全くその通りだと思う。ただその発言の中で、「金正恩は身内を殺して平然としている殺人犯ですよ。あんな男が表舞台に出ることが出来るというのが、核の力ですよ」と言った。それを聞いて、この番組へのコメントの中に、私は「金正恩が殺人犯なら、歴史上の偉人と言われる人物はほとんど全て殺人犯である」を加えた。

つまり、金正恩は殺人犯とは言えない。犯人の犯は犯罪の氾であり、罪とは法を犯す行為や道徳に反する行為を意味する。しかし、法や道徳は国家という体制内の規範であり、金正恩が命じた叔父や兄を殺す行為は、政治体制を守る目的でなされた体制内で行われた行為ではないからである。つまり「罪」は、一つの法体系(あるいは道徳の体系)を持つ明確な境界によって区切られた社会の内部で定義される。

つまり、「罪」の定義空間は普通国家(或いは明確な政治体制)内部であり、従って罪や犯罪、犯行、犯人などの言葉は、国家内に全て含まれた行為とそれを行った人などに対してのみ用い得る。その基本をT氏は守らなかった。司会者を含めて5人の間の議論であるから、政治的目的をもった発言とは考えにくい。従って、真面目に議論を聞く人間には軽薄な意見に聞こえるのである。

2)「人を殺すことが悪なら、戦争で人を殺すことも悪ですか?」という質問に答えられない学校の先生は多いかもしれない。また、ヤフーの知恵袋などで、「人を殺す、悪」で検索するといろんな質問や答えが出てくる(補足1)が、この言葉の定義空間を超えた表現に対する質問が多い。上述のように、罪、善、悪などは、一つの安定な人間社会の枠内で定義される言葉であるが、その境界を争う戦争において敵兵を殺す行為は、法に照らして罪や悪とは言えない。

もちろん、人間界にはいろんな社会の分け方が存在する。宗教や文化などで区切る場合もある。ある宗教に至上の価値を置く人の集団は強固な社会を形成し、その宗教で悪とされた行為に対して罪という言葉を用いるだろう。従って、宗教と国家が対立した場合、非常に深刻な事態となる。つまり、宗教で善とされる行為が、国家の定める法で罪とされる場合もあるからである。イスラムの自爆テロなどはその例である。

更に、国際条約でできた社会的境界も存在する。ハーグ陸戦条約では、捕虜の虐待や民間人の殺害は禁止されている。従って、戦争で民間人を殺す行為は国家の枠を超えて罪と言える。そのような行為は、戦争犯罪として処罰されることもある。

ところで、「言葉とその定義空間」という考え方が、何故一般に広く理解されていないのか?それは、言葉自体が数世代前にはそこまで進化していなかったからだろう。つまり、定義や空間なる単語はおそらく幕末以降に創られた和製漢語であり、そのような概念自体が日本語の中になかったのだろう。言葉はそのまま思想を表すから(補足2)、言葉になければそのような議論も不可能である。

特に定義や空間などの言葉は基礎の自然科学などで頻繁に用いられるが、一般には過去それほど用いられなかっただろう。言葉と論理に関する限り、基礎理学系の人間が優れた能力を持っていると思う。

3)蛇足として一言。上記youtube動画では、その後T氏のその発言にたいする批判的なコメントは一切なかった。日本人は議論する文化を持たないとつくづく思った。「個人口撃(攻撃)はいけない」とか、「人は褒めるべきであり貶すべきではない」といった、「和を以て貴となす」を頑なに守る文化には辟易とする。

個人口撃をしないから、何人が何度集まって議論しても個人の理解はあまり深まらない。心の中で、バカな事を言っていると思っても言わないので、自分がバカなことを言っても、誰も指摘してくれないのである。議論により、互いに切磋琢磨する習慣が、日本には乏しいと思う。その文化は、やたらと地位(status)に拘り、虚栄(vanity)の中に生きる人間を増加させ、社会を静的(static)で虚しい(vane)ものにしてしまう。

補足:

1) 幾つかの例をあげる:
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10189074090?__ysp=5Lq644KS5q6644GZIOaCqg%3D%3D https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13167323978?__ysp=5Lq644KS5q6644GZIOaCqg%3D%3

2018年6月15日金曜日

米朝会談は成功だったのか?拉致問題との関連は?

