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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

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2018年2月25日日曜日

中国政治における客家(ハッカ)の重要性

1)「憎まれっ子世に憚る」と言うことわざがある。「他人から憎まれるような者ほど人間世界で幅をきかせる」という意味である。それが事実である場合、そのように事が進むプロセスを描くのは簡単である。つまり、憎まれる原因とその対策を日々考えることが、その人の思考力と世界で生きる知恵を育て、やがてその人をそこで幅を利かせる人物に“成長”させるのである。

よくあるのは、「憎まれっ子」とは少数派であり、彼等を憎む行為はその対象である個人や少数派に原因があるわけではないというケースである。つまり、単に多数派が団結のために少数派を排除するのである。(補足1)それは、多数派個人の主体性のない行動の産物に過ぎない。

その立場があるマイノリティーの人々に対して運命的なものとして子々孫々受け継がれるとした場合、その集団の運命はどうなるだろうか。もし数世代或いは十数世代、その立場で生き残った場合、その集団の人達は「適者生存の原則」により全体として非常に優秀な頭脳や処世術を身につけているだろう。それがグローバル化の世界を席巻するユダヤ民族だけでなく、中国の客家にも共通しているのではないだろうか。

客家とは、中国漢民族の一派と考えられるが、中国人一般が理解できない客家語を話す人たちのことである。東北部や中原から戦乱を逃れて南下し、移住と定住を繰り返し、福建省、江西省、広東省、海南島、台湾などの南部に現在多い。また、諸外国に分散した華僑の三分の一を占めると言われる。客家を含む華僑はユダヤ人・アルメニア人・印僑と共に四大移民集団の一つと言われる。

2)私がこの客家の重要性を知ったのは、ノンフィクション作家で中国に詳しい河添恵子氏の動画(26分)をみたからである。 https://www.youtube.com/watch?v=iwTwszbR9Gg&t=3414s 客家に中国や東南アジアの政治家として重要な位置を占める人が非常に多い。河添恵子氏は、中国の政治家として出世する重要なファクターとして、能力や外見とともに客家であることや客家との人脈をあげる。(補足2)

孫文や蒋介石は外見に優れていたことと伴に、夫人が宋慶齢と宋美齢という客家であったことを指摘している。その他に客家として、朱徳、鄧小平、李鵬、李登輝、蔡英文、アキノ(フィリピン)、リークワンユー(シンガポール)などがいる。

習近平を裸の王様という人がいるが、実際は華僑の強い人脈を持っている。習近平は福建省時代(2002年まで福建省トップ)に東南アジア(特にインドネシア)の客家人を多く含む華僑のネットワークとその資金で出世した。(補足3)現在のインドネシア大統領も客家人華僑の強い支援を受けている。習近平の裏に華僑人脈があることは、昨日(2018/2/24)の日経新聞も報じている。 https://www.nikkei.com/article/DGXDZO48039730T01C12A1TY9000/

習近平の出世の鍵となる出来事は、天安門事件(1989)であった。改革解放と言っていた鄧小平(客家)の大失態であり、その結果日本など西欧社会から金が全く入らなくなった。その際、資金に窮した中国は客家が多くを占める東南アジアや台湾の華僑を利用し、外資特に台湾から金を調達して中国の立ち直りに努力したと言う。(補足4)習近平は、90年代(福建省時代)に鄧小平の下でその策に功績を残し、鄧小平に認められた。その時のことを、習近平は論文にしており、それを河添氏は読んだという。その人脈が、現在の習近平を支えているのだろう。(補足5)

華僑の協力を得ることは、1990年代前半までは華僑は反共であったので簡単ではなかった。そこで、協力を得るために中国は反日組織の再構築を行ったという。その際、米国での拠点が中国人が多く棲むサンフランシスコであった。最近その活動はバージョンアップされ、2015年外国初の抗日勝利記念館をサンフランシスコに開館した。(補足6)

3)客家人は隣人と同じ言葉を使わないので、世界に散らばり人的ナットワークを重要な武器として生きている。米国に移住した客家人は、英語をマスターしてそこでのネットワーク構築を重要な生存手段とした。その国際的な人間関係構築とその利用は、ユダヤ人にも共通している。

戦前、米国の対日戦争に大きく関与したのが、客家である蒋介石夫人の宋美齢であった。宋はフランクリン・ルーズベルトに深く取り入り、米国議会で中国に対する日本の行いを宣伝し、米国を対日参戦に導く努力をした。河添氏は、蒋介石が日本の敗戦後に米国に見捨てられたのは、ルーズベルトの死が原因であると断言する。(補足7)

