注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2018年11月21日水曜日

グローバリゼーションの系譜と民族の生きる戦略

人は物理的には弱い動物であるが、地球上を支配している。人が生き残り、地球上を支配するまでになったのは、人には代々継承される文化と文明があったからである。文化とは代々継承される知恵の集積である。(補足1) 民族や国家でも、長い歴史とその間に大きくなった知的体系(=文化)がある場合、生き残りに有利だろう。長い間に育てられた文化のレベルは、現在の民族のメンバー個人の知恵と、変化に適応する能力として測られる。以下民族としての生き残りの問題を考えてみる。 1)民族の生き残りは、多民族との競争における勝利である。民族が生き残った理由には、文化と地政学の両面がある。深く高い文化を持たなくても、山岳地深く住む民族は生き残ることができただろう。その逆のケースもあり得る。知や美を極めたとしても、戦いに破れればその民族は消滅する。

地政学的意味は時代とともに変化する。現在、ほぼ究極の移動手段を手にしているので、地政学的に地球は平坦になった。つまり、山岳民族も離島の民族も、簡単には生き残れない。生き残りには、文化と文明における総合的な力が要求される。

13世紀にユーラシア大陸の広い範囲を勢力圏に収めたモンゴル帝国は、必ずしも西欧に比較して高い文化を誇った訳ではない。それには、広いユーラシアでの争いを前提に作られた“武の文化”があったのだろう。

現在、世界を制覇しているとも思われるユダヤ資本を考えると、彼らは民族内での強い人的ネットワークと、政治と金融における知恵と力を持っている。その民族の団結と高い文化のレベルが、相互作用的に彼らに利をもたらした。その背後には、継承したユダヤの信仰(意思)やタルムードなどの知恵があったと思う。

現在、世界は第二次から四次までの産業革命後の生産性向上により、経済的に拡大した結果、戦いの動機はかなり減少している。しかし、将来大量消費の時代が続くだろうから、資源や食料の枯渇が必ず問題となる時期がくる。そして、再び民族の淘汰がなされる可能性が高いと思う。この危機を乗り越えるには、民族としての現状認識および生き残り戦略が不可欠だろう。特に、現在のグローバリゼーションの分析と、それに基づく対応が取れるかどうかだと思う。 2)経済のグローバル化は、国境の破壊又は崩壊への一里塚である。その差し当たりの効果は、先進国への移民の流入と途上国人口の増加と経済発展である。世界を広く経済発展させようとするグローバリゼーションと上記人口動態は、先進国の国境だけでなく文化も崩壊させるだろう。その先頭にあるのが、米国だろう。世界のリーダーの米国は、グローバリゼーションの旗手でもある。 米国は、世界の縮図だと思う。固有の民族も文化もない。その米国で大手を振る概念は、「自由と人権」であり、その社会における具体的表現がマイノリティへの差別撤廃(権利拡大)と法的コンプライアンスだろう。それらは米国の多様性や多文化主義的様相を益々強めて居る。また、「自由と人権」の政治的表現が「民主主義」である。

「自由と人権」そして「民主主義」に最高の価値をおくことが、米国により示された近代政治文化の普遍的方向のように見えるが、それは民族(国家)の生存という点で、全てではない。それと部分的に矛盾するのが、民族のエゴイズムであり、“本音と建前の二重螺旋”のうちの本音として存在する。

この「建前の米国」を世界にひろげる計画の原動力は、本音のエゴイズムである。その計画は、米国を牛耳る一部の逞しい人たちの本音によりエネルギーを与えられた世界戦略なのだろう。既にその方法は米国を牛耳る段階で有効性が証明されている。

マイノリティの一つでもあるユダヤ社会が、その少数派の権利確保という名目で運動を組織化し、米国を牛耳ることに成功したと、政界の重鎮だったブレジンスキーが回顧録の中で書いているという。https://www.youtube.com/watch?v=Z85BnnOPmZ4&t=412s 

ブレジンスキーは自分でタネを明かす不思議な奇術士だと思う。本音を明かす動機はわからないが、それは真実だろう。そして、抵抗勢力をコンプライアンスという言葉で封じてきたのだろう。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43792629.html

その建前と本音の間には、螺旋を数回りしたところで食い違いを生じる。自由の一表現である「銃で守る自由」は、非文化的であり往往にして銃により破壊される。また、“自由”の陰で消えそうに存在するのが“平等”である。経済生活上の不公平係数である“ジニ係数”は、米国において先進国中最大である。(補足2)自然発生した単独の民族から生じた文化なら、自由と平等は2本足のように存在する筈ではないのか?

米国の自由や人権は、建国当初のものから変質して来たのだろう。現在では、建国当初の主要メンバーだった白人達のブルーカラーの部分は貧困層であると聞く。(補足3)国家全体にそのような分断がある限り、米国の「自由と人権」は形骸化していると言える。中国が、内部の矛盾を外部に勢力を広めることで解消しようとして居るとよく言われる。その批判は米国にも当てはまるのではないのか。その姿は、トランプ大統領の外交姿勢で明らかになってきている。民族の淘汰は、見えたり隠れたりするかもしれないが、常に存在するというのが正しい理解だろう。

3)評論家の三橋貴明氏は、ネットでの解説において、国際共産主義運動を第一次のグローバリゼーションとし、資本と人の移動から国境障壁を無くす現在進行形のグローバリゼーションを第二次グローバリゼーションとしている。馬渕睦夫元ウクライナ大使は、その両方とも米国に多く在住するユダヤ資本家たちが推進したと、指摘している。

経済のグローバリズムは、株式会社のために国境を跨ぐ移動に際して、障害を取り除くことである。そのために、人や物、金の自由な移動を可能にする制度である。自由と人権の思想を自然人から法人に拡大し、国境を取り除いて世界に広げようとしているのである。それは、米国がこれまで国内で個人を対象に採用してきた考え方の延長上にある。

地球上に散らばりながら生存空間の拡大を目指してきた彼らユダヤ系資本家たちが先頭にたち、支配下にある法人とともにグローバルな自由度を獲得したのだろう。彼らは、グローバリゼーションの中で生き残る実力と自信があり、グローバリゼーションの中で消滅する他民族と他文化の運命も知って居るのではないだろうか。

馬渕大使は、その中で米国民の多数派で支配層だった白人・アングロサクソン・プロテスタント(WASP)の生き残りのために立ち上がったのが、反グローバリストのトランプであり、グローバル化の弊害から世界を救う活動家だと考えて居るようである。中米ホンジュラスからの移民キャラバンは、そのトランプへの反撃として引き起こされたという考えは十分説得力があるように思う。(昨日の記事)

トランプの姿勢はグローバリズムに敵対する動きであり、トランプが勝てばハッピーエンドだろうか。私には、トランプの単純な勝利は、世界に別の混乱を引き起こすように思える。差し当たり現段階で立ち止まり、今後の世界の未来を考えるべきである。

今回は、中途半端ですが、このあたりで終わります。民族の生き残りを標榜しながら、そこまで議論が進みませんでした。近いうちに続編を書きたいと思います。素人の考察ですので、いろんな角度から不十分な点や誤りを指摘いただけたらと思います。

補足:
1)文化は知恵と慣習の集積だが、慣習は知恵の継承の為に作られた習慣だと思う。つまり、継承する本体は知恵である。
2)http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2172R.html
2)ジニ係数を算出するプロットで、右端の富裕層にユダヤ資本家たちが並ぶ。WASP(白人アングロサクソンプロテスタント)の下に、更に有色人種が左側に並ぶのだろう。(補足1参照)それは自由と人権を標榜する国としては異常であると思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