ハマス・イスラエル戦争が1月19日から停戦となった。第一段階で人質交換が行われ、6週間後に第二段階のイスラエル軍のガザからの撤退が始まることになっている。第一段階開始の17日後から第二段階に向けた相談が始まるとされているので、2月11日現在協議が始まっている筈である。第一段階の終了は恐らく2月末か3月1日ごろだろう。
https://www.bbc.com/japanese/articles/cglyypdwlwjo
https://www.bbc.com/japanese/articles/c3vpre7r7x4o
ただ、第二段階に入ることがかなり困難に見えるので、2月末までに停戦合意が吹っ飛んで、戦争が再開される可能性がある。そんな中、トランプ大統領により非常にショッキングな内容のコメントが発表された。ガザ地区住民全員を近隣諸国に移住させ、ガザ地区を米軍の管理下に置き、土地の整理やインフラ整備などでガザ地区に人が住める状態にするという話である。
「ガザ地区の移住は長期的なのか、それとも一時的なのかなのか?」という記者の質問には、「長期的かも知れないし、一時的かも知れない」と答えた。この発言の詳細については以前の記事に書いた通りである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12884860237.html
トランプは現実的な案として、提案したのだろう。米国を訪問したイスラエルのネタニヤフ首相は、「興味ある案であり、考えてみる価値がある」と言ったのだが、困惑していたかもしれない。
越境3.0の石田和靖氏がこのトランプ氏の発言を受けて、ひょっとして第三次世界大戦を始めるのがトランプになるかもしれないと言った。その動画の中で石田氏は、トランプ政権の国務長官や報道官は、大統領の発言のマイルド化(部分的打ち消し)に努めていると話している。https://www.youtube.com/watch?v=MO6YIlWCNVA
石田氏は、ガザ地区の瓦礫の撤去とインフラ整備は他国に移住したパレスチナの人たちが何れ帰還する時の為と、トランプ大統領が言うべきだったと言っている。そのような理想論は、イスラエルとトランプ政権の繋がりを破壊するだけの効果しかないだろう。非常に狭い枠組みでの思考の結果であって、現実的ではないと以前のブログで書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12884860237.html
この動画に対して、以下のようなコメントを書いた:
ガザ停戦問題がネタニヤフ劇場などという小さいものではない、イスラエルが世界のグローバリストと連携するかどうかの瀬戸際にあり、世界の最終戦争或いは第三次世界大戦の発火地点となるかもしれないのだ。ダボス会議でのアルゼンチン大統領ミレイ氏の演説を良く分析すべきだ。ネタニヤフは、トランプ、オルバンなどと並んで反グローバリスト(の砦の主)だと話している。
つまり、トランプ大統領のこの案を非人道的だと非難するのは容易であるし、それはグローバリストの報道機関であるBBCや米国の主要メディアの行うことである。しかし、もし極右を抱き込んだイスラエルのネタニヤフ政権が潰れて極右政権が誕生すれば、中東から世界戦争が始まる可能性が高くなる。(補足2)
ここで指摘したいのは、イスラエルの極右とグローバリストらの極左は、世界を半周した裏で連携している可能性が高いことである。前者は中東のナイル川からユーフラテス川までの大イスラエルの実現を主張するが、後者はそれを含めて地球全体を支配すべく米国ネオコン左翼政権を動かして画策している。(補足3)それが20世紀から存在するグローバリズムの本質だと思う。
テロリストであるハマスはグローバリストの操縦する米国ネオコン政権が育てたという説がある。ハマスというテロ集団があるから、イスラエルの極右勢力はイスラエルで一定の支持を得ることができる。ハマスは知ってか知らずかは分からないが、パレスチナ自治区を完全に潰すというの作戦において“呼び水”的(補足4)に利用されていると考えられる。
このモデルでは、ハマスらテロ集団は結果としてイスラエルの極右勢力と連携して、大イスラエル構想の実現に協力していることになる。最近、DOGE(政府効率化省)の活躍で、USAIDから大金がハマスに流れたという事実が明らかにされたという。https://www.youtube.com/watch?v=3nQxxix5ltU
このあたりの事実が解明され周知されれば、今回の停戦が永続的な問題解決につながる可能性もあるので、米国のDOGEの活動にも期待したい。
2)我々にできること
我々の出来ることは、この土地から逃れて助けを求める人たちを助けることであり、ガザで戦うパレスチナ人を助けることではない。
ここまでに至る歴史はもはや100年前の第一次世界大戦の戦後処理にまで遡る。第二次大戦後に、国連によりパレスチナの地に二つの国家の共存が決議されたが、その案でこの土地に平和が訪れると考えた人は恐らく居なかっただろう。
現在、世界戦争が始まるかもしれないという国際環境にあり、20世紀につくられた国際法などの政治文化は有効に働かなくなっている。つまり、国家間の関係はより原始的或いはアナーキーな状態にあり、国際法に照らして善悪を判断することは幼稚であり危険である。
