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2018年2月10日土曜日

デジタル仮想通貨はグローバリストの新兵器か?

1)昨年秋、竹中平蔵氏が仮想通貨を推奨する発言を、Coin Choise というサイトでしている。「通貨決済の手段として、国の権威などのお墨付きがなければ安心できなかったのだけれども、新しい技術を駆使することによって、そうじゃなくできる様になった。」ただ、「今後発展し続けるためには、やはり決済に使えるしっかりした基盤が必要です。」とも述べている。
https://coinchoice.net/takenaka_heizo_bitcoin1/(竹中平蔵、仮想通貨をキーワードに検索すれば出てくる)

竹中平蔵氏は、ビットコインなど仮想通貨が今後広く決済に使われる基盤を、国家のお墨付き以外に手に入れることが可能だと言っているのである。この意見に対して、内閣参与の藤井聡京大教授は、竹中氏の仮想通貨擁護論を詐欺的行為に近いと批判している。https://www.youtube.com/watch?v=145_psmN2C4

藤井氏は、ビットコインが通貨として相応しくない点として、①他者(国家や店舗など)に通貨として受け取りを要請する権威はない、②金融政策が効かない点(価値の変動が大きい)、③ハッキングなどに弱い、などの点を挙げている。通貨としての権威が本来ビットコイン等に無いのか、それとも現状無いだけなのかについては、藤井氏は明言していない。それ以外の点では藤井氏の意見が正しく、竹中氏の発言は経済学者として異常だと思う。

竹中氏の頭脳は優秀である。小泉政権の時に経済財政政策担当大臣や金融担当大臣を歴任している。竹中、小泉という二人は、忠実な米国追従派であり、所謂グローバリストたちのエージェント的人物であると私は思う。竹中氏のこの記事を読み、私は仮想通貨とはグローバリストたちが繰り出した、新しい国境を破壊するための武器なのかもしれないと思った。

最初は共産主義を用い、次に経済障壁の撤廃という方法で、国境をなくす努力をしているグローバリストたち。しかし、共産主義政治は政治的不安定を世界にもたらし、膨大な犠牲者をだしている。次の経済障壁の撤廃は、貧富の差の拡大を世界にもたらした。仮想通貨も彼ら金融を支配する人たちの企みだと思う。それは、世界経済を大混乱に導く罪深い行為のような気がする。

2)ネット上でビットコインを擁護するのは、竹中氏だけではなかった。MAG2NEWSというネットマガジンで、「なぜ仮想通貨まで叩かれる? 新しい技術の登場を拒絶する日本」と題して、冷泉彰彦という人が日本での仮想通貨批判を批判している。http://www.mag2.com/p/news/348415?l=qux0596bfd ただ、この冷泉を名乗る人物の批判はナイーブなものではある。

これら仮想通貨擁護派の人たちの共通認識は、「貨幣としての信用は皆がそう信じることで生じ、貨幣となるものの本質的属性によるわけではない」という思想である。その思想については、数日前にビットコイン研究所を名乗る機関の記事を当ブログでも紹介した。http://doublehash.me/bitcoin-enten/

ビットコインの推薦者は、これら仮想通貨が金つまりゴールドのように皆がその価値を幻想すれば、世界通貨となり得ると考えている。つまり、金に本来値打ちなどないのだから、ビットコインも現代版の金通貨となり得るという意見である。しかし、現代の通貨は金と同じではない。

ニクソンショックの時に、通貨は金の裏付けを無くした。しかしそれは通貨の質的低下というよりも、「国家が保証する通貨」という通貨の新しい時代が始まったと考えるべきだろう。通貨が原始的な金の質札から、国家の下部組織である“中央銀行の債務を切り分けたものとしての紙幣”になったと見るべきだと思う。

もし金が普遍の貨幣たり得るのなら、兌換紙幣に戻せば良いだけである。金が幾ら高価になろうとも、数百も出来ていて、もはや希少性があるとは言えない仮想通貨の価値を信じるよりは、1gで10万円の金の価値を信じる方が世界の人々にとって容易である。

3)しかし、法定通貨に問題がないわけではない。基軸通貨である米ドルの信用が、米国の節度のない経済的姿勢により、低下している点である。それを指摘した記事が米国の仮想通貨応援サイト(cointelegraph.com)に出され、日本語に訳されている。記事の題名は、「もしも米ドルが仮想通貨だったら?」である。

https://jp.cointelegraph.com/explained/what-if-us-dollar-was-just-another-cryptocurrency-expert-blog-jpより引用

上図は最近の米国のマネーストック統計である。15年ほどの間に2.6倍ほどになっている。つまり、お金(ドル)をドンドン使って、その借金を貨幣としてバラまき、それが米国に還流する際には、ドル立ての資産(外貨準備や債券など)となり肥満児の脂肪のように全世界に溜まり、また一部は基軸通貨として流通し続けているのである。(補足1)

上図は対外純資産を主要国について示した図である。2016年末に1000兆円近い対外債務を米国は持っている。つまり、これ以上の対外債務を蓄積することができないので、新たに仮想通貨の発行で、米ドルの回収をやっているのではないのか。

重要な点は、米国が世界の基軸通貨を発行して巨万の利益を得ている以上、それを正しく運営する責任を果たすべきであるということだと思う。しかし、放漫な経済感覚により、更に赤字を垂れ流す体質に悪知恵がプラスされたのが、今回の仮想通貨だろう。

その米国経済を牛耳る人たちの節度のなさは、数多くの新しい仮想通貨の発行が予定されていることでもわかる。2月10日以降でも30近くの仮想通貨の発行が予定されているが、推測だが、多くは米国での発行だろう。https://jp.cointelegraph.com/ico-calendar

仮想通貨については、3月のG20で何らかの規制がかかる可能性が高い。しかし、G20の中で圧倒的力を持つ米国は、その規制をなるべく弱くする方向で諸国に圧力をかけるだろう。

補足:
1)この脂肪分を完全に取り去ることが、強大な軍事力を持つ米国ならできる。その方法は、財政破綻とドルの紙くず化である。どこかでトランプは、破産も米国の選択肢だと言ったような気がする。

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