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2026年1月8日木曜日

米国によるベネズエラ大統領拉致の意味

――国際法秩序の破壊と「新モンロー主義」への回帰――

 

(本稿は、ロタッツ京都大学准教授と元米国駐サウジアラビア大使チャス・フリーマン氏の対談動画を踏まえ、筆者の問題意識に基づいて構成したものである)
(OpenAI ChatGPT(GPT-5)の協力を得て作成した)

 

 

 

はじめに

2026年という四半世紀の始まりの年に、世界は決定的な方向転換を始めた。米国トランプ政権による今回のベネズエラ大統領拉致は、単なる一国への強硬措置ではない。それは、これまで「世界秩序の維持」を名目に構築されてきた国際構造が、米国自身によって大規模に破壊され始めたことを示す象徴的事件である。

 

1.国際法秩序を破壊する側に回った米国

ベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロの拉致・訴追は、国際政治史において明確な転換点である。国家元首を拉致し、自国の司法で裁くという行為は、国際法の基本原則を真正面から否定する。対談の中で、元米国駐サウジアラビア大使チャス・フリーマン氏は、この行為を「三世紀にわたって人類が築いてきた国際法秩序の終焉」と表現した。
 

国際法とは本来、強国が弱国を縛るための道具ではなく、強者の恣意から弱者を守るための防波堤であった。その最強国である米国が、もはや「法の支配(rule of law)」を維持する側ではなく、「法を使って支配する(rule by law)」側へと移行したとき、世界は必然的に別の段階へ入る。


それは、力が法を超える世界、すなわち近代以前の国際関係への逆戻りである。

 

2.米国の目的――新モンロー主義による覇権域の確定

では、なぜ米国は、そこまでしてベネズエラに踏み込んだのか。その答えは、米国がすでに「グローバル覇権」を維持できなくなりつつある現実にある。軍事、経済、技術のすべてにおいて、世界全域を一方的に管理する力は衰え始めている。


この制約の中で米国が選びつつあるのが、モンロー主義の現代的復活、すなわち西半球の完全支配である。中南米・カリブ海・北米を排他的影響圏として再定義し、そこから中国やロシアといった敵対的勢力の影を完全排除する。ベネズエラは、その第一歩に位置づけられた。

 

マドゥロ大統領の拉致は、麻薬対策でも民主化支援でもない。それは、「西半球では米国が最終的な裁定者である」という事実を誇示するための、覇権域確定の示威行動である。

 

この動きは、今後グリーンランド、パナマ運河、さらにはカリブ海全域へと連動していく可能性が高い。縮小する覇権を、地理的に固定し直す動きに他ならない。

 

3.法なき前例が示す世界と、日本の位置

国家元首を拉致するという前例が一度成立すれば、それは普遍化する。この論理は、敵対国の指導者だけでなく、いずれは行為者自身にも跳ね返る。フリーマン氏が皮肉を込めて指摘したように、この世界では、独裁者と呼ばれる者たち――そしてトランプ自身も――同じ論理で「法の外」に引きずり出される可能性を否定できない。力が法を超えた世界では、誰もが次の標的になり得るからである。

 

米国が西半球を排他的覇権域として固めるという姿勢を明確化した今、東半球に位置しながら米国との関係を基軸としてきた日本は、どこに立たされるのか。米国の覇権の外側に置かれるとき、同盟という言葉は残っても、生存を保証する前提は確実に変質する。


日本は、同盟国の顔をした猛獣・米国、露骨に力を誇示する猛獣・中国、そして核を持つ北朝鮮に囲まれた、グローバル化したジャングルの中に既に立たされていると言っても良い。ベネズエラで起きたことは、遠い南米の事件ではない。それは、次にどの世界が切り捨てられるのかを示す、冷酷な標識と考えるべきである。

 

おわりに

「悪が勝利するために必要なのは、善良な人々が何もしないことである」これはしばしばエドマンド・バークの言葉として引用される警句である。日本人は今、それぞれの能力と立場に応じて、日本を存続させるために行動すべき時に立っている。状況を批判するだけで、自らは何もせず、責任も引き受けない態度は、結果として社会を危機に追い込む点で、犯罪と本質的に変わらない。世界が法から力へと傾くとき、沈黙と傍観は中立ではない。それは、崩壊を後押しする行為なのである。

(2026/1/08)

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