現在進行形の戦争は、生存をかけたユダヤ人たちとパレスチナ人たち両民族の戦いであり、我々日本人が安易に立ち入るべきではない。当事者は相手方を互いに悪と定めて戦っているのであり、国際法など役立たない現状では、我々日本人は善悪を判断する基準を持たないからである。
トランプ政権がネタニヤフ政権に圧力をかけて停戦を実現し、結果としてガザ地区の住民の命を救うことは先ず評価すべきである。ガザ地区の米国による支配というアイデアは、その為に政権の覚悟を示すものだと理解すべきだと思う。
当然、イスラエルの極右勢力は軍事的にガザを“真空化”してしまうのがベストだとして反対するだろうし、アラブ諸国は当然ガザはパレスチナ人の土地だとして反対するだろう。中東問題に詳しい石田和靖氏の最近の動画は、そのトランプの努力を、不動産屋の地上げの発想だとして批判しているが、それは非常に不適切だと思うので、以下のようなコメントをアップした:https://www.youtube.com/watch?v=fKnSJGz-7G4
トランプは不動産屋で、停戦合意の内容はガザを国際リゾートのようにするという地上げ屋的発想だというのは滅茶苦茶です。命がけで大統領になって、命がけでグローバリストと戦う中で、そんなこと考える訳がない。そうではなく、トランプはあくまで停戦実現のための遠景(遠景はぼんやりと描くもの)として米国によるガザ地区支配に言及したのだと思う。時間が経過すれば、イスラエルも正気に戻ると考えているのかもしれない。グローバリスト勢力の全世界支配と大イスラエル構想は、根は同じだと思う。
石田氏が言っているイスラエルの分裂というのは、どのような意味なのかは分かりにく。ネタニヤフ政権内に「パレスチナ人なんか人面獣心だ」と公言する極右の財務相や安全保障相が含まれていて、政権間に意見の分裂があるのは事実である。
しかし、一旦停戦を実現することが大事である。6週間の間に思わぬところから新しい情況が生みだされる可能性もある。
例えば、トランプ政権が進めている“ワシントンの泥沼清掃”により、グローバリストの中東における悪行が明らかになれば、イスラエルの極右勢力の存在根拠が半ば否定され、パレスチナの暫定的な平和につながる可能性が出てくる。トランプ政権がイスラエルをその方向に動かすことに期待したい。
終わりに:
パレスチナ過激主義者と対立するのがイスラエルの極右シオニストであり、かれらと連携するのが、米国などのグローバリストだと思う。
イスラエル国民の大半はアラブの人たちとの紛争を望んでいないと思う。例えばエルサレムの市民の20%がアラブ人であるという事実は、互いに温厚に接する限り共存が可能だということを示している。それをパレスチナ過激主義者が平和を乱すことで、アラブ対ユダヤの対立をスパイラルに増幅することになり(補足5)、世界平和を破壊する方向に導いている。
例えば、ハマス・イスラエル戦争の発火点となったハマスによるイスラエル攻撃もイスラエル側の“やらせ”であるという意見も存在する。それはグローバリストとイスラエル極右との連携を意識しての話だろう。更に、米国左翼グローバリストらがハマスを育てていたということが広く知れ渡れば、その永続的停戦が近くなるだろう。
補足:
1)米国のバイデン前大統領により停戦合意が発表されたのが15日であり、イスラエルのネタニヤフ政権閣議で承認されたのが1月18日である。バイデンが自分たちの功績のように発表したが、トランプ政権の中東担当であるスティーブ・ウイットコフ氏が重要な役割を果たしたという。実質的にはトランプ政権の成果だったようだ。
2)トランプ大統領の狙いは、ネタニヤフ首相に協力し、イスラエル極右のイタマル・ベン・グヴィル前国家安全保障相(極右政党「ユダヤの力」党首)やベザレル・スモトリッチ財務相(「宗教シオニスト党」の指導者)らの強硬路線を抑えて停戦に持ち込むこと、そしてガザ紛争から世界戦争に発展することを防止するのが狙いだろう。
3)グローバリストらが地球政府を設立することに成功すれば、環境問題から資源の浪費削減などを地球の人口を大量削減することで、解決するつもりであると考えられる。その理想的な形は、ジョージアのガイドストーンに記載されていた。その詳細は、以前から書いてきた。
4)呼び水とは、ポンプで地下水を吸い上げるとき、ポンプのパイプ内に注ぎ込む水のこと。パイプの中に水が全く存在しないとピストンを動かしてもパイプ内の空気が膨張と収縮を繰り返すだけで水は汲み上げられない。そこでパイプ内に水を注入して管内の空気を追い出すことで、つまりポンプのピストンと地下水とを呼び水で連結することで地下水をくみ上げることが可能となる。
5)10月7日事件の2-3か月後に行われたパレスチナ人へのアンケートでは、このハマスの攻撃は正しかったとする意見が大多数であったhttps://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/baff3f18d086783e.html また、それと近い時期に行われたイスラエルのエルサレム市民を対象とするイスラエル民主主義研究所(シンクタンク)の世論調査は、イスラエル軍のガザ地区侵攻作戦でその地のパレスチナ人の苦しみに配慮する必要はないという意見が大半であった。https://www.asahi.com/articles/ASRDN419TRDNUHBI00M.html
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