あまり整理や校正せず、書き下した初稿をそのまま掲載します。12日の米朝会談だけでなく、その後の議論に落胆していて、エネルギーがありません。

1)トランプの自画自賛の評価は兎も角として、日本でも大成功だという人と、失敗だったという人が半々である。成功だったという人の中には、佐藤優や北野幸伯などの人がいる。北野氏は、メルマガで:

彼が本気で「完全非核化」を決意したかどうかを判断するのは時期尚早だろう。しかし、「非核化」が「不可逆」な段階まで進むまで、「制裁を続ける」とトランプは言っている。だから共同声明に「CVID」という言葉があったかどうかは、それほど大きな問題ではない。

と書いている。この方はトランプの「制裁を続ける」という言葉をそのまま受け取っている。トランプが「米韓軍事演習はとうぶん止める」というのは、制裁一部解除ではないと言うのだろうか? 

また、佐藤優氏は、金正恩とトランプの間には強い信頼関係が出来上がったと言っている。外交の専門家の佐藤氏は、人の心を読むことには全くの素人のように感じる。https://www.youtube.com/watch?v=EtrGo3In2LE & https://www.youtube.com/watch?v=RUlqjpMmPz4&t=946s

トランプにとって、北朝鮮の核など全く恐ろしくない。あの金正恩に対する親密な関係に見える対応は、その余裕のせいなのだ。トランプには、自分の選挙の票とノーベル賞しか頭にないことが分からないのだろうか?

何よりの失敗は、金正恩と習近平との間を近づけ、金正恩に中国に従っていれば、核を保持したままでも自分の政権は安泰だという安心感を与えたことである。中国の飛行機でシンガポールに行ったのは、習近平との打ち合わせ通りであると思う。

トランプは安倍の日本に金を出させることで、北朝鮮の経済を立て直すことに協力するだろう。その結果、核保持大国としての統一朝鮮が完成する。そこで日本をいじめる段階になっても、米国は日本に核保持を許さないだろう。トランプは回想録に書くだろう。「戦後米国は精一杯日本経済の復興に協力した。その後、あれくらいの苦労があったとしても、それは日本の責任だろう」と。

2)その悲劇的シナリオが始まっても尚、チャネル桜でも拉致問題を議論の中心においている。拉致被害者の家族会は、自分たちの活動が日本からまともな外交を奪っていることに気づいていないのだろうか。彼らは要求の相手を間違えている。既に何度も書いたように、家族が拉致された責任は、北朝鮮というよりも日本政府にあることが分かっていない。

日本は韓国を朝鮮半島唯一の政府と認めており、北朝鮮を正当なる国家と認めていない。米国とともに今まで敵国として扱ってきた。拉致の被害はその敵国による仕業である。戦争で戦死した若者の家族は、決して敵国にその責任を押し付けようとはしない。その責任追求の方向は、自国を戦争に導いた政治家に向かうはずだ。拉致被害者の家族が、拉致の責任を敵国である北朝鮮に求めるのは、全く理解不足である。

その拉致問題の理解が、反日マスコミにも都合が良いので、そのまま採用されている。それを覆す発言を政治家をすれば、たちまち落選するだろう。そして、日本の外交は拉致問題に拉致されているのである。

そのことを知的な西岡力氏は分からないのだろうか? チャネル桜の番組を見てそう思った。https://www.youtube.com/watch?v=BOoJm4FMAZU&t=1433s

