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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2025年2月22日土曜日

トランプ改革の今後に予想される壁


1)USAIDとウクライナ戦争

 

トランプ米大統領による米国の政治改革は革命的であり、その影響は世界に広がっている。DOGE(政府効率化部門)が主導するUSAID(米国国際開発庁)の調査の中で、その予算の大部分が所謂グローバリストの戦略に沿った諜報活動等に使われていたことや、それに絡んでの左派或いは似非左派(ネオコン)政治家の腐敗を明らかにした。ネオコン(新保守主義)は、民主党多数派とほぼ同じ思想のようなので以下区別しない。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12746100027.html

 

例えば、ウクライナでの反ロシアの活動支援などに多額のUSAIDの資金が、当時の国務次官補のビクトリア・ヌーランドを通して使用されたことから、ウクライナ戦争がウクライナを米国の代理とした米露戦争であるという本質が、この資金の流れから確認されることになった。
 

この戦争は、ロシアという膨大な大地の資源と経済の占有を目指す金融資本グループの戦略の一環だが、そのような策略を米国民から隠すには、飢餓対策や災害復旧などの対外支援を名目とするUSAIDの資金が便利だったのである。

 

ロシアによるウクライナ侵攻が始まる前に、ことの本質を既にブログ記事として本サイトにアップしている。2004年の政変(オレンジ革命)から、米国のユダヤ人富豪のジョージ・ソロスの暗躍が明らかになっており、ソロスの財団(オープン・ソサエティー財団)へもUSAIDの資金が流れていたことも今回明らかになった。この戦争の経緯が世界中のある程度知的な層には既に明らかになっているのである。(補足1)

 

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

従って、ウクライナ戦争の終結には、米国とロシアが雑音なしに交渉することが必須である。その停戦&和平交渉が米露間でサウジアラビアにおいて始まった。NATOのメンバーでこの戦争の協力者であった英仏独等の左派政権は、その交渉の場に自分たちの椅子など無いことを知り、はしごを外された格好になったのでパニック状態のようだ。https://globe.asahi.com/article/15630313

 

例えば英国のスターマー(Sir Keir Starmer)首相やマクロン仏大統領は、自国軍のウクライナ派遣を言い出す始末。戦争当事者の一角にありながら、自軍を平和維持軍などの名目でウクライナに派遣するというのは、非常に奇妙な論理である。そのような発言は、停戦を妨害したいからとしか考えられない。https://jp.reuters.com/world/ukraine/DUFMRKXS6ZNYRJUAIFUUQDXGFU-2025-02-20/

 

対ソ防衛の同盟だったNATOは、ソ連崩壊後はロシア潰しの道具となり、米国の左派(=ネオコン)政権の道具となった。英仏独その他は、ウクライナ戦争においてNATO構成国としてこき使われたが、トランプ政権になって舞台に取り残されたピエロのような存在になったのだ。


 

2)戦争屋廃業後の米国及び世界の政治&経済

 

ただ、上記DOGEの政府効率化は、一次効果としては米国の経済にとって必ずしもプラスではないだろう。経済学的には政府サービスの減額であり、GDPの減少要因となるからである。政府が金を使えば、その政府債務は国債という国民の金融資産を生み、バラまかれた金とともに新しい投資の原資になる可能もある。因みにこの後半の理屈は、日本の財政拡大派政治家の論理でもある。
 

一般に、不正に多額の金を政府から得たとしても、その金を受け取った側がジャンジャン使えば、それはGDPの増加に寄与し、米国経済の数字を押し上げる作用をする。それは、金に困って銀行強盗等悪事を働く者が多くなって、犯人たちが得た金を消費に回せば、一次効果としてはGDP増加の働きがあるのと同様である。住みやすさとGDPの増加は必ずしも一致しない。

 

二次効果においても、銀行は警備に費用をかけるだろうし政府は警察官の増員をする等の対策が考えられ、この種のサービス業は繁盛する。悪事を切っ掛けにしてでも、経済の数字にはプラスの効果が大きい。
 

戦争の種を世界各地に植え付けて大きく育てあげ、“自由と民主主義の布教・定着”の名目で米国の若者を武器弾薬と共に送ってきたことも、米国を含む世界のGDP総計の増加に寄与してきた。その資金を様々なプロセスで米国に還流することで米国の世界経済支配のメカニズムとするのがネオコン戦争屋の政策だった。(補足2)
 

この軍産複合体メカニズムを、それへの言及を陰謀論というラベルを貼って潰してきたネオコンたちの企みとともに、金の流れという証拠とともに明らかにしたトランプ政権の人類への貢献は大きい。トランプ改革を最後まで進めるために、現在顕在化しつつある経済問題を是非解決してもらいたい。

 

現在の世界経済は、戦争屋であった米国を中心に市場経済のメカニズムで最適化された結果である。突然米国が戦争屋を廃業した時には、米国経済とともに世界経済の再構成が各国政府の努力と市場の原理で進むのを待たなければならない。国際政治の再構成も、その経済構造に適合する形に改変が進む筈である。

 

スキーのジャンプ競技のように、再度最適な経済構造や政治システムに軟着陸するには技術が必要だろう。トランプ政権の俊秀たちがそれを無事に成し遂げるまで、何とか米国及び世界の人たちの協力と忍耐を期待したい。


 

3)トランプの経済政策の問題点
 

トランプ政権の主要な課題は、米国政治の改革と米国民との約束である米国経済の好調維持である。ネオコン・グローバリストとの戦いも、米国民の支持を失ってしまえば「トランプ革命」は失敗に終わる。米国民に仕事と満足な給与を提供するにはどうすれば良いかを考えた結果、トランプは諸外国からの輸入品に高額の関税をかけると言い出した。

 

米国経済は、デジタル革命などで世界を席捲して多額の収入を得るなど、新規産業や金融業等においてはほぼ順調である。ただ、古くからの製造業においては外国に依存する傾向が強くなり、所謂「産業の空洞化」が進行している。(補足3)https://ameblo.jp/sherryl-824/entry-12886787053.html
 

