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2019年2月17日日曜日

日本が「米国の51番目の州」に成る以外に、国民に安全な未来があるのか?

1)自民党の丸山和也参議院議員が2016年2月17日の参院憲法審査会で、「日本が米国の51番目の州になった場合」を仮定して持論を展開する一幕があった。審査会後、丸山氏は緊急記者会見を行い「誤解を与える発言をして申し訳ない」と謝罪。発言を撤回し、議事録の修正・削除をする考えを示した。(補足1)https://www.j-cast.com/2016/02/18258878.html

最近、レーダー照射問題と哨戒機低空飛行で韓日間の対立が深まる中、防衛省のある幹部は2019年1月25に、「韓国疲れだ。日本列島をカリフォルニア沖に移したい」「そうすれば北朝鮮ともさよならできる」と語ったという。 この幹部は「私は反対だが…」と前置きしながらも、日本と米国が同じ国だったらよいという考えにも言及したと、同紙は伝えた。https://s.japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=249581

表題は、日本国防衛を真剣に考える人の本音ではないだろうか。憲法改正も核武装も不可能だとすれば、そして、現在の国際環境の変化の傾向を前提と考えれば、日本の将来は、考えれば考えるほど、暗くなり、上記のアイデアが心に忍び込むのである。

現在、かなり多くの知的日本人は、米国などに移住し外部から日本の貧困な政治をリポートしている。その在外日本人には、自分に関する危機感はない故、客観的に日本の政治を評価できる。その予測は、説得力があり且つ極めて厳しい。(補足2)

彼らが話題にするのは、日本の弱点であり、具体的に「沈没しつつある日本をどう救うか?」ではない。もし本音を引き出すことができたら、「それがあれば日本に残っている」と言う可能性が高い。つまり、彼らは表題の道を答えに出した結果、移住という道を選択した可能性がある。

伊藤貫氏は、この10年間日本の保守評論家が雑誌などに発表する論文を見ていないという。何故なら、保守の評論家は中国や朝鮮の悪口をいうことで満足しており、日本の安全保障における米国の役割は、未来永劫果たされると完全に信じているからだという。

2)伊藤貫氏が年末のチャネル桜に出演した際に語ったことを以下に書く。伊藤氏は、結局トランプの対中政策は取引で終わると、トランプの幼少期から暮らした環境とそこで作られた性格などに言及しながら結論した。それを、民主党のマイケル・モレルが考えた対中国対策のモデルを引用し説明した。

取引とは、中国が東シナ海や南シナ海で覇権を取り、米国は西半分(ヨーロッパ、アフリカ、アメリカ大陸)の覇権を取るという合意である。そこでは、日本は中国の覇権の中に含まれ、米中が何を決めても日本は泣き寝入するしか、手がなくなるだろうと予測している。

マイケル・モレルが考えた米国に考えられる対中政策の選択肢は、以下の4つである。1、戦争すること;2、封じ込め政策;3、米国が#2の国の地位に甘んじる;4、中国との取引、である。そして、最後の中国の取引にトランプは終わると考える根拠は以下のようである。

1。は、戦争になればグアムも沖縄も吹っ飛ぶことになり、あり得ない。
2。は、開始のタイミングが遅すぎ、うまくいかないだろう。中国は、2010年に世界一の貿易国になった。貯蓄率も世界1、2018年の実質経済規模は世界1である。米国よりも、中国が第一の取引先の国のほうが多い。ソ連封じ込めとは全くことなる。やり続けても結果が出るには3-4年かかる。従って無理だろう。

3。中国の経済成長(5%程度以上)>>米国 (3% 実力は1%台)であるので、地球規模で覇権争いをすれば、米国は#2の地位に甘んじなければならない。それを米国は受け入れられない。

結論として、米国は第4の取引オプションを採用し、5-10年後に中国とサミットトークをすることになるだろう。それは、第二のヤルタ会談となる。その勢力圏の分配により、中国は東シナ海と南シナ海の領域をとるということになる。

それが現実になったとき、日本が買っている、ミサイル防衛システム、イージス艦、F35などは全く機能しなくなる。その時、米中の派遣で色分けされた地球の上で、日本は無力となる。その可能性を世界で一番考えず、米国にしがみついているのが、日本の保守政治家だと伊藤氏は言う。

