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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2025年6月2日月曜日

宮城野親方の退職に見る日本相撲協会の危機――公益法人の責任と今後

大相撲の宮城野親方(元・白鵬)が日本相撲協会に退職届を提出した。処分内容が不公平かつ屈辱的であると感じたことが背景にあるとされる。この件の経緯を振り返るとともに、相撲協会という公益法人の在り方について考察したい。

1. 宮城野親方の処分とその経緯

元横綱・白鵬はモンゴルから来日し、2000年に角界入り。幕内優勝45回という前人未踏の記録を打ち立てた後、親方として後進の指導にあたってきた。その貢献は大相撲界にとって非常に大きい。しかし、弟子・北青鵬による複数の暴力行為および金銭窃盗が発覚したことで事態は急変した。

 

日本相撲協会は2024年、北青鵬に対し「引退勧告」、宮城野親方に対しては「2階級降格と減俸」、さらに宮城野部屋の無期限閉鎖という厳しい処分を下した。部屋は伊勢ケ浜部屋に吸収され、親方は伊勢ケ浜部屋付の年寄として再出発を余儀なくされた。

 

1年を経ても処分が緩和される兆しはなく、宮城野親方は530日に退職届を提出。62日の臨時理事会で正式に承認される見通しだ。

2. 親方への処分は「リンチ」なのか

近代法体系においては、処罰の原則は「個人責任」である。北青鵬による暴力行為に対して、親方が一定の責任を問われることはあり得るが、その処分が本人の社会的地位や将来に著しく影響を及ぼすほどであることには疑問が残る。

 

過去の類似事件と比較しても今回の処分は重すぎると言える。たとえば2010年、時津風部屋の親方(第16代時津風)が野球賭博に関与し、警察の家宅捜索を受けたが、処分は1階級降格と5年間の昇給停止にとどまり、部屋は存続された。

 

これに対し、宮城野親方には刑法違反はなく、協会の内規違反があったとしても、二階級降格と部屋の閉鎖という処分は過度といえる。こうした対応は、公益法人としての相撲協会が感情的または政治的に動いた結果とも受け取られかねない。

 

また、宮城野親方が推進してきた「相撲の国際化」やその圧倒的な実績に対する嫉妬や警戒心が、執行部の処分判断に影響した可能性も否定できない。処分の背後に、閉鎖的な組織体質があるとすれば、問題は根深い。

3. 日本政府と公益法人としての相撲協会の責任

日本相撲協会は「公益財団法人」として、税制上の優遇措置を受けているだけでなく、文化的な公共性が強く求められる存在だ。大相撲の開催には政府要人が出席し、優勝力士には天皇杯が授与されるなど、国家行事的な色合いも強い。

 

であるからこそ、日本政府には相撲協会が公益法人として適切に運営されているかどうかを監督する責任がある。今回予想される処分が公益法人としてふさわしいかどうか、調査と指導が求められる。

 

さらに、本件は日本とモンゴルとの外交関係にも波及する可能性がある。東日本大震災時、モンゴルはGDP比で最大規模の支援を送ってくれた国であり、日本との友好関係は相撲界で活躍するモンゴル出身力士によっても支えられている。その象徴である元・白鵬が不当に処遇されるとすれば、モンゴル国民の感情を大きく損ねかねない。

 

この問題を契機に、公益法人の資格審査を年に一度実施し、その結果を国民に公開する仕組みの導入も検討すべきである。

補足情報

  • 白鵬杯の意義2025年の「白鵬杯」には海外14カ国、国内153チーム、計1142名が参加。少年相撲を通じた国際交流に大きく貢献している。

  • 相撲協会の放映権:放送法に守られたNHKによる大相撲の中継も、公益性を失えば見直しの対象となり得る。

  • 公益法人の免税措置:日本相撲協会は公益法人として法人税などの大幅な優遇を受けている。

結び

今回の宮城野親方に対する処分は、相撲協会という組織の在り方を根本から問い直すものである。公益性・透明性・説明責任といった基本原則が形骸化していないか、日本社会全体で今一度問い直す必要がある。

 

追加:

 

夕方のNHKニュースで、優勝したときに客席に対して万歳三唱を誘導したことなど、白鵬が横綱として品格を欠いていると指摘されたという話が紹介されていた。しかし、相撲協会が外国人力士を入門させると決断した段階で、そのようなことにならない様、彼らに日本文化特に相撲文化について十分教育するシステムをつくっておくべきだったのであり、外国人力士である白鵬を一方的に批判する資格が相撲協会にあるとは思えない。(2日夜追加)

 

追加2:白鵬退職の原因となった北青鵬が力士となった経緯・白鷗親方との関連などについて解説している動画がありました。

 

 

本文上での考察やこの動画の内容から、相撲協会をまともな公益法人とするには第三者の介入が必要かと思います。

 

またこの件、日本の司法の劣悪な情況や外国人を大量に移民として受け入れる行政の無責任な姿勢などへの議論の材料となり得る出来事でした。(6月4日朝、追加)

 

(※OpenAIのChatGPTを活用して内容の整理・文章の校正を行いました。)

2025年5月30日金曜日

深田萌絵さんは逮捕されるのか?

深田萌絵さんの叫び声を聞いてください。

日本を乗っ取った人たちに深田さんは逮捕されるかもしれない。

 https://www.youtube.com/watch?v=nzZcYQ0nk6Y

 

 

日本国民は何とか深田さんを護るべきだ。

2025年5月29日木曜日

習近平独裁政権の危機:台湾進攻が習近平政権の起死回生の策かも!?

 

最近、中国共産党政権の習近平主席が急激に政治的求心力を失いつつあるという。そんな中で、胡錦涛前主席が中心になって習近平政権に対して内戦を覚悟の上で集団指導体制への方向転換を迫るだろうと、中国出身の張陽氏がyoutube動画上で予測している。

https://www.youtube.com/watch?v=DUhQmiKA0a0 

 


それによると、5月14日に開催された政治局拡大会議(補足1)での胡錦涛前主席のスピーチの原稿が、ネットにアップされた。その中で、政治権力を集中させる現在の体制により、鄧小平時代に取り入れられた改革開放路線が放棄され、その結果、中国は政治経済において危機に瀕していると批判している。

胡錦涛は、「改革開放路線は党と国民の選択であり、中国の運命を左右する共産党政権の根本原則である。我々は、内戦覚悟で改革開放路線を取り戻さなければならない」と同じ考えを持つ人たちに対して檄を飛ばした様である。

今後の方針としては、今年予定の第四回中央委員会全体会議(四中全会;補足2)において新しい人事構想を提案する。そして、党総書記の権限と職務範囲を制限するなどして、集団指導体制に戻どすとともに、改革開放路線を回復するように働きかける。これが大まかな内容である。

胡錦涛の檄文は、我々には逃げ道はない、歴史に我々の選択が記されるだろうだろうという言葉で終わっているという。

 

現在、習近平独裁体制下の中国は存亡の危機にあり、その危機を招いた原因と考えられる独裁的政治体制を集団指導体制に戻すこと、それにより鄧小平時代の改革開放路線を取り戻すことで乗り越えようと、命を懸けて立ち上がったのである。

ただ、張陽氏が共産党体制そのものが危機の本当の原因であることが分かっていないと批判しているように、胡錦涛も自分に都合の悪いことには気づき難いのかもしれない。超陽氏は最後に、中国軍事委員会の副主席が死亡したと発表されたことに触れ、両陣営の衝突を予期させる緊迫した情況に言及して動画を閉じている。

別のソースとしては、習近平が権力を失いつつあり、党のトップに君臨できなくなるのはほぼ確実であるとの話が、中国研究家の澁谷司氏によりyoutubeで発信されている。澁谷氏は、ウィキペディアによると元拓殖大学海外事情研究所 附属華僑研究センター長のようだ。https://www.youtube.com/watch?v=scBrj0pTrwg

 

 

ここ数年の不動産バブルの崩壊、新型コロナの時の大規模なロックダウンなどで、中国経済が危機にあることは広く理解されている。また、世界政治の混乱、トランプ政権による相互関税の問題も重なり、中国でも政治が流動的になることは十分考えられる。澁谷司氏は上の動画で、人民日報などにも習近平体制批判とも考えられる内容の記事も出ているという。

 

独裁体制が始まってから3年しか経過していないので、共産党中国の崩壊前に習近平の支配体制が危機を迎えるだろう。その場合、習近平は体制の締め付けと毛沢東に並ぶ業績作りのためにも、台湾進攻に打って出る可能性があると思う。

 

トランプ関税などによる米国の中国締め付けが、それを早める結果になるかもしれない。そうなってしまえば、戦争嫌いのトランプが火薬庫に火をつけることになる。


補足:

1)政治局拡大会議は、政治局委員(補足2参照)だけでなく有力者を含めた臨時開催の会議と考えられる。

 

2)中国の組織については、次のファイルをご覧ください。

https://www.jc-web.or.jp/files/libs/2793/202401091148447374.pdf

 

以上は一素人のメモですので、そのつもりでお読みください

 

 