産業を士農工商で分類すれば、米国は「工」の部分が非常に弱くなっているのである。「商」の部分でも金融業は別格であり経済だけでなく政治も牛耳るようになった。金融業(今では投資業)が主導しただろうWTO体制により、製造業の現場を低賃金国に移した結果、職を失ったブルーカラーの人々が下層に追いやられ、社会に分断を生じているのが米国の現状である。

 

労働者の味方となる筈だった(過去形です)左派政治家は、一般に自分勝手な(=想像力に欠ける)理想主義者が多い。物事をマクロにしか考えず、人の心理や現状の複雑さ等ミクロを排除して議論する傾向がある。彼らは思考モデルを描く想像力だけでなく、自身の欲望への抵抗力にも欠けるようで、過去の偉人の思考モデルと巨大資本の要請に唯々諾々となり、ブルーカラーの人たちの窮状など目に入らない。

 

産業の空洞化に加えて新たに加わる軍需産業や政府職員という“独占企業”から労働市場に放出されるブルーカラーたちに仕事と給与を与えることが、トランプ政権の偉業の背後で生じた大問題である。(補足4)トランプは製造業の米国回帰を考え、工業製品の輸入に高額関税をかけるという方針を出した。米国が、戦争屋廃業に伴う寒風を貿易障壁で一時的に凌ぐのは止むを得ないかもしれない。

 

関税を上げると、トヨタやホンダも米国内に工場を移し、仕事の確保に貢献する。米国の高い人件費を支払っても、そこでの車の競争力は関税分だけ有利となるのである。

 

このトランプの方針は、これまでの自由貿易の拡大の方向(WTO体制)とは真逆であり、米国の物価を上昇させるだけでなく米国及び世界の経済にマイナスとなる可能性が大きい。米国及び世界の経済的繁栄のメカニズムは、この経済のグローバル化にあったことは間違いないからである。
 

現在の米国を始めとする先進諸国が享受している豊かな経済は、適材を世界に探し、適所で生産し、それを短時間で世界に輸送するという政治経済システム(つまりWTO体制)で構築されてきた。その適材と適所は、自由な市場経済の結果として決定されている。そのシステムは、資本の移動を自由にし、関税は無くする方向で成長してきた。

 

それでも具体的な資本規制や関税率は、主権国家が出来るだけ豊かな国民生活を実現するという目的をもって決定することが出来た。トランプは、その時間(歴史)の流れを逆方向にするような性急な改革案を出している様にも見えないこともないのだが、ここは世界にある程度の寛容を期待する。

 

この問題の解決には、友好国間の連携が必要である。トランプ政権にとってもっとも簡単な解決策は、力で諸外国に犠牲を強いる方法であるが、それは友好国の信頼感を破壊し、結果として世界の経済をより深刻な事態にする可能性がある。戦争屋を追放したのなら、その予算を含めてトータルとして富は十分に存在する。その再分配を考えるだけだから、不可能では無い筈。

 

主権国家のローカルな事情とそこで暮す人々の生活と文化を無視して、地球国家を建設するというグローバリストのやり方も大きな問題だが(補足5)、西欧が築き上げた近代の国際政治の文化を全否定して、時代の流れを逆にしようとするのも問題なので、あくまで過渡的な手段としてもらいたい。


 

4)終わりに:トランプ革命の方法についての独自のモデル

 

地球上の資源が有限であることや良好な環境を維持する上で許容される老廃物の量に上限があるなどの理由により、地球人口にも上限があるだろう。ハーバーボッシュ法(補足6)により食料による人口上限が一時的取り払われたが、それも再び人口上限決定因子となってきた。所謂グローバリストたちは、その問題を病的に恐れているように見える。

 

彼らが世界帝国の建設を目指す背景には、既に上限を突破したかも知れない世界人口を抑制する目的がある。彼らが秘密裏に考える解決法の背後には、非エリートの一般的な人たちは、自分たちエリートの支配下にあって当然だという思想があるようだ。
 

世界の人口問題は多くの人たちが経済的に十分豊かでない現在、緊急の問題ではない。しかし、現在グローバリストの中心に居る人たちの相対的力は、世界の金融経済の多くを保持出来ている今がピークである。彼らの多くは地球上で国家を持たないマイノリティであったことから、自分たちに有利に力で解決できる時間は限られており、その意味で彼らにとって緊急の問題だと言える。

 

トランプを支持する世界の人々は、政治および文化のグローバル化という化粧をした、世界帝国の建設に反対している。トランプは、非常に手ごわいグローバリストの周辺にあって、左足をイスラエルにおいて、つまり主権国家イスラエルを強固にするという方針で、この戦いを続けている。左足をそこに置く理由は、現在のグローバルエリートの力を分散させるためである。(補足7)

 

トランプの重点は右足である米国に置いて居る。米国を偉大にするという政治スローガンをテコにして、このグローバリストの企みに反対している。これに成功するにはバランス感覚が必要である。世界は、このことを知ってトランプに協力すべきである。


 

補足:

 

1)悪を隠す為に善の衣を着せることは、古くからの知恵なのだろう。また、大国であっても彼らマイノリティが牛耳る場合、敵を創造して滅ぼすには決して自軍が先制攻撃してはならない。自国の大衆を味方にするため、敵に悪の着物を着せ、敵を窮地に陥れて怒らせ、先制攻撃させるというのも彼らの知恵である。(例えば:真珠湾攻撃、トンキン湾事件) 自国大衆には敵が卑怯にも先制攻撃をしてきたとマスコミを利用し言いふらすのである。
 

2)この間の最大の被害者は、自分たちの大切な息子を戦場に送らなければならなかった米国の一般家庭である。現在彼らはほぼ目覚めている。友好国は彼らと連携してトランプの革命の成功のために協力する必要があると思う。

 

3)経済の発展によって、高機能の製品や新しいタイプのサービスなどが供給され、仕事はより専門的になる。それにより労働生産性が向上し、給与もそれに比例して上昇する。ただこれまでの品物を製造する企業は、関税を支払ってでも人件費を抑えるために工場を他国に移転した方が有利な場合が多い。その結果、仕事を奪われるブルーカラーが生まれる。彼らは、生活維持のためにより専門性の低い仕事につかざるを得ないが、他国よりもかなり高い給与をもらわないと自分の国で生きていくのが困難となる。その問題の解決は、所得の再分配という形で政治が行う場合が多い。