この動画のはじめの20分程聞いた。其れ以降は、くだらないので聞く気になれない。出席者が最初に2-3分述べた言葉についての私のコメントは、以下の通りである。

高山さんの最初の言葉は、素人っぽい。核の威力というのはそのとおりだが、金正恩が殺人犯なら、歴史上の偉人はすべて殺人犯である。宮崎さんの最初の意見は素晴らしい。米中の衝突が問題なのはそのとおりだと思う。それを前提に日本は将来を考えるべきだと思う。加藤さんの米朝会談の評価はそのとおりであるが、何故そうなったを言わないと評論家らしくない。要するに、トランプは馬鹿だということなのだ。民主主義の弱点がそのままクローズアップされる。最後のメディアに対する意見は支離滅裂である。西岡さんの意見、核問題はまだ勝負はついていないという意見には賛成。拉致問題だが、皆さんの理解は間違っている。拉致は日本国の失敗である。何故なら、熊に我が子をさらわれたとしたら、その責任は親にあるからである。外交関係の無い国家は、太古の昔から熊というべき((”熊”と理解すべき))である。

2018年6月14日木曜日

拉致問題は安倍総理に任せるべきではない

1)読売新聞の記事として、「安倍首相と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長による首脳会談実現に向け、日朝両政府関係者が複数回にわたって水面下で交渉を行っていたことがわかった」と報じられている。https://news.nifty.com/article/domestic/government/12145-042414/

北朝鮮との外交関係を持つまでのプロセスを考えることは重要課題である。しかし、日韓基本条約に書かれているように、日本は韓国を朝鮮半島唯一の政権として認めているので、北朝鮮と外交関係を開くことは日韓関係の見直しでもある。従って、記事の最初の文章は其れを意味しているとは考えにくい。また、日本政府はごく最近まで対北朝鮮政策の基本として、米国の猟犬のような姿勢で最大限の圧力をかけて、完全且つ不可逆な核兵器の放棄を迫ってきた。以上から、水面下にしろ、北朝鮮との外交関係を開くという基本的な話では無いはずである。

実際、その記事の中で、首相は「北朝鮮と直接向き合い(拉致問題を)解決していかなければならない」と会談実現に強い意欲を示しているという文章がある。つまり、日本政府の上記水面下交渉の全体は、その安倍総理の言葉が意味するところに一致するだろう。この日本政府の「北朝鮮問題といえば拉致問題」という認識はオーソドックスな姿勢ではない。それは、既にブログ記事として書いた。(6月12日の記事)

また、拉致問題には2つの側面があると別記事で書いた。この件は、日本の沿岸警備不足等の貧弱な行政が原因で起こった、何者かによる自国民の拉致という過去の事件である。その理解では、責任は自国民を護れなかった日本政府にあるのだから、拉致被害者とその家族に対する保障は日本政府がすべきである。

その後、この拉致が北朝鮮という国家により引き起こされたことが明らかになった。拉致被害者が現在存命であり、彼らが望むのなら奪還しなければならないという問題が二つ目の側面である。その場合、北朝鮮を仮想敵国として捉え、戦争を含めた外交問題として対処すべきである。数人のギャングが行った犯罪ならともかく、国連に加盟している国家が行った犯罪的行為に対して、裏門を用いた類の交渉で解決を目指すのは、まともな国の考えることではない。(4月22日の記事) 

現在、北朝鮮は国際的に認知された独立国である。そして、米国さえも外交関係を開くことも視野に入れている現状を考えれば、日本国と北朝鮮との外交関係を樹立することを考え、その一環で拉致問題も解決すべきである。後者だけを独立して扱うことなど本来ありえない。

また、拉致被害などが今後生じないように、日本の沿岸警備や治安警備のあり方、日本に滞在する外国人や外国人の団体の実態の把握と監視、それらに対する治安上の措置をとる必要があるのか、必要があればどのようにとるか、などの問題に回答を用意すべきである。