2025年5月25日日曜日

コメ価格高騰の背景と対策、そして政情との関連


米の値段がこの一年間に2倍以上となり、政局にも影響してきた。今回の米の高騰が何故起ったのか不明だが、この異常な価格高騰を数か月間放置し、何の有効に対策を施せなかった自民党政権の無能さには呆れる。

ずっと前から農水省はコメが余るので輸出すべきだと考えていた。そして相当量のコメが外国に売られていたので、数年前から過剰輸出や中国人などの日本国内での買占めなどによりコメ不足発生の危険性が指摘されていた。以下の産業経済研究所の研究員の記事は、5年前に発表されている。https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/178.html

それにも関わらず、自民党国会議員たちは、コメは余るものという素人以上の理解をこれまで持たなかったのだろう。そしてコメ不足の危険性を無視し減反政策を維持してきたのは、農林族議員や農協などの既得権益層のエゴイズムの結果である。(補足1)

政府自民党は、その無能さを隠ぺいするかのように農水大臣を小泉進次郎氏に替えて米の価格を下げさせるのだろう。そして、次期総裁に彼を据えることで自民党の人気奪回をして、次期参議院議員選挙を乗り切ることを考えているのかもしれない。

小泉進次郎というポピュリスト政治家(補足2)なら、自民党農林族の反対を押し切り、強引な手法で米価格を下げることができるだろう。実際彼は、大手小売業者に直接備蓄米を随意契約で販売して、価格を下げようとしている。https://www.youtube.com/watch?v=FQzucfLINUU

 


その方法なら価格は下がるだろうし、小泉氏の政治家としての人気が一層高まる可能性が高い。しかし、特定の小売業者に随意契約で国家の備蓄米を売り、それで市場価格を下げることは法律上問題ないのだろうか? 

小泉氏は自民党にとっては劇薬的政治家であり、教科書的に強引に農政改革まで実行する可能性もある。それが回り回って日本経済の構造改革に繋がれば、日本国にとってもは良いことかもしれない。多少期待したい気持ちもある。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12870307815.html


1)日本での食料安全保障政策の在り方

日本の食料自給率はカロリーベースで40%を下回っている。そのことは、如何に理想的な農政を行ったとしても食料自給が不可能な国であることを示している。(補足3)

日本列島の人口は、明治の始めでも4000万にも満たなかった。その人口を決めていたのが食料生産量であり、それが満州や樺太に進出(侵略)した近代史の原点でもある。(補足4)

19世紀にアジアでいち早く西欧と密接な相互関係を持つことが出来た日本は、科学と工業の振興と経済のグローバル化という西欧の知恵を習得してこの弱点を克服し、日本列島での可住人口を増大させた。

それと平行して、西洋をはじめとする外国の食習慣の流入による食の多様化が日本人の一人あたりのコメ消費量を減少させた。この工業生産の発展に伴う農村からの労働力の流出、国民の所得増、そして食習慣の変化によるコメ離れは、相互補完的に進行した。

また、農業の機械化は導入されたものの、就業者は兼業農家や老人が主であり、生産性向上の努力が中途半端に放置された。消費量が減少するのでコメ生産農業に将来性を見出すことが困難だったことと、国の農業に対する法規制が近代大規模農業への改革を阻害したからである。

農村の在り方など、日本の伝統文化の維持は日本人の心の問題であり、その変化は十分緩やかでなければならない。しかし、国民経済においては国際取引に高度に依存する国であるから、その制度や構造は迅速にグローバル標準の効率化を進めなければならない。

つまり、農業の機械化はその経営の大規模化と同時に行わなければならなかった。農業だけを近代化を中途半端に残せば、日本の一般民は高いコメを食わなければならないし、農家は低い収入と高い機械化のコストを支払わなければならないからである。

そのようなフルバージョンの農業改革を行った上で、それでも発生する外国産米と国内米との価格差を関税で埋め合わせ、その関税で得た資金で農家の所得補償をするのが、本来の食料安全保障のあり方だったと思う。

 

2)国家の不安定化にはその国の主食の価格を高騰させる手法が有効である

発展途上国では、主食の価格高騰が政治不安に発展したケースが歴史上多く存在するという。youtubeのモハPチャンネルはこのことを指摘している。https://www.youtube.com/watch?v=YbJwtcLf-Rc

 

 

上の動画では、中東でのアラブの春も、主食の価格高騰が大きな役割を演じたという話が紹介されている。エジプトのムバラク政権が崩壊したことの一つの原因として小麦価格の高騰があったというのである。

主食の価格高騰は、僅かの供給量不足で起こりえる。何故なら、多少高くなっても国民は買わざるを得ないからである。一般に生活必需品は価格弾力性が低く、中でも主食の価格弾力性は最低ランクに入るのである。

これらのことから、どこかの誰かによる政治的思惑が、今回のコメ価格高騰に絡んでいる可能性は無いとは言い切れないのではないだろうか。金融経済が実物経済よりも遥かに大きくなり、金融資本が世界の政治を動かしていると考える人も多い21世紀においては、この観点からも今回のコメ価格の高騰は調査されるべきである。

因みに、2010年ころのアラブの春は、米国とイスラエルの企みであったとコロンビア大のジェフリー・サックス教授がヨーロッパ議会での演説で話した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12894476649.html

エジプト・ムバラク政権の不安定化には、主食の小さい価格弾力性と内政介入国家の豊富な金融資本が絡んでいる可能性があるかもしれない。つまりエジプトの主食価格を高騰させて政情を不安定化するなど、米国のUSAIDとCIAが組めば可能かもしれないのだ。

終わりに:

日本の農業を中国資本の参加を防止する形で大規模化することが非常に重要である。農協や自民党農林族の妨害を排除し、知性ある人物の参加を得て、小泉氏がそれを実行するのなら良い機会だろう。


補足:

1)工業化によって若手が町に出て、農業は老齢の親世代が兼業で行う。それでは生産性の高い農業など不可能である。トラクターの購入などで、仲介の農協などは儲かるが、農家はもうからない。そのように農村を従来の形に補助金などで維持することで、農水族の票田となるのである。

2)日本では人気だけで衆愚政治の方向に政治を引っ張る人達をポピュリストと呼ぶが、英語ではMob politicianというようだ。英語のpopulistは人民主義の政治家が正しい訳である。

3)宮沢賢治の詩を思い出せばわかるように、米中心の食生活で生きるには、一人一日五合の玄米が必要である。それは1年間で約0.5トン(一億2000万人なら、約年間6000万トン)にもなる。もし、食生活が改善されて一日2合で良いとしても、年間2400万トンである。現在、日本の米の生産量は年間750万トンにも満たない。そもそも日本で米の生産量を高く維持する努力をしても、外国から小麦や大豆などの輸入がなければ全人口の半分も生きていけないのである。
因みに、江戸時代の米の生産量は500万トン程度だったようだ。https://www.mbsnet.info/gc/dyn/member/gc/lohas/0701/index.html


訂正:日本人一人が一日五合のコメを365日消費すると仮定すると、日本全体での年間コメ消費量は約3240万トンになります。一人一日2合の消費だと、年間約1300万トンになります。単純な計算間違いでした。(5/28早朝)

4)そのような論理で明治の日本を牽引した薩長の背後に、同じく東アジアを勢力圏に収めたい西欧の勢力があったことはもっと議論されるべきである。それは本題ではないので、ここではスキップする。

 

(18:30編集あり;;26日夕刻2か所修正)

2025年5月22日木曜日

トランプがウクライナ戦争を他所事として片づけたい理由

 

トルコで行われていたウクライナ戦争の停戦交渉は結局まとまらなかった。その後、トランプ米大統領とプーチン露大統領が電話会談を行ったものの、やはり停戦合意には至らなかった。更に、トランプは停戦交渉の仲介を今後行わない意向を示した。


この停戦交渉決裂は見えていた。(補足1)ヨーロッパ諸国を背後に持つゼレンスキーがあまりにも傲慢であり、それは今年3月1日のホワイトハウスでの会見でも明確になっている。トランプの明確な決断が何を意味するかをこの戦争の真実を基礎に考えてみる。

 

以下は素人である筆者の想像も加えた文章であることを予めお断りしておきます。

 

 

1)ウクライナ戦争の真実と国務長官の発言

 

この戦争の真実は、ネオコン(隠れネオコン?)のマルコ・ルビオ国務長官が既に公言している。(補足2)つまり、ウクライナ戦争は、ウクライナを米国の代理とする米露間の戦争である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12899323502.html

 

この米国務長官の言葉で重要なのは、米国はウクライナ戦争の当事国であることを認めたことである。一般に、戦争で負けた側は講和の際に領土を奪われ、賠償金を支払うなどの不利な条件で条約に調印しなければならない。その当事国が米国であると、米国外交のトップが公の電波の中で言ったのである。

 

代理戦争と明言したからには、ウクライナ国民の働きと犠牲など全ての負担に対してそれを埋め合わせる義務を米国は持つ。これまで米国が出した数十兆円以上を今後支出する覚悟も必要だろう。ゼレンスキーが傲慢な姿勢で米国に対するのは、このような論理を国務長官が認めたことが背後にある。

 

ロシアに完全勝利すれば、それらの債務や賠償の話が無くなると考えるのが、米国ネオコンたちと米国とともにウクライナ代理戦争を戦ったNATO諸国の首脳たちである。

 