 

4)トランプのMAGA (make america great again) は、米国民マジョリティを味方にするためのキャッチフレーズである。トランプ政権の仲間たち、イーロン・マスクやロバート・ケネディ・Jr らの視野には米国だけでなく世界全体が入っている。MAGAは、政治家トランプの米国向けのキャッチフレーズである。MAGAを達成するには世界を視野に入れ、世界とともに繁栄させなければならないと考えてくれていることを切に願う。

 

5)世界が統一の方向に向かうのは、人類という認識がある以上、当然の方向だろう。しかし、ローカルな歴史を無視するわけにはいかないので、本来かなりの長時間を要する。更に、人類の一部が他を支配するという類の構造であってはならない。この考え方が非グローバリストの多くのものとするなら、真の理想主義者は非グローバリスト側である。グローバリストたちを左翼と呼ぶが、彼らの真実は民族主義者であり利己主義者である。何れにしても、左翼とか右翼と言う表現は廃止すべきである。

 

6)ハーバー・ボッシュ法は窒素と水素から直接アンモニアを合成する化学工業における大発明である。アンモニアは硝安や硫安などの窒素肥料となる。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jieenermix/100/6/100_690/_pdf/-char/ja

 

7)トランプの娘夫婦はユダヤ人である。トランプは平和が第一だと考えるユダヤ人一般を愛する人だろう。そのような人たちが住むイスラエルを安全で強力な国にしたいと思っているだろう。しかし、世界各地で戦争を引き起こし、世界を占有することを目指す人たちには強く反対している。トランプは人類一般を大事に考える人物であると、私は思っている。

 

 (編集あり:16;00;翌朝編集とともに補足7を追加して最終稿とする)

 

2025年2月11日火曜日

トランプのグローバリストとの闘いが中東を和平に導くかもしれない


ハマス・イスラエル戦争が1月19日から停戦となった。第一段階で人質交換が行われ、6週間後に第二段階のイスラエル軍のガザからの撤退が始まることになっている。第一段階開始の17日後から第二段階に向けた相談が始まるとされているので、211日現在協議が始まっている筈である。第一段階の終了は恐らく2月末か31日ごろだろう。

https://www.bbc.com/japanese/articles/cglyypdwlwjo 

https://www.bbc.com/japanese/articles/c3vpre7r7x4o

 

ただ、第二段階に入ることがかなり困難に見えるので、2月末までに停戦合意が吹っ飛んで、戦争が再開される可能性がある。そんな中、トランプ大統領により非常にショッキングな内容のコメントが発表された。ガザ地区住民全員を近隣諸国に移住させ、ガザ地区を米軍の管理下に置き、土地の整理やインフラ整備などでガザ地区に人が住める状態にするという話である。
 

「ガザ地区の移住は長期的なのか、それとも一時的なのかなのか?」という記者の質問には、「長期的かも知れないし、一時的かも知れない」と答えた。この発言の詳細については以前の記事に書いた通りである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12884860237.html
 

トランプは現実的な案として、提案したのだろう。米国を訪問したイスラエルのネタニヤフ首相は、「興味ある案であり、考えてみる価値がある」と言ったのだが、困惑していたかもしれない。

 

越境3.0の石田和靖氏がこのトランプ氏の発言を受けて、ひょっとして第三次世界大戦を始めるのがトランプになるかもしれないと言った。その動画の中で石田氏は、トランプ政権の国務長官や報道官は、大統領の発言のマイルド化(部分的打ち消し)に努めていると話している。https://www.youtube.com/watch?v=MO6YIlWCNVA

 

石田氏は、ガザ地区の瓦礫の撤去とインフラ整備は他国に移住したパレスチナの人たちが何れ帰還する時の為と、トランプ大統領が言うべきだったと言っている。そのような理想論は、イスラエルとトランプ政権の繋がりを破壊するだけの効果しかないだろう。非常に狭い枠組みでの思考の結果であって、現実的ではないと以前のブログで書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12884860237.html

 

この動画に対して、以下のようなコメントを書いた:
 

ガザ停戦問題がネタニヤフ劇場などという小さいものではない、イスラエルが世界のグローバリストと連携するかどうかの瀬戸際にあり、世界の最終戦争或いは第三次世界大戦の発火地点となるかもしれないのだ。ダボス会議でのアルゼンチン大統領ミレイ氏の演説を良く分析すべきだ。ネタニヤフは、トランプ、オルバンなどと並んで反グローバリスト(の砦の主)だと話している。

 

つまり、トランプ大統領のこの案を非人道的だと非難するのは容易であるし、それはグローバリストの報道機関であるBBCや米国の主要メディアの行うことである。しかし、もし極右を抱き込んだイスラエルのネタニヤフ政権が潰れて極右政権が誕生すれば、中東から世界戦争が始まる可能性が高くなる。(補足2)

 

ここで指摘したいのは、イスラエルの極右とグローバリストらの極左は、世界を半周した裏で連携している可能性が高いことである。前者は中東のナイル川からユーフラテス川までの大イスラエルの実現を主張するが、後者はそれを含めて地球全体を支配すべく米国ネオコン左翼政権を動かして画策している。(補足3)それが20世紀から存在するグローバリズムの本質だと思う。

 

テロリストであるハマスはグローバリストの操縦する米国ネオコン政権が育てたという説がある。ハマスというテロ集団があるから、イスラエルの極右勢力はイスラエルで一定の支持を得ることができる。ハマスは知ってか知らずかは分からないが、パレスチナ自治区を完全に潰すというの作戦において“呼び水”的(補足4)に利用されていると考えられる。

 

このモデルでは、ハマスらテロ集団は結果としてイスラエルの極右勢力と連携して、大イスラエル構想の実現に協力していることになる。最近、DOGE(政府効率化省)の活躍で、USAIDから大金がハマスに流れたという事実が明らかにされたという。https://www.youtube.com/watch?v=3nQxxix5ltU 

 

 

このあたりの事実が解明され周知されれば、今回の停戦が永続的な問題解決につながる可能性もあるので、米国のDOGEの活動にも期待したい。

 

 

