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2017年5月6日土曜日

お札は政府が発行すべきか?

1)通貨を政府が発行する場合、最初の段階で従来使用されていた紙幣、つまり日銀券、を政府紙幣へ交換をしなければならない。日本の場合では、国家の債務は日銀の通貨発行量(約450兆円)から日銀所有の国債分を差し引いた額だけ増加することになる。その増加した債務と釣り合う額の資産も日銀から引き継ぐことになる。(補足1)

日銀の国債保有残高はこの4月28日の発表では375兆円あるので、昨年度末の国債残高の840兆円からそれを引くと、日本の国債残高は465兆円に減少するだろう。そのかわりに、通貨発行量分(450兆円)が新たに政府債務となる。ただ、通貨発行は銀行に利子付きで行われるので、利子分は政府の収入となるだろう。https://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/yaku/yaku1702.pdf

紙幣発行の非常に大きな権利は、本来債務である筈の紙幣発行により、利息をもらえるということである(勿論、利息をゼロにすることも可能である)。しかも、現在不換紙幣であるから、市中銀行は紙幣と引き換えに貴金属などを紙幣発行元に要求できない。出来るのは市中への貸出か、直接それを使って何かを購入するかである。

政府が紙幣を発行する場合の欠点は、放漫財政に陥る危険性である。良く知られているように、日本銀行が直接国債を買い取ることが財政法で禁止されているのは(財政法5条)、放漫財政を防止するのが目的である。

2)日銀は現在国家の支配下にある。それは日銀の株(額面100円x100万株=1億円)の55%は財務省保有であり、株主の権利は完全に国家の支配下にあるからである。従って、現在の国家の財政状況は上記モデルと同じであり、その健全性が日本国債の信用が高く、その金利が相当低い理由である。

政府紙幣への交換は簡単だと思う。つまり、日銀が看板を財務省の一部局に名称を変更して、日銀券を政府紙幣と今後読み換えるという法律でも作ればよいのではないかと思う。(補足2)問題はその後、政府紙幣に日銀券時代の信用が受け継がれるかどうかということである。

同じ信用が続く筈であるが、その切り替えを引き金に理由不明の円の急落がありえる。しかし、それも日本にある豊富に保有している外貨で買い支えをすれば、世界にばらまかれている日本円を安価に回収できると思う。つまり、そのような暴落はおこらないだろう。

次の問題として、放漫財政に国家が陥る場合である。その理由として、例えば軍備増強を急ぐことなどがあり得る。米国の南北戦争の時に、リンカーンが政府紙幣を発行することにしたケースなど、緊急に多額の軍費を要するような場合に政府紙幣を政治家は考えるだろう。(補足3)

急激に多額の政府支出があった場合、当然政府紙幣の価値が急激に低下する。最初はインフレが起こるが、人々はそれを計算にいれて物資やサービスの価格を設定する。その範囲では、悪影響は回復可能である。しかし、紙幣そのものへの信用が薄くなるという段階になると、経済活動の停滞を招くことになり大きなる問題となる。

以上の考察では、政治家の質が一定レベル以上なら、政府紙幣への交換は良いことの方が多いような気がする。(補足4)
(5/7・9:00 語句の編集あり。尚、以上は素人の考察です。)

補足:
1)政府以外が持つ日銀の株は、現在の時価総額366億円のうち45%分(165億円)あるだろうから、株主に株券と引き換えにその金額が渡されるだろう。純資産が相当あるとすれば、政府の日銀買収は儲かるだろう。http://money-magazine.org/8301-jojo/
2)政府以外の所有する株券は、市場価格(現在一株37000円、合計165億円)で買い上げるだけで良いと思う。気になるのは、日銀の配当は一株五円だそうで、この37000円という高い株価の理由がわからないことである。また、何故上場する必要があるのかも疑問である。
3)米国でその後政府紙幣の発行を考えた大統領にケネディがいる。不気味なのは、両者ともその後暗殺されたことである。
4)10年ほど前に、当時自民党だった亀井静香議員が政府紙幣の発行に触れたことがあった。しかし、その時には日銀券との交換ではなく、並行して一定額を発行するということだったと思う。その場合、政府紙幣はお断りということが起こり得て、混乱すると思う。

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