 

その様に考えると、マルコ・ルビオ国務長官は完全なネオコンであり、トランプ政権を対露戦争に本格参戦させるか、トランプを早期に退陣させる意図でこのような発言をした筈である。これが3月15日に書いたブログ記事の内容である。

 

ここで、簡単にウクライナ戦争を復習する。ウクライナ戦争は、歴史的にはソ連崩壊に始まるロシアと米国との新冷戦に始まる。米国によるロシア弱体化あるいは分割(或いは分解)政策であり、この紛争は2014年から大きく報じられるようになった。そして、20222月から軍隊による直接戦闘となったのである。これは一貫して米国ネオコン政権のロシア潰し戦略であり、トランプはそれへの協力を否定してきた。

2014年とは、米国務省(ビクトリア・ヌーランドの活躍が著名)やCIA、そしてネオコンのバックにいるジョージソロスなどユダヤ系資本家がウクライナを内戦状態に導き、当時のウクライナ大統領のヤヌコビッチを国外に追い出した年である。所謂マイダン革命である。

 

 

マルコ・ルビオは、トランプ政権もこの代理戦争の当事国としてこの戦争を継承する義務があると公言したつもりかもしれないが、トランプには元々そんな気は無かった。繰り返すが、代理戦争をウクライナに発注し、その結果ウクライナ人が数百万人外国に避難し、百万人が家を失い命を失ったのなら、米国がウクライナに負う債務は膨大だろう。


更に、その戦争に負けたのなら、ロシアにも賠償金を支払う必要があるだろう。そんなことはできそうにない。トランプは、恐らくマルコ・ルビオを首にしたいだろう。ただもし首にしたら、背後のネオコンたちと釣るんで何を言い出すか分からないのでそうしないのだろう。

 

トランプの取り得る戦略としては、それは過去の米国の犯罪であり、新生米国の我々にはその責任全部は負いかねるという風に居直る作戦のみだろう。つまり、現在の米国は過去の米国から決別した新生米国であると主張する作戦ある。

 

ただ、プーチンならその白を切る作戦が通用するかもしれないと考えたとしたら、二人は人間を金や財産よりも大事にするキリスト教的道徳を残していると考えたているからだろう。

 

 

2)トランプの“新生米国を印象付ける戦略”は戦後ドイツがモデル?

 

このトランプの作戦は、2025120日にこれまでの米国は終わり、自分の第二期政権から新しい米国が始まったとする姿勢を貫くことである。トランプは徹底的にこれまでのネオコン政治を否定するのは、これまでの米国の政治的遺産も債務も併せて放棄することの表明なのだろう。(補足3)

 

尚、米国ネオコン政権のこれまでの戦争については、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授がヨーロッパ議会での演説において解説している。https://www.youtube.com/watch?v=hA9qmOIUYJA


要約すれば、ソ連崩壊後の東欧でのカラー革命(ウクライナのオレンジ革命を含む)、イラク、シリアを含む中東の戦争、スーダン、ソマリア、リビアを含むアフリカの戦争はすべてアメリカが主導して引き起こしたという悍ましい内容の話である。(補足4)


これだけの戦争を行う根拠は、米国による世界覇権の継続にある。この継続の延長上にグローバルエリートたちが密かに企む世界帝国の建設が存在する。その大きな目的がなければ、世界中から憎まれる侵略行為を続ける筈はないと考えるのが普通だろう。

 

トランプは、そんな残酷な世界戦争の果てに世界帝国を築いて何になると考えたのかもしれない。彼はこの企み(グローバリストの考える新世界秩序へのグレートリセット)に明確に反対する意思を示して来た。ただ、これまで政権内のネオコン勢力に足を引っ張られるように、彼らの主張にも一定の配慮を示してきたのである。しかし、ここで明確な仕切り直しをしたようだ。(補足5)

 

トランプは、このプーチンとの電話会談後の会見で、ウクライナ戦争に対する彼の政権の姿勢を覚悟を持って明確にし、それに念を押すかのように、今後のロシアと米国の経済協力の話にまで言及している。

 

このロシアとの経済協力の話だが、これには以下の意味があると思う。つまり、これまでのロシア潰しを世界戦略の一つとしてきたネオコン米国はもう存在しない。そこで新生米国はロシアとも新たな関係を築きたいという意思の表明である。

 

そんな勝手な理屈はあるかとロシア側には言いたい人が多いだろう。ただ、知的なプーチンなら報復に次ぐ報復ではいつまでたっても平和な世界は来ないと考えて、この作戦を受け入れてくれるだろうとトランプは考えたと思う。

 

この作戦のモデルは、戦後のドイツである。現ドイツはナチスを徹底的に批判し否定することで、過去の戦争に対し賠償要求する相手は今のドイツには居ないと主張している。それ故百歳に近いユダヤ人収容施設の門番も、探し出して無慈悲に刑務所に入れるのである。

 

 

 

 

終わりに

 

戦後ドイツの姿勢は、日本の戦後とは大きく異なる。来日したドイツのメルケル首相が安倍総理に進言したのもこの“しらを切る作戦”(或いは内外に過去と決別を印象づける戦術)だと思われる。(補足6)その意味を日本人は理解しなかった。

 

つまり、過去の日本を徹底的に批判し新生日本を明確にすることで、中国や半島からの戦争責任論とその背後に控える将来の戦争や賠償要求を封じる戦略である。しかしそれは現状の日本には相当難しい。現在の天皇制を維持する限り無理であるが、それを克服することは可能である。

 

過去何度も書いているが、日本の天皇と伊勢神道は明治の富国強兵策の中で利用された。その天皇の面影が政治の中に残る限り、新生日本の演出は無理である。例えば、戦後没収された天皇家の財産を一定程度返却して、江戸時代までのように京都に皇居を移し、伊勢神道のトップとなって日本国民との関係を元に戻すという考え方はないだろうか? 

 

このまま米国が東アジアから手を引けば、日本は中国の支配下にはいる可能性が極めて高いと思う。何もしなければ、武家(国家公務員や政治家)が中国人で町人が日本人のような江戸時代の社会構成が、再び日本を支配するようになる可能性がある。

 

また、米国がネオコン支配のままなら、今のウクライナのように米国の潜在的敵国である中国潰しのために代理戦争を強いられ、数百万人が命を落とすことになるかもしれない。このまま日本人が政治音痴を続ければ、それら何れかの恐怖が日本を襲う時が来る可能性が高い。


 

補足

 

1)クリミヤまでも返せというゼレンスキーの姿勢は無知なのか馬鹿なのか? シカゴ大のミアシャイマー教授はヤケクソだと言っているようだが。。。https://www.youtube.com/watch?v=uQaMnOrKrIo

 

2)最初この話を聞いたとき、信じられなかった。何故なら、ウクライナを代理にして米国がロシアと戦争していることは本来の保守側には常識だが、それを言えばグローバリスト・ネオコン側から陰謀論のレッテルを貼られて、現在のポジションから放り出される可能性が高いからである。マルコ・ルビオがそれを言っても断罪されないのは、その背後にトランプをウクライナ戦争に巻き込むためという了解がネオコン側にあるからだろう。トランプは、マルコ・ルビオを抱き込んだのは兎に角政権を作り上げるためだろう。

 

3)ここでの義務や債務などの話は法的な話ではない。国際関係は野生の原則が支配するので、法治の原則からは程遠い世界である。しかし、歴史を動かすのは人間の感覚であり、それはこれら法的用語を用いることでより詳細に記述可能となる。

 

4)この動画での講演内容は、長周新聞により日本語に翻訳されているので、私は主にそちらで読んだ。https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34317
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34414

 

5)ここで5月2日の記事でトランプは単なるポピュリストであると書いたのは間違いであり訂正させていただく。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12899323502.html

 

6)過去の記憶で書いているので、この理解だけでは不十分かもしれない。また文献は存在するが、その思想を日本に具現化する方法とその可能性などについては触れられていない。以下の文献については評価していないが、一応今後の思考のために引用のみしておく。

 

(11:40 改題)

2025年5月17日土曜日

イオンによるカリフォルニア米輸入販売と日本の食料安全保障

コメ価格の高騰が続き、低所得者の食生活は危機に瀕している。政府は備蓄米を放出したと言っても、安いコメは一般庶民の手の届くところには来ない。そこで大手スーパーのイオンは一キロ341円の関税を支払ってカリフォルニア米を輸入し、4キロ税込み2894円で売り出すと発表した。今回の発表は、米国大使館においてジョージ・グラス大使が同席して行われた。

https://www.youtube.com/watch?v=X4gdBXIbUM4

 

 

この価格は、通常の5キロのパックでは3618円となり、現在のスーパーでの日本米の価格よりも10%以上安い。もし関税がなければ、4キロ1530円(5キロ1913円)で販売できた筈である。この関税も現在の13程度にすべきだと思う。もしこの関税が多額になれば、農政の改革に役立てることもできるだろう。農地の大規模化や農業法人としてコメ農家を再編するための資金とすればよい。

 

このイオンの英断に対して、日本の食料安全保障にとって取り返しのつかない一歩になりかねないとの意見がJBpress というビジネス関連のネット新聞に掲載された。この記事は、青沼 陽一郎氏という元テレビ記者の文章である。 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/88351

