2017年4月23日日曜日

安倍総理のロシア訪問に期待すること:森本敏氏と櫻井よしこ氏の考え方について

1)プーチン大統領率いるロシアとの関係について、先週末のBSフジのプライムニュースで放送された、櫻井よしこさんと森本敏さんの意見をyoutubeで聞いた。 https://www.youtube.com/watch?v=YdahjwFV_4c

国際社会からの経済制裁と原油安がロシア経済を低迷させており、プーチン大統領の求心力が相当低下していることについては、両氏のおっしゃる通りだと思う。また、今回の米国によるシリア攻撃は、ロシアの威信を低下させ、プーチンの求心力も更に低下させるだろう。

両氏はシリア反体制派への化学兵器使用がアサド政権によるものだと完全に信じ、米国の爆撃を支持されている様である。しかし、人道に反する行為を処罰するつもりであっても、それが新たな人道に反する行為を産む素地をつくるのなら、何のための攻撃か分からない。両氏が完全に米国を信頼し、その全ての国際的な行動を支持していることに、私は一種の不信感を持つ。そして、同様の視点を日本の総理に求めることに、両氏が政治評論の分野で高い地位を持つだけに不満に思う。(補足1)

今回のモスクワ訪問に際して、安倍総理の対露交渉がどうあるべきかについて二人の回答を以下に書く。櫻井さんは“領土問題交渉において国際社会から非難を受けるような、安易な妥協をしない”ように期待しておられる。一方、森本氏は、“米国のようにプーチン大統領を追い込むのではなく、むしろヨーロッパとの協調の方向を勧める。また、日本を引きつけて自分の立場を強化しようと考えるだろうが、その策略に利用されないよう気をつけるべき”と言っておられる。

要するに、両氏とも安倍総理がロシア関係では何もしない方が良いと考えておられるようだ。その理由は、両氏とも米国が信頼できる相手であるから、今後とも米国との同盟関係を強める以外に何か(特に対露で)特別なことをやるのは危険だと考えておられるようだ。

2)この番組の最後に、両氏は今後の日本外交に関し総括的な提言をされている。
森本敏氏の意見:「今日の同盟は、価値観を共有する同盟ではなく、国益を共有する同盟である。いかなる場合でも、米国にきちっと注文もし、利益を共有できる最も信頼できる同盟国としての日本の位置を維持すべき。その為には、同盟を強化する更なる努力が必要だと思う。そのためにも日本は、防衛力の強化に努めるべきだ。日本が今後国際社会の中でより多くの利益を得るためにも、必要不可欠な手段である。」

櫻井よしこ氏:「表現は違うが大体森本氏の意見と同じである。(一言で言えば、)普通の民主主義の国になるべき。現在日本は普通の民主主義国ではない。憲法をみても、防衛の根本的な考え方(専守防衛)をみても、普通ではない。憲法や自衛隊法を改正してシビリアン・コントロールの下の軍事力を民主主義的手続きで持つべき。」

その後の読者の質問に回答する形で、櫻井氏は「現在のあるべき日米関係の基本的考え方はresponsibility sharing(責任分担)である。日米安保条約の範囲ではあるが、日本はより多くのことに責任を持つことが米国の日本への要請である。国際情況をみても日本がその方向で努力すべきである。米国が世界の警察官としての役割の一環で日本を護ってくれるという期待すると考えることは終わりにして、その部分は日本が独自にやらなければならない。」と答えた。(補足2)

これらは、既に書いたように完全に米国に追従する路線を、両氏は日本の取るべき道と考えられていることを示している。

3)私は以下のように考える。現在、中国と米国は互いに仮想敵国同士だが、日本との関係においては、ニクソンの時代から、或いは蒋介石時代から一貫して、米中は共通の利益を共有している。それは日本の無力化である。戦後、米国が一貫してやってきたことは、自国の利益となるような国に日本を調教することだったのではないだろうか。本当の同盟国なら、日本が普通の独立国となるのを支援する姿勢が見える筈であるが、それは無かった。(補足3)

トランプ大統領の出現で、日米関係が対等な同盟関係に成長することを期待した人はおおいだろう。しかし、昨今のトランプ大統領の様子をみると、どうも伝統的な共和党出身大統領になったように思える。そう考えると、ロシアは日本の22世紀に向けた生存にとって、鍵となる国かもしれない。 安倍総理がプーチン大統領と会談する際、北方領土の返還を直接要求するよりも、日本国民が「ロシアは信頼出来る隣国である」と感じるような両国関係の方向を示して欲しいと要求することが大事だと思う。

また、常に米国という窓からしか国際情況を眺められない日本の宿命を超えて、全く違う視点から世界を見る貴重な機会ではないかと思う。精々、プーチン大統領の視点から見た世界の姿を見聞してほしいと思う。例えば、北朝鮮問題が危機的情況にある現在、本当に北朝鮮は気違いのような指導者に率いられた国なのか、プーチン氏の考えを聞くのも良いことだろうと思う。

(補足3は翌日朝追加:これは素人の意見ですので、批判等は歓迎します)

補足:
1)米国等による経済制裁は、露によるクリミヤの併合による。しかし、この件の引き金となったウクライナでのクーデターには、米国が深く関与したという説があり、米国の言い分を100%信じる両氏の姿勢には疑問がのこる。アラブの春やイラク戦争において、米国に不正な関与があったと考えるばあい、米国の言い分を100%支持する姿勢に説得力はない。(田中宇氏のブログなど参照)
2)質問は、「アメリカは世界の警察官にもどったのでしょうか?」であった。米国が世界の警察官かどうかについては、4/20の記事を参照してください。
3)これは米国の責任ではなく、日本の責任である。米国が米国の国益を追求するのは当然である。その責任の第一は、国家体制が明治維新の革命体制から一歩も成長しなかったことが原因で大きな戦争になり、完敗してしまったことである。その第二は、吉田茂以下の戦後首相に、死を覚悟してまで日本の本来の意味での独立を考えた政治家が出なかったことである。

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