1)日馬富士による貴ノ岩暴行事件は、一段落したのかと思ったが、そうではなさそうである。捜査にあたった鳥取県警の公正さが問われる可能性も将来出てくるかもしれないと心配している。つまり、鳥取県警が事実をしっかりと把握しているか、事実を把握できるまで聞き取りや捜査をしたのか、心配である。
あるサイトに、「相撲協会がひた隠す「白鵬の嘘」と口裏合わせ 貴ノ花はいま何を想う?」と題する記事が掲載された。そこには、モンゴル勢が日馬富士の暴行を止めに入ったのは鶴竜であるが、「止めたのは白鵬である」と口裏合わせを行なったという風に書かれていた。
それより重大な疑惑は、協会に11月13日に提出された貴乃岩の診断書を作成した福岡県済生会福岡総合病院が、「当病院としては、重傷であるような報道がされていることに驚いている」旨のコメントを発表したことに関して、相撲協会の工作を匂わせるように書かれていることである。http://www.mag2.com/p/money/351432/2?l=qux0596bfd
最初に上記診断書の報道を聞いた時、医師が十分な日本語を話せないのかな?と疑問をもった。相撲協会に提出された診断書は「脳震盪、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」だった。その後、病院の医師は最後の”疑い”は、頭蓋底骨折及び髄液漏の両方に係ると言ったのである。https://cgskdgc.com/takanoiwa/
診断書の現物をみていないのだが、当時のテレビ報道なども同じだったので、上記文章を基に考える。頭蓋底骨折も疑いと読むのなら、疑いの範囲をそこで止める根拠は何なのかわからない。つまり、最初の脳震盪から全て疑いと読めないことはない。しかし、それでは診断書にならない。
まともに理系の大学を卒業した人間が日本語を使う時、このような場合は、“脳震盪、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折と髄液漏の疑い”と書くか、更に慎重な人は、“脳震盪、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折と髄液漏の夫々疑い”と書く。普通は、夫々を挿入する。このような並列の表現を間違っていては、論理が重要な理系の学問を習得することは不可能なので、並列表現はしっかりと早い時期に先生から教えられる。(補足1)
診断書を書いたあとで、「”疑い”は頭蓋底骨折と髄液漏の両方に係る」と言うのは、医師自身の都合或いは何者かによる工作の結果である。危機管理委員会が発表した報告書でも、診断書の頭蓋底骨折と髄液漏れは、双方とも「疑い」であると強調しているとすれば、相撲協会の依頼があってのことだろう。(https://cgskdgc.com/takanoiwa/)
2)今後、この件は日本とモンゴルで人々の記憶に長く残るだろう。この問題が深刻なのは、日本社会のごまかしと隠蔽の体質が問われているからである。つまり、日本相撲協会は、ごまかし体質のままに、日本政府から公益法人の資格が認められているのである。この件以前にも、八百長疑惑などの不祥事もあったが体質は変わっていない。
更により深刻なのは、現在の大相撲の存在そのものが、ある種のごまかしに頼っていることである。具体的には、外国人受け入れの問題である。もし「相撲は国技」というのなら、何故外国人を力士として採用しているのか? 外国人を受け入れるということは、外国人の文化も受け入れる覚悟が必要である。しかし、相撲が国技なら、その覚悟は国技を否定することになる。
今回の事件の背景には、その中心的問題の議論を避けて、経営に走った協会の姿勢がある。天皇賜杯授与のとき、君が代の演奏が行われる。そこで、堅く口を閉じている外国人力士を見ても、逆に義理がたく口を動かしている外国人力士を見ても、日本人の多くは苦々しい思いを持つだろう。
日本相撲協会は、優秀なマネージャーを雇い、国際スポーツ団体として再出発するか、古来の奉納相撲を自然に行える団体に戻るか、どちらかを選択すべきだと想う。
補足:
1)英語では、並列表現「A and B, respectively」と言う表現を使う。ここで、理系学部では、respectivelyつまり夫々の挿入をしっかり教えられる。
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