2)日本政府は「拉致問題」を理解しているのか? これまでの日本政府の拉致問題解決に関する手法は、単に金を渡して返してもらうなどの異常な方法であった。それは、政府が正しく拉致問題を理解していないからだと思う。

戦後米国の支配下に入った日本は、米国の望む形で日韓基本条約を締結した。その結果、日本は北朝鮮をまともな国家として認識できない状況にある。その日米韓の関係を善き状態として温存しながら、拉致被害者を取り返す方法として考えたのが、金で取り返すという方法である。しかし、その手法は時代遅れなことは明らかである。それでも尚、安倍総理は同じ手法を使おうとしている。

現在、対北朝鮮問題として考えるべきこととして、私は以下のように考える。繰り返しになるが、日本は日韓基本条約で韓国を朝鮮半島における唯一正当な国として認めており、北朝鮮を外交関係のない仮想敵国として把握している。我々は、日本国が北朝鮮を現状正常な外交関係を持ち得ない国としていることを十分承知する必要がある。国家としてその存在を認めていないのだから、自国民が“北朝鮮”に拉致されたとしても、北朝鮮という国(朝鮮民主主義人民共和国)に文句をつける理由はない。(補足1)これは原則論だが、拉致問題を考える上で重要である。

その理解があれば、北朝鮮が国家として行った拉致問題の解決は、北朝鮮を国家として認識できるように外交関係を開いた後に解決するのが正常なやり方であることが分かる。外交関係が開かれるまでの段階で考えるべきは、①北朝鮮からの防衛の必要性をどのように考え、其れを元に②防衛計画のグランドプランを作成し、次にそれに従って③具体的にどの様なプロセスでそれを実現するか、等について回答を用意すべきだと思う。

それらが準備でき、互いに独立国としての体裁が整えば、外交関係を開くことが可能となる。そこで、拉致は韓国へ送るスパイ等の養成の一環として行ったと言ったのなら、つまり、日本国に無関係なら、賠償の要求とともに被害者の引き渡しを要求すべきである。

補足:

1)たとえ話で説明する。夜間何もわからない内に猫が何物かに拐われた。どうも山の中のあの熊が“犯人”らしいと隣家から聞いた。この段階が現状である。熊が犯人なら、言葉が通じない熊に文句を言う人はいない。鉄砲を持って、奪還に向かうのがノーマルな方法である。日本が採用している方法は、「熊に拐われた猫を救うために、熊の好きな餌を投げて猫を手放させ、そのスキを見て取り返す」という鉄砲を持たない現状から苦心して考え出した方法である。
しかし今、熊というのは嘘であると知った。街の実力者の手下の隣家が、親分の嫌いなその家の主を熊と言っただけであった。自分もその親分に近いのだが、その向こうの家の住人が言葉が理解できる人なら、隣家とは独立に知り合いになり居なくなった猫の話を聞くべきなのだ。猫が必要だったので奪ったと言ったのなら、賠償とともに猫の返還を要求すべきである。こちらが金を支払う理由などない。

2018年6月12日火曜日

北朝鮮問題=拉致問題ではない:日本の指導者はそして日本国民は金正恩に学ぶべき

1)本日の米朝会談の結果について午後6時前に安倍総理からコメントがあった。https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20180612-00000079-nnn-pol

それは、北朝鮮の朝鮮半島の非核化についての決断が文章になったことを評価することと、拉致問題をトランプ大統領が取り上げたことを評価する旨の発言であった。しかし、首相は本当に北朝鮮が朝鮮半島の非核化を望んでいると思っているのだろうか?また、北朝鮮問題といえば拉致問題という風な言及の仕方で、日本は良いのだろうか。

確かに、ナイーブな多数派の日本国民に対しては、とにかく拉致被害者を取り戻すことが北朝鮮問題の主なる課題であるように言っておれば、真面目に対応している印象を与えるだろう。しかし、それでは多くの知的な国民は納得しないだろう。何故なら、統一朝鮮や中国との関係、それに核武装の問題は、将来の日本民族の運命にかかわる重要な問題だからである。(補足1)