つまり、表題の「51番目の州」の話は、日本の保守系評論家のいい加減な議論に付き合わず、伊藤貫氏の客観的な観測と予測を評価し、日本脱出が可能な日本人は、米国移住すべきだという考えである。

3)上記伊藤貫氏の考え方で抜けていたのは、ロシアの存在である。おそらく伊藤氏は、ロシアには発展の遺伝子はなく、ロシアは、どう考えても中露連携の中で、存在感を高めるしかない。つまり、日露平和交渉も、ロシアにとっては中露連携の一環であると考えているのかもしれない。

もしそうなら、安倍総理が行おうとしているのは、戦前の松岡洋介の役柄を演じていることになってしまうのだろう。或いは、安倍さんは中国、ロシア、日本、朝鮮という、中国圏のなかで、ロシアとともに日本も存在感を持つというシナリオを描いて、日露条約を急いでいるのかもしれない。

日本のことがよく見えているモスクワ在住の方に、北野幸伯氏がいる。北野氏は、日露平和条約締結をスタートとして、日露関係の改善が中韓露の三国による反日同盟計画を妨害する方法であると言う。https://diamond.jp/articles/-/66110?page=3

北野氏はその為に「日米同盟を確保しつつ日露平和条約を締結し日露関係を強化」する考えが日本にとって必要だと説く。その場合、北方での中国包囲網を米国、日本、ロシア、ヨーロッパで敷くことを考えているのだろうが、そのモデルが有効に働くためには米露の緊密な連携がなければならない。

米露は未だ仮想敵国同士である。ウォール街を牛耳るユダヤ資本家たちが米国支配を継続する限り、米露和解はないのだろう。(補足3)その場合、日露和解は日米緊密化を阻害することになる。

プーチン大統領に、ロシア国民に色丹島などの日本譲渡を説得する様子が、全く見えない。プーチンにとって日露平和交渉条約は、中露連携の一環の中で、中国との関係改善の一手段(日本は手土産)の可能性も、日本は考えるべきかもしれない。

中国が今のまま習近平の独裁国であり続けるのなら、そして日露平和条約と日露連携が大きく進歩する可能性が薄いのなら、例えば比喩的表現として「米国の51番目の州」(補足4)となるのは有望な一つの選択だろうと思う。

つまり、日本が成し遂げるべきは、日米条約の軍事的側面を新しいより緊密な段階に強めるのである。それは、日本へ戦術核を持ち込み、第一列島線をほとんど日本独自に防衛するのである。それを米国との共同作戦として行えば、日本は外国から非難されることはあまりない。

以上、素人のメモです。議論お願いします。

補足:

1)丸山議員の言った「51番目の州」は、屡々登場する言葉であり、ウィキペディアにもその記述がある。この言葉が用いられる対象は、ヨーロッパやカナダ・オーストラリア・日本・イスラエル・イギリスなど相当ひろい。米国に従属している国を批判的に言うときに「51番目の州」が使われてきた。因みに、ハワイとアラスカが米国の州になる前は、「49番目の州」という言葉が同じ意味で用いられたという。歴史の古い言葉である。

2)評論家の伊藤貫氏は、昨年末米国から一時帰国し、チャンネル桜に出演した。そこで伊藤貫氏は、非常に楽しそうに真っ暗な日本の未来を語る姿が非常に印象的であった。伊藤氏には、米国に住むことで、「一個人としての中国と朝鮮の脅威」などないのである。https://www.youtube.com/watch?v=0bwlpoETjxQ&t=5069s

3)トランプには反露感情はない。馬渕睦夫氏によると、ケネディにも反露感情がなかったという。当時の外務大臣グロムイコの回想録に、グロムイコがケネディーにこっそり聞いた話として紹介されているという。日露平和条約を模索する安倍総理や日本に対して、イスラエルは良い感情を持っていない可能性がある。靴にもったデザートの件、杉原千畝を記念するイスラエルの植樹林の伐採など、それを示しているのでは?

4)実際には米国は日本を51番目の州にはしない。あくまで比喩的表現としての「米国の51番目の州」である。ここでは、核兵器を配備した米国への従属性(連携性とも言う)を高めた新しい日本である。

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