1)3/31の読売新聞によると:
岸田外務大臣は4月10日から広島市で開催される先進7ヶ国外相会合で、核軍縮・不拡散を推進するための「広島宣言」を発表することを明らかにした。G7外相会合では、核兵器を保有する米英仏を含む各国外相が平和記念公園で献花し、平和記念資料館を訪問する方向で調整を進めている。
岸田外相は「広島宣言という文書を発表したい。初めて被爆地で開催されるG7外相会合なので、今しぼんでいる核兵器のない世界に向けての機運を盛り上げるメッセージを発信したい」と述べた。
私が最初にこの記事を読んだ感想は、「この外務大臣は政治家なのだろうか? 単なる夢想家ではないのか?」というものであった。なぜなら、核兵器廃絶は世界政府ができない限り実現しないと思うからである。現実を見ればそれは明らかである。核兵器が米国で発明されて以来、核保有国が増加し続けている。そしてその理由は、ちょっと考えれば直ぐ解る。つまり、核兵器保有国を近くに持つ場合、核兵器の保持以外の方法で核抑止力を持つことが極めて困難だからである。また、出すのなら、英米仏の核削減計画と、中国やロシアなどの核兵器をどのように削減させるかの、それぞれ具体策を添付しなければ全く意味がない。言葉を虚空に投げるような宣言を出して、何の意味がある。
外務大臣は、G7(英、米、仏、独、伊、加、日)の中で、最も核兵器の脅威に晒されている国は何処だと思っているのだろうか。それは明らかに、中国や北朝鮮の核兵器の脅威に晒されている日本である。その二カ国が参加しない会議で、そのような声明を出すことにどのような意味があるのか?インドやイスラエルは日本国民を気の毒に思ってくれるかもしれないが、中国や北朝鮮は薄気味悪く笑うだけではないのか。
また、そのような宣言を出すことは、日本が核保持のオプション放棄を宣言することになる。現在最も核抑止力を必要としているのは日本、韓国、台湾の順である。そして、核兵器の脅威は核保持でしか除去できないのだ。もし、米国が孤立を目指し、且つ、世界の多極化を許すのなら、日本の核抑止をどう実現するのか?ミサイル防衛スステムは、米国の専門家も完璧には程遠いと証言している(以下に引用する)ので、それ以外のオプションを具体的に示すべきである。
2)G7外相会合でそのような「広島宣言」を出すのなら、岸田氏は中国と北朝鮮の核の脅威に対して、どう対処するかを明らかにしてからにしてもらいたい。米国のミサイル防衛システムが完璧には程遠いだろう。湾岸戦争で米国のパトリオットはスカッドミサイルを全く打ち落とせなかったこと、細長いミサイルが軌道上で回転して的が絞れないこと、THAADでも囮弾と実弾の区別がつかないなどの弱点が議論されている(ウイキペディアのパトリオットミサイルと下記サイトを参照)。http://english.hani.co.kr/arti/english_edition/e_international/697543.html
韓国でも最近の新聞にTHAADなどのミサイル防衛システムがたとえ配備されたとしても、システムそのものの有効性に対する疑問とともに、多額の負担金に関する心配などが報道されている。http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/23681.html
米国が核兵器に対する防衛の基本としているのは、当然核兵器による反撃だろう。米国に核反撃を受ければ、当該敵国の滅亡は確実なので、通常の場合は核兵器保持だけで核抑止力がある。しかし、国家的な自爆テロ(国家滅亡を覚悟の上での攻撃)には、核兵器保持だけでは核抑止力にならない。そのような彼らの視点で異常な国家(北朝鮮、補足1)を対象にした核抑止力が、ミサイル防衛(MD)システムであると思う。最初の一撃をMDシステムで打ち落とせば、あとは核報復で敵国を完全破壊できる。米国は、この二つの抑止力で完璧を期しているのだろう。それは米国などの核保有国の理屈だろう。
そもそも、鉄砲の玉から身を守るために、発射された鉄砲玉を撃ち落とすという技術が完璧に働くと考える方がおかしい。最新型であるTHAADシステム(補足2)を、日本や韓国などの同盟国が買うことは、米国の防衛産業の防衛には非常に有効だろう。そのためには、北朝鮮の脅威は好都合である。北朝鮮から核兵器開発を朝鮮戦争の終結という形で阻止できたにもかかわらず(補足3)、放置して北朝鮮に核兵器を持たせた魂胆はそのあたりにあるのではないだろうか。
3)何故、日本の政治家はこれほど頼りないのか?その答えは、マッカーサーにより無害と判断された政治家の二世三世議員が日本の与党の政治家群を構成するということにある。他のタレントやスポーツ選手出身の政治家は、更に頼りにならないだろう(補足4)。
例えば、岸田外務大臣は3世議員である。父の岸田文武(以下敬称略)は元衆議院議員で、祖父岸田正記も元衆議院議員。参議院議員の宮沢洋一は従兄弟であり、伯父の宮沢喜一元首相の地盤を継いだ。宮沢喜一元首相の弟の宮沢弘は元法務大臣で、お祖父さんは元鉄道大臣の小川平吉。小川平吉の長男の小川一平は元衆議院議員で次男小川平二も文部大臣などを歴任。(以上ウイキペディアによる)宮沢喜一元総理は、非武装を宣言した憲法を守ると証言している(片岡鉄哉「日本永久占領」472頁)。
このような世襲政治家が非常に多いことを、国民はどう思っているのだろうか? 一国の大臣はその国の天才的人物がなって然るべきであるが、世襲でどんどん天才を生む家系などこの世に存在しない。第二次安倍内閣が出発した時の大臣の50%が二世議員だったという記事がある。http://blogos.com/article/96845/ バカバカしい限りである。
補足:
1)米国は、その他にイスラム国などや昔の大日本帝国などを想像するだろう。米国(など覇権国)は、「完全降伏か、それとも死か」という選択を相手に迫ることは、自爆テロ的反撃を生む可能性があることを想像できないのだろうか?
2)米国軍需産業のロッキードマーチン社が開発。高度100kmから高速で落下してくるミサイルにも対応できるという。しかし、囮と本物の区別ができないなどの弱点があるという。
3)菅沼光弘「守るべき日本の国益」5-6章、特に230頁参照
4)例外もある。アントニオ猪木議員のイラク人質解放での功績は忘れてはならない。また、北朝鮮からの人質解放でも相当努力されたようだ。https://ja.wikipedia.org/wiki/アントニオ猪木
これは素人によるメモです。適当に読み飛ばしてください。
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