2)我々にできること

 

我々の出来ることは、この土地から逃れて助けを求める人たちを助けることであり、ガザで戦うパレスチナ人を助けることではない。

 

ここまでに至る歴史はもはや100年前の第一次世界大戦の戦後処理にまで遡る。第二次大戦後に、国連によりパレスチナの地に二つの国家の共存が決議されたが、その案でこの土地に平和が訪れると考えた人は恐らく居なかっただろう。

 

現在、世界戦争が始まるかもしれないという国際環境にあり、20世紀につくられた国際法などの政治文化は有効に働かなくなっている。つまり、国家間の関係はより原始的或いはアナーキーな状態にあり、国際法に照らして善悪を判断することは幼稚であり危険である。
 

現在進行形の戦争は、生存をかけたユダヤ人たちとパレスチナ人たち両民族の戦いであり、我々日本人が安易に立ち入るべきではない。当事者は相手方を互いに悪と定めて戦っているのであり、国際法など役立たない現状では、我々日本人は善悪を判断する基準を持たないからである。

 

トランプ政権がネタニヤフ政権に圧力をかけて停戦を実現し、結果としてガザ地区の住民の命を救うことは先ず評価すべきである。ガザ地区の米国による支配というアイデアは、その為に政権の覚悟を示すものだと理解すべきだと思う。

 

当然、イスラエルの極右勢力は軍事的にガザを“真空化”してしまうのがベストだとして反対するだろうし、アラブ諸国は当然ガザはパレスチナ人の土地だとして反対するだろう。中東問題に詳しい石田和靖氏の最近の動画は、そのトランプの努力を、不動産屋の地上げの発想だとして批判しているが、それは非常に不適切だと思うので、以下のようなコメントをアップした:https://www.youtube.com/watch?v=fKnSJGz-7G4

 


 

トランプは不動産屋で、停戦合意の内容はガザを国際リゾートのようにするという地上げ屋的発想だというのは滅茶苦茶です。命がけで大統領になって、命がけでグローバリストと戦う中で、そんなこと考える訳がない。そうではなく、トランプはあくまで停戦実現のための遠景(遠景はぼんやりと描くもの)として米国によるガザ地区支配に言及したのだと思う。時間が経過すれば、イスラエルも正気に戻ると考えているのかもしれない。グローバリスト勢力の全世界支配と大イスラエル構想は、根は同じだと思う。
 

石田氏が言っているイスラエルの分裂というのは、どのような意味なのかは分かりにく。ネタニヤフ政権内に「パレスチナ人なんか人面獣心だ」と公言する極右の財務相や安全保障相が含まれていて、政権間に意見の分裂があるのは事実である。

 

しかし、一旦停戦を実現することが大事である。6週間の間に思わぬところから新しい情況が生みだされる可能性もある。

 

例えば、トランプ政権が進めている“ワシントンの泥沼清掃”により、グローバリストの中東における悪行が明らかになれば、イスラエルの極右勢力の存在根拠が半ば否定され、パレスチナの暫定的な平和につながる可能性が出てくる。トランプ政権がイスラエルをその方向に動かすことに期待したい。


 

終わりに:

 

パレスチナ過激主義者と対立するのがイスラエルの極右シオニストであり、かれらと連携するのが、米国などのグローバリストだと思う。
 

イスラエル国民の大半はアラブの人たちとの紛争を望んでいないと思う。例えばエルサレムの市民の20%がアラブ人であるという事実は、互いに温厚に接する限り共存が可能だということを示している。それをパレスチナ過激主義者が平和を乱すことで、アラブ対ユダヤの対立をスパイラルに増幅することになり(補足5)、世界平和を破壊する方向に導いている。

 

例えば、ハマス・イスラエル戦争の発火点となったハマスによるイスラエル攻撃もイスラエル側の“やらせ”であるという意見も存在する。それはグローバリストとイスラエル極右との連携を意識しての話だろう。更に、米国左翼グローバリストらがハマスを育てていたということが広く知れ渡れば、その永続的停戦が近くなるだろう。  

 

 

補足:
 

1)米国のバイデン前大統領により停戦合意が発表されたのが15日であり、イスラエルのネタニヤフ政権閣議で承認されたのが118日である。バイデンが自分たちの功績のように発表したが、トランプ政権の中東担当であるスティーブ・ウイットコフ氏が重要な役割を果たしたという。実質的にはトランプ政権の成果だったようだ。

 

2)トランプ大統領の狙いは、ネタニヤフ首相に協力し、イスラエル極右のイタマル・ベン・グヴィル前国家安全保障相(極右政党「ユダヤの力」党首)やベザレル・スモトリッチ財務相(「宗教シオニスト党」の指導者)らの強硬路線を抑えて停戦に持ち込むこと、そしてガザ紛争から世界戦争に発展することを防止するのが狙いだろう。

 

3)グローバリストらが地球政府を設立することに成功すれば、環境問題から資源の浪費削減などを地球の人口を大量削減することで、解決するつもりであると考えられる。その理想的な形は、ジョージアのガイドストーンに記載されていた。その詳細は、以前から書いてきた。

 

 

4)呼び水とは、ポンプで地下水を吸い上げるとき、ポンプのパイプ内に注ぎ込む水のこと。パイプの中に水が全く存在しないとピストンを動かしてもパイプ内の空気が膨張と収縮を繰り返すだけで水は汲み上げられない。そこでパイプ内に水を注入して管内の空気を追い出すことで、つまりポンプのピストンと地下水とを呼び水で連結することで地下水をくみ上げることが可能となる。

 

5)10月7日事件23か月後に行われたパレスチナ人へのアンケートでは、このハマスの攻撃は正しかったとする意見が大多数であったhttps://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/baff3f18d086783e.html また、それと近い時期に行われたイスラエルのエルサレム市民を対象とするイスラエル民主主義研究所(シンクタンク)の世論調査は、イスラエル軍のガザ地区侵攻作戦でその地のパレスチナ人の苦しみに配慮する必要はないという意見が大半であった。https://www.asahi.com/articles/ASRDN419TRDNUHBI00M.html

