2017年12月9日土曜日

国債暴落と激高インフレを懸念する専門家と完全否定する専門家

昨日たまたまyoutubeで大前研一氏の動画を観た。そこでは、財政破綻とハイパーインフレの危険が語られていた。https://www.youtube.com/watch?v=qbhrserTfnQ(2015年8月9日公開)

今後も国家は赤字を出し続けるだろうから、格付け会社による日本国債の格下げなどを切っ掛けにして、ハイパーインフレが何時起こっても不思議ではないと語られていた。

大前氏は、その事態に対する準備をすべきだと語っている。個人、特に年金受給者などには、株や不動産などの価値ある資産への預金の移動を勧めている。また、企業などに外債や外国株に投資することを勧めている。(補足1)

これらの発言は、大前氏の本音なのだろうかと疑う。日本の企業に外債や外国株に投資する様に勧めるなど、外国への利益誘導的な発言かもしれない。また、日本に於けるハイパーインフレの危険性を、トルコなどの国と同様に考えているのは、誠に不思議である。尚、高いインフレ率の懸念は、野口悠紀雄氏の持論でもあったと記憶する。

この他、上の動画では日本政府の財政改革の一環として、道州制の導入に言及している。また、移民の導入を解禁して経済を大きくすべきだとも言っている。それらについては補足で筆者の考えを記す。(補足2)

大前氏の動画を見ていた時に、上念司氏の動画のサムネイルが画面横に出てきたので、それを視聴した。そこでは、ハイパーインフレの危険性は全く無いとし、政府は国債を発行して敎育投資や防衛への投資などで経済を刺激し、2%程度のインフレの実現を目指すべきという、大前氏の考えと180度異る議論がなされていた。https://www.youtube.com/watch?v=3mLdQQmStbY

経済を專門とする著名な評論家の間で、このように真っ向から意見が違うのは、日本で経済学が未だまともに発展していないからだろう。因みに、野口悠紀雄氏は東大工学部卒で元官僚、元東大教授の経済学者である。大前研一氏は早大理工学部卒で経営コンサルタント、スタンフォード大経営大学院客員教授などの錚々たる肩書を持つ。国債暴落の危険性を指摘するこの二人は、大学は工学部卒の経済学者・評論家である点も共通している。

一方、国債暴落とか、高いインフレ(ハイパーインフレ)など起こり得ないと解説している評論家に、三橋貴明氏、上念司氏、高橋洋一氏らがいる。国債暴落などあり得ないという三人のうち、二人は経済学部を卒業している。

私自身は殆ど上念司氏や三橋貴明氏の、国債を更に発行をして景気刺激しても、ハイパーインフレにはならないという説を正しいと思っている。以下は上念氏、三橋氏、高橋氏の動画などから学んで、筆者がまとめたものである。

その第一の理由は、日本国債は円で発行されていること、そして日銀が国債価格が急激に低下(長期金利の上昇)する兆候が出れば、直ちに国債を買取るという方針を続けるからである。国債を買い支える限り、国債の価格低下は起こらず、金利上昇も起こらない。

日銀の貸借対照表は膨張するので、円安を心配する人が多いかもしれない。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43424501.html しかし、円安になれば、日本の製造業は国際競争力を持つ。現在、経常収支は黒字であり、外貨を円に換えて国内に持ち込む流れは変わらない。それに加えて、製造業がドルを余計に稼ぐことになれば、外国から持ち込むドルの量がその分増えて、円安を解消することになる。日本は、円安にブレーキが掛かるメカニズムを持っているのである。

国家の貸借対照表(BS)は依然として、米国よりも日本の方が健全である。この点、高橋洋一氏は、日本国政府の収税機能を資産に換算すれば、その健全さが分かると言っている。兎に角、円建てで国債が発行出来る限り、基軸通貨発行国の国債と同程度に安全であると思う。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2017/09/blog-post_22.html

野口悠紀雄氏は、動画で何れ日銀は量的緩和を終了する必要があると、その出口に言及していた。その際、国債を売らなければならないが、そこで暴落するのではないかと言うのである。しかし、米国連銀のように怪しげな住宅ローン債券などへの投資は日銀には無いので、BSの縮小を急ぐ必要は無いと思う。

何年か経過して物価が倍になれば、国債の価値は実質半額になるので、そのまま日銀の資産として持っていても良いと思う。また、物価が上昇しなければ、その場合も国債は健全な資産である。

日銀の緩和政策で要注意なのは、突然且つ急激に予定していたインフレが進行した場合である。それは、日銀当座預金に積み上げられた約400兆円に登る預金が、金融業者などにより株式投資などに大量に廻った場合に起こると思う。その際、株式市場はバブル的になる可能性がある。

資産価値が上昇した部分のいくらかは、消費市場に流れて物価上昇が起こる。それが行き過ぎた場合は、日銀は更にバブルが成長しないように当座預金に付利をつけることや、国債の放出を考えなければならないだろう。それは、日銀の収益に悪影響を及ぼし、経営の悪化を導くのではないだろうか。それは円安懸念の原因になる。日銀は今の株高進行を少し警戒すべきだと思う。

またもう一つ恐ろしいのは、国際関係で異常な事態が生じることであると思うが、それは今回の議論の対象でないので省略する。

(以上は、元理系研究者のメモですので、批判コメント歓迎します。)

補足:

1)外国債の購入を勧めるのは、自説の日本国債暴落を実現したいためと言われても、抗弁できないだろう。米国債は、日本国債以上に危険かもしれない。財務情況は明らかに日本より悪い。 https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43416690.html

2)限られた人たちの考えが、議会等の議論なしに走り抜ける現在の日本政府のような政治体制よりも、大前氏の提案している道州制の方が良いと思う。日本は、知的に優秀、且つ、リーダー的素質を持った人が、国家などの組織のトップになりにくい文化の国である。従って、物事はできるだけ分散的に解決するほうが効率的である。そして中央国家は、防衛とか外交という国家の枠組みをしっかりと構築維持することに専念すべきだと思う。

次に、「移民解禁は当然」という大前氏の意見には唖然とした。日本経済は日本人のためにあり、外国人の為にあるのではない。人手不足は、デジタル技術の導入などに設備投資をして、労働生産性の向上で対応すべきであると思う。外国人の流入は、優秀で日本の為になる人に限るべきである。移民を安価な労働者として入れるのは、労働生産性を高める機会を逸することになる。

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