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2024年2月19日月曜日

ナワルヌイ氏の死亡について:

 

16日、ロシアの反体制派指導者であるアレクセイ・ナワルヌイ氏が獄中で死亡した。ロシア政府は突然死(疾病による)と発表したようだが、それを信じる人は世界では少数だろう。ロシアでは追悼集会に大勢があつまり、その中で36都市で400人以上が拘束されたという。(補足1)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021800336&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit

 

上記JIJI.comのニュース表題では、その追悼集会を”抗議の表明”と報じている。プーチン政権の暗殺を示唆しつつ、「プーチン大統領は通算5選を目指す3月の大統領選に微妙な影響が及ぶことを警戒しているもよう。ナワリヌイ氏の死に公の場で言及していない」と報じている。

 

この時期でのナワルヌイ氏の獄中死は、引き続き大統領に留まることを目指しているプーチン大統領にとって、有利なのか不利なのかは微妙だろう。つまり、プーチン氏の印象が悪くなる上に、ロシアがウクライナ戦争に疲れているのなら、抗議デモから反体制運動拡大に繋がる可能性もあるからである。

 

米国の忠犬状態の西側諸国は、案の定、プーチン批判を繰り返している。ドイツのショルツ首相は16日、ウクライナのゼレンスキー大統領との記者会見で「我々はモスクワで権力を握る政権がどのようなものか、よく知っている。もはや民主主義ではない」と指摘し(補足2)、一方ゼレンスキーも「プーチン(露大統領)に殺害されたのは明白だ」と非難した。

https://www.yomiuri.co.jp/world/20240216-OYT1T50155/

 

勿論、バイデン米国大統領も「プーチン(露大統領)に責任がある。ウクライナなど他国の市民を標的にするだけでなく、自国民にも恐ろしい悪事で苦痛を与えている」と非難した。ただし、これらの西側の批判には何の情報もない。「よく言うわ」というのが私の感想である。https://mainichi.jp/articles/20240217/k00/00m/030/025000c

 

ここで気になるのが、ロシア当局は死体を遺族に返さないことである。拷問の跡などが遺体に明確に残されている可能性が高いと思う。もし、暗殺するとはじめから決めていたのなら、恐らく跡が残らないようにやるだろう。プーチンン政権側に責任はあると思うが、プーチン氏にも予期しないことだった可能性が高いと思う。

 

この微妙な時期に、G7諸国に絶好のプーチン批判の材料を提供した。それらの情況から、ナワルヌイ氏は米側が暗殺したと考える人も居る。https://ameblo.jp/docomo1923/entry-12841035181.html 

 

ここに引用したブログ記事にあるように、「今の時点で最も有効なナワルヌイ氏の利用法は、ここでプーチン政権の暗殺を示唆するように死んでもらうことである」(私の要約です)は正しいと思う。ただし、繰り返すが、この件はプーチン政権に責任があると思う。

 

2)暗殺は米国CIAなど各国諜報機関の得意技

 

ナワルヌイ氏はプーチンにとってもかなり手強い反体制活動家であり、自分の信念を曲げずにこれまで活動してきたことは立派である。しかし、それがロシア国民の為になるかどうかは別問題である。つまり、形式的に民主政治が導入されるだけでは、ロシア国民にとって幸せな政治になる訳ではない。(補足3)

 

先進国でも多くの国は何らかの独裁的側面をもっている。日本は霞が関(含内閣)の独裁、英国と米国は深い所の政府(DS:巨大資本による組織)の独裁、ロシアはプーチンの独裁である。(ロシアを含め)これらの国々では、政権を投票により決定しており、反体制活動も一定の範囲で許容されている。(補足4)それらの独裁が破壊された時には、国民の生命と財産に相当の損害が出るだろう。反体制活動が権力側に有害になると考えた時、多くは暗殺される。日本では安倍元総理など、米国ではリンカーンやケネディなどである。

 

 

更に、カダフィ率いる嘗てのリビアなどは、独裁と国民の安全&福祉が両立していたと言われる。そこに内戦を誘発し、最後にカダフィを殺したのは米国である。アラブの春も、現在のウクライナ戦争の大元にあるカラー革命も、米国の責任で引き起こされた世界の混乱である。

 

また、オバマ大統領の米国からは数千人の暗殺指令が世界各国にだされていたという。それをNewyorktimesが報じているというからびっくりである。(補足5)その米国に、今回のナワルヌイ氏の死亡をプーチンの責任だとして攻撃する権利はない。

 