2025年2月8日土曜日

米国トランプ政権による”ワシントンの泥沼”掃除:政府効率化の意味

1)政府効率化省(DOGE)によるUSAIDの整理縮小が始まるまでの経緯


米国の民主党やネオコン(共和党)の国際政治は、世界を自由と民主主義の支配下に置くというスローガンのもとに進められたが、それは表の姿であった。裏には、グローバルな左翼政権(世界政府)を樹立するという目的とその為の作戦があった。(補足1)しかし、誰かがそれを指摘すると彼らはその主張に「陰謀論」というレッテルを張った上で、力で押さえつけるのが常だった。

 

その国際政治を進める中心的存在が政府機関のCIA(米国中央諜報局)やUSAID(米国国際開発庁)だった。それらが巨額の予算を使い、世界世論の左翼化とカラー革命などの政治工作の中心にあったことが、今回のUSAIDの予算使途の公開(後ほど紹介のHaranoTimesの動画参照)で一般にも知れわたりつつある。

そのグローバルな左翼政権樹立の方向が、大部分の人にとって悲劇的であっても、そしてそれを指摘し反対する人がかなり多数となっても、その工作資金の流れの中で既得権益を得ている大統領を含めて多くの連邦議員たちによって進められてきた。

 

その汚れた金の呪縛から米国と世界が逃れるには、米国の政権中枢が金の誘惑に強く、一般市民に深い憐みと、強い愛国心を持つ人物の出現を待つ以外に方法はない。8年前の2017年、そのような人物かもしれないと思ったのが、現米国大統領のトランプであった。

 

2021年に疑惑の選挙に勝利したバイデンが大統領の座に就き、早々にアフガンからの米軍撤退から一年後のウクライナ戦争と、世界が大混乱の中に入ると、民主主義政治だけでなく主権国家体制の世界の秩序が、20世紀の遺物となるのかもしれないという危機に瀕した。

 

2025年、トランプ政権が彼らグローバリストたちの強力な選挙干渉(補足2)などを退けて誕生したのは、恐らく世界史に残る奇跡だろう。

 

そして、米国のグローバルな左翼政権樹立への実行機関であるCIAやUSAIDの閉鎖或いは縮小が、トランプ大統領とその当選に大きな貢献をしたイーロンマスク氏により、政府効率化省(DOGE;Department of Government Efficiency)の設立と同時に、政府の財政赤字削減の名目で進められている。

 

この政策は、それら諸機関周辺に巣くう既得権益者と、その国際政治の構造に気づかない大衆による強い批判(下の写真)を受けながら、命がけで進められているのである。=>NYサバイバルさんの動画

 

 

2.USAIDの整理縮小の意味

 

USAIDは、アフリカ諸国などの貧国に対する食糧支援や保健衛生支援をする慈善機関という表の顔と、世界の左翼化の為のプロパガンダや東欧のカラー革命などを企むという裏の顔を持つ。左翼理想主義者たちの顔と同類の裏と表の二重構造は、真実と嘘の二重構造でもある。

例えば、世界的な報道機関や大学などの教育機関に資金提供することで、言論や思想の誘導を企んできた。例えば、ウクライナの主要メディア10社の内9社、その他BBCなどの国際的報道機関に資金を流してきたことは、USAIDがウクライナ戦争に対する米国の関与の為に働いていたこと(補足3)と整合性がある。つまり、それらはウクライナ戦争に関する情報操作の為だろう。

またUSAIDによる隣国カナダの著名10大学に対する合計55億ドルと言う巨額の支援は、カナダの政治思想を左翼側に誘導する企みで行われたのだろう。その効果かどうかは分からなが、カナダのトルドー政権は期待された通りの極左政権である。

 

そのほか所謂グローバリストの国際政治を進めるためとその真相を隠すために、方々に資金が供給されていると考えられ、今後それらの多くが明らかにされるだろう。(補足4)https://www.youtube.com/watch?v=DPmUhlLtIK4

 

 

HaranoTimesによれば、USAIDから世界に流れる資金の途中に多くの民主党議員や共和党議員の一部が居る。彼らの懐に巨額の資金が流れ込み、それが既得権益化していることは想像に難くない。具体的には、例えば、クリントン財団に8500万ドルという巨額の資金が流れているという。

トランプ政権は、政府効率化省(DOGE)において政府の諸機関を整理し、米国民のための機関として再編する予定のようだが、上記USAIDの本来(表向き)の仕事は、国務省の中に組み込まれるようである。CIAも廃止の方向にあるようだ。

イーロン・マスクは当初DOGEにより政府予算から2兆ドルが削減されると言ってきたが、上記のような急進的改革をもってしても1兆ドル削減がやっとのようだ。それでも物凄い額の削減であり、それが政府財政の改善に役立つ。更に、削減された労働力は他の分野へ振り向けられ、結局労働力を移民に頼る姿勢の変更にも役立つだろう。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-01-09/SPTZ0MT0G1KW0

 

終わりに:


米国で政府効率化省の働きで、今後CIA、USAIDなどを含む諸機関の活動に関する情報が次々と出てくるだろう。日本は米国の属国的であることはもはや常識であるから、その中に日本の諸機関やマスコミなどが関係するケースも含まれるだろう。

 

その真相究明を切っ掛けにして、日本も米国を見習い、政府の効率化を進めるべきだと思う。霞が関の既得権益層は、米国のこれら機関とも関係がある筈であり、一掃するチャンスかもしれない。

 

日本全体の労働生産性向上と平均賃金を上昇させるためには、企業だけでなく政府においても効率化を進めなければならない。省庁を増加させる一方の従来の政治では、政府の効率化減少と腐敗の温床をつくるだけだと思う。

 

 

補足:

 

1)世界史におけるこのような試みの最初は、ユダヤ系のレーニンやトロツキーらによるロシア革命と世界共産革命であった。21世紀のグローバリストたちの企みは世界史上二回目の世界帝国建設の動きであるが、その動きは分かりにくい。しかし、①国境の意味をなくす動き、②各国の伝統的価値観の破壊、③有力な伝統国家を崩壊に誘導、④地球環境問題、食糧難、そしてパンデミックなどを切っ掛けにして、世界連携を余儀なくさせる、などとして明確に始まっている。④の世界連携と言えば聞こえは良いが、そこからこぼれた人たちには悲劇的運命を強いる。この革命の実行者であるグローバリストたちは、支配者として特別の待遇を受けることになる筈である。

