木原官房副長官の奥さん(X子さん)の元配偶者である安田種雄さんが、失血死で見つかったのは2006年4月10日午前4時前であった。場所は東京都文京区の自宅居間で、発見者は携帯電話に出ないことを不審に思って訪問した実の父親である。
安田種雄さんは、ナイフにより頭上から喉元に向かって刺され、傷が肺近くまで達したことにより失血死した。父親は死体の情況や、用いられたと思われるナイフが足元から20㎝ほど離れて整然と置かれていたことなどから、他殺だと思うと話している。
この事件は早々と自殺として処理されたが、不審に思った捜査官も多かったと思われ、不審死事件のファイルに保存された。このあたりの経緯に対する報道はほとんどない。2018年、他殺の疑いがあるので再捜査が必要という話になり、30人の陣容で再捜査が始まった。その後、X子が殺人罪で逮捕される直前に何故か捜査が中止され、再び自殺と結論されることになった。
X子は2008年に木原官房副長官と結婚しており、妻を護るために官房副長官が政治力を利用して捜査妨害に動いたのでないかと多くの人は疑っているようだ。そして本年7月6日、「岸田氏最側近 俺がいないと妻が直ぐ連行される 衝撃音声」との売り文句で、事件概要と木原官房副長官の捜査妨害の意図を想像させる内容の記事を週刊文春が掲載した。
7月5日(週刊誌7月6日号は発売済)、木原氏の代理人弁護士が司法記者クラブに「御通知(至急)」と題したA4判で3枚にわたる文書を送付し、「週刊文春」を発行する(株)文藝春秋を刑事告訴することがわかった。木原官房副長官は「事実無根である」として記事削除を要求している様だ。
https://bunshun.jp/articles/-/64144
これが今回報道の事件の中心部分である。この件、ネットで多くの人が様々な角度から報じているが、整理されておらず「事実無根である」との木原発言にある「事実」についても、明確に分るように報じた例はない。
事実無根の「事実」とは、①「木原官房副長官が捜査妨害(政治圧力)したこと」なのか、②「木原氏の奥さんが配偶者だった安田種雄さんを殺害した」という意味なのか、それとも両方の意味なのか?
昨日、安田種雄さんの遺族の記者会見があったが、そこで遺族の方が木原氏の発言を批難していたが、前後の話の流れから、遺族の方は②の事実を主張されている様に聞こえた。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/326322/2
尚、遺族の方々による記者会見の模様は、以下のyoutube動画にアップされている。
https://www.youtube.com/watch?v=9quuq5qyIhw
一方、2023/7/21のMAG2NEWSに掲載の新恭(あらたきょう)氏による記事では、“木原氏は文春の記事に関し「事実無根の内容であるばかりでなく、私と私の家族に対する想像を絶する著しい人権侵害だ」とする「ご通知」なる文書を司法記者クラブ宛てに送付した”と書かれている。
従って、木原氏の訴えは両方とも事実無根であるとの主張と考えられる。私に対する人権侵害が①を思わせる報道であり、私の家族に対する人権侵害が②を思わせる報道だろう。 https://www.mag2.com/p/news/580729
2)2006年の事件について:
上に引用したMAG2NEWSを情報源として、事件の概要と疑問点を整理する。安田種雄さんは2006年当時風俗業を生業としていた。夫婦二人は、雑誌のモデルとして活躍するなど、美男美女のカップルとして近所でも話題になっていたようだ。
結婚後、子ども二人に恵まれたが、X子さんが外に男を作って家を出、その男性Yと生活をともにするようになった。そのゴタゴタの中の2006年4月9日、安田さんは父親からハイエースという荷台の大きい車を借りて、荷物とともに妻と子供を自宅に取り戻したという。
その夜、事件が発生したのである。直後、警察は捜査した筈だが、種雄氏の自宅から覚せい剤が見つかったこともあって、覚せい剤中毒の末の自殺として、一応片づけられた。(③週刊文春の記事には遺体から致死量の覚せい剤が見つかったとかかれているようだ。)
その後、④Y氏は覚せい剤所持か何かの罪で収監されたようで、2018年の再捜査の際に出所していたY氏は警察に、X子から連絡を受けて現場に行った時、X子は「夫婦喧嘩になって、殺せるなら殺してみろと夫から刃物を握らされたので、切ってしまった」と言ったと捜査員に証言した。
事件後、X子さんは銀座の高級クラブで働いていたが、2008年の春頃、2005年の選挙で初当選し衆議院議員となっていた木原誠二氏と知り合い、妊娠したことで結婚した。https://www.youtube.com/watch?v=sQNfWAxGmWA
文春砲連続炸裂の木原の●の疑惑・・・被害者遺族が記者会見。共同通信始めようやくマスコミも一部が動き始めた。元博報堂作家本間龍さんと一月万冊 - YouTube
上に書いたように、➄事件直後の捜査は短時間で終わり、自殺とされた。ただ、どこかの段階で不審死としてファイルされていたようだ。2018年春に解凍されて、上記のように捜査が再開された。上記④の証言を得て、30人という大人数の態勢で捜査に臨むことになった。
2018年10月には、木原誠二氏宅も家宅捜索され、X子さんに任意同行を求めるに至った。最初断ったもののその後出頭したしたX子さんは、事件当日Y氏に連絡したことを否定し、「事件に関与していません」「記憶にありません」を繰り返すことになったようだ。
その後2018年11月に安田種雄さんの父親は、自宅にやってきた捜査員から「事件から外されることになった」と聞き、その後まもなくして、警察に呼び出されて捜査の縮小が告げられた。現在、X子さんはこの不審死事件の被疑者とはされていないという。(補足2)
逮捕直前まで捜査が進み、突然、捜査が終了した背後に、何か大きな力が働いたことは言うまでもないだろう。
3)木原官房副長官のもみ消しというよりも、事件直後に捜査のもみ消しがあり、同一の力が今回も働いのではないのか?
