1)個人でも国家でも理想を持たなければ暗くなる。しかし、現実を直視しなければ、やがて理想も持てないほどの悲惨を味わう。理想を語りながら、したたかに現実的に物事を処理する国家としてアメリカがある。そして、大統領は表の役割を演じているだけだということを、オバマ氏は最も解りやすく教えてくれた。
つまり米国は、理想論を表に現実論を裏に持つ二重張りのコートをきた国である。その接着財はずる賢いシンクタンクの仕事なのだろう。最近のイスラム過激派やシリア内戦の厳しい状況、それに中国の経済的台頭などが原因で、これまでの表地では国内の不満を抑えきれなくなってきた。そこで、今回着替えることになった。
因みに、中国やロシアがあまりにも強面に見えるのは、理想であった共産主義を脱ぎ捨てたまま、表に何かを身につけるに至っていないと言えるのではないだろうか。
米国は今回、表を“民主主義の伝道によりグローバルな平和を世界に広げる”という表から、“自国の繁栄を第一と考える”という最も伝統的な「表」に着替えたように見える。トランプ氏が大統領に当選した原因について、プーチンによる反クリントン情報の暴露とか、米国の没落白人達の票を集めたとか、いろんな説がある。しかし、米国に元々存在した勢力がトランプ氏を看板に取り替えることにしたと考えるべきだと思う。米国には多くのオプション(着物)が用意されていて、今回はその一つが表に出てきただけだろう。
2)大昔、地球は広かった。それが人類にとって狭いと感じられるようになり、戦争が始まった。この70年間戦争がなかったのは、科学と技術の融合により高い生産性と省エネルギーが達成され、一時的に地球が広くなったと人類が感じただけだと思う。豊かさに慣れた人間が、三食食って家に住むだけでは満足できなくなり、再び地球の狭さ富の少なさを日常的に感じるようになったのが、現在の世界なのだろう。もちろん、貧富の格差拡大もそのおおきな要因だが、主ではないと思う。
トランプ大統領は、この経済的地理的に狭く感じられるようになって、何かを排除しなければならないと考えているだろう。最初に標的になったのがイスラム圏である。テロリズムの輸出をしているというが、その製造技術は米国製であることには言及しない。しかし、トランプ氏がもっとも大きな問題だと感じているのはアジアではないだろうか。
ロシアのプーチン大統領は既にそれを読んでいる。米露の接近は、中国を再びロシアの敵にするだろう。Youtube動画の多くに見られるように、中国は没落するように感じる。しかし、それは中国だけの問題ではないことに、日本のほとんどの人は気づいていない。中国が米国の経済的政治的攻撃目標になるとしたら、日本がその手先に使われるだろう。しかし、もし中国が没落した時には、標的は日本になる可能性が大である。
既に書いたように、日本は現在英米ブロックの端に位置しているし、その延長線上以外に日本の位置を求めることは、日本国の中枢と日本国民の意思に相当の成長がなくてはあり得ない。しかしその路線は、あと30年位は許されても、その先は保障されないだろう。2050年問題、つまり、イスラム教信者がキリスト教信者の数を超えることは欧米にとって共通の大問題である。それを睨んで欧米の戦略家は必死になって、世界戦略を考えているだろう。
http://jp.wsj.com/articles/SB12451244521881693796604580557262642639100
それと同時に、欧米にとっての大問題は、米国がGDPで世界トップの座を明け渡す時である。中国を米国が攻撃の的にするのは、その意味で自然である。昔、中国共産党は、国民党と日本を戦わせ、両方を消耗させる戦略をとった。そのような戦略は常識であるが、国家が表と裏の二重張の着物をきているという常識を持たなければ、簡単にその戦略に嵌るだろう。
日本がそのようにならないように祈るが、そのためには日本にも裏地が必要である。米国が世界各国に戦略として輸出してきたのは、民主主義や人権といった表地だけであった。それは対象国の弱体化を目的としてなされたことは、今や常識だと思う。その表地は、接着剤なしでは裏地を嫌うことも米国の戦略家は熟知していた筈である。
==これは素人のメモです。適当に読み飛ばしてください。==
0 件のコメント:
コメントを投稿