政府の新型コロナウイルス対策を議論する有識者会議「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は19日の会合後に取材に応じ、繁華街への人出を減らす「人流抑制」から、飲食店などの「人数制限」へ対策をシフトすべきだとの考えを示した。
https://mainichi.jp/articles/20220119/k00/00m/040/105000c
この考えを受けて、岸田総理も「人流抑制から人数制限へ」と発言している。
ここで確認しておくべきは、人流制限にしろ人数制限にしろ、感染者からそれ以外の人への感染伝搬をどう防ぐかを議論していることである。(補足1)従って、上記方針変更が、オミクロン株における感染様式の変化と整合性がなければならない。
本稿の主旨は、オミクロン株が空気感染とも言える微細な唾液粒子によるエアロゾル感染(補足2)が、主なる感染経路であるとの科学的な報告と、今回の政府の方針転換は整合性がないことの指摘である。
人の流れがあっても大声を出さなければ問題ないと言えるのは、デルタ株以前の感染についてこそ言えることである。つまり、大粒の唾液粒子を介する感染なら、濃厚接触者(補足3)から感染が出る筈であり、隔離すべきは感染者と濃厚接触者ということになる。
また、サブミクロンサイズの微細粒子相手では、マスクの効果はマスクの種類に大きく依存するので、マスクをしていれば安心という通説には警告を与えるべきである。実際、どうして感染したのか不思議であるという証言が感染者から多く聞かれている。
この微細コロイド粒子を介する感染については、一昨年の7月に詳細に議論した。ここでは声を出すだけで、微細コロイド(エアロゾル)粒子が放出されることなど、科学的研究についても紹介している。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12614123518.html
更に、オミクロン株では濃厚接触者に限らず感染するとした場合、濃厚接触者のところで線引きをして隔離の対象とし、同じ空間に居た大勢の人に制限を加えないという対策では、デルタ株以前のような効果は見込めない。同じ空間に居た全ての人を隔離するのでは、直ぐに我々の社会がその機能を喪失してしまうだろうと言うのなら、欧米のように濃厚接触者の隔離を諦めるべきである。
同様に、空気感染に近いタイプの感染症防止を念頭に対策するのなら、「人流制限に意味がなく人数制限に意味がある」という主張は成立しない。人数制限すべきなら、人流制限もすべきである。
もし、オミクロン株の被害がそれほど大きくならないで最終的にパンデミックが終るのなら、それはこれら日本政府の対策によるのではなく、一重にオミクロン株の弱毒性のおかげと言える。つまり、政府の対策は、ほとんど経済活動の弱体化と米国製薬会社等への利益運搬に寄与するするだけだろう。
2)旧型ワクチンの接種を推進する理由は何か?
冒頭に紹介した記事によれば、政府分科会は、ワクチン接種証明や検査の陰性結果を基に行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」を停止する国の方針を了承した。尾身氏は、停止する理由を「オミクロン株で(ワクチンの)感染予防効果がかなり低くなっている」と説明した。
そして、パッケージ再開の条件は、ワクチンの3回目接種が進み「当初と同じようにワクチンが非常に有効だとわかったときだ」とした。これらの発言もふざけた話である。
今回、3回目接種に用いる予定のワクチンは、オリジナルなウイルスのスパイクタンパクを鋳型にして作られている。この古いタイプのワクチンによる感染予防効果がかなり低くなっていると把握しているのなら、このワクチン接種を推し進める理由は何なのか?
3回目のワクチン接種は、ワクチンの副作用とオミクロン株への効果をできるだけ明らかにしたのちにしてもらいたい。これでは国民の多くが、これまでのような効果が期待できないにも拘らず、米国のワクチン製造会社への忖度もあって接種を進めるのだろうと思うだろう。
(16:00、補足3の追加、2、3の文章の小さい修正)
補足:
1)この当たり前のことの確認から、議論を開始する必要があるという正にその点が、政府と政府有識者会議の不十分な体制を証明している。
2)感染者一人が話すことで、エアロゾル状のウイルスを含んだ微粒子が放出され、それが部屋の中に広がる。同室の人は数メートル離れていても、同じ空気を吸うだけで感染の危険性がある。必ずしも濃厚接触が感染の条件ではない。アクリル板を用いた飲食店などでのシールドや、アクリル性のHフェイスガードは、感染防止の意味が従来株に比較して相当減少することも十分考えるべきである。
3)念のため、濃厚接触者の定義を書いておきます。(16:00に追加)
・患者と同居あるいは長時間の接触(車内・航空機内等を含む)があった者
・適切な感染防護(マスクの着用など)なしに患者を診察、看護もしくは介護をした者
・患者の気道分泌液もしくは体液などの汚染物に直接触れた可能性のある者
・その他:手で触れることのできる距離(1 メートル)で、必要な感染予防策なしで患者と 15 分以上の接触のあった者
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