1)6月12日開催予定の米朝会談が中止された。それは二週間前に危惧した通りである。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43649098.html
今回のトランプ大統領の発表は、北朝鮮が米国の要求通りこれまで(クリントン政権時のような)とは違ったレベルの核廃絶合意をしなければ、金正恩体制が米国により潰されることを示したことになる。これまでの様な核廃絶を誤魔化せるレベルの合意にこだわり続けば、①金王朝のトップ一人とその周辺数人が何らかの方法で政治的に消されるか、それとも②大戦争になって、数百万人の命と引き換えにして滅びるかのどちらかだろう。
この両方の図式は、ともに金正恩にとっては悪夢である。従って、金正恩が考えるべきなのは、核兵器保持疑惑を残す範囲での核廃絶合意ではなく、核廃絶を明確にした後にどの様にして自分の国内での権威を保つかについてであると思う。それが、今回のトランプによる米朝会談中止発表とそれに至るまでのここ2、3日の出来事で明らかになった。
もしクリントン政権のとき、米国が北朝鮮を先制攻撃しておれば、その犠牲者数は米韓両方で数十万人だったいう。(補足1)https://www.asahi.com/articles/ASKCS7QSWKCSULZU011.html その数は、John Hopkins大学の現在の状況下でのシミュレーションにおける死者数より一桁少ないが、それでも平時の政権が耐えられる数字ではない。https://iwj.co.jp/wj/open/archives/407691
①の方法は、解放された3人の米国から派遣されていた半島系人物のケースで判るように、継続的に努力していただろう。それも、今は事実上不可能だろう。従って、現在はまさにデッドロックの状況にある。しかし、後に述べる様に、少し近くの回り道に金正恩にとって安全な道があるような気がする。
このような状況は、訪米した文在寅韓国大統領とトランプ大統領の会談(5月22日)において、トランプから米朝会談の中止もあり得るとの発言があったことから予想されていた。文在寅が「金正恩の北朝鮮も米朝首脳会談成功への意思は明らかだ」と言って見ても、リビア方式に近い形の合意を北朝鮮が忌避し、且つ、米国がそれに拘れば(二週間前に書いた様に)早期会談の中止となるのは当然である。
なお、米国に独自に情報元を持つという青山繁晴氏は、これまでのごまかしの合意はあり得ないと2-3日前のyoutube動画で発言している。(虎ノ門テレビの番組だろう)https://www.youtube.com/watch?v=b9nLWXIlQ5A
その中で、青山氏はそれでも米朝会談は交渉ごとであるから、何らかの妥協があり得、その隙間を利用して北朝鮮は核兵器またはその技術を隠し持つことはあり得るので、日本は注視する必要があると言っている。
2)6月12日予定の米朝会談の中止で、北朝鮮の体制保証などを含む一定の譲歩はあるものの、米国トランプ政権はこれまでの歴代大統領のように、この問題を先送りする策を取らないことが明らかになったと思う。(補足2)
その理由の一つに、北朝鮮の核装備が米国の安全をも揺るがすレベルになってきたことがある。更に、もう一つの理由は、トランプはこれまでの米国支配層には従わない方針を掲げて当選した大統領だということである。
北朝鮮問題においても、そのトランプ政権の性質を中心にして考えるべきであると強調するのは、元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏である。そして、馬渕氏は国際金融資本とその支持下にあるネオコンが、これまで北朝鮮の核開発を助けてきたというモデルを掲げている。https://www.youtube.com/watch?v=De8U0tm8ad4
上記youtubeで馬渕氏は、中国の朝鮮半島支配は終わること、そして、米国の親中政策の終焉についても言及している。そのトランプ路線の根本にあるのは、国際金融資本が勧めてきたグローバリズム路線の変更であり、それと表裏一体であった米国政府の枠組みを、ナショナリズム的方向に変化させることである。(補足3)
以下は、素人である筆者の考えを書く。グローバリズム的展開を減速するのに際して、米国はその勢力範囲を明確化する必要がある。その東アジアにおける境は、いわゆるアチソンラインだと思う。そこと中国やロシアとのバッファー領域である朝鮮半島を安定化するのが、今回の朝鮮戦争の終結と北朝鮮および韓国を安定に固定する方針だろう。(補足4)
米国が朝鮮半島の安定化を考えているのなら、半島を不安定にする北朝鮮の核兵器に関して、完全に米国に廃絶の方針に従う様に金正恩が舵を切れば、完全なリビア方式をとったとしてもカダフィのように殺されることを危惧する必要なないと思う。
逆に、あまりにもリビア方式を国家の威信を傷つけるような要求だとして撥ね付ければ、金正恩の安全にとってむしろ有害だろう。つまり、金正恩体制は、徐々に米国側に姿勢を変更することで、安泰となると思う。これまでと違って、急に中国寄りの姿勢を取るのは、時代に逆行することになると思う。
以上、一素人が自分のメモとして記事としたものです。
補足:
1)国家が冷静な状況であるとき、そのような決断はできない。しかし、発狂状態になれば、そのような決断が下されることはあり得る。
2)私は、二週間前には今日の米朝会談の中止は当然であるという趣旨の文章を書いたが、それ以前はどうせ中途半端な合意をして、問題を先送りするのだろうという趣旨の文を書いてきた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43643050.htmlそれは、トランプ大統領を疑いすぎた結果なのかもしれない。
3)この舵取りの変更は、これ以上の米国の国際収支の悪化は、ドル崩壊を招く可能性が高いことと関連していると私は素人ながら思う。強い米国の背骨は強いドルであるが、米国の財務は非常に脆弱である。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43416690.html
米国連銀の総資産の半分程度は米国債だから、このままの延長線上を歩めば、米国は破産しドルは紙くずになる。グローバリズムからナショナリズムへの方向転換は、当然のことだと思う。
4)馬渕睦夫著「国難の正体」には、グローバル展開のために米軍の海外展開の理由づけに朝鮮戦争は利用されたと書かれている。グローバル化を減速するのなら、一旦この戦争を終わる必要がある。ただ平和条約を締結して半島を安定化したのちでも、両国の完全な政治的統一はもう少し遠い先の問題だろう。朝鮮戦争の継続は、米国のグローバル展開を支えるためであり、ナショナリズムの方向に舵を切ったトランプには不要である。
0 件のコメント:
コメントを投稿