 

2)トランプ氏を司法機関を武器として、大統領候補者から排除しようとした。

 

 

3)2014年、選挙で選ばれた親ソ派のヤヌコービッチ大統領をデモやテロなどで追い出し、親米のウクライナをNATOに加盟させようとする政権を樹立した政変(マイダン革命)は、米国国務次官補だったビクトリア・ヌーランドの指揮により進められたことが知られていたが、今回その資金がUSAIDから出ていることが明らかになったようだ。2022年に始まったウクライナ戦争は、その政変から連続するウクライナ対ロシアの紛争である。

 

4)HARANO Timesさんの動画(上に引用)によると、武漢のP4研究所に新型コロナの原因ウイルスの開発資金も直接ではないもののUSAIDから出ていたことが明らかにされている。

(2/11, 早朝補足3の編集ミスを修正)

2025年2月5日水曜日

フジテレビ性加害問題と日本の途上国化について

1)日本の労使関係:封建的会社組織(補足1)

 

日本の労働者と会社(使用者)との伝統的関係は、入社式や永年勤続表彰(今はまれかもしれない)の慣習でも分かるように、封建的な特徴を持っている。雇用された労働者は、雇用主である会社の仕事を中心に生活設計をしなければならない。会社と雇用者との関係は、主人と家人の関係でに似て、会社が必要とすれば、誰であっても玄関掃除までもすることが期待された。

 

しかし現代、高度な産業技術社会となり、労働者の多くは高度な専門的知識と技量を必要とする場合も多い。そのような環境での経済発展を考える場合、日本はこの伝統的労使関係を変えなければならない。何故なら、この労使関係では本当に優秀な人の雇用や、その継続が困難となるからである。

 

そして、労働者を測る物差しとして、専門的な優秀さの尺度だけではなく、人間的とかいう全人格を対象にする尺度が同等に働く状況を排除しなければならない。そもそも、会社の組織からして近代社会に不適合な場合も多い。その例は最後のセクションで触れる。

 

現在の労使関係では、本当に優秀な人材の多くを定年という区切りで失うことになる上、若くして“裏切って”他国に職を求めるかもしれない。また、雇用を最優先するあまり会社が傾くことになっては元も子もない。更に、そのような雇用文化の中で国全体の技量が低下する危険性もある。

 

つまり、現在の高度な機能体的会社においては、労使関係を①封建的なウェットな労使関係から②経営者と労働者の間のドライな労働契約の関係に改めなければならないと思うのである。後者の労使関係は、人間的関係というよりも労働提供の契約関係である。

 

この労使関係では、優秀な人材には高い給与を支払う必要があるので、労働者間に大きな給与格差が発生する可能性が高い。その結果、人件費は全体として相当高くなるだろう。労働者が年齢以外ではほぼ均一である時代には労働組合が大きな存在であったが、本質として労働者ごとに報酬が大きくことなる時代となれば、その意味が低下するだろう。(補足2)

 

労働者はそのような給与差の中で、機能体である会社内で円滑に連携をとる必要がある。その様に労働者が多層均になれば、仕事上で発生した人格的人間関係は消えるだろう。人格的人間関係は仕事とは無関係にプライベートに求めることが全てとなる。欧米では、アフターファイブの飲み会はほとんどないだろう。


 

2)就学と就職の人生における意味

 

封建的な労使関係では、就職はその後の人生の大半を決定する重大事となる。一旦優良企業に入社すれば、その後の人生は安泰となると考えられ、日本人の大半はこの人生モデルを主軸として結婚や教育などの人生における諸要素を考えていると思う。学歴の役割は、(テレビのクイズ番組で役立つ人を除けば)就職した時に終わる。

 

一方、契約的労使関係が主流になれば、労働者は自分の技量と知識を会社に売りつけなければならないし、会社の経営者はより高い技量と豊富な知識を獲得すべく候補者を評価しなければならない。その結果、上に述べたように全体として人件費が上昇し、会社に労働生産性のための投資を促す筈。

 

労働者側では、自分の技術を高める努力を現在の会社で仕事(フルタイム)を得る前になされなければならない。そのために、大学も学歴獲得のためではなく、明確な目標をもって実力養成のために選び勉学に努めなければならないだろう。
 

そのようになれば、現在の大学等の教育機関も大きな影響を受け、入学試験の人生における比重もそれほど大きくはなくなるだろう。学歴社会と封建的労働環境は1:1の関係にあると思う。

 

このように考えた場合、世界での経済的地位を向上させるには、西欧が作り上げた近代技術社会に文化的に適応しなければならないことを意味し、簡単ではないことが分かるだろう。政治家もそのような点をよく考えて、労働問題、教育問題、経済政策等を立案すべきである。現在のように世襲政治家が財務省を批判するだけでは、日本は近い将来途上国となるだろう。

 

尚、②の契約的労使関係の会社では、会社の上層部であるCEOなども労働者と言えるかもしれない。所謂サラリーマン社長である。会社は株主の所有であるから、日本でも株主は会社の経営に対して注文をつけることが普通になるだろう。

 

ただ、株の大半は所謂機関投資家と呼ばれる者、多くの場合投資会社や各種基金等なので、それら大株主によって会社経営者が選定されることになる。最近、各会社経営者が利益の株主還元を重視するのは、このような事情が背景にある。

 

株主は、会社が破産すればその責任を株が紙屑となることで取らなければならないが、労働者もサラリーマン社長もそれ程大きな損はない。(補足3)

 

(補足1の街頭演説でもちいられたスライド;演説主は高い株主還元率を批判している)

 

社長等経営者は、一般労働者と株主の間に立つ存在であり、本来、封建時代の“殿様”(或いは天皇と呼ばれる存在)の様にはなり得ない。日本ではそのような例が多々見られるのは、会社の人事が封建的に進められてきたからである。


 

3)古いタイプの会社とそこでの人間関係

 

現在、国際的競争に晒される先端的業種での労使関係は、殆ど上述の②のタイプに近くなって来ているだろう。そうでなければ、高い国際競争力など維持できないだろうと思う。

 