 

青沼氏は「食料植民地ニッポン」という本を出版するなど、食料政策について詳しい方のようで、今回のイオンによるコメの輸入販売を「日本の食料安全保障」の崩壊の引き金になると憂いているようだが、この方は食料安全保障という言葉を誤解している。

 

経済停滞の30年間を経験し、国民の平均給与が上昇しない中で貧富の差が拡大し、日本人全てがコメを三食食えなくなって、何が日本の食料安全保障か? そんなものはとっくに崩壊しているか、或いはそんなものは最初から存在しない。単に自民党農林族や日本全国の農協という既得権益者の打ち出の小槌を使うときの掛け声にすぎないのだ。

 

 

2)食料安全保障という思想と日本国

 

食料安全保障について外務省は、「全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能であるときに達成される状況。」と定義している。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000022442.pdf

 

例えば東シナ海などで紛争が起こり、物資の供給が滞ることになった場合、国民の食の安全は数か月の間に崩れる。日本は、米国やロシアのような食料自給が可能な国ではないのだから、食料安全保障はそれらの国々と比較して相当困難な国である。

 

その達成には、優秀な機械等の輸出品を持つことなどで外貨を稼ぐ手段を確保するとともに、円滑な貿易が可能なように国際関係を維持しなければならない。上記文章をHPに掲載しているのが外務省であり農水省でないことが、その現実を如実に語っている。
 

日本においては、食料安全保障は総合的な戦略で達成すべきことであり、単に米くらいは輸入に頼らない体制を守るべきだという簡単なことではない。そのように考えれば、米国との安定で相互に大きな不満を残さない貿易関係維持は日本の食料安全保障の要諦である。

 

今回のトランプ関税はWTO(世界貿易機構)のルールから考えれば暴挙だが、米国との貿易及び外交関係維持のためにも、日本はその暴挙を農政改革の引き金にすべきである。


 

3)日本の農政改革

 

日本のコメ生産に従事する人たちの平均年齢は70歳にもなろうと言われている。

https://losszero.jp/blogs/column/col_268

https://nechiotokoyama.jp/blog/517

 

また、2020年度の農林水産省のデータによると、専業農家の平均年収は約250万円から300万円のようだ。https://agrijob.jp/contents/myagri/rice-farmer

 

このコメ生産農家の状況を見れば、日本政府は食料安全保障に対して全く無策であったことは明らかだろう。それでありながら、コメ価格が倍になっても高関税を放置し、国民の一部に十分食べられない状況を作り出しているのだ。

 

この問題を解くことは簡単である。それは農家の経営規模の拡大であり、若い人たちが農業で将来設計が可能なように農政を改革すべきである。今こそ、農協と自民党農林族という既得権益者を日本の農政から追い出すべき時なのだ。
 

自民党議員たちには難題であるなら、参議院選挙で自民党に投票しないことが何よりの食の安全確保の手段である。

=== おわり ===
 

2025年5月9日金曜日

「信教の自由」が基本的人権として成立した経緯

1995年のオーム真理教による地下鉄サリン事件から30年経過した。あれだけの事件を引き起こした教団だが、姿を変えてはいるものの未だに活動している。その事実は、憲法に信教の自由が基本的人権として明記されていることと、哲学の伝統を持たない日本国民がそれを教条主義的に信じていることと深く関係しているだろう。そこで、この信教の自由の問題を少し考えてみる。

 

「宗教」には二つのタイプがある。一つは個人が生と死と人生を考える中で磨き上げた知恵に関する、例えば仏教のような個人的宗教と、民族や集団が生存と繁栄のために団結する旗頭として生まれた社会的な宗教である。

 

 

社会を分断に導き、教義の延長上で社会的活動に繋がる可能性のある後者の宗教に関しては、国家は無批判に「信教の自由」を保障するべきではない。

 

ここでは、この信教の自由が基本的人権として成立する歴史を考え、そのような考察をする方々への材料としたい。以下は、本ブログ筆者の仮説を出発点とした議論を、チャットGPTが整理しまとめたものである。筆者の本記事を書く意図と、以下の文章のニアンスが若干異なるのは、チャットGPTは現在の主流の考え方を踏襲しているからである。

 

兎に角、一素人の考えとしてお読みいただきたい。

 

信教の自由はなぜ「基本的人権」なのか──少数者が作った普遍の理念


※本記事は筆者の宗教観に基づいた仮説を出発点に、OpenAIのChatGPTによる構成整理・歴史的補足を加えて再構成したものです。筆者が提示した宗教の二類型や歴史的仮説をもとに、ChatGPTが資料の整理・文体調整・論理補強を行っています。
ーーーーーーーーーー
 

◆ 序章:信教の自由は誰のためのものか?


「信教の自由は基本的人権である」──この言葉は、多くの国の憲法や国際人権規約に明記されています。しかし、冷静に考えてみると、宗教がしばしば戦争や対立の原因になってきたことを思えば、なぜこれが「自由」や「人権」として特別に守られているのか、不思議に感じる方もいるかもしれません。

この記事では、宗教というものの性質を改めて見直しながら、信教の自由がどのように「国際的常識」になったのか、そしてその背景にあった少数者たちの歴史的な努力について考察していきます。

◆ 宗教には「個人的」と「社会的」の二種類がある
 

筆者の考えでは、宗教は大きく次の二種類に分けることができます。

個人的な宗教:死や苦しみと向き合いながら「どう生きるか」を考える内面的な宗教。仏教などが代表です。


社会的な宗教:集団や種族の結束、統治のために発展した宗教。ユダヤ教・キリスト教・イスラム教などの一神教が代表です。

後者は「神」を中心に据えることで集団の統一を図るため、政治・民族との結びつきが強くなります。そのため、「信教の自由」を主張することは、時に社会秩序への挑戦として受け止められ、争いの火種になることもあります。

◆ 歴史の中で育まれた「信仰の自由」


現代における信教の自由の理念は、長い歴史の中で少しずつ形作られてきました。以下、簡単にその流れを見ていきます。

◇ 宗教改革と宗教戦争


16世紀、ヨーロッパで宗教改革が始まり、個人が自分の信仰を選ぶという考え方が生まれました。しかし、実際にはカトリックとプロテスタントの激しい争いが続き、三十年戦争のような大規模な宗教戦争を引き起こしました。

この時期の「信仰の自由」とは、どちらか一方に従うのではなく、血を流さずに共存するための政治的妥協だったのです。

◇ 啓蒙思想とユダヤ人の知的貢献


17〜18世紀、啓蒙思想のもとで「信教の自由」は理性に基づく権利として理論化されていきます。ここで注目すべきは、長年差別されてきたユダヤ人というマイノリティの存在です。

ユダヤ人たちは知性・教育・経済的な力を武器に、理論的にも実務的にも社会に大きな貢献を果たしていきます。特に、モーゼス・メンデルスゾーンのようなユダヤ系思想家は、信仰と理性の共存を主張し、多様な社会の礎を築く重要な役割を果たしました。

◇ アメリカ建国と制度としての自由


アメリカ合衆国の建国者たちの多くは、宗教的少数派でした。彼らは、異なる宗教を持つ人々が共存するために「政教分離」と「信教の自由」を憲法に明記しました(憲法修正第1条)。これは、単なる理想ではなく、多様性の中で社会を維持するための現実的な戦略でもありました。

◇ ホロコーストと国際化された人権


第二次世界大戦では、ユダヤ人をはじめとする宗教的・民族的マイノリティがナチスによって徹底的に迫害されました。この悲劇の後、国際社会は「信教の自由は人類共通の基本権である」と強く意識するようになります。

1948年に採択された世界人権宣言第18条には、信教の自由が明記されました。この動きには、ユダヤ系の法学者や国際機関の専門家たちが深く関わっており、彼らの知性と経験が国際的価値観を形成する原動力となったのです。

◆ 結びに:少数派が作った「普遍の原則」


信教の自由は、もともと「多数派のための自由」ではありませんでした。むしろそれは、歴史の中で抑圧され続けた少数派が、生き延び、尊厳を守るために闘い抜いて手にした理念です。

それゆえ、この自由は単なる理想主義ではなく、現実の痛みと知恵から生まれた普遍的価値なのです。私たちが今日、信教の自由を当然のように享受しているのは、過去のマイノリティの苦闘と貢献の上に立っていることを忘れてはならないでしょう。

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【筆者の視点】
筆者の宗教観に基づいた「宗教の二分類」および、宗教的マイノリティの役割に関する仮説が、本記事の出発点となっています。

【AI支援について】
記事の構成、歴史的背景の整理、文章の調整等にはOpenAIのChatGPTの協力を得ています。

 

(以上)

2025年5月6日火曜日

YOUTUBE等SNSでインフルエンサーとなった人たちによる偽情報のばら撒き

youtube等のSNSでは、その分野の専門家でなくてもインフルエンサーとなって様々な言論を映像に乗せて公表することが出来る。それは知識を広めたいという善意でなされたとしても、受け手が一人の素人の観察・知識・意見であるとの了解を持たなければ、善意の目的に反してむしろ危険である。

