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2023年10月9日月曜日

ハマスのイスラエル攻撃について:第三次世界大戦の可能性もゼロではない 

107日、パレスチナのガザ地区を支配する武装組織ハマスがイスラエルを攻撃した。8日午前のロイターの記事によると、数千発のミサイル攻撃とイスラエル領内への侵攻とによりイスラエルで250人以上が死亡したという。イスラエルのネタニヤフ首相は、直ぐに戦争状態を宣言し反撃を開始した。ガザ地区でも230人以上の死者が出ている模様である。

https://jp.reuters.com/world/mideast/PJLXDNODUFKBHM4FF5CJTEIHXM-2023-10-07/

 

米国など西側諸国は、ハマスによるイスラエル攻撃を非難し、イランやレバノンのヒズボラはそれを称賛した。このアラブの一角とイスラエルとの軍事衝突は、世界大戦レベルにまで拡大する可能性を孕むので、今回素人ながら一つの文章に纏めてみようと思った。

 

最新の情報は以下の動画に解説されている。犠牲者は既に千人を超えているようである。この動画では、この「戦争」の原因にバイデン政権(国務省)が深くかかわっているらしいことを議論&解説している。世界紛争の中心には常に米国民主党ネオコン政権が存在するようだ。

 

 

追補:
 
先ほど、カナダ人ニュースさんによるより詳しい解説がアップされたので、ここで引用します。正確且つポイントを付いていると思いますので、推薦します。

 

 

 

1)”グローバルサウス+中露”と”イスラエル+G7”への世界の二分化とそれらの接点

 

米国大統領がトランプからバイデンに代わり、世界は不安定化している。最初にちょっと大きな図式に言及するためにウクライナ戦争から話を始める:

 

ウクライナ戦争の背景に、米国によるウクライナ内政への介入があった。2014年、大規模市民デモを組織したり内戦へ誘導するなどの工作により、親ロシアのヤヌコビッチ政権を潰し、親米のポロシェンコ政権を建てた。その中心で活躍したのが現国務次官のビクトリアヌーランドというのが、事情に詳しい方々の共通認識のようだ。

 

米国は、軍事支援を継続するとともに、ユダヤ系オリガルヒ(新興財閥)コロモイスキーの支援で大統領になったゼレンスキーにウクライナをNATOに加盟させるなどと言い出させた。バイデン政権になって強められたウクライナの対ロシア軍事力強化を座視できなかったプーチン・ロシアは、2022年2月、ついにウクライナへ侵攻した。(補足1)

 

ウクライナ戦争の実態は、腐敗したウクライナのユダヤ系オリガルヒの支援で大統領になったユダヤ系のゼレンスキーが、米国グローバリストの代理でウクライナ人の青年の命を使ってウクライナ市民の犠牲のもとに、ロシアと戦っているのである。それがアラブ諸国に大きな反米の政治エネルギーを作り出している。(補足2)

 

そのようなアラブの空気の中で、今年3月、サウジアラビアが中国の仲介でイランと和平を実現し、且つ、米国から離反し、アラブ全体の団結に動いた。その結果世界には、”BRICS諸国+中東イスラム諸国+アジア&アフリカ”と、”G7+イスラエルを含む親米諸国”のグローバリスト勢力に二分されるという大きな流れが発生した。

 

この二つのグループが対立する接点が、中東のイスラエル、ヨーロッパのウクライナ、東アジアの台湾(+日韓)の三カ所である。

 

 

2)バイデン政権による”流れに掉さす行為”が混乱を生み出す

 

その大きな流れを引き起こした中心人物が、その流れがアラブ諸国に囲まれたイスラエルを孤立させる事に気づいたのか、この大きな流れを妨害する作戦を開始した。それが、今回のハマスによるイスラエル攻撃の原因であり、ひょっとして第三次世界大戦の切っ掛けになる可能性すら存在する。

 

その作戦とは、米国によるサウジアラビアとイスラエルの和平の画策である。もし、それが成立した場合、パレスチナは若干親米的なサウジアラビアとエジプト、米国ネオコンの親元的なイスラエルに完全包囲される。ハマスによるイスラエル攻撃は、サウジアラビアに対するイスラエルとの和平に反対する強力な意思表示だと思われる。

