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2024年2月16日金曜日

台湾有事とウクライナ戦争との関係:米国ネオコンの戦略を読むべき

 

「ウクライナに負けさせてはならない。それはロシアを勝たせることだから。ロシアに勝たせると、中国が元気になって、台湾と沖縄に手を出してくる」櫻井さんと月刊正論の発行人はそのように言う。https://www.youtube.com/watch?v=axnJlFk9xDo (3:45から)

 

 

「ロシアに勝たせると中国が元気になる」というのは、ロシアのプーチン政権と中国の習近平政権が現在非常に近い関係にあるからである。そしてそれは、ウクライナ戦争が長期に亘り、武器供給や貿易などでロシアが中国に急接近した結果である。そのようにウクライナを導いたのは米国民主党政権とその下で動いた当時の英国等欧州諸国だった。

 

 

2022年3月のトルコを仲介とした和平にウクライナも応じるつもりでいたのである。それを潰したのは、これ迄米国民主党政権の意向に沿って動いた英国と、それに同意してウクライナ支援を続けた他のG7の国々だと言える。その長引かせたウクライナ戦争で発生した中露の接近故に、中国の台湾進攻の可能性との関連で、ウクライナ戦争にロシアを勝たせてはならないというのは、論理的におかしい。

 

櫻井さんたちは、単に「ウクライナ戦争にロシアを勝たせてはならない」と主張すべきである。しかしそれでは、日本と日本の次の世代のロシアと敵対するという多大の経済的及び安全保障上の損害と引き換えに、関係の薄い現ウクライナ政権に対して巨額の支援をする理由がない。そこで、櫻井さんらはそのようなインチキロジックを用いたのである。

 

何故櫻井さんらはウクライナ戦争に強くこだわるのか? それは米国ネオコン或いは台湾ロビーの支援を受けて(或いは洗脳されて)政治評論をしているからだと私は考えている。台湾ロビーについては、深田萌絵さんのyoutube動画を参考にして、最近ブログ記事として紹介した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12837289399.html

 

ウクライナ戦争はロシアを滅ぼす戦略の中で、台湾有事は中国共産党政権を崩壊させる戦略の中で、夫々米国ネオコン政権が中心になって遂行している。それらは共に、次のセクションで言及する米国ネオコン政権の背後の人たちの更に大きな世界戦略の中に組み込まれているだろう。

 

ワシントンに住む日本の政治評論家の伊藤貫氏が、ネオコンの秀才たちは非常に頭が良く、且つ傲慢であると言っている。世界支配を目指す彼らの戦略は元々非常に大きな枠組みで建てられている。その巨大戦略全体を推定できないと、個々のより小さな戦略に対するまともな絵は描けないと思う。

 

かれらは今焦っている。それはトランプなどの難敵が現れ、更にその発言に目覚めた大衆がSNSを通じて集団的且つ分散的に思考し、彼らの陰謀を暴露し始めたことで、彼らの大きな戦略に失敗の可能性が出てきたのである。焦ったネオコンたちは、形振り構わずに彼らの戦略にそって各段階を急進的に進めてた結果が、混乱した現在の世界情勢である。

 

櫻井さんらが、ウクライナに対して日本の6兆円規模とも言われる資金とパトリオット(米国経由で)などの支援を主張するのは、米国ネオコンの大きな戦略を理解しないで、彼らの誤魔化しの論理「台湾有事は日本有事」を信じているからである。かれらは、米国ネオコン政権や台湾ロビーの息のかかった人たちだろう。(補足1)普通のまともな日本人なら、日本の利益を優先して彼らの主張に反対する筈である。

 

因みに、地上波TVに出演する保守系と言われる人たちには、かれらの仲間が多い。彼らは、保守系というよりも米国隷属系というべきなのだろう。日本の政権与党の非常に多くの議員たちも、米国に隷属する人たちなので、やはり同じグループに入る。政治評論家の佐藤健志氏の本の題名「右の売国、左の亡国」は、現在の日本の政治を言い得て妙である。

 

それは、現在左翼系が国会でにぎやかにやっている政治資金に関する”議論”は、この現米国政権がその支配勢力の意志にそって進める世界戦略に対し日本国民の目をふさぐ働きをしている。以前の記事にも書いたが、このような大事な時にマスコミに現れるのが東京地検特捜部という米国占領軍によりつくられた組織である。佐藤健志氏の考える以上に、警察や司法に至るまで日本は蝕まれているのだろう。

 

 

2)米国ネオコンのロシアを潰す活動としてのウクライナ戦争

 

このセクションは、新しい情報も含め、ウクライナ戦争について再度レビューしたものである。

 

ロシアを潰すという大きな世界戦略の中の一つの目標達成の為もあり、米国ネオコン政権は先ず NATOを徐々に東方に拡大した。そして、ウクライナにおいて選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領を二度にわたり排除し、2014年親米政権を樹立した。(2004年、”オレンジ革命”、2014年 ”マイダン革命”;補足2) https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/087fd5204f4dd44820b6c490ec8ff92c03be266f