北朝鮮の核問題は、東アジアの平和と安定の問題であり、日本の安全の問題である。つまり、一億三千万人の安全の問題であり、拉致被害者数十人の問題に矮小化されては困る。それに、拉致問題は40年前の日本政府の失政の問題であり、現在の政府がその失点を回復することは出来ない。第一、拉致が実行されたとき、日本海に投げ捨てられた人間も多数いると聞く。その人たちの被害に対して、現在の政府が何か出来るのか?

政府は、北朝鮮問題については単に拉致被害者を取り戻すという観点からではなく、日本と北朝鮮との間の和平の問題として、また東アジアだけでなく世界の中での日本の国防の問題として捉えるべきである。

2)北朝鮮が核兵器を開発したのは、朝鮮戦争で世界一の核大国である米国と対峙してきたからである。そして、北朝鮮が核兵器を完全廃棄(& 放棄)することはないだろう。米国も、北朝鮮の核の設計図はすべて廃棄できないだろうし、技術者の頭の中にある技術やノーハウも消し去ることはできないだろう。

現在は諦める振りをしても、決して北朝鮮は核兵器を諦めないだろう。何故なら、普通に知的なリーダーにとって、国民国家が構成する世界が続く限り、現在のところ核武装は国防の要諦であることは明白だからである。そんなことは、エマヌエル・トッドに言われなくても、分かる人には分かっている。(補足2)今、北朝鮮が朝鮮半島の非核化に言及するのは、差し当たって国民が生き残る最重要問題は経済問題だからである。今後、日本などの経済援助で豊かになれば、イスラエルのような隠れた核武装国になるだろう。

その頃、敵国であった米国はもはや敵国ではなくなっているだろう。その十年か二十年後の敵国として最有力候補は日本である。現在首相の地位にあるものは、その二十年後の日本と統一朝鮮とのそのような関係を一つの可能性として考え、戦略を練る必要がある。トランプの作戦にそのまま乗ることは、亡国のシナリオに従ってしまうことである。

日本は、米国の核とは対峙していないとしても、ロシアや中国の核兵器の照準上にある。何処かを起点に、貿易問題や領土問題などがきっかけとなって、第三次大戦のような事態になったとき、或いは、将来例えば氷河期に入るなど、何かカタストロフィックな事態がこの地球上で生じたとき、その犠牲になる可能性が大きい。その様な兵器が実際に使われるのは、限られたパイを分ける人数を減らすためである。

重ねて言うが、国民国家に分離されたこの地球上において、現在のところ核ミサイルが国防の中心に存在する。それ故、米国も多くの周辺諸国も日本の核武装を許そうとしなかった。何故なら、日本の核武装が米国や周辺諸国の国防に抵触するからである。またそれは、インドやパキスタンなどが核武装した理由でもある。カダフィが核武装を目指したのも、何時かあるかも知れないイスラエルなどの核攻撃から国家を護るためである。

その昔、優秀な現実主義的政治家であった安倍総理の祖父である岸信介元総理は、核武装の必要性を考えていた。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2015/08/blog-post_6.html また、米国は北朝鮮のICBM核を恐れているかのうように思う人が大半かもしれないが、そうではない。米国が恐れているのは、北朝鮮の核を廃棄させられない場合に、日本が核武装する可能性があることである。

有権者なら、そして、子孫の未来に責任を感じる者なら、朝鮮半島や中国に乗っ取られているマスコミの網目を潜って、それを知る義務がある。

日本の政治家は、そして、日本国民はキム王朝三代に学ぶべきである。金正恩は見事に核兵器を完成して、その技術を持つに至った。今後はそれを一時放棄する振りをして、経済援助を取り付け、国民を養うとともに、将来のカタストロフィックな事態が起こった時にも朝鮮民族の生き残りを達成するだろう。

