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2018年6月29日金曜日

文学から考えてみよう「日本属国論」について:

文学から考えてみよう「日本属国論」という題で、内閣官房参与の藤井聡京大教授の話がyoutube上にアップされていた。週刊ラジオ「表現者」(補足1)と題する京都放送のラジオ番組から切り取ったものらしい。それを聞いた上で、そこにコメントを書き込んだ。
https://www.youtube.com/watch?v=xDDL2zTrpQw

そのyoutube動画で藤井氏は、戦後日本は米国の属国であり、言論人や知識人はそれをテレビなどの大手メディアで明確に指摘することを自己保身のために躊躇っていると指摘している。その一方で、文学者がその戦後日本の姿を小説など文学の形で比喩的に指摘しているという。その話は大変面白く、非常に参考になった。

そのような文学の例として紹介しているのが、大岡昇平の小説「俘虜記」である。著者自身も、現在(発表当時)日本の政治状況を意識して書いたと、あとがきに記しているという。

捕虜には自由も目的もなく、従って未来のないただ生きるだけの生活が、一定の食料の提供を受けることで保障されている。(補足2)その姿が戦後日本という国家に似ているというのである。

その中に、日本人捕虜のなかで問題が起こらないように、米兵の手先となって監視する様に指名された捕虜が、米兵の”虎の威”を借る様子が書かれているらしい。それを藤井氏は面白く喋っている。兎に角読んでみようと思う。その次に短く紹介しているのが、尾崎豊の「BOW」である。藤井氏は、そのような社会の鬱屈の中で生まれ育った若者の心情を歌っているかのように紹介している。

話は面白いのだが、藤井氏はこの大岡昇平の小説の内容と現在の日本政府との接点については十分に話していない。藤井氏は現在内閣官房参与である。その立場を考えれば、この放送の内容は「画竜点睛を欠く」ものである。

現在、日本政府はどのように、米国の俘虜である日本国の取り仕切り役(牢名主的役)をしているのか?北朝鮮問題を例にすれば、それは日本政府の圧力一辺倒の言葉と関係があるのか無いのか? その日本政府の姿を内閣官房参与の藤井氏はどう考えているのか。自分も虎の威を借りる狐のしっぽで良いと考えているのか。

また、尾崎豊の歌(補足3)については誤解をしているのか、ふさわしくない紹介だとおもった。以上のような感想を持ったので、二つの短いコメントをそのyoutube動画に書いた。

①大岡昇平の俘虜記:藤井さん、捕虜収容所で米兵の手先になっている男とは誰のことか言わないと。55年体制の自民党、中でも長州族です。吉田茂がその最初の牢名主(否、収容所名主)ですな。その系譜の末端が、藤井さんが仕えている人です。確かに出世されています。とにかく、大変面白い話でした。

②書き忘れたので補足します。尾崎豊のバウですが、この歌詞は米国属国論の文学とは全く違います。要するに、社会の掟にたいする反抗です。我々社会に生きることに慣れた”大人”とは、つまり社会(或いは人間文化)の家畜です。家畜になりきれない野生を残した青年の叫びがバウ(Bow)です。

補足:

1)藤井聡氏が表現者という西部邁さんの雑誌を引き継いだと聞いていたのだが、その力があるのか全く疑問だった。雑誌の名前がクライテリオン(criterion; 標準、基準)というらしい。読んだことはない。
2)このyoutube動画で、藤井氏が捕虜迫害を禁じている法律のようなものと言っているのは、ハーグ陸戦条約のことだろう。
3)尾崎豊のバウの歌詞を少し引用する。
否が応でも社会に飲み込まれてしまうものさ 若さに任せ跳んでくドンキホーテ達は 世の中のモラルを一つ 飲み込んだだけで 一つ崩れ 一つ崩れ 全てこわれてしまうものなのさ 
あいつは言っていたね サラリーマンにはなりたかねえ 朝夕のラッシュアワー 酒びたりの中年達 ちっぽけな金にしがみつき ぶら下がっているだけじゃNO NO (以下略)http://www.kasi-time.com/item-13426.html

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