その一方、国際的競争下にない業種では、恐らく①の封建的労使関係のままだろう。労働者を大事にする会社と言えば聞こえが良いが、それは現在のドライな人間関係になりつつある社会全体に陰湿な人間関係の島或いは蛸壺のような空間をあちこちに作っている。
 

最近、テレビのニュースにおいて話題になっているフジテレビという会社もそのような会社の一つだろう。その他にも芸能関係や放送関係での性被害のテレビ報道が多く、視聴者の一人としてウンザリしている。

 

そのような番組では、性加害者と考えられる有名人を袋叩きにして、報道する側と視聴者の側の両方で鬱憤晴らしをしている様で、非常にみっともなく見える。テレビ放送の中身が日本の文化の反映だとすれば、日本全体の恥だろう。報道関係者には、放送法第一条を良く読めと言いたい。

 

ここ一か月ほど話題となった上記フジテレビの件では、女性アナウンサーには容姿を含めての技術・能力だけでなく、本来労働契約にないことが要求されたことになる。将に全身全霊で会社に尽くすことが要求されたのだろう。その陰湿な労使関係は封建体制そのものである。
 

その風通しの悪い会社の中心に40年間その会社の天皇と呼ばれた87歳の絶対権力者が存在するようだ。https://www.mbs.jp/news/feature/specialist/article/2025/01/104943.shtml


その放送局の持ち株会社に対して、アメリカの投資ファンドは、企業統治に欠陥があると指摘した上で、取締役相談役を務める上記87歳の方の辞任を求める書簡を送ったようだ。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250204/k10014711631000.html

 

この放送局は、フジメディアホールディングスという親会社が運営する筈なのだが、そこの経営者もフジTVの「天皇」には手が出せなかったのである。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c13c87be8a52386ecbb95f0ee0171cb98837fc7f
 

勿論、その殿様にどの程度の責任があるかは不明だが、そのことが暗示する古い封建的人間関係で、この会社と放送局が成り立っていたことは事実だろう。中世では、女性はcommodityと見なされていたのだが、その時の文化が現代日本の純粋にdomesticな会社には蔓延しているのだろう。
 

性加害者の人物は、その中でその放送局に自分の出演を独占的に約束し、その対価として賃金とその特殊サービスとを受け取っていたのだろう。問題の本質は、その人物が有徳の人物では無かったことにではない。徳などはヒトという動物の表面にある薄皮一枚でしかない。(補足4)その会社の労使関係が、近代的ではなく古い封建的体制にあったことである。
 

つまり、この問題はフジテレビだけでなく日本全体の問題である。このような観点からこの件を論じたTV報道等を見たことが無い。つまりそのような労使関係は、日本中に空気のように存在していても多くの人には見えないのである。これでは日本という国が途上国化するのは時間の問題なのだ。


 

補足:
 

1)この記事を書く動機となったのは、ある政党党首の街頭演説のyoutube動画に対してコメントしたことであった。その動画は:https://www.youtube.com/watch?v=R8ITX_2bpQQ

 

そのコメントは:

参政党を応援する者ですが、経済についての議論は慎重になされた方がよいと思います。賃金が上昇しないのは、労働者と経営者の関係において労働者が弱いからです。それは一生会社に奉職するというタイプの日本文化の弱点です。毎年4月の入社式(その文化の象徴)なんて、バカげています。この文化を乗り越えて、労働の流動性と同一労働同一賃金の厳守が達成されれば、労働者個人は自分の資質向上に努めることがより強く要請されますが、会社と賃金交渉を他社と天秤にかける形で可能となります。労働生産性の向上には、会社の投資と労働者の資質向上の二つが必要です。

 

2)この文章の意味は職種ごとに細かく給与を設定するという意味である。その算定にあたって、一定のルールが定められているべきなのは言うまでもない。

 

3)最近、〇〇ホールディングスという名前の会社が多くなった。それは持ち株会社であり、複数の会社を一段上から経営する。更に、その持ち株会社にはより大きな存在として機関投資家が存在する場合もある。それら機関投資家には、〇〇基金や△△銀行や別の大会社などが存在する場合が多い。なお、フジテメディアホールディングスの在米株主によって、フジテレビの天皇と呼ばれた人物を解雇するよう要求書が経営者に提出された。

 

4)このことは、国家が歴史の中で作り上げた国際法などの文化と相似的である。本来野生の原理で動く国家がつけている薄皮一枚に過ぎないことを、イスラエルによるガザにおける民族浄化が教えてくれる。しかし日本国民の殆どはそれを学んでいないのは、この低レベルで外国支配のTVの所為である。

 

 

 

(2月6日早朝全面的に編集、補足4を追加)


 

2025年2月2日日曜日

ガザ地区住民へのトランプの対応は現実的である

ガザ地区での停戦はトランプ政権前の出来事だが、それは必ずしもバイデン政権の成果とは言えない。トランプ側の働きかけの効果が実を結んだという考え方の方がより正確だろう。イスラエルの現政権とトランプ氏との間には強い信頼関係が存在し、アメリカ大統領となるトランプ氏の圧力をネタニヤフ政権も無視でき無かったと考えられる。https://www.asahi.com/articles/AST1J2FHDT1JOXIE01QM.html
 

停戦後のガザは束の間かもしれないが平和であり、人質交換なども行われている。ただし、ヨルダン川西岸地区での戦闘は、以前からのことだが、時々発生しているようである。https://www.bbc.com/japanese/topics/cw5wn2e9rpnt

 

そんな中、ガザの住民をヨルダンやエジプトに移住させるべきだという先日(125日)のトランプ大統領の発言は、方々で悪意をともなって報じられている。例えばBBCニュースは、以下のように報じている。
 

トランプ氏はガザを「解体現場」と表現。「おそらく150万人ほどの人がいる。私たちはすべて一掃する」と述べた。また、こうした動きは「一時的かもしれない」し「長期的かもしれない」とした。https://www.bbc.com/japanese/articles/cj48ydjjen8o
 

トランプのある記者に対する専用機での発言は、And I’d like Egypt to take people and I’d like Jordan to take people. そして続いて I couldと言いかけ、一拍置いて  I mean, you’re talking about probably a million and a half people、そして And  we just clean out that whole thing. だった。