事件後覚せい剤中毒による自殺とされたが、頭上から首に向かって切り込むと言う自殺はあまり無いだろう。更に、上記③にあるように、致死量の覚せい剤を服用した状態でそのような自殺が可能なのかも疑問である。
安田種雄さんのお父さんの仰るような刃物の置き方も不自然で、そのような自殺なら、身体に刺さったままか、握り締めた手の近くにあるだろう。それよりも、何者かが致死量の覚せい剤を服用させて、刺し殺す筋書きの方が遥かに分かりやすい。
何故、このような比較的分かりやすい事件であり、12年後に大々的に再捜査される程に疑問点を残しながら短期間に自殺として捜査が終了したのか? 以下は筆者の想像だが、X子さんの父親が警視庁の警察官であったことと関係ありそうである。
百田尚樹氏は、その件で、警察官と言っても警視以上になる上級国家公務員に相当する方か、単に警部などで終わる警察官では話が全くことなると言っている。
https://www.youtube.com/watch?v=68TZZI7TgSE
https://www.youtube.com/watch?v=UVIAJeEkqtk
しかし、警察は自分たちの組織の名誉を殊の外大事にする。更に、最下層の警察官でも、その家族への配慮が必要だと署員のほとんどが考えるような場合、捏造することもあり得る。(補足1)後者のようなケースとして、2006年3月3日に起こった高知県吾川郡春野町で発生した白バイ警察官の死亡事故に関する捏造疑惑がある。
この高知の事件では、死亡した警察官(新婚期だった)に退職金を出すために、無実のバス運転手に罪をなすりつけた冤罪事件であるとテレビ朝日系で宣伝された。
この事件の真相として筆者が考えた筋書きは、テレビ朝日のものとは異なるが、捏造があったことは事実だろう。興味ある方は下記サイトの記事をお読みいただきたい。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516621.html
つまり、今回議論の事件でも、X子さんの父親が警視以上の警察官の方がなら、もみ消しの動機は、当然実の子を殺人犯の汚名から守ることである。しかし、個人の動機としてはそのようなもみ消しは行われないだろう。それより、誇り高い警視庁という組織を守るという動機ではなかったのか?
警視庁警察官の娘が、主婦でありながら愛人の元に走ってドロドロとした三角関係のトラブルとなり、愛人の協力を得て配偶者を殺害した可能性が高い等と、週刊誌で大々的に報じられ日本国民に広く知られることは、警視庁だけでなく警察全体の名誉が汚されると考えた末に、組織としてのもみ消しではなかったか?
筆者は、この事件が正しく発生直後の捜査で解決されていれば、今回のような微妙な時期に国家の中枢がトラブルに巻き込まれることなど無かったと思う。
この事件が大々的に再捜査されたにもかかわらず、一年で捜査が中止され、再び安田種雄さんの自殺として片づけられようとしていることに対し、木原誠二官房副長官の権力によるもみ消しだけに拘って批判するのは間違いだと思う。
木原官房副長官の瞬間的な「刑事告訴する」という反応は、自分がそんなに動いたわけではないという思いが根底にあっての事だと思う。
一旦自殺で全て終わりにするという警視庁上層部の判断にも係わらず、12年間冷凍保存されることになったのも現場の捜査員や事務方に良心が働いた結果だろう。そのファイルをたまたま定期的なレビューの一環として予断のない状態で見た担当者が、即座に解凍を考える程の比較的分かりやすい事件なのだろう。
4.終わりに:
再捜査後に、Y氏の証言などが自然の成り行きで集まり、どこかからの強力な干渉がなければ捜査を再開して逮捕まで行くのに大した時間を要しない程の分かりやすい事件だったのだろう。
X子さんの知り合いで、同時に銀座のクラブで働いていて同じ時期に木原現官房長官の愛人となったA子さんという方がいる。彼女からの「俺がいなければ、女房はすぐ逮捕される」という木原官房副長官の言葉が、木原氏による捜査妨害の証拠とされ注目されている。
しかし、これも真偽の程は明らかでない。この証言の評価には、A子さんのX子さんと木原氏夫婦に対する複雑な感情を想像することが大事である。更に気をつけるべきなのは、この件の記事を週刊文春に焚きつけたのは、岸田政権の自民党内の政敵であるという説も存在することである。
補足:
1)冷徹なる機能体であるべきなのが、警察と検察、および裁判所である。その警察が、共同体となってしまうのが、日本社会の大きな病気である。これは、法治国家としての西欧文化を取り入れても、いつの間にか情治国家となってしまう日本病の一症状である。
2)被疑者としては、X子の愛人であったY氏も考えられる。
(投稿後編集、補足1と補足2を追加して、13時40分最終稿とする)(あとで、高知での事件に言及したところの文章を修正した。8/1/早朝)
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