 

彼らは、恐らくソ連崩壊直後から、特に2014年の政変の時から、ウクライナの反政府組織を支援した。その中の民兵組織(アゾフ大隊など)は東部ドンパス地域等で、ロシア系住民を多数虐殺した。2014年のテロリズムを含む政変の結果成立した親米政権は、そこに対ロシアの軍備を増強し続けた。

 

ドンパスやクリミヤの住民の大多数はロシア語を話し、且つ親ロシアなので、それ等地区住民は独立宣言をしてロシアに自衛のための協力を依頼した。それに応じる形で、米国CIAの予告の通りに、ロシアがドンパス地域に侵攻することになった。(補足3)それが、2022年の”ウクライナ戦争”の始まりである。

 

民兵組織アゾフ大隊によるロシア系住民の虐殺は、形の上ではウクライナ政府に直接責任はないと言える。一方、ドンパス地方の独立宣言というのも形だけのものだとも考えられる。従って、片方だけをインチキだとして攻撃するのは正しくない。尚、確かなことはアゾフ大隊はその後政府内務省の直轄になっていることである。(イランの革命防衛隊に似ている)

 

ウクライナ戦争におけるアゾフ大隊の役割をNHKも報道している。この記事は、米国の植民地の国営メディアにしては良く書けている。NHKの立場も考えて読むと、この戦争の真実の一端がみえてくるだろう。https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/06/23/32554.html

 

その記事に書かれているのだが、アゾフ大隊の一員アナトリー・イエホロフさんの次の言葉に注目してもらいたい。「私たちは2014年に東部ドンバス地域でこの戦いを始めました。はじめはウクライナの分離主義者との戦いでした。」 つまり、プーチンがタッカーカールソンのインタビューで語った「この戦争は2014年に始まった」という同じ主旨の言葉をウクライナ政府直属となったアゾフ大隊の兵士が語っているのである。つまり、それがウクライナ戦争の真実である。

 

そして、米国ネオコン政権の背後の一角を占める巨大資本の主:ジョージ・ソロスの言葉、「ソ連帝国に代わってソロス帝国を作り上げた」を聞くと、東欧のカラー革命からウクライナ戦争を考える上で、大きな枠組みでの思考が必要であると分かるだろう。https://www.youtube.com/watch?v=KU-a1wE5pl0 (6分以降)

 

そのロシア(ソ連)潰し戦略の最終段階として今回のウクライナ戦争がある。ジョージソロスが別の場面で語った言葉「ウクライナ戦争でのロシアの敗戦によりロシアの解体が始まるだろうRussian defeat in Ukraine would trigger dissolution of 'Russian empire')」は、ネオコンにとってウクライナ戦争はソ連及びその後のロシアの解体の為であったことを意味している。ただ、ソロスは側近の言葉を信じたのか、その勝利予測が早すぎたように思える。https://jp.reuters.com/article/idUSKBN2UQ1O4/

 

更に、このロシア解体という事業も、彼らネオコンらの更に大きな戦略の一部である。その大きな戦略とは、世界を統一し、彼らを中心とした小さい人口の、地球資源をあまり消費しないできれいな自然環境を保持する地球人国家を作り上げることだろう。その中の住民は当然選ばれた人たちである。(補足4)

 

世界に大きな混乱をもたらした新型コロナ肺炎、そしてWHOを権限強化するためのパンデミック条約や国際保健規則(IHR)の改正、LGBTQ運動、ウクライナ戦争、台湾有事など、これら全てを上記下線部の大きな枠の中にジクソーパズルのようにはめ込めば、彼らの真シオニズム(真実のシオニズム)とでも呼ぶべき図が見えてくるだろう。

 

 

3)日本は台湾有事を煽る米国ネオコンの戦略に協力すべきでない

 

米国ネオコンの背後にいる勢力は、共産党中国を利用すべき大国と考えていても、恐らく味方とは考えていないだろう。特に現習近平政権は民族主義的であり、ジョージソロスが二度に亘ってダボス会議で攻撃したように、彼らの敵だろう。

 

その中国の経済だが、高度成長期が終わり、西欧経済の中に融合できない様々な限界に直面し現在崩壊のフェーズに入っている。その結果、民衆の不満は爆発限界に近付きつつある。政権崩壊を恐れる習近平主席は、彼ら共産党政権の「祖国統一の悲願」に着手するという言い訳で台湾併合作戦を開始し、苦境を乗り切ろうとする可能性がある。

 

それは、台湾政府と日本政府を、台湾に侵攻する人民解放軍と戦わせ、双方を弱体化させるという米国ネオコン政権の大きな戦略の一部だと思う。(補足5)その際、中国は情け容赦なく日本に核ミサイルを投下するだろう。(補足6)そのようなことになれば、「台湾有事は日本有事」である。ここでの、有事とは危機的な情況を意味する。その米国ネオコン政権の戦略に乗ってしまえば、日本国は消滅する可能性すら存在するだろう。