また権威ある専門家でも、一般公衆に知識を広めると言うこと以外の動機、例えば政治的動機のもとになされれば、歪んだ情報は真実の外装を伴って広く伝搬される危険性がある。インターネットを手にした人類は、非常に高い情報伝達効率を実現したが、それに翻弄されない為には、受信者はより慎重な姿勢と情報浄化能力を持たねばならない。

 

受信側がSNSへの対応能力を持たなければ、そこでのやり取りから一般市民の意見が沸騰し、社会を混乱に導く可能性がある。本ブログ記事は、その危険性への警戒の必要性を示すためである。

一つの例をあげる。youtubeで主に政治分野のインフルエンサーとなった茂木誠氏とジェイソンモーガン氏の著作「西洋哲学入門」が別のあるyoutuberによって紹介されていた。その紹介動画によると、たいへん興味ある題材に関する本なのだが、誤解を招く部分も非常に多いと思った。(補足1https://www.youtube.com/watch?v=xfh18CPrlnk

 

 

この本は、二人のyoutuberの対談本であり、SNSの延長上にある本と考えられる。その紹介された内容から、二人の哲学や宗教に関するyoutubeでの会話(補足2)に、「西洋哲学入門」という表題を付けて出版し売り出したように思われ、そのような題名を付ける傲慢さにあきれる。

 

勿論その責任の大きな部分は出版社にもあるのだろうが、やはり最終責任は著者が負うべきである。youtubeでの配信の感覚で出版されたのだろうが、ここで紹介された本を哲学入門書と思って買った人はとんだ思い違いをしていることになる。

二つだけコメントをアップしたので再掲する。この動画の17分頃のジェイソン・モーガン氏の科学と科学者についての誤解に対して、そしてもう一つは4分半頃からの哲学と宗教を混同した議論に対して、それぞれコメントした。(コメントの当否は動画を視聴して判断してもらいたい)

コメント1: (17分から)

「科学とは何か」と言うことを科学者自身が忘れているようです。今日では科学は宗教的になりました。」なんて、無茶苦茶な議論です。確かに科学を誤解している人もいるだろう。しかし、それは科学の責任でも科学者一般の責任でもない。馬鹿な科学者もいるだろうが、そんな安易な一般化は有害無益である。

 

二人は、政治の混乱を文明の問題としてしまっているのである。政治的に動く科学的知識を持った人物の行動や運動を科学の責任とすることにより、その政治運動に正しく対応すべく行動している者たちを邪魔することになると思う。

コメント2:(4分30秒から)

ここでの紹介どおりなら、お二人の著者は哲学を理解していない。哲学は宗教と違って真理を前提としないし求めもしない。そして知識においてパーフェクトを目指すとしても、その時点での知識をパーフェクトだとは考えない。改善が可能だと考える。特定の神を否定するとしても、神という概念を否定しない。仮説をたてるが、それは真実とはしない。

イオニア学派の延長上にあるニュートンの自然哲学を例にとると、万有引力の法則は真理ではなく単なる仮説である。真理を前提としない自然哲学、つまり科学は、その姿勢故に量子力学を生み出し、近現代の科学技術の基礎となった。その恩恵を受けていながら、それを病の元だというのは全くおかしい。

 

尚、これまでお二人の政治活動家としての意見をyoutubeで聴き、日本の為に良い活動をされていると思っている。それだけに、このような内容の文章を書くのは残念である。兎に角、反対意見を聴き、それについて議論することが、真実を目指す唯一の方法である。傲慢であってはならないと思う。

補足:

1)このyoutube動画に対して、原著者と思われる方からのお礼のメッセージとそれへの返答がコメント欄にあり、紹介内容が原著者の期待通りだったように思われる。

 

2)この本は二人の複数のyoutube動画での会話をまとめて整理したものだと思う。それらの一つは:https://www.youtube.com/watch?v=jTIuBNVHtis 

 

==== 13:00編集 ====

 

 

 

2025年5月2日金曜日

トランプを失敗に導く閣内ネオCたち

トランプ政権からイーロン・マス氏が去ることで、政権内部の戦争屋ネオC(neo-conservative)勢力のシェアが高くなる。その結果、トランプ政治が経済政策でも国際政治でも当初の発言とは異なる方向に進む確率が高くなってきた。

 

 

経済では、トランプの相互関税の考え方は、現在の高度な技術で成り立つ産業とそれが能率よく働く環境である現在の世界経済体制(WTO体制)とは矛盾し、トランプが強権的にこの方向を進めば、世界経済を破綻に導く可能性が高い。(46日の記事)https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12892765634.html

 

このトランプ関税に関する最初の記事以降においては、基軸通貨としてのドルの防衛や安全保障のための製造業再興などというこの政策の意味を考えたが、それらに対する深い戦略はトランプには無かった可能性が大きい。トランプは単なるポピュリストなのだろう。
 

そのように思うようになったのは、トランプ政権がウクライナとのレアアース資源の共同開発に同意し、今後ウクライナの軍事支援に向かう可能性が出てきたことである。https://www.yomiuri.co.jp/world/20250501-OYT1T50160/

 

採算が取れるかどうか分からないようなウクライナの鉱物資源の開発に、ゼレンスキーの目論見通りに米国が真面に取り組む姿勢は、ロシアとの戦争に本格的に関わることを意味している。

 

この時点までゼレンスキーを正規の大統領として認めるトランプの資源外交は、二重に愚かである。一つは、採算面の考察が十分なされていない可能性が高いこと;二つ目には、ゼレンスキーが大統領のままでは、東部四州にあるレアアース開発などでプーチン・ロシアと衝突する可能性が高いことである。

 

その延長上に、第三次世界大戦に進む可能性も再び浮上してきたと思う。そうなれば、トランプは一緒にロシア潰しを再開するべく、もう一度NATOを強化するのだろうか?
 

2)エマニュエル・トッドとジム・ロジャーズが語るトランプ関税政策

 

エマニュエル・トッド氏は、池上彰氏との対談で「日本は今後核武装をした上で何もしないことを勧める」という言った。これは、米国との同盟関係を薄くしていくことを勧めるという意味だろう。(補足1)

 

米国が今後、世界の政治経済を破壊する渦の中心となっていくなら、それが最も重要な採るべき戦略だろう。しかし、残念ながら日本人には核兵器を持つ決断など出来そうにないし、日本の政治家に米国べったりの外交を止めさせるのは無理だろう。

 

トッド氏は、トランプの関税政策が失敗する理由をわかりやすく解説している。世界の基軸通貨発行国という立場で発展した米国の金融業は、製造業を荒廃させることに繋がったというのである。そして今や米国は、金融家の住処であり、技術者がそれと同等に評価される国にはなり得ない。

 

その製造業を再興すべきだというトランプの直観は正しいとしても、諸外国に対し暴力的姿勢で高関税政策を用いることでは目的は達成されないと話す。トランプの保護主義は、知性もそれに基づく慎重さもなく、おそらく失敗するだろうと話している。https://www.youtube.com/watch?v=POBnU-knw_E

 

 

更に、トッド氏は今後米国はウクライナにおいても、米国の政治と産業の敗北という意味を持つと話す。


これまで、ベトナムやアフガニスタンなどで米国は敗北をしてきたが、米国にとっては民族内外の争いへの介入失敗として片づけられる敗北だった。しかし今回のウクライナ戦争は、ウクライナを雇って戦った米国とロシアとの本格的戦争であり、それに失敗することは歴史上初めての米国の敗戦ということになる。

 

その大きな原因の一つは米国の製造業の衰退であると話す。つまり、武器の開発競争でもロシアの後塵を拝することになったと考えるべきだと言うのである。

 

更に、世界の三大投資家の一人として名高いジム・ロジャーズ氏も、今後数年内に世界経済は困難に陥るだろうと話す。トランプの米国製造業の復興を目指しての関税政策は、世界経済を停滞させ、それが米国にも波及すると話す。https://www.youtube.com/watch?v=fDemZJp6v5k

 

 

 

3)米国ネオCが根を張りつつあるトランプ政権

 

上に引用の話の中で、ジム・ロジャーズは、教え子とも言えるイエール大学の後輩のスコット・ベッセント氏(財務長官)について、彼は優秀な人物だったと話している。イエール大学といえば、スカル&ボーズの会員(補足2)を含め米国のネオCの方々が多く卒業している。

 

ベッセント財務長官はその経歴からもネオCであると思われる。ジョージ・ソロスの配下として金融界で活躍したベッセント氏は、何もかも承知の上でトランプの関税政策に協力している可能性が高い。無能なイエスマンである筈はないだろう。

 

今回のウクライナ戦争で、トランプ政権を停戦の方向から戦争継続の方向に軌道修正させるべく働いているマルコ・ルビオ国務長官も、本質はネオCだろう。

 

 

彼らの力が徐々にトランプ政権下の米国を戦争から米国自壊へと導くグローバリストの既定路線に導いているように見える。
 

以上は、元理系研究者という素人による観測ですので、文系を専門とする方のコメントを頂ければ幸いです。

 

 

補足

 