 

そのような解説が上の動画にもあったが、昨日のロイターの記事もそのように解説をしている。

https://jp.reuters.com/world/us/Y6AKYUJDRZNIJBIP2XFSX2RPM4-2023-10-08/?rpc=122

 

また、全般的な解説動画をもう一つ下に引用する。

 

 

 

3)オクトパスドクトリンという危険な考え方

 

このハマスのイスラエル攻撃の背後に、イランが居るという説は有力である。折角サウジアラビアと和平を実現したのに、ここで米国側にサウジアラビアが移ってしまえば、アラブ世界の統一の図式は粉々に破壊されるからである。

 

イスラエルとイランは互いを不倶戴天の敵としているのは周知である。中東が不安定なのは、イスラエルが作られたからであるとイランは考え、逆にイスラエルはテロを行うハマスやヒズボラの背後にイランがいると考えている。

 

イスラエルの前首相は、ハマスやヒズボラなど敵の手足を撃っていては、イスラエルに平和は永遠に訪れない。敵の中心(タコの頭にあたる)イランを滅ぼさないと駄目だと言ったという。2018年提唱のオクトパス(タコ)・ドクトリンである。

 

この対立情況が最近一層悪化したのが、上述のイランとアラブの盟主であるサウジアラビアとの中国を仲介者とする和平の成立である。イスラム教シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアとの間で断絶していた国交が、今年夏、中国の仲介でなされ、アラブが差し当たり一枚岩的になった。それにイランは希望を見出したが、イスラエルは焦燥感を増した。

 

またイランの核兵器開発が進んだことも重要である。最近になり、イランが進めるウラン235の濃縮が90%を越えて、もう直ぐ核兵器を作り上げる能力を持つと報道されていた。もし、核武装が実現すれば、イスラエルからの核反撃を避けられ、イランやその衛星国からのイスラエル攻撃が容易となる。

 

アフガンからの米軍撤退からウクライナ戦争まで、失点(米国民から見て)続きのバイデン大統領が、このウクライナの焦燥感を感知し企んだのが、サウジアラビアとイスラエルの国交樹立である。

 

カショギ氏暗殺の件以来、サウジアラビアの実権を握るムハンマド皇太子が、安易にバイデン政権の仲介を受ける筈もないのだが、バイデンはサウジアラビアの核開発に協力するという餌をぶら下げたのである。この餌ならムハンマド皇太子は乗るかもしれないと不安を感じたのが、パレスチナでありガザ地区のハマスだろう。

 

今回のガザ地区ハマスのイスラエル攻撃に関して、アラブやペルシャ(イラン)は米国の責任として批判している。勿論、ハマスは人間の命を盾にして、テロを行なう組織であるとして、上記のようなモデルを批判する向きも多いだろう。(補足3)

 

イランとイスラエルの戦争になれば、第三次世界大戦になる可能性があり、その場合、中国の習近平が台湾に向かう可能性がゼロではないので、日本も大変な事態になる可能性がある。

 

 

補足:

 

1)この件、昨年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まる前に、整理しブログ記事として纏めた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

2)イスラエル自体は、ウクライナ支援にあまり積極的ではなかった。中東に大きな影響力のあるロシアに配慮するとともに、アラブ全域を敵に廻すことを警戒したからである。ゼレンスキーが、兄弟姉妹の皆さん、イスラエルのミサイル防衛システムを供与してくださいと懇願しても、そうはしなかった。

 

3)ウクライナのゼレンスキーは、同国の青壮年を殆ど戦争で失ったと言われている。現在では、60歳の年寄りや少年が戦っていると言う話を聞く。中国の話は言うまでもないとして、大日本帝国も大差なかったと思う。所詮国家の支配層は、自分と家族の命は大事にするが、一般国民の命と自分の政権の存続とを天秤に懸ける存在なのだ。その冷厳な事実は、岸田首相と米国の大使のこれまでを眺めれば理解できると思う。

 

(10:00編集;12:00追補あり、カナダ人ニュースの動画;18:00最終,セクション3の2番目の文、アラブ世界の統一の図式と下線部追加。)

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