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2024年5月2日木曜日

日本円崩壊の危険性:預貯金の海外流出との関連

 

日銀の金融政策決定会合の後、円安の流れが急激になった。為替介入により若干もどしたもののその流れは止まりそうになく、年内に170円にもなる可能性もある。更に最終的には日本円崩壊のシナリオも全くない訳ではないという話が、証券会社の現役為替アナリストとして著名な佐々木融氏により為されている。

https://www.youtube.com/watch?v=okRlXPrUcZg

 

この恐ろしい話が成立する背景に、日本の個人金融資産2100兆円の半分以上1100兆円が預貯金としてため込まれていることがある。その円預金が、新NISAを利用した海外通貨建ファンドなどに既にかなり向かっている。より大きな利息や今後の為替差益を考えるなら、それが賢いと証券会社に教えられるからだろう。

 

これ以上の円安の流れが確実となれば、その傾向が益々大きくなる可能性が高い。日本では、国民の間に時として巨大な流れが出来る文化の国である。その流れを米国のヘッジファンドが見た時、円売り攻勢を仕掛け、円安の流れを大きくして利益を得ようと考えることは容易に想像できる。

 

更にそれに呼応する形で、日本の個人預貯金のお金が外国に流れる。そのようなスパイラルな円安進行が恐ろしいシナリオである。全体としては、ヘッジファンドなどが円安の流れを煽ることで日本円預貯金の外国への流出を助け、その手数料と売り買いの差益を得るということになる。

 

日本に残された金融資産は相当減少し、残った分も大きく目減りすることになる。金融資産を日本円で持っている人は、超円安で貧困化しその中であえぐことになる。勿論、日本はインフラも整備され技術をもった人材も豊富なので、企業の日本回帰などが盛んになり、そこからの輸出が大きな富を生み、どのくらいかは分からないが一定期間の内に経済規模も人々の生活も元に戻るだろう。ただし、かなり犠牲者を出した後である。

 

この波が日本円崩壊と言えるほどに極端な場合も全くない訳ではないだろう。その時、日本円は通貨価値をまともな数値で言及できるように所謂デノミが行なわれる可能性もあるだろう。預金封鎖後に、これまでの100円を1円とするなどの改訂である。日本では第二次大戦後に行われたし、外国でも通貨危機後に行われている。

 

纏めると: そして、真面目に働き稼いだ金を少しづつ蓄財した国民のかなりの部分が貧困化した結果、大部分を占める中流以下の日本国民の間に大きな貧富の差を作り上げる。借金が大きく目減りして得をするのは、放漫財政の挙句大きな借金を作り上げた国家やそれを見越して債券を発行しまくった一部の法人だろう。その事態は日本全体としては本当に愚かである。

 

勿論、これは最悪のシナリオで殆どあり得ないのだが、同じメカニズムでもっと小さい景気のうねりが発生する可能性が高い。日本は食糧とエネルギーを輸入に頼っているので、これらの価格高騰により、貧困層は危険な情況に追い込まれる可能性がある。更に、日本国民に発生した貧富の差は、日本のお互いに他人を思いやるという稀有な文化を破壊する可能性も高くなる。

 

 

2)異次元の金融緩和の評価

 

日銀がまともに為替を安定させるための金融操作が出来ないのは、前の記事に書いた様に、”異次元の金融緩”の結果日銀が保有する多量の国債残高である。それは、アベノミクスの一環として黒田日銀総裁の時に行なわれた市場からの国債の大量買い付けと、政策金利のマイナス化である。

 

この議論で最初に思い出すべきことは、赤字国債の発行と日銀が国債を引き受けることは、財政規律を無くする危険性を防ぐために禁止されていることである。財政法には以下の様に書かれている。

 

第四条: 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。 但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。更に、第五条すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。 但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

 

