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2015年3月21日土曜日

年金資金を株式投資に多く向けるのは危険だ

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による株式投資枠拡大により、株価が後押しされ、株価は高値更新している。 http://www.vsm-hk.com/topics/2014/89/この件、いろんな問題・疑問がある。それらは:
1)公務員的な人たちが運用して、利益を上げることなどできるのか?
2)そもそも、今回の株運用枠拡大は、利益を上げる事を目的に行なったのか?そうでなく、株価上昇で景気浮揚を演出するためではないのか?
などである。

1)は、GPIFの前身とも言える年金福祉事業団(年福事業団)によるグリーンピア事業の失敗から生じた疑問である。このはあまりにも有名であり、未だに記憶にはっきりと残っている。http://biz-journal.jp/2014/04/post_4637.html
上記サイト(BusinessJournal)で、失敗をしても責任をとらない官が、リスキーな株投資(国内株25%; 外国株25%)を行なうことはおかしいとの主張が掲載されている。単に物価連動性の債権(国債)投資で行なえば、GPIFという組織もいらないので、安全且つGPIFの人件費が節約できるという主張には、説得力がある。

次に、2)の疑問だが、それはGPIFの運用改革を議論した政府の有識者会議(注1)は2013年11月、アクティブ投資の拡大やROE(注2)に着目したファンドを活用するように提言し、実際に委託先の運用会社はROEの高い株を選んで投資していること由来する。

ROEは純利益と自己資本との比率を%表示したものだが、何故この指標を基準に投資先を選ぶのか、私は素人ながら不思議に思う。何故、営業利益率(業種別に率は代わり得る)か総資本利益率(ROA)を選ばないのだろうか。ROAは全資本(つまり会社の規模を金額で表した数値)あたりの利益率であり、それが大きいことは、そのまま会社が順調に会社の規模に相応しい稼ぎを上げていることを示している。

ROEが高いケースとして、自己資本が少ない、つまり、財務状況の悪い会社で、最近の円安などを背景に差し当たり稼いでいる会社の株がある。そのような会社の株も、この指標に頼れば投資対象になる。逆に、たっぷり稼いで利益剰余金を貯め込み、次の投資先を睨んでいるような健全運営の会社は選ばれない。

一部の非常に健全な財務状況の会社がGPIFの投資対象にしてもらうために、純資産のかなりの部分を株主還元(注3)することで減らして、ROEを上げようとしているケースがあるようだ。株主還元の増加は株価を更に押し上げるので、今回の年金基金の株投資枠増加の目的が、株価上昇による好景気演出なら思惑通りということになる。おまけに、塩崎氏や甘利氏のように多くの株をもっている金持ち議員たちには有利だろう(注4)。

個人ではなく公共の金であるだけに、安全運用を心がけるべきであると思う。そのような場合、この円安で差し当たり利益を得ている会社の株に投資するのは、経済状況が大きく変われば、大きな損失を出すことになる可能性がたかい。

そして、そのときにはグリーンピアの時の様に大損を出しながら、だれも責任をとらないだろう。年金を大幅に下げられた上、誰も責任をとらないということになったら、我々高齢者庶民はどうしたら良いのか。

注釈:
1)有識者会議などという、結論ありきの人選で会議を開き、それを責任逃れの保健にするという行政のやり方は卑怯だ。
2)ROEは自己資本利益率の略で、会社が上げた純益と貸借対照表の純資本の部にある額の比である。一方、ROAは資本全体との比である。別種の指標である、営業利益率は本業の儲けと売り上げの比率である。
3)配当の増加、及び自己株式(会社が自分の株を買い上げること)の取得である。
4)週刊新潮の今週号には、閣僚の持ち株について書かれている。(3/22;注釈2を追加、細部の修正)

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