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2014年1月11日土曜日

「米国はいざとなったら中国をとるか日本をとるか?」という無意味な議論---今朝のウエークを観て感じたこと

 今朝のテレビ番組「ウエーク」での、”沖縄の辺野古埋め立て”に関連した議論を視聴して感じたこと、それは、日本の安全保障に関するグランドデサインにおける何らかの合意なしに議論しても、この問題について何の結論も得られないということである。その初歩的な点を考えないで番組を組まれたことは、この番組が単に騒ぎを報道する娯楽番組でないのなら、遺憾である。
 沖縄の前知事太田さんは、全く中国の脅威を感じておられない上に、戦争時の沖縄地上戦の記憶から脱しておられない。また、社民党の方は、日本国全体の国益を考えるという視点が最初からない(注1)。ケビンメアさんは当然米国の国益を第一に考えつつ、言葉を選んで発言される。その他の方は、中国の脅威と沖縄の負担を考えておられるようだが、そもそも「沖縄の負担とは何か」(注2)についての合意は形成されていないのだろう。その議論の終盤近くになって、政治評論家の伊藤さんが、後藤田正晴元副総理との話を紹介された。後藤田さんは、「米国が最終的には、対日関係よりも対中関係を毀損しないように選択する可能性もある」と話されたというのである。終盤で原点に戻ってしまったような感想を持ってしまった。そして話はソチの五輪へと移った。従って、当然ながら、番組全体の大筋である、中国の脅威を前提にした沖縄基地の議論は全く噛み合わず、何の結論さえ得られなかった。もちろん、視聴者が問題点を把握できるようになれば良いという考え方もあるだろうが。
 ここで大切なことは、「米国が最終的には、対日関係と対中関係のどちらを選択するか?」に関する結論は米国が出すことなので、日本国はこの点を疑問文のままにして安全保障のグランドデザインを組まなくてはならないことである(最後のパラグラフ参照)。従って、国家の枠組みを国際政治の前提とするならば(注3)、憲法をしかるべく改正することと自衛隊を自衛軍とすること(名称変更しなくても、防衛軍の機能を持たせることだけでも良い)は、独立国として成すべき第一歩である。1)沖縄が日本国の一部であること、そして、2)日本国は独立国として、外国からの脅威に軍事的に対抗できること、以上2点の確認をとってからで無いと議論しても、(注4)カレー鍋をかき混ぜるレベルの議論しか出来ないだろう。つまり、伊藤さんが後藤田さんの話を紹介した時点で、議論の原点を形成する必要性に気付くべきなのであり、そこで、ケピンメアさんに「米国はイザという時に、日本国を護ってくれますか?」という質問を投げるのは、愚かな行為でしかない。
 つまり、日米安保保障条約は、日本が感じる曖昧さを、敵国になるかもしれない国も同様に感じるレベルで有効なものなのである。孫崎亨さんの著書「アメリカに潰された政治家たち」によれば、北大西洋条約(NATO)と違って、日本が第三国により攻撃された場合の米国の参戦は、米国議会の承認を経て決定されるとのことである。日本国民は日米安保がNATOレベルの信頼性を持たない条約であることを知るべきである。

注釈:
1) 「万国の労働者は連帯すべきである」という、昔広く全学連の方等に読まれた小冊子にある視点(インターナショナルという視点)しかないのかもしれない。
2) (この注釈は、最後まで文章を読んだ後に読んで下さい。)沖縄の負担と言うが、沖縄が日本国に属するという前提をおくのなら、地政学的な重要性を考えれば、基地の存在を認める義務がある筈である。もちろん、権利義務は対になって考えられるべきであるので、沖縄は安全確保やその他の支援を要求する権利を持つ。国家と個人の関係と類似した関係が、国家と地方自治体にも存在すると思う。
3) 地球国家的な枠組と法(ルール)による統治が国際社会において(十分といえるレベルまで)成立しておらず、国家間の関係は未だ戦争が起こりうる状態にある。つまり“野性の原理”(つまり、弱肉強食の原理)が支配している。そのような政治環境で、国を構成するメンバーの政治的経済的な自由と安全は、対外的に使用しうる軍事力なしには保全されない。
4) この点に反対の者は別の機会を設けて、「米国の属国であり続けるか、中国へ媚を売るか、のどちらに日本の将来を懸けるか?」の選択について議論すれば良い。

1 件のコメント:

  1. 結局日本は日本人がまもらなければ成らないと言うこと。良い点をついている。特に注2)については沖縄の方もその他の方も、逃げずに直視してほしい。

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