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2025年4月16日水曜日

トランプ関税はドル基軸通貨体制崩壊への備えである

米国トランプ政権は、米国に製造業を取り戻して貿易赤字を解消するために、相互関税という強引な方法を考えた。全ての国を対象に輸入超過がゼロであるべきと考え、輸入超過の割合に一定の係数を掛けて輸入関税率とするという乱暴な方法である。

 

しかしその赤字には、世界を一つの米ドルという決済通貨圏として、円滑な貿易を維持するためには必要だったという本質的理由が存在する。そのお陰で、世界の中で最も安価に製造できるところで商品を製造し、最も必要とするところで消費するというグローバル化経済が成立し、世界経済は飛躍的な発展を遂げた。

 

つまり、各国が決済通貨としての米ドルと、米ドルに容易に変わりえる金融資産を一定量持つことがグローバル経済には必要であるが、それは米国の赤字によって作られているのである。時間がたてば、米国以外の国、特に途上国などは発展するが、米国自身はその赤字に苦しみ始め最終的には米国経済は崩壊の道をたどることになる。https://www.youtube.com/watch?v=O3tx4D0wjMY

 

 

この米国が抱えている罠は、トリフィンのジレンマ(補足1)と呼ばれ、20世紀の中頃にベルギー生まれの米国の経済学者ロバート・トリフィンによって指摘されていた。

 

実際、世界経済の中での米国の相対的地位は低下し、このままでは米ドルが国際決済通貨としての地位を失う可能性が出てきた。昨今、BRICS通貨やデジタルコインなどの米ドル以外の決済通貨ができる可能性が議論されるようになり、そのような事態があり得ないとは言えなくなってきたのである。https://www.youtube.com/watch?v=CHY2dKINaoI

 

 

もし仮に突然米ドルが国際決済通貨でなくなったとすれば、米ドルと不可分の関係にある米国債の市場価値が暴落し、米国経済が急激なインフレなどの危機を迎えることになる。

 

この事態を避けるために立ち上がったのがトランプである。相互関税というトンデモないと世界中が騒いでいるが、以上のように深刻な真実がその理由として存在するのである。米国は、今は発展した元途上国の中国や日本から製造業を取り戻したいのである。

 

この米ドルを基軸通貨として、その恩恵を発展途上国とともに受けてきたのは、金融エリート達つまりグローバリストたちである。つまり、トランプ関税もグローバリストとの戦いの一つなのだ。

 

終わりに: 同じ趣旨の話を4月11日の記事に書いていますので、それも参考になると思います。

 

 

 

補足:

 

1)ベルギーの経済学者ロバート・トリフィンによれば、基軸通貨国(米国)は、世界の流動性(つまり資金の流れ)を支えるために経常赤字を出し続けなければならないが、赤字が続けばその通貨への信認が揺らぎ、最終的にその地位が不安定になる。これをトリフィンのジレンマという。https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ri/A03155.html

 

(4月16日、表題を変更)

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