1)キッシンジャーの発言を味わうべきである。彼はベトナム戦争のあとで、「アメリカの敵になることは危険かもしれないが、友人になることは致命的である」と語った。この言葉を今深く味わっているのはウクライナの人たちだろう。そして、そのあと同じ言葉を深く味わうのは日本人かもしれない。

 

 

2)スカル&ボーンズ(髑髏と骨)はイエール大学の秘密クラブで、ブッシュ大統領やその一族もその出身である。歴代CIA長官も、その秘密結社の出身者(ボーンズマン)が就任しているという。

(翌早朝2、3の修正の後最終稿)

2025年4月29日火曜日

人間と社会における本音と建前の役割:どちらも大事である。

前書き: 人の言葉に関して、「人間と社会における表と裏の別は大切である」との表題で2016年に書いた文を再録する。個人の言葉を考えたとき、表とはパブリック(追補1)な場で語られる言葉(建前)である。裏とは表以外であり、本能に基づく感情や感覚と区別なく存在する心の中の言葉(本音)である。したがって、その人の実際の行動は本音と建前の混合として現れる。

 

国家の声明(言葉)にも表と裏の別は存在することは、今や常識だろう。しかし、この区別を思想としてまとめたものは我が日本国には無いのではないだろうか。政治もやはり、国家の本音と建前の混合として現れる。これまでの建前を維持すべきだと考えるのが保守であり、現実から生じる本音に配慮して新しい建前を組むべきだと考えるのが革新だろう。

 

例えば、米国カリフォルニアでは950ドル以下の盗みは軽犯罪として扱うという規則は革新の暴走と言えるが、その背後には本音としての“放置できない異常な貧富の差”が存在する。 これを単に米国民主党は狂っていると考えるのは間違いで、現実に即応しようと動く米国の政治に学ぶべきである。

 

そして更に、国際政治を考えるときにこそ、本音と建前の役割を知ることが重要である。国際法という古い建前を持ち出す議論しかできない日本の評論家は〇〇である。

 

追補: パブリック(英語のpublic)は、公衆の面前位の意味であり、英語辞書で調べると"open to general observation" とある。

 

== 以下に2016年の文章を引用する ==

 

1)人間は言葉を話す唯一の生物である(補足1)。言葉を話すことにより人間に表裏ができた。発した言葉が表で心の中が裏である。「表裏(おもてとうら)の無い人」と言う言葉がある。「表裏の無い人」は表裏の違い、つまり、表で発せられた約束などの言葉と実際の行動とのずれ(補足2)の無い人を褒める言葉である。

 

そのような人は当然立派で褒めるに価する人ではある。その人は自分の発した言葉に責任を持つ人であるが、表裏が無いわけではない。一般に「表裏の無い人」というのは、本音は別にあってもそれを制御して、社会の中での自分の責任を承知し、それを果たす人のことである。上記タイトルの意味は、この表裏の差は本質的なものであり、むしろなくしてはならないという意味である。

 

直接関係はないが、細胞の内外(表裏)で大きなナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度差がある。この表裏の差が神経での信号伝達など生物の命を支えているのである。生命は、そして人間の体も心も、そのように作られている。

 

人間の生活に目を転じても、表と裏や“ハレとケ”の区別が社会の構造を支えてきた。しかしそれが、経済発展とともに氷解するようになくなりつつある。個人も社会も、暑くなって衣服を脱ぎ捨てるように、表と裏の差もハレとケの区別もなくそうとしている。小泉内閣のとき、国会でもノーネクタイがクールビズとかなんとか言って推奨されたのもその一例である。

 

もう一つの重要な例が、性(セックス)が表の世界にしゃしゃり出たことである。性は人間にとって個人の裏(内部)に封じ込めておくべきことだったが、それが上記社会の変化に伴って、大手を振って外に出てきたのである。細胞内のカリウムイオンのように家庭の夫婦間に性を封じ込め、外での濃度を低く保つことが、人間にとっての性の意味とポテンシャルを維持しつつ、性のモラルを保つことになるのである(補足3)。それにより家庭という細胞の崩壊を防いで来たのだが、最近は家庭や家族の価値も低下する方向にある(補足4)。それは社会の崩壊の始まりである。

 

昨今、その人類が築いた知恵をないがしろにする場面を屡々テレビなどでも見る。外国に来て職をもらい、テレビに出演させてもらいながら、不埒な発言をする人物もいる(補足5)。

 

2)一旦発した言葉に責任を持つと同時に、他人が発した言葉をそのまま受け取りその人の意思の表明と考えるのが、先進社会のルールである。しかし、言葉に信用を置けない社会では、社会のあらゆる機能:経済行為、契約行為、行政から司法までの国家の行為、さらに外交関係にまで、障害が生じる。外交でどちらにでも取れるような言葉を多用する日本国は、その点では後進国である。

 

言葉に信用が十分おけない社会とは、絶縁のとれていない基盤の上に組んだ電子装置のようなものである。少しでも漏電するような装置は満足に動くはずがない。社会機能を保つのは、人間の言葉の信用であり、それは屡々本音の一部を心の中でフィルターにかけることで保たれる。つまり、本音と建前を分離して、互いに建前を大事にすることが社会の機能を保障するのである。

 

 しかし、言葉には常に意味の広がりや曖昧さが伴うので、正確な意味を互いに確認する作業が、混乱を避けるために必要である。そして、その言葉使いの歴史が、言葉を育ててきたのだろう。

 

3)同様のことが国家と国民の関係でもいえると思う。民主主義国家では、国民が国家の最高機関である国会の構成員を選び、その国会からあるいは別途選挙で行政府の長を選ぶ。その行政府の長が政府の上層部の人事を決定する。そして、国民の前に見せる国家の姿(表の姿)は、主に政府が発する言葉とデータである。

 

しかし、裏から見た国家の姿は大きくことなる。政府内部で実質的に多くの企画や戦略策定などの仕事をしているのは、官僚である。官僚に対して情報を持ち込むのは、諜報機関(CIA, M16, KGBなど)や国家戦略研究所などのシンクタンク(補足6)などである。更に手足となる軍隊や警察などの組織もある。政府の発する言葉やデータ(つまり実績)を選挙民は選挙における投票の材料にするが、それらは上記の政府機関全体が作ったものである。 

 

選挙民である国民は、政治の主人公というより客である。選挙で行うのは、政府の出したメニューに対する選択あるいは可否の判断である。その判断が的確であれば、政府はより国民の期待する方向に成長するだろう。それは、客の舌が肥えて来れば、料亭の料理人の腕が上がるのと相似形である。いちいち厨房に行って、内部を見る客はいない。 

 

従って、この国家内部からみた官僚組織、諜報機関やシンクタンク、軍隊組織などが、それらしく成長していなければ、民主主義政治は混乱するだけだろう。アラブの春の失敗は最初から予想されていたはずである。その時点までに、国民からのフィードバックを政府が取り入れるプロセスを経験していなければ、混乱するだけだ。 

 

補足:

1)他の動物では行動の延長上に発する声があるが、それは論理を伴う言葉ではない。論理がなければ嘘も真もなく、表裏も生じない。つまり、唯一人間のみが裏表のある動物である。

2)100円と1ドルの差は、ドルを円に換算しないと取れない。上の例では、言動から予想される行動と実際の行動の差でも良い。単純なことのようだが、本当は簡単ではない。例えば、「拉致問題解決のために全力を尽くす」という言葉と、北朝鮮の国連制裁決議の発議国となるという行動は、言行不一致に思える。つまり、表のことばと異なり、「拉致問題を軽視する」のが現政権の裏だと思う。しかし、行動から裏の言葉に変換するには知識がひつようだからである。

3)最近の性の乱れと同時に草食系と言われる人々の出現の理由は、この文章で自ずと明らかである。

4)下重暁子という元NHKアナウンサーの書いた「家族という病」が非常に良く売れている。

5)3日ほど前、朝のテレビ番組ビビットで金慶珠という怪しげな人が、「セックスもすてき」ということを雑談に紛れていっていた。こんな女に日本の電波が穢されることに不快感を感じた記憶がある。

6)米国のシンクタンクのリストがあった。https://www.spc.jst.go.jp/link/under/list_usa.html

== EOF (編集あり)==

2025年4月23日水曜日

イエズス会所属ローマ法王の逝去で世界は変わるのか?