1955年以降約50年間続いた下劣な政治の付けを、大量の赤字国債発行とその日銀による引き受けという財政法に違反した形の金融緩和策で乗り切ろうとしたのは、自民党政府の殆ど犯罪的政治である。勿論、官僚のワル知恵を借りて特例法などを制定し、法律違反は形の上では避けている。

 

今では、内閣は赤字国債発行という事態に悩んだ時の蔵相の気持ちなど完全に忘れ去っている。(補足1)下のグラフを見てもらいたい。赤い棒グラフはその本来違法である赤字国債の金額である。この30年近く、国家の予算の40%近く或いはそれ以上を国債に頼っている。

 

繰り返しになるが、自民党政府は法で禁止されていることを、その法の思想を完全無視して、毎年税収よりも40兆円程余分に支出している。マスコミ等が報道すべきは、このような問題の原点からの経緯・歴史である。そのような本質的で真面目な議論が全くこの日本と言う国には欠けている。日本国は残念ながら、まともな近代国家ではない。

 

いささか脱線気味だが、以下のことはブログ記事毎に書いておきたい。明治の時代、日本はに西欧に出来上がった政治システムを移植したが、その精神に学ぶことはしなかった。 これは財政だけでなく政治の全ての部分について言えることである。

 

尚、以前のブログ記事で、日本株にはむしろ明るい将来があると書いたが、上記のような円安スパイラルが起こった場合には、日本は貧困化し輸出で稼ぐ会社以外の日本株は実質的価値を大きく下げるだろう。

 

終わりに

 

以下の動画を見てもらいたい。元財務官僚で嘗て内閣参与をされていた方が現在の円安について話している。為替レートについて一片の真実を語っている(=本来一ドルは110円位)と思うが、平衡論であり動的議論は一切無視している。因みに、この方は「アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる」という本の著者である。

 

https://www.youtube.com/watch?v=KCU3R2LDWVA

 

話の内容は書き下ししないので、直接聞いてもらいたい。この円安に関する話は、例えば「その住宅地は海抜2mなので、この100年や200年の間に海に沈む危険性は全くありません。例外的に20m程高くなったりしますが、すぐ収まるので気にすることはありません」に似ている。

 

物理でも化学でも、現象の解析・議論には平衡論と動的議論の2つがある。上記動画の主は、平衡論で「ドル・円は110円が正当なレートであり、たまに2割3割ズレることはあっても、すぐに元に戻るのだ」と語る。しかし、そのプロセスの中で一部の日本人の金融資産が数分の1になり、(他の1部の人の資産はほぼ全される)その他の人々の資産はかなり目減りするもののかなり保全される。その結果、大勢が貧困に突き落とされることになるが、そんなことは些細なことだとして無視を決め込むのである。

 

このように発信する動機は、自分の内閣参与時代の間違いを隠すことと、極めて強い自尊心だと思われる。この国には、このような議論を論破する人物が、近くに現れない。また、もし現れても何の利益にもならないとして、放置するだけである。日本には議論の習慣がない。議論は口論となり喧嘩となるからである。それはあらゆる面で、日本病の根本原因である。

 

以上は、一素人のメモですので、コメント或いは間違いの指摘を歓迎します。

 

補足:

 

1)赤字国債の発行は昭和50年にはじまった。この年の12月25日,「昭和50年度の公債の発行の特例に関する法律」(特例公債法)が公布され,赤字国債がはじめて発行された。赤字国債の危険性を知る時の大平蔵相は歯止め装置を置いた。しかし、それも撤廃されて無制限に発行されるようになった。その切っ掛けは、自民党の人気低下だったと思う。一時発行を止めていた赤字国債が再度大量に発行されるようになったのは、自社さ政権の村山総理の時である。

https://www.jsri.or.jp/publish/research/pdf/81/81_02.pdf

(13:00 編集あり;15:45 本文§2最後の文章に”実質的”を追加; 22:00 最後の§の打消し線部分を修正後、最終稿)

 

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