1)日本では、象徴天皇制を採用している。つまり、憲法第一条:天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であり、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。占領軍がこの文言を日本国憲法に採用したのは、既に“象徴としての主権”という考え方を知っていたからだろう。そして、それは英米が“象徴としての民主制”を採用していたからだろうと思う。
民主政治の評価に関しては、チャーチルの議会での演説がよく知られている。
「多くの政治形態がこれまで試みられてきたし、これからも罪と悲しみのこの世界で試みられるだろう。民主主義が万能且つ完全であるとよそおうことは誰にも出来ない。事実、これまで試みられた政治体制を除けば、民主主義は最悪の政治形態と言われている」下院演説 (November 11, 1947)(補足1)
この演説文を、「民主主義はこれまでの政治体制の中で最良だが、それでも多くの困難を持っている」と解釈している人がいるが、それは間違いである。この文章を素直に読めば、単に「民主主義は厄介な政治制度だ」と言っているに過ぎない。「民主主義より優れた政治体制が過去には有った」という命題を全く否定していないからである。
この種の話術に簡単に引っかかってしまうのが、人間なのだろう。「チャーチル 民主主義」で検索すると、ウィキペディアの記事として上記文章と似た“チャーチルの言葉”が出てくるが、誤訳である。(補足2)この演説で「よそおう(pretend)」という単語を用いる時、チャーチルは上記「象徴民主制」を考え、自分は既にそれを採用していると自覚していたと思う。
英米では、政治家にとっての演説の重要性が日本よりはるかに高い。それは象徴民主制の演出(民主主義がベストであるとのpretension)上必要だからである。オバマ前米国大統領の上手な演説には、真実を隠すだけの能力がある。例えば、「核保有国は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」という広島演説などその典型である。どうせ大衆には記憶力がないので、その場その場で適当に美しい演説をしておけば、象徴民主制が維持できるのである。
自由と平等を旗頭に、開放的な社会を目指すというのも、おきまりの文言である。大衆には、彼ら為政者の心地よい住処である現実から、反対の方向を指差して美しく演説すれば良いのだ。不自由で不平等な現実は言うまでもない。英米が情報面で閉鎖的であることも、言うまでもない。強力なCIA、MI5、 MI6などの諜報機関(スパイ組織)を持っていることがその証拠である。
2)5月初旬の文在寅氏が選挙に勝って大統領になる前のニュース解説が、昨日動画配信された。それは、西岡力氏のチャネル桜かなにかでの発言であり、以下のサイトで視聴できる。 https://www.youtube.com/watch?v=Q8MRYxe0wyU&t=860s この中で西岡さんは北朝鮮危機に関して、日本に全く危機感がないことを憂いておられる。その記事に私は以下のような書き込みをした。
全く同感です。日本独自の防衛戦略を立てるべきだと思います。米国は無傷で北朝鮮を潰せますが、日本では多くの死者がでることになります。しかも、朝鮮戦争では日本は当事国ではありません。この点で日本と米国は利害が一致しません。日本の政権は米国の後追いしかしません。 日本は独自に防衛を考えるべきですし、核軍備なども考えるべきです。しかし、日本人は残念ながら馬鹿です。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43296137.html
引用サイトは、昨日書いた記事(姉妹サイト)である。韓国を訪問した日本人(橋下徹氏&他にも)は、日本同様に危機感のないソールの町の気配を報告している。この事実は、大衆は国家の危機に対するセンサーを持ち合わせていないことを示している。しかし、一旦危機感を持つと、そのセンサーはノイズばかりを拾って、大衆は発狂し国家は全体主義に陥ってしまうのだ。
大衆は国家という概念すら理解していないのだから、民主主義を押し付けることは最悪の政治形態をその国に植え付けることを意味している。ニーチェが言ったように、民主主義とはキリスト教の悪影響でできた政治体制なのだろう。そのお家元では、遠の昔にその制度の欠陥を克服するために、裏の支配組織を完成している。つまり、英米の政治形態は「象徴民主制」である。
日本が憲法9条2項を廃止して、自衛軍の保持を宣言し、それに核兵器の持ち込みも検討すべきだと西岡氏は力説している。それは一定の知能があれば、当然の話なのだが、多数決を当然のこととする民主主義に阻まれてできないのが現状である。その原因の一つに、国会に多くのスパイがいることが挙げられる。米国議会にもマッカーシーが明らかにしたように、共産党支持者とスパイが紛れ込んでいたのだから、日本なら当然である。実際、公党の委員長で勲一等の受賞者である勝間田清一がKGBのスパイだったことが明らかにされている。それでも、この民主主義と平和主義に毒された国ではスパイ活動を防止する法律が最近ようやく国会を通過したばかりである。
そこで、欧米の民主主義的先進国では、裏の支配組織に諜報機関をしっかり持ち、(日本の現状がそうであるように)外国のスパイが国会議員に紛れていれば、その身辺には必ず醜聞があるのだから(無ければ捏造でもして)次回選挙で葬るなどの対策をする。私の想像では:英米は、何処かから流れる資金を使ってシンクタンクが政策&戦略を立案し、それを元に支配層政治家が国民にアナウンスし、議会で可決して執行する。最後の最高機関は議論するだろうが、大筋を外すことなどしない。つまり、象徴としての民主主義政治を採用しているのである。
西岡さんが歯ぎしりしても、スパイに話が通じてもバカな大衆には話は通じない。米国の占領政治の果実を今我々は味わっているのだ。毒に満ちた果実である。ああ、やはり森友問題にも、加計問題にもこの際、目を閉じるか。。。
補足:
1)Many forms of Government have been tried, and will be tried in this world of sin and woe. No one pretends that democracy is perfect or all-wise. Indeed it has been said that democracy is the worst form of Government except for all those other forms that have been tried from time to time...
2)これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、またこれからも過ちと悲哀にみちたこの世界中で試みられていくだろう。民主主義が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。
https://ja.wikiquote.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9 私が誤訳としたのは、この最後の文を敢えて二つの文章に訳したところである。(追加:17:00)
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