安倍総理はロシアのプーチン大統領と会談し、北朝鮮の非核化に向けて連携をとることや、北朝鮮の非核化に向けた米朝会談の成功を後押しする点で合意した。ただ、ロシアは北朝鮮の非核化を圧力で達成する方針には反対の模様である。つまり、早い話安倍総理の意見に対して形式的に合意しただけの様である。
北方4島問題では、共同経済活動の具体化に向け、7月か8月に事業者による現地視察を行うことなどに合意した模様である。この件では、領土返還には直接繋がらないが、佐藤優氏がどこかで言っていた様に、民法の時効延長的な効果はある。(補足1)また、ロシア国民の頭に北方4島という言葉を定着させる効果もあるだろう。後者は、日露関係にプラスなのかマイナスなのかわからないが。
表題は、日本は北朝鮮の非核化に対して、単に北朝鮮の軍事的脅威を取り除くという点だけを論点において考えて良いのか? 別の表現では、核兵器の脅威は、北朝鮮のものだけに限らないことを意識した上で、北朝鮮の非核化を唱えているのか?という意味である。
以前にも書いたが、日本は北朝鮮の核を云々する前に、核抑止力の獲得を含めた自国の防衛のあり方を考えるのが先決である。国際社会は日々不安定かの方向に動いている。それは、世界経済の停滞感と無関係ではないだろう。(補足2)
北朝鮮はこの60数年、休戦状態ということにはなっているが、戦争の当事国であった。そして、世界一強大な軍事力を持つ米国(形式的には国連軍への派遣国(補足3))と対峙してきた。その中で、継続的に米韓に日本を加えた3カ国の敵対国(補足4)を対象に国防を考えて来た筈である。
その上で北朝鮮は、多くの国々の反対意見を避ける様にして、核兵器を有力な防衛手段として開発して来た。置かれた情況を念頭におけば、北朝鮮の核開発は至極当然なことである。日本国民は、敵対国の一つとして日本が存在することを念頭に、北朝鮮の核開発と日本人拉致問題を考えなければならない。しかし、新聞やテレビなどのメディアは、東アジアの無法者の北朝鮮といったレベルの報道しかない。
残念ながら、日本が北朝鮮と上記の様な関係であることなど、夢にも思わない人たちが大半だろう。私は日本人だから、北朝鮮を敵国として捉えている。そして、朝鮮総連や金日成の肖像画を掲げる朝鮮学校が、日本で安定的に法人格を持って存在できることが不思議である。
その一方、強大な軍を持つ米国と敵対する北朝鮮の苦悩は理解できる。(補足5)何故なら、近い将来の可能性として、軍事大国である中国と対峙する弱小国日本の姿が想像され、それが現在米国と対立する北朝鮮の姿に重なって見えるからである。何故、日本政府は純粋無垢に北朝鮮の非核化を唱えることができるのか?理解に苦しむ。
安倍総理のロシア外交は、米国の対日姿勢急変に対する保険だと考えられないことはない。(補足6)つまり、中国との派遣の境界がいわゆる第二列島線となり、この60数年北朝鮮が米国との関係で果たしてきた役割を、その後日本国が受け持つ可能性がある。それだけは避けねばならないとの考えに基づいているのかもしれない。
補足:
1)民法では、借金など債権は10年間放置すれば権利が消滅する。しかし、少なくとも10年に一回、「金返せ」と証拠能力がある形で請求すれば、何十年でも債権は残る。
2)先進国は貧困化している。それは、ピケティが言った資本収益率は経済成長率より大きいという法則からも予測される。つまり、富が一部の資本家に集中する結果、先進国では需要不足が生じるからである。
3)1975年に国連総会は、平和協定の締結を決議している。1991年に韓国と北朝鮮の両国は、国連に加盟している。つまり、国際的には朝鮮戦争は終わっており、西側では米国のみが平和協定を拒否してきたと言える。http://sankei.dreamlog.jp/archives/53005564.html
4)朝鮮戦争が再開されれば、在日米軍も戦闘に参加し、日本は米軍に兵站部門で全面協力をする筈。現在では、自衛隊も集団的自衛権行使が可能であるから、自動的に在日米軍を防衛するという形で参戦することになる。
5)北朝鮮の核武装はその米国により支援されていたという説を、元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏はとなえている。朝鮮戦争に勝とうとしたマッカーサーを更迭し、国連の平和協定を勧める決議を無視して北朝鮮を温存したのは、米国が北朝鮮を必要としたからである。そう考えれば、北朝鮮の核開発も米国の一部は支援した可能性がある。しかし、それは一部であり、全部ではないだろう。
6)北朝鮮が核兵器を保持することを諦めた振りをするだろう。その時、米国は北朝鮮は核をCVID的に廃棄したと発表するだろう。その時、静かに進む将来の統一核武装した朝鮮とどう対峙するか?可能性があるのは、ロシアの核を手に入れることかもしれない。何故なら、米国ユダヤ人は日本を嫌っているが、ロシアの人たちは意外と日本に対する敵対心はないからである。
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