 

ガーディアンの下のサイトにその時の動画が字幕つきでアップされている。

https://www.theguardian.com/us-news/2025/jan/26/trump-resumes-sending-2000-pound-bombs-to-israel-undoing-biden-pause

 

この発言の全体から、And  we just clean out that whole thingの意味は、「我々は全ての問題を取り合えず無くする」という意味だと分かるだろう。勿論、ガザ地区の民族浄化計画 ethnic cleansing planとは全く無縁であるとは証明でき無いが、トランプ大統領の意図は全くことなると思う。
 

トランプ氏の発言は、ガザ地区はがれきの山と化しているので、差し当たりその地区のパレスチナ人を周辺諸国に受け入れてもらい、その後は自然の成り行き(神の意思)に任せるべきだというくらいの意味だろう。(補足1)

 

更にその記者は、それは一時的にですか? それとも、戻れるのでしょうか?と問うた。その質問にトランプ大統領は、どちらでもあり得る。一時的かもしれないし、長期的かもしれないと答えた。これは、私に出来ることはそこまでであると言う意味を言外に含むのだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=DA095Kj6gSo&lc=Ugy094dZsZ8CcvsIiu54AaABAg

 

 

 

2)ガザ地区のパレスチナ人の運命

 

この問題を数歩下がって思考の枠組みを拡大して考えてみる。

 

米国におけるイスラエルロビーの力は巨大である。イスラエルと米国の間は極めて近く、一つと考える人まで存在する位である。(補足2)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241023/k10014617101000.html

 

上の記事の中に引用されている米国カジノ王、ミリアム・アデルソン氏の次の言葉がそれを良く表している。

「私たちは誇り高きユダヤ人であり、誇り高きイスラエル人であり、誇り高きアメリカ人です。私たちを支持する人たちに敬意を表しましょう」

 

在米の金融エリートたちは、米国政権の背後にあって世界の政治と経済を半ば支配している。彼らの一部の勢力はグローバリストとして、世界帝国の実現を企んでいる。そのエリートたちの多くは、等しくイスラエルと非常に親密な関係にある。彼らの計画の中には、イスラエルの人たちが期待する大イスラエルの達成も自然に含まれるだろう。

 

ただ、ユダヤ教正統派の人たちやイスラエルに住むかなりの人たちは、大イスラエルの達成は神によってなされる筈であり、人間の力で達成しようとするのは間違いであると考えている。外国に住むディアスポラのユダヤ人たちのシオニズム運動には反対しているのである。

 

自分たちの国を守ることが大切であると主権国家体制を維持したい反グローバリストたちが、このような経済的にも政治的にも力のあるエリートたちの世界支配の企みを覆すためには、イスラエルの反シオニズムのユダヤ人たちの力を借りる必要がある。その為には、現イスラエル首相のネタニヤフを反グローバリスト側に引き込むことが賢明だろう。

 

そのような背景を考えた場合、現状の廃墟となったガザ地区を再建したのちにパレスチナのアラブ人の方々にプレゼントすることは、理想論として語るとしても現実論として追及すべきとは思えない。

 

上記トランプ大統領の発言は、そのような微妙な意味を表現したのだろう。イスラエルのシオニズム運動に反対する人たちが力を増して、彼ら当事者の考えとして上記理想論が現実となればよい。しかし、そのようにはならない可能性の方が圧倒的に大きい。
 

ガザ地区の住人であるパレスチナ人が、その後どのような未来を迎えるかは神のみぞ知ることであり、トランプ大統領の能力の範囲を超える。エジプトやヨルダンでの移住生活が、「一時的かもしれないし、長期的かもしれない。」

のは、トランプ氏の力の及ぶ範囲には無いと言うことである。

 

トランプ政治の本質を知る為には、トランプ自身の現実的且つ直接的な言葉を良く分析すべきだが、例えばアルゼンチンのミレイ大統領の演説なども非常に参考になる。https://www.youtube.com/watch?v=Yd2Oc5q_Mu0

 

 

 

のダボス会議での演説の最初の方で、グローバリストと戦っている人たちとして、米国のトランプ、ハンガリーのオルバン、イタリアのメローニのほかに、イスラエルのネタニヤフ首相の名もあげている。それは、ハマス対イスラエルの戦争を切っ掛けにトランプ政権がイスラエルの反感を買って潰されてしまうのを怖れるからだろう。(補足2)

 

因みに、アルゼンチンのミレイ大統領は、グローバリストたちの目的は世界の人口削減にあると明確に言っている。我々日本国民や多くの地球人にとっては恐怖のシナリオである彼らの企みを砕くには、近代の価値観に足をすくわれてはならない。

 

上のNHKの記事を読めばわかるように、カマラハリスはグローバリストの端に位置しながら、ハマス・イスラエル戦争でパレスチナ側に立ち過ぎて、大統領選に敗れた。トランプの勝利は、彼のこれまでの姿勢を含めてイスラエルの味方として評価された結果である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12847903412.html

 

 

トランプ大統領の反グローバリストの思想は、現実的な政治空間に投影された結果である。それを反グローバリストだと自認している人たちがイマジナリーな空間の理想論で批判するのは、自分で自分の首を絞める愚挙である。


 

補足:

 

1)clean out は全てを取り除くと言う意味であり、瓦礫の山と化したガザ地区の問題、このままでは生活が出来ない150万人ほどのパレスチナの人たちの今後の問題などを取り合えず解決するという意味だろう。この発言中のjustという単語は、完全で理想的な解決ではないことをあらわしている。 Chat GPTに会話の主を伏せて聞いたところ、「単に/ただ」 (merely, simply) 、「とにかく/とりあえず」 (simply, without hesitation) などの意味がこのjustの意味として考えられるそうである。


 

2)ネタニヤフ首相はイスラエルの防衛のためにハマスと戦っているのは事実である。それは主権国家としてのイスラエルの防衛と言えなくもない。しかし、グローバリストの世界帝国実現が、大イスラエルをはじめユダヤ人の棲み処を世界に拡大する運動だとすれば、反対する筈はないだろう。