ローマ法王フランシスコが一昨日の4月21日に死去した。youtuberLizzy channelは、彼は2013年にイエズス会出身者として歴史上始めてローマ法王になり、国際政治における左翼側のグローバリスト勢力を応援してきたことなど、批判的に解説している。https://www.youtube.com/watch?v=2ennCTeux-g

 

 

例えば、法王フランシスコは同性カップルへの祝福を認める(または推進する)など、カトリックをLGBTへ配慮する方向に導いてきたことで、世界中のカトリック教徒の考え方を乱した。

 

また、性犯罪がカトリック教会の中で行われてきたことを大々的に暴露し、世界中で一般人の関心を集めた。(補足1)

 

例えば201725日、ローマ法王フランシスコは、教会の男性聖職者が修道女を性的に暴行する問題が継続中であり、性奴隷扱いしていたケースもあると認めた。これはその組織のトップの行為としてはいささか不自然なほど正直であるため、偽善を感じる人も多いだろう。https://www.bbc.com/japanese/47140076

 

更に202110月3日、キリスト教カトリック教会の関係者による虐待行為を調査する独立委員会のトップは1950年以降、フランス・カトリック教会内で数千人の小児性愛者が活動していたと明らかにした。https://www.bbc.com/japanese/58784328

 

これらの報道で注目すべきは、カトリックが堕落しているということもあるが、それを何故調査のための組織を自ら組み、大々的に公表するのかということである。更に、グローバリストの報道機関トップともいえるBBCが何故、次々とこのような報道をするのかということである。この疑問に対する答えを用意することが本稿を記す動機である。


 

2)イエズス会の法王は宗教のグレートリセットを企んできた

 

上記疑問に対する説得力ある答えは反グローバリストとして活躍中の河添恵子氏によって既に与えられている。河添氏によれば、イエズス会は1543年にカトリックを脅かすプロテスタントと戦うために作られた軍隊的組織であり、キリスト教の一派とは思えないような側面があるという。

 

 

実際、16世紀の信長の時代にキリスト教の布教の形で日本に渡来した。しかしその目的は、南北アメリカ大陸などを植民地化したのと同様に、日本を植民地化する予定だったのだろう。実際彼らは、日本でも婦女子を南方に売り渡して金を稼いでいた。

 

しかし、日本は武士の国であり、高い戦闘能力と賢明なリーダーを擁していた。時の権力者だった豊臣秀吉は、イエズス会にとりこまれた伴天連大名を成敗するとともに、イエズス会の者たちを日本から追い出した。https://president.jp/articles/-/59341?page=1

 

河添氏によれば、イエズス会は世界で戦争を引き起こす活動をしてきており、カトリックの一派というよりも、カトリックや世界の宗教を破壊するために活動をしてきたと言っている。(補足2)このイエズス会に対する河添氏の考え方が、上記疑問の答えになっているのである。


つまりイエズス会所属の神父がバチカンを乗っ取り、一部の神父の性犯罪をまるでカトリックの本性のように公表し、BBCというグローバリストのスポークスマン的報道機関によって世界に向けて大々的に報道したことの目的は、カトリックを破壊することであると分析される。

 

通常組織のトップは、組織内の不祥事を拡声器で発表するようなことはしないで、その組織の原点に立って再建に動く。カトリックの原点とは、イエス・キリストである。彼らはイエス・キリストの教えに反して、ユダヤの律法を執行するがごとき対応を行ったのである。(補足3)

 

及川幸久氏のローマ法王フランシスコへの評価も引用する。https://www.youtube.com/watch?v=_GoQv_RnHUk

及川氏は、youtube動画でローマ法王フランシスコはキリスト教をリセットする(つまり潰す)活動をしてきたと言っている。そして、経済をリセットすると言っていたクラウス・シュワブのグレートリセットを支持してきたというのである。流石、16世紀から植民地支配の尖兵となってきたイエズス会の方だということになるのだろう。

 

因みに、ローマ法王死去の翌日、クラウス・シュワブは世界経済フォーラム会長からの辞任を表明した。このことは、ローマ法王フランシスコとクラウス・シュワブの深い関係を象徴する出来事である。https://www.youtube.com/watch?v=_GoQv_RnHUk&t=809s
 

今後世界がグローバリストの企みを挫く方向にすすむかどうか注目したい。トランプがあまりにも急激にMAGAの方向に急ぐと、この流れはゼンマイバネの逆回転のようにグローバリストに味方する可能性もあるだろう。トランプにはもっと賢明になってもらいたい。トランプの時間軸と世界史の時間軸は桁が違うのだ。


 

補足:

 

1)それら性犯罪が個人的な犯罪だったなら、それは教皇自らが告発する形でBBCを通じて世界に宣伝するほどのことでないかもしれない。つまり、警察官による窃盗事件などもいくらでも存在する。この教皇公表とBBCの報道は、それら犯罪がカトリックという組織に固有な、あるいは組織的な犯罪のように人々に思わせる可能性が高い。

 

2)第二次大戦後の世界の戦争の多くは米国によって引き起こされてきたのだが、その背後に米国のグローバリストであるロックフェラー家、ロスチャイルド家、モルガン家などが居たと考えられ、彼らはほとんどイエズス会の所属だというのである。また、実行部隊の中心である米国のペンタゴンの中枢にいるイエズス会所属者がその力を発揮していると言う。https://www.youtube.com/watch?v=i21c4NYS5Yg


3)そのヒントはヨハネによる福音書8章にある。弟子たちに教えていたイエスのところにユダヤの律法を信じる者たち(つまりユダヤ人)が、姦淫をした女を連れてきて「モーセは律法の中でこのような女は石で打ち殺せと命じましたがあなたはどう思いますか」と言った。イエスは罪を憎みながらその女を赦したのである。 https://www.wordproject.org/bibles/jp/43/8.htm

===(17:00編集;4月24日午後、織田信長=>豊臣秀吉に修正。)===

2025年4月19日土曜日

トランプ革命と米ドル基軸体制についてのまとめ

トランプ大統領の関税政策は、ドル基軸通貨体制の崩壊への備えだという考え方が正しいだろう。ドル基軸体制の維持は、グローバリストたちにとっても、米国を利用して世界帝国を実現するまで必須である。ただ、彼らは世界支配が完了すれば米国も米ドルも不要である点が、トランプの姿勢とは根本的に異なる。

 

1)トランプはドル基軸体制崩壊前に米国を外国に依存しない強大な独立国に再建しようとしている

 

篠原信と言う方がJBpressという雑誌に“同盟国にも関税かけ軍費増大を求めるトランプ、全ては「ペトロダラー・システムの終焉」を見越しての判断か”という記事を著している。ここで、ペトロダラー・システムとは石油決済を利用した米ドル基軸通貨体制を維持するための体制である。https://news.yahoo.co.jp/articles/

 

米国はグローバリストたちが世界支配のための活動で蓄積した36兆ドルという莫大な国債残高をもっている。そしてその1/4は外国保有である。それらはドル基軸体制でのみ特別な意味を持つが、ドル基軸体制(ペトロダラーシステム)が崩壊すれば、その時点で価値がかなり下落する可能性がある。(補足1)

 

 

従って、米ドル基軸通貨体制が崩壊する危険性を市場が感じると、米国債とその他の米ドル建債券が売りに出され、米国は金利高騰からドル安そして輸入物価の高騰という困難を迎えることなる。最近のトリプル安(株安、国債安、ドル安)は、その危険性の暗示というか、既にその兆候が現れているかも知れないと当事者は心配しているだろう。

 

通常は、国債と株は資金を分け合う関係にあるので、同時に下がることはあまりない。トリプル安が持続すれば、それは米国売りを意味しており、米国にとっては国難だろう。しかし今回は後に述べるように一過性のもので本当の米国売りは始まっていないだろう。(補足2)

 

トランプはドル基軸体制下でグローバリストたちが作り上げた世界一の消費市場の米国を利用して、それが崩壊しないうちに強国米国を再現しようとしているのである。一方、グローバリストたちはもともと無国籍なので産業の空洞化とか貧富の差の異常な拡大等が発生しても大きな問題ではなく、米国が一つの独立国としての体を喪失することも顧みず世界の政治支配を急いでいるようだ。

 

一方米国民を大事に考えるトランプ大統領は、ドルの価値が崩落しない内に独立国に必須の物品等を輸入に頼らず、自国で作る体制を整えるべきだと考え、その方法として相互関税を考えたのだと考えられる。(補足3)

 

米ドルを脅かすのは差し当たりBRICS通貨かもしれない。その創生の中心と考えられているのは実質経済力が米国に勝るとも言われる中国であり、米国が最大の貿易赤字を出しているのは貿易相手国である。トランプ関税が中国を第一の対象とするのは当然である。(https://www.youtube.com/watch?v=CHY2dKlNaol)

 

しかし、基軸通貨を作るのは世界から高い信用を得なければならず、大変困難な道であるので、米国が世界随一の覇権国家である限り、しばらくは経済活動に便利に整備されている米ドル基軸体制の崩壊はないだろう。


 

2)グローバリストたちによるペトロダラー創成と米国の世界覇権戦争

 

米国は20世紀の後半から世界のリーダーとして世界中で軍事オペレーションを展開してきた。それらのうちイラクやリビアでの戦争は、米ドルを石油決済専用通貨としてサウジアラビアに約束させ、その体制に従わないようなアラブの政権転覆のための戦争だと考えられてきた。(補足4)それにより金本位制を放棄した後も、米ドルが国際決済通貨としての地位を保つことになった。

 

また、ソ連崩壊後のカラー革命への米国の関与は、ヨーロッパでの米国の覇権をより確実なものとするためだったと解釈される。しかし、米国の戦争に対するこの分類はおそらく表面的であり、イラクやリビアでの戦争も東欧でのカラー革命のような戦争も、根は同じなのだろう。

 

最近、ヨーロッパ議会で行った講演でコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は、ソ連崩壊後の東欧でのカラー革命(ウクライナのオレンジ革命を含む)、イラク、シリアを含む中東の戦争、スーダン、ソマリア、リビアを含むアフリカの戦争はすべてアメリカが主導して引き起こしたと話している。(補足5)