補足:

1)前の記事の引用記事をここでも引用する。拉致問題は日本政府の大きな失策であるとの議論:https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43635118.html https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43631245.html

2)文藝春秋の最新号で、世界的に有名なフランスの社会学者エマヌエル・トッド氏が「日本も核武装すれば良い」という趣旨の記事を書いている。

米朝首脳会談について:結局朝鮮戦争終結協議開始前の完全不可逆な非核化という合意はないだろう

今日は米朝首脳会談の日である。金正恩は一昨日シンガポールに到着した。金正恩が乗った飛行機は中国国際航空の飛行機であり、専用機は随行員や機材などを運搬したらしい。今朝の朝日新聞デジタルでは、「安全面を重視する北朝鮮と半島問題で存在感を示したい中国の思惑が一致した形だ」とこの件への言及がなされている。

この中国機の利用については、北朝鮮のメディアも積極的に報道しているようである。従って中国機の利用の意味は、単に老朽飛行機では安全に問題があると言うことでは無い。安全面への配慮は、メインな理由ではなく単にサブな理由に過ぎない。

つまり、金正恩は1994年の合意に似た合意をすることが、最も容易な道だと考えているのだろう。そして、それはトランプ政権の考えとは程遠いので、今日の会談では実質的には全くなんの合意も得られないと予想する。

このような文章を今書くのは、前回ブログ記事で紹介した藤井厳喜氏の「仮に」と前置きしたシナリオが間違いだったと思うからである。それに真面目に尾ひれをつけて考えた話は、全くの見当違いだった。 金正恩が仮にそれを望んでも、軍部を完全に掌握していないのなら、無理である。

金正恩は最も安易な道を選択したと思われるのだが、中国の全面的バックアップは米国の経済制裁の効果を緩めるので、今回の騒動は全くの無駄ではなかっただろう。その場合、トランプがまともな政治家なら、朝鮮半島分断の歴史が平和的に解消するという話も立ち消えになると思う。大山鳴動して鼠一匹で終わるのである。

そして、半島の火薬庫としての役割は益々大きくなり、中国が崩壊しないとすれば、朝鮮半島と日本を飲みこむまでその役割は解消しないだろう。米国はその頃、第二列島線をかろうじて維持しているだろう。その大きなウネリの中で、拉致問題なんか埃程度の重みしか無い。(補足1) 拉致問題が最重要な課題だという内閣など、日本人一般は早めに見限るべきである。

トランプは日米首脳会談のときに、米朝首脳会談で必ず拉致問題に言及するといった。しかし、その理由を「安倍総理の個人的関心事であるから」と言ったことを日本人は深く考えるべきである。https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20180609-00086250/

以上は素人である日本の一有権者の意見です。それを考えてお読みください。

補足:

1)拉致問題は日本政府の大きな失策であると、以下に議論している。
https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43635118.html https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43631245.html

2018年6月8日金曜日

トランプが北朝鮮の非核化交渉には時間がかかると言い出した理由:二つの見方

1)ここ2、3日のトランプが、北朝鮮への非核化要求が柔軟になってきた。それは、トランプの関心がノーベル賞を取れる可能性の高い朝鮮戦争終結へ移り、頭の中を占領してしまった結果なのかもしれない。国務長官ポンペイオも、その時間がかかるという話を承知している筈だから、米国は本気で警戒しているのは北朝鮮のICBMだけなのだろう。なんども引用するのだが、佐藤優氏の話にあるように非常にまずいことになってきている。

昨日の毎日新聞(ネット)では、更に気になるニュースが流された。シリアのアサド大統領が、北朝鮮の公式訪問をする予定であると朝鮮中央通信が3日に伝えたというのである。具体的な時期は不明。5日時点でシリア政府から正式な発表はないが、ロイター通信は金委員長が首都・平壌で会談する初の国家元首になる可能性があると報じた。https://mainichi.jp/articles/20180606/k00/00e/030/258000c