 

この「台湾有事は日本有事」は、2021121日に安倍晋三元首相が、台湾で開かれたシンポジウムにオンライン参加した際に発した言葉である。それ以来、日本の右派は連日お経のように唱えている。しかし米国ネオコン政権の策略に乗らなければ、それほどの日本有事とはならない様に出来ると私は考えている。日本は1978年の日中平和友好条約を忘れてはならない。また、尖閣のような無人島の防衛戦争に日本人兵士と予想される周辺一般人の命を懸けるような愚かなことは避けるべきである。

 

この件に対する現在の台湾の取るべき戦略は、「30年後の中国大陸との統一を共通の目標にして、今後その道筋を考える組織を大陸と台湾が協力して創る」という線で交渉し、習近平に花を持たせることだと私は思う。現在の中国の市場経済は崩落の危機にあり、このままの政権では、この30年の間に大陸の共産党政権の崩壊は確実だろう。本来、G7もそのように誘導すべきであり、それが中国の自由主義経済への復帰の近道だと思う。

 

現状では、中国が実際に台湾への武力侵攻を開始した場合、日本も米国と台湾に協調して軍事行動をとる可能性が高い。従って、政治家はそうならない様に全力を尽くすべきだと思う。それには、ロシアを弱体化するのではなく、ロシアをG7の経済圏に残すべきである。インドやその他の国と協力して、何とかゆっくりと舵を上記より安全な方向に切るべきだと思う。

 

その第一歩として、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」という安倍元総理のお経の廃棄をすべきである。原口一博衆議院議員はそのように考えたのだと思う。昨年1110日に、このような元首相で与党の有力議員の発言は、外交上、重大な結果と繋がる可能性があるので、それに対する政府の見解を国会質問の形にして要求した。

 

 

政府の答弁の主文は、一議員の言葉に対してコメントする立場にないという中途半端なものだった。ただ、それに続いて、「台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の一貫した立場である」とある。

 

それなら、与党政治家特に首相経験者は、1972年の日中共同声明や1978年の日中平和友好条約から明確に離反するような発言は厳に慎むべきである。台湾との経済的付き合いは諸外国と同様で良いと思うが、政治的付き合いは止めるべきである。中国や米国を始め諸外国の当局にそれと分るように伝達すべきである。

 

又、日本の政治家なら誰であれジョージソロスの妾のように、台湾を訪問して、台湾進攻と日本の対中参戦を引き起こし日本を滅亡させる可能性すらある米国ネオコンの大戦略に協力すべきではない。

 

 

補足

 

1)もし日本のためを思って彼らが間違った活動しているとしたら、日本には政治評論などの分野で人材が育っていない結果だろう。伊藤貫氏が何故米国に移っているのかという疑問とも関係しているが、それは日本社会の近代西欧文化への不適合の問題なのかもしれない。このことについては、本ブログサイトで「日本病について」に分類したブログ記事の中で、色んな問題と絡めて議論している。尚、櫻井よしこさんの批判は最近も本ブログサイトで書いている。

 

2)マイダン革命(と言うよりマイダンクーデターの方が相応しい名称だろう)は、ウクライナ人の一部が選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領を米国ネオコン政権の強い干渉の下で追い出した2014年の政変を指す。米国の国務次官補のビクトリアヌーランドが采配を執ったことは今では常識である。

 

3)米国CIAが何故正確にロシアの侵攻を予言できたのか、それは補足1にあるように、その戦争に直接かかわっていたからである。つまり、プーチンの我慢の限界を知りながら、アゾフ大隊らにロシア系住民のジェノサイドを実行させたのだろう。米国の民兵組織ブラックウォーターもこの政変に参加していたという話も存在する。

 

4)イスラエルが、ハマス・イスラエル戦争におけるガザ地区住民のジェノサイドや、ヨルダン川西岸でのアラブ系の虐殺を平然と行うのは、現政権のイスラエル右派は、アラブ人に人権など無いと考えていらだろう。それは、例えば現政権の国防相がかれらは人の顔をしたけだものであると発言したことでも分かる。

 

 

5)中国共産党政権に対する米国ネオコン政権の戦略は、このように考えるのが妥当だと思う。この点で以前の本ブログ記事の内容から多少変更があったかもしれない。つまり、現在でも表向きには米国グローバリストと中国共産党政権はかなり親密に見えなくもない。しかし、それもキッシンジャーの言葉「米国の友人となるのは致命的だ」を嚙みしめて熟考すべきだろう。

 

 

6)朱成虎将軍の「将来のある時期に世界の人口削減のため、人口密集地であるインドや日本を核攻撃すべき」という発言を、時の中国政府は朱に対する昇進で答えたことを思い出すべきである。

 

(16:20、17:00 編集;翌日早朝細部編集して最終稿とする)

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