例えば、伊藤貫氏は、デモクラシーを武器に最近の30年間世界を混乱に導いたのは米国だと明言している。https://www.youtube.com/watch?v=KC2y7qPDRgg (35秒~)

 

 

20228月、「プーチンの脳」とも呼ばれるドゥーギン氏を対象にしたと思われる暗殺事件があった。実際には殺されたのはドゥーギン氏の娘だった。この事件は、米国CIAに暗殺の指導を受けたウクライナの機関が実行したといわれている。昨年1024日の記事で産経新聞は以下のように報じている。

 

「米紙ワシントン・ポストは23日、ウクライナの情報機関が侵攻以降、ロシア当局者や協力者を標的にした多数の暗殺を含む秘密工作を実行してきたと報じた。米中央情報局(CIA)は長年、多額の資金を投じてウクライナ情報機関の諜報能力の強化を支援し、緊密な関係を築いてきたという。」

 

更に、「ロシアの民族主義的思想家ドゥーギン氏の娘が昨年8月、モスクワ郊外で車の爆発で死亡した事件は、ウクライナ保安局(SBU)が計画し、実行した」と明確にしている。

 

 

 

補足:

 

1)報道によると献花に訪れただけで拘束されたと言う。このことは、プーチン政権が追悼集会が反政府運動に拡大することを恐れていることを示している。尚、この事件からロシアのプーチン独裁は恐ろしいレベルだと発言する人がおおいだろうが、ナワルヌイ氏が15年程の長期に亘って、反体制活動を行ってこられたことも考えるべきだろう。ウィキペディアによると、ナワルヌイ氏は『フォーブス・ロシア』誌などに定期的な寄稿も行っていたし、2011年6月のロイターのインタビューでは「プーチンの政治システムは汚職によって非常に弱体化しており、ロシアでも5年以内に『アラブの春』のような反政府デモ・抗議活動が起こり得る」と述べている。 アラブの春は、アラブの人たちに幸せを運んだのか? リビアはどうなったのか? 

 今朝のテレビ朝日の番組では、コメンテーターが、「日本は、ロシアのような独裁国にはならないと思っている人が多いかも知れないが、アッと言う間にそうなる可能性がある。僕らも気を付けなければならない」と言っていた。しかし、彼は安倍元総理が殺されたことをその種の暗殺とは考えていないし、中川昭一の酩酊会見も本当に前夜酒を飲みすぎたと信じているのだろう。米国の暗殺の凄まじさも頭の中にないのだ。一つ残念なことは、日本にはプーチンやナワルヌイのレベルの政治家が居ないことだ。

 

2)よほどのナイーブな人以外に「もはや民主主義ではない」の批判が通用するのは、数年前までだろう。本当の民主主義の国なんかこの世界に存在しないし、そのリーダーと考える人が多かった米国も、その仮面を完全に脱いでいる。

 

3)東京大学の広報欄で、法学政治学研究科の教授が民主政治について、「民主政治は、論理的にあり得る政治形態としては「最善」と言えませんが、実在し得る政治形態の中では「もっともまし」ですと、チャーチルの言葉を引用して書いている。古代ギリシャの時代、アリストテレスが民主政治(直接民主制)より良い制度として、上から王政、貴族制、そして共和制を考えた。私は、現在では、貴族政と共和制の混合に近い制限民主制が良いと思う。貴族の代わりに政治に関心を持ち一定の勉強をした人に政治への参加資格を与え、彼らに議会議員と大統領を選ぶ権利を与える制度である。ネットが普及してきたので、国民が政治に関心を持つような環境と政治に参加する障壁を低くすれば、それは理想の政治制度となるだろう。

 

4)ロシアの選挙だけをインチキ呼ばわりする人が多いが、米国の2020年の選挙も疑惑で満ちている。プーチン氏は、ロシアは「郵便投票なんかしない」と、タッカー・カールソンとの面談で話している。米国バイデン政権の不法入国者歓迎の姿勢は、投票数を稼ぐためであると、イーロン・マスクが言っている。

 

 

5)下の記事からの引用:「米ニューヨーク タイムズによれば、オバマは毎週火曜日の朝、ホワイトハウスの危機管理室で殺人の作戦会議を行う(参照リンク)。そこでは、学校の卒業アルバムのように、テロリストの写真と簡単な説明が並べられた書類がオバマに提出される。そしてオバマは、彼らの殺害に承認を与えるのだ」。https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1206/28/news003.html

 

(19:00、編集補足追加、最終稿)

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