(補足1) アサドの訪朝目的は書かれていないが、それは容易に想像できる。「米国が北朝鮮の核兵器を廃棄させるというのなら、一部をシリアは喜んで買い取る」という話だろう。 そのためには如何に密かにシリアまで輸送するかが問題であり、それを相談するためなのではないか。

ユダヤ教徒の娘夫婦やネタニヤフに言われて、トランプは対策を考えるだろう。もともと中東方面への核拡散なども考えて、北朝鮮へのリビア方式(即刻CVID)での核廃棄要求だったのだから。

2)別の解釈もあるようだ。
youtubeで、藤井厳喜氏の面白い解説がアップロードされている。藤井氏は、トランプが「今回の会談で、合意文書の発表まで行けないかもしれない。時間がかかりそうだ。」と言い出したことが読めないというのである。時間がかかるというのは、ポンペイオも承知の話である。ボルトンはどう言っているのかわからないが。

「北朝鮮がCVIDを飲めないと言っているのなら、12日の会談は流れている筈である。何か未知の事態が動いているようだ。」と言っている。そして、非常に興味ある話をした。それは、米国にとって“非常に良い条件”を言って来た時の米側の対応なら、説明可能だというのである。

「当てずっぽうで言うとと断った上で、『米国のレーダー基地を北朝鮮に置いても良い』と金正恩が言った場合、それは米国にとって直ぐには答えの出ない話である」と話した。何故ならロシアと中国の強い反発が、どの程度なのか読めないからである。その上で、上の「アサド大統領の北朝鮮訪問の話はガセネタである可能性が高い」と言っている。https://www.youtube.com/watch?v=CbLMW5Dgf0k

そこで動画の欄にコメントを書いた。

藤井さんの例えばと言ってされた話は、面白いです。何故なら、金正恩は心の底では中国が嫌いだし、ロシアも好きではないだろう。「自分たちは、歴史的に見ても彼方か此方のどちらかしかありえない、シーソーのような存在だ。彼方なら、米国の要求は本当の意味で飲むのは困難だ。中国からネジを巻かれている。しかし此方なら、それは出来る。しかしその場合、中国やロシアとの交渉は、新しい親分であるトランプさん、あなたにお願いしなければならない。」と金正恩が言ったと考える。トランプは時間がかかるというだろう。

シリアのアサドの訪問の発表は、「トランプさん、時間がかかるというが、我々には時間がないのです」という意味になる。


3)上記1)は、トランプを非常に俗な人間としての解釈だが、2)は藤井厳喜氏というプロの政治アナリストの「トランプはこれまで通りの北朝鮮の非核化について強い姿勢だが、北朝鮮が直ぐに打てない変化球を投げて来た」という話である。

つまり、米国は体制の保証をすると言うが、米国から体制の保証を受けるためにCVIDを実行したときに、中露からの脅威に晒されては何にもならない。もし、「本当の意味で体制保証をするのなら、トランプさんの米国に中ソ(露)の脅威から解放してほしい」と言ったとしたら、トランプはどう答えるのか。

「なかなか時間のかかる話になる」と言わざるを得ない。これは、北朝鮮が冷戦時代のウクライナに似ていると考えれば分かる。ウクライナもNATOに入りたいのである。安倍首相の今回の日米首脳会談に関するコメントを注意深く読む必要がある。

(7:40;10:10 最後のセクション加筆)

補足:
1)東西冷戦期にともに旧ソ連の影響下にあったシリアと北朝鮮は1966年に国交を結び、73年の第4次中東戦争では北朝鮮が兵士やパイロットらをシリアに派遣して関係を深めた。両国は化学兵器開発でも協力関係にあると指摘される。また、イスラエル軍が07年に空爆したシリア東部の原子炉も、北朝鮮が建設に協力したとされている。