冷戦期の米国務長官(ニクソン&フォード政権時)だったヘンリー・キッシンジャー氏が今年のダボス会議で表題のような驚くべき発言を行った:
ウクライナはロシア支配地域の割譲という代価を支払ってもロシアとの和平を進めるべきである
https://www.youtube.com/watch?v=sC5GNKNkEr4(補足1)
そして:
思考の上だけの話では境界線を戦争前の現状に戻るべきだろう。 それを超えて戦争を追求することは、ウクライナの自由ではなくロシアに対する新たな戦争である。(補足2)
Ideally, the dividing line should be a return to the status quo ante. Pursuing the war beyond that point would not be about the freedom of Ukraine, but a new war against Russia itself.
この発言を紹介したあと、このCBN Liveの動画の司会者は、解説者として招いた「The Spectator(英国の雑誌)」の副編集長Freddy Gray氏に、「キッシンジャーのこの発言は重要ですか?」と聞いた。
F. Gray氏は、以下のように話をした。(前半部分のみ簡略化して引用します。)
キッシンジャーはヨーロッパにおける力の均衡の重要性をよく理解している人である。」「ヨーロッパ諸国政府の間で明らかにこのような大きな話が進んでいる。つまり、もしロシアが熟考の上で撤退したのなら、彼らを罰すべきなのかどうかなどである。
鷹派の英国は「プーチンにこの件で対価を与えるべきではない」と反対するだろうが、当事者双方が戦争を止めたくないとしても、この戦争をやめさせるべきだとしたら、その英国の主張は間違っている。つまりヨーロッパでの国境の安定(つまり力のバランス)を考えた場合、ウクライナは中立であるべきである。キッシンジャーはこのようなことを言っているのであり、かなり良い考えであると思う。
あのキッシンジャーがダボスでこのような話をしていることに驚き、更に、英国の雑誌編集者が米国のメジャーなテレビ局が運営するサイトで、このような現実的な話をしていることにも驚く。
もちろん常識的な話なのだが、グローバリストの国の、その中心に居た人物キッシンジャーによる発言だったので驚いたのが一つ。それを米国の会社の運営サイトで英国の雑誌編集者が、話の中核部分を彼らの母国での政府と完全に独立して話ができていることに驚いたのがもう一つの理由である。この情況下でも英米では(日本と違って)言論の自由が存在したのだ。
日本のテレビ局やそれらが運営するネット動画等で全くこの種のまともな話が聞けないのは、日本が米国の一部の思想に完全支配された全体主義の国だからだろう。なお、「ウクライナは中立をまもるべきだった」は、私のこのブログサイトでの一環した主張でもある。(補足3)
補足:
1)このキッシンジャーの発言を知ったのは、「ニューヨークサバイバル」の動画を視聴した時です。https://www.youtube.com/watch?v=mMsK8G8j95Q
2)戦争前の現状とは、クリミヤとドンパス地域(ミンスク合意の時に自治を与えるべきとされた地域)をロシアが領有するということになる。
3)「ゼレンスキーはウクライナの地政学的運命を受け入れ、NATO非加盟を宣言すべき」
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12730387626.html (3月6日)
「ウクライナの件:ウクライナは武装中立の立場をとるべきだった:」
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12728559999.html (2月24日)
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