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2021年10月6日水曜日

今年のノーベル物理学賞、特に真鍋博士の地球温暖化研究

今年のノーベル賞物理学賞は、愛媛県生まれの米国人である真鍋淑郎氏、ドイツのKlaus Hasselmann氏、イタリアのGiorgio Parisi氏(以下氏は省略)が受賞した。真鍋とHasselmannは地球温暖化のモデルを作ったことに関して、Prisiは複雑系の理論への貢献に関して、夫々の優れた業績が評価された。

 

今年のノーベル物理学賞は、二つの研究で構成されたもので、それらの関係は濃厚とは言い難いと思う。ノーベル賞委員会による記者会見がyoutubeで公開されている。

 

 

前半の真鍋とHasselmannの研究は、気候変動のモデルという強い関連性がある。真鍋氏は熱力学と流体力学を用い、地表面温度に関する数学的モデルを作った。そして、二酸化炭素の濃度が倍になれば2度程気温が上昇するという結果を導き出した。Hasselmann は、乱雑に変化する天候がどのように気候という長期変化を起こすかという問題に対する、海と大気を含めたモデルを提出した。

 

上記記者会見で、これらの業績の科学的面について解説されたが(上記動画の7:30-15:30) 、かなりわかりにくいのは、やはり専門化された分野の最先端は、我々一般大衆にはわかりにくいということだろう。

 

この記者会見の中で、音声だけの放送だが、理論物理の方で授賞したGiorgio Parisiが記者の質問に答えていた。最初の質問が、真鍋とHasselmannの研究とParisiの研究の関連性を問うものだったが、やはり関係つけるのはかなり困難な様子だった。(上記動画の16:30から)

 

尚、真鍋さんも他のテレビのインタビューに答えている、その動画を下に引用する。https://www.youtube.com/watch?v=yt246lKVhr4

 

2)最初に引用した動画で知ったのだが、地球温暖化を最初に考えたのがFourierであった。フーリエとは、物理(熱伝導)や数学(フーリエ変換)で有名なあのフーリエである。太陽から地球に来るエネルギーの大半が可視光線で、それは直接地表に届く。そこで大半は熱に変換され、大気がなければその全てが赤外線放射で再び宇宙に放出される。フーリエは熱を暗黒エネルギー(dark energy)と呼んだ。

 

このメカニズムだけの場合、地表面の温度はマイナス18度(摂氏)となる(黒体輻射と見做した場合)。大気があれば、それが一部の熱を一時的に保持し、地表面は暖かくなる。このあたりの解説は拙ブログでも行なっている。下の解説ブログの②の図(7)にこのエネルギー収支の図を掲載した。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12539856071.html (最新の解説)

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12545727156.html(以前の解説の再録版)

(上図はウィキペディア「地球エネルギー収支」からとった。)

 

 

フーリエの考察から70年後、二酸化炭素の影響を考慮したのがアレニウスである。Svante Arrheniusはスウェーデンの科学者で、電解質の研究でノーベル賞を受けている。物理化学の祖の1人ともいわれ、化学反応論のアレニウス・プロット(化学反応の活性化エンタルピーを求めるため)も彼の発明である。

 

アレニウスは、論文:「On the influence of carbonic acid in the air upon the temperature of the gruond」で、空気中に熱吸収に活性な物質が増加すれば、大気温度が上昇することを予言した。そのような寄与が大きいのが二酸化炭素と水蒸気である。

 

その論文では二酸化炭素が倍になれば、4−6度の温度上昇が起こると予測されているが、それは若干大きすぎる。このあたりの解説は、インターネットではVictor M Ponceという人が2011年にアップしている。http://ponce.sdsu.edu/global_warming_science.html

 

それから又およそ70年後に、より正確な予測をしたのが真鍋淑郎博士らである。このモデルでは海洋と大気の両方を、地形や緯度で細かく分割して計算している。真鍋らは、そのような複雑な計算モデルを構築し、スパコンを用いて定量的な気候予測を可能にしたのだろう。 (以上)

 

追補: 他に、太陽活動の変動による寒冷化についても触れないと不公平かもしれない。それは、太陽風の地表面への到達量が増加し、それにより生じたイオンが核となって曇ができ、その遮光効果で地球が寒冷化するメカニズムである。似た現象が、火山の大爆発で大気中の微粒子が増加してでも発生する。恐竜の絶滅は、衛星が地球に衝突して、空中に大量のチリがばらまかれ、このメカニズムで地球が寒冷化したという説が有力である。

 

(追補は9時30分追加、11時45分編集;9日夜若干の補足を括弧内に追加、日本語の修正少し)

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