 

それは、イデオロギーからではなく、東欧各国の顧問などを務めた自分の体験からの認識であると話している。サックス教授はウクライナ戦争の経緯も詳細に語っており、それはこれまで本ブログサイトで書いてきたこととほぼ同じである。

 

https://www.youtube.com/watch?v=hA9qmOIUYJA

 

ジェフリーサックス教授は、中東での米国の戦争は全てイスラエルにとっての理想の中東を建設するために、イスラエルロビーとネタニヤフが米国にさせた戦争であると上に紹介の講演で語っている。つまり、イラク戦争などは米国をイスラエルの代理に採用した代理戦争だというのである。中東での戦争は、要するに米国とイスラエルの覇権を確立するためのもので、ペトロダラーは重要なその産物なのだろう。

 

要するにイスラエルとネオコンなどの支配する米国は一つの権力の二つの顔なのだろう。このような米国の過去の国際政治は、民主党の政権であっても共和党の政権であっても同じである。やはりグローバリストと米国内のイスラエルロビー、そしてイスラエル国のシオニストたちとは、20世紀を通して関係が深まったと想像される。

 

つまり、ドル基軸体制を今後も維持し、最終的には世界帝国を建設するために米国を利用するためである。ここで米国を利用するのは、元々心理的には無国籍のグローバルエリートの金融資本家たちを表に持つ、上に書いた巨大で強固なこれまでの米国とイスラエルの共同体的組織なのだろう。彼らは「通貨を牛耳るものは世界を牛耳る」を金科玉条とする人たちである。

 

その米国と完全に対立する姿勢のトランプは、やはり反グローバリストなのだろう。本ブログサイトではずっとそのように評価してきたのだが、最近になって大統領選後の組閣やウクライナ戦争におけるマルコ・ルビオとウクライナのサウジでの会見などを見て、その評価が揺らいできたのだが、やはり間違いないだろう。

 

彼らグローバリストが安心して気を抜ける瞬間は世界帝国が完成したときである。それを目指したレーニンとトロツキーは、ロシア(厳密にはジョージア)の現地人スターリンにソ連を掠め取られてしまった。今回の戦いは二度目の世界帝国への挑戦である。それを掠め取ろうとしているのがトランプだと言えるだろう。


 

3)トランプはグローバリストが占拠している偉大な米国を取り返すつもりだろう

 

トランプはイスラエルの味方で、ネタニヤフとも親密な態度をとってきた。従って、これまでのグローバリストたちが地下深くから指揮した米国の政治を完全否定する訳ではない。トランプは、多くのドル資金と犠牲者を出すこれまでの戦略を批判しているが、それは多くの犠牲と資金を無駄に使ってきたと考えているのである。トランプの公約のMAGA(偉大な米国を建設しよう;米国第一)は、世界帝国の実現と隣り合わせである。

 

トランプは民族主義者というよりも、上の動画でジェフリー・サックス教授が言うように帝国主義者に近いと思う。トランプは表舞台で覇権主義的である点が、グローバリストたちとは異なる。そしてトランプの目的も、アメリカを強力にするのは同じだが、世界帝国の実現までアメリカを引っ張ることは考えていないだろう。つまり米国人のための主権国家アメリカの確立へ舵を切ると思う。

 

これまでの米国の政治により、世界中の国々には反米勢力が一定の政治勢力として存在する。そして、既に上に述べたように世界経済における米国の優位性が減少している現在、世界の金融における米国のドルの覇権も長くは持たない。トランプは仮にドルが基軸通貨でなくなっても、大きなドル安にはならないように国際収支及び財政の黒字化を考えて、DOGEによる政府効率化と関税による製造業の米国内回帰を目指しているのだろう。

 

グローバリストたちは通貨と情報の支配から世界帝国を築く努力をしている。一方トランプは、米国という世界一の消費市場を利用して、米国に製造業を呼び戻し強力な米国の再建を目指している。トランプは、グローバリストの世界帝国樹立の企みとは一線を画しており、彼らのホステージとなっている米国を米国民のために取り戻すことにした。

 

地球は巨大であり、このままでは地球温暖化で人が棲めなくなるという話や、パンデミックによる被害を最小にするために世界連携が必要などという話などはグローバリストたちが作り上げた物語である。それらを解決するためとして、世界大戦という悲惨な出来事(グレートリセットによる)を経て、世界を統一するというのがグローバリストたちの企みである。

 

そんな必要などない。実際、地球には人類が発生させる二酸化炭素を吸収する能力を十分持っているのだ。トランプもそう思っているだろう。

 

 

 

補足:


1)一般に国債(国の借金証書)は国民の資産となり、現在の通貨制度の下では金と同様に中央銀行の準備金の根拠を構成するも考えられる。基軸通貨発行国であり世界の覇権を握る米国の国債は、他国にとっても確かな国家の準備金としての意味を持つ。基軸通貨発行権を失うと、そのような意味を失うので、その分価値が減少する。

 

2)長期国債が売られているとしたら、おそらく中国が売っているのだろう。中国は人民元を支えるためにドルを必要としているためである。日本の農林中金が大きな損失を出し、その補填のために米国債を売却したという話もある。これが原因で、トランプは最大の米国債保有国の日本に相当の配慮をしているのかもしれない。https://www.cnbc.com/video/2025/04/14/japan-not-china-might-have-incentive-to-sell-us-treasury-holdings.html

 

3)独立国に必須のものとは、国民が日々消費する食料とエネルギーが先ず考えられる。その他、例えば戦争などが発生した場合、基礎的工業製品(例えば鉄やアルミなどの必須材料や基本的機械の製造技術、その材料としての半導体など)が手に入らない場合、国内産業が止まってしまい、民生品だけでなくミサイルや戦闘機まで国内で製造できなくなる。それらのものも自前で用意できなければならない。

 

4)近代貨幣制度の出発点は、金(ゴールド)の借用証書を通貨とする制度だが、その金本位制は世界経済の膨張とともに成立しなくなった。それがニクソンショックである。そこで彼らは、世界の覇権を米国に握らせることでドル基軸通貨体制を維持するしかない。そこでサウジアラビアを取り込んでペトロダラー体制を作ったのだ。

 

5)この動画での講演内容は、長周新聞により日本語に翻訳されているので、私は主にそちらで読んだ。https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34317

https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/34414

 

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2025年4月16日水曜日

トランプ関税はドル基軸通貨体制崩壊への備えである

米国トランプ政権は、米国に製造業を取り戻して貿易赤字を解消するために、相互関税という強引な方法を考えた。全ての国を対象に輸入超過がゼロであるべきと考え、輸入超過の割合に一定の係数を掛けて輸入関税率とするという乱暴な方法である。

 

しかしその赤字には、世界を一つの米ドルという決済通貨圏として、円滑な貿易を維持するためには必要だったという本質的理由が存在する。そのお陰で、世界の中で最も安価に製造できるところで商品を製造し、最も必要とするところで消費するというグローバル化経済が成立し、世界経済は飛躍的な発展を遂げた。

 

つまり、各国が決済通貨としての米ドルと、米ドルに容易に変わりえる金融資産を一定量持つことがグローバル経済には必要であるが、それは米国の赤字によって作られているのである。時間がたてば、米国以外の国、特に途上国などは発展するが、米国自身はその赤字に苦しみ始め最終的には米国経済は崩壊の道をたどることになる。https://www.youtube.com/watch?v=O3tx4D0wjMY

 

 

この米国が抱えている罠は、トリフィンのジレンマ(補足1)と呼ばれ、20世紀の中頃にベルギー生まれの米国の経済学者ロバート・トリフィンによって指摘されていた。

 

実際、世界経済の中での米国の相対的地位は低下し、このままでは米ドルが国際決済通貨としての地位を失う可能性が出てきた。昨今、BRICS通貨やデジタルコインなどの米ドル以外の決済通貨ができる可能性が議論されるようになり、そのような事態があり得ないとは言えなくなってきたのである。https://www.youtube.com/watch?v=CHY2dKINaoI

 

 

もし仮に突然米ドルが国際決済通貨でなくなったとすれば、米ドルと不可分の関係にある米国債の市場価値が暴落し、米国経済が急激なインフレなどの危機を迎えることになる。

 

この事態を避けるために立ち上がったのがトランプである。相互関税というトンデモないと世界中が騒いでいるが、以上のように深刻な真実がその理由として存在するのである。米国は、今は発展した元途上国の中国や日本から製造業を取り戻したいのである。

 

この米ドルを基軸通貨として、その恩恵を発展途上国とともに受けてきたのは、金融エリート達つまりグローバリストたちである。つまり、トランプ関税もグローバリストとの戦いの一つなのだ。

 

終わりに: 同じ趣旨の話を4月11日の記事に書いていますので、それも参考になると思います。

 

 

 

補足:

 

1)ベルギーの経済学者ロバート・トリフィンによれば、基軸通貨国(米国)は、世界の流動性(つまり資金の流れ)を支えるために経常赤字を出し続けなければならないが、赤字が続けばその通貨への信認が揺らぎ、最終的にその地位が不安定になる。これをトリフィンのジレンマという。https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ri/A03155.html

 

(4月16日、表題を変更)