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2013年8月15日木曜日

"終戦の日"について

 8月15日を日本では終戦の日と呼んでいるが、より正確にはポツダム宣言受諾を連合国側に通告した日である。厳密な意味で戦争が終わったのは、ミズーリー号上で停戦合意の文書に調印した9月2日である。1945年8月15日の数日前、8月9日に対日宣戦布告の後、満州を経て、南樺太、千島、北海道を占領すべく攻め込んで来たソ連軍は15日以降も南下を続けた。このソ連軍と戦う日本軍や、ソ連軍とそれに乗じた満州人や朝鮮人から多大の被害を被った民間人のことを忘れてはならない。また、ソ連軍は9月2日以降も軍を進め、歯舞色丹島に至って9月5日に戦闘停止したとのことである。注1) ソ連軍の南下の具体的な様子は、ブログなどにも書かれている。例えば、http://www2s.biglobe.ne.jp/%257enippon/jogbd_h13/jog203.html の記事の中にある、南樺太真岡の電話局で最後を迎えた9人の乙女の話など、胸に迫るものが多い。
 以上のような情況を考えても、8月15日を終戦の日とすることに、政府は疑問を持たないのだろうか。 日本国政府の各大臣は、毎年靖国参拝注2)をするかどうかが、最大の問題として8月15日を迎える。終戦後70年近く経っても、あの戦争の日本国としてのReview(再検討)は無く、連合国側の東京裁判があるのみである。そして、あの戦争に対する “日本国の理解” 注3)が公表されていないため、隣国はおろか国民の間でも、評価は兎も角、事実についても合意が形成されていない。そのため、毎年政府要人はキョロキョロと隣国の様子を伺いながら、靖国の前で足踏みをするとい醜態を演じている。
 あのように壊滅的な打撃を受けながら、政府の決断としてではなく、天皇の決断(聖断という訳の判らない言葉が用いられている)によって、“敗戦”(つまり、連合国側の条件を記したポツダム宣言)を受け入れることになったことが、あの戦争の全てを象徴している。つまり、戦争の指揮を行った主体(つまり主語)が明確ではないのである。日本国総理なのか、日本国軍トップなのか、日本国天皇なのか? 注4) 
 明治以降、西欧諸国に学んで、近代国家建設に邁進した筈である。しかし、いつの間にか日本独自の文化的背景の中に、そのような姿勢も消えてしまい、近代国家に脱皮できなかったのが、あのような無惨な結果に終わった原因ではないだろうか。いまでも所謂右に位置する人たちも、日本の非論理の文化に最高の価値を置こうとしている。靖国神社がその象徴ではないだろうか。

 注釈:
 注1) 尚、ソ連軍の足音を聞いて、満州国からいち早く脱出したのは、軍関係者や外交官とその家族であり、民間人には脱出計画は知らされなかったとのことである。Wikipediaなど参照されたい。
 注2) 注2)戦死者を何故墓地ではなく、神社に祀るのか?その疑問に答えてほしいものである。東京裁判で重要な戦争責任があるとされた者達を、日本国の再検討(上記のReview)なしに、神に仕立て上げたことに靖国問題の本質がある。「以前何も言わなかった隣国が、急に言いだしたのは、戦術として用いる悪しき意図からだ」という理屈はおかしい。異なる文化圏の人間の意図に、気づくことが遅れるのはよくあることだと思う。 注3) 
あの時国の指導者が本来どのような道を歩むべきであったか、それと歴史的事実はそれとどのようにずれていたのか? また、沖縄や本土そして朝鮮半島などから徴兵及び徴用された人に、多くの犠牲者を出した理由は何か? そして、それらの責任者が明確になるように、歴史として公表すべきである。日本国内でも自分の祖父などが戦争の際に日本をミスリードしたとされることになるかもしれないが、その痛みは本来終戦後数年のうちに経験しておくべきことであった筈である。つまり、その後の処理の遅れの責任についても明確にすべきである。以上のプロセスを踏めば、中国や朝鮮半島とのわだかまりの可成りの部分は消える筈であり、それ以上の反日姿勢は、こちらも強硬に反論すべきである。
 注4) セオドア・ルーズベルトの真珠湾攻撃後の対日開戦の演説では、明確に日本国天皇(Japanese Emperor)がオアフやサイパンを奇襲したとなっている。しかし、日本では天皇制の維持のため、この問題に触れないでおこうとする勢力が、政府の中枢にいるのだろう。現在は平成の世である。昭和天皇は歴史上の"人"である。 あの戦争の再評価(レビュー)が出来ない筈が無い。

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