大統領の職を引き継いだトルーマンは、宋美齢を売女とよんで遠ざけたというから、ルーズベルトとの深い関係が理解できる。宋美齢の兄の宋子文はハーバード大やコロンビア大に学び、アメリカ系フリーメイソンリーと関係の深い「イースタン・スター」フラタニティの会員であった。米国も政治には個人的ネットワークが重要であり、その人脈は中国にも及ぶ。クリントンやキッシンジャーが中国に密な人脈を持っていると考える人が多い。

故郷のない流浪の民である客家は、世界の中に自分の棲家を求めて能力を最大限に磨く。英語を話し、キリスト教徒となったとしても、それは金と人脈のための道具なのだろう。それに比べて、故郷にぬくぬくと暮らす人間は、自分たちの未来を食いつぶしていることに気がつかないのである。(補足8)日本でも、経済界で目に見える活躍をしている人に流浪の民に近い人達(在日韓国人など)が多いのは、自然な現象である。彼等は幼少期に例外なくいじめられっ子であった。

補足:

1)塩と微量の砂糖の水溶液から水を蒸発すれば、塩は砂糖を排除して互いに結びついて結晶化する。つまり、水の蒸発は塩イオンが水の中で居心地を悪くし、互いに結びついて砂糖分子を排除するのである。少数派のイジメも本質はこれと同じであり、非常に原始的(原子や分子のレベル)な現象である。

2)河添氏によると、チャイナセブンの身長はほぼ全員身長180cm近い。例えば米国大統領と並んだ場面において、体格で見劣りしないことが中国の政治家として大事な一要素だという。例えば、蒋介石は外見に優れたが、能力は無く英語も全く喋れなかった。後述するが、彼の米国に対する働きかけは客家である妻、宋美齢によると云う。

3)ここで大事なのは、客家人の人脈と資金で出世した場合、支援をした客家人は習近平が出世した後にその恩恵を受ける。それは、近代民主主義政治では腐敗と呼ぶ。つまり、中国から腐敗をなくすることは不可能だということである。腐敗追放を叫んで習近平との競争で一発逆転を狙った薄煕来が、その腐敗で摘発されたのは象徴的である。

4)「台湾から金を持ってくるのに、東南アジアの華僑が大事な役割をする」という話は日本人には分かりにくいかもしれない。しかし、利用できる人的ネットワークとは、正にそのような密な人間関係でなくてはならないのだろう。例えば、エジプトのスエズ運河の経営権を英国が手に入れる際、その可能性はフランスのロスチャイルド家からイギリスのロスチャイルド家を経由して当時の首相であったユダヤ人ディレディ(Disraeli)に伝達された。そして首相Disraeliは、英国ロスチャイルドの金でスエズの株をエジプト国王から買収した。それが、英国の栄華にどれだけ寄与したか計り知れない。

5)沖縄の翁長知事は、その後福州市から名誉市民の称号を得た。それと翁長氏の沖縄辺野古基地反対の姿勢とは密接に関係しているだろう。それを日本人は知るべきである。

6)従軍慰安婦の問題も中国は利用し始めている。それは反日が金になることを知ったからである。今後、益々その工作が日本から金をむしり取るために用いられるだろうと河添氏は語る。その当たりの詳細は、河添氏が別の講演で語っている。その要旨のサイトを示す:http://www.kokuminkaikan.jp/chair/detail20160604.html 尚、客家女性の陳紅梅は、ケネディーからクリントンまでの米国大統領8代の顧問であったことを日本人は知るべきである。

7)この問題の解釈は、人により異なる。ルーズベルトの側近に共産主義者がいた事は有名であり、更に、ロシアの共産革命にユダヤ人資本(米国の金融或いは米国そのものを牛耳る)が寄与したと考える人は多い。蒋介石は所詮使い捨てにされる運命だったのかもしれない。そのように考えると、宋美齢はルーズベルトに利用されたことになる。湾岸戦争の前に米国議会で証言した少女のように。https://www.youtube.com/watch?v=LmfVs3WaE9Y

8)栄華を極めたスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリスの凋落を西欧のマイノリティーであるユダヤ人との関係で捉えることも可能だろう。流浪の民であるユダヤ人の一団は、この順番で移動した。そして、いじめられっ子の知恵を総動員して生き残り、世界の金融を支配するようになったと考えられるだろう。

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