1)現在米中貿易戦争の真最中である。その中で、中国は明らかに経済的苦境に陥りつつある。その中で始まったのが、対日微笑外交である。安倍総理は、対露外交に行き詰まりを感じたのか、現在では対中外交に熱心である。先の金曜日にも中国の外交担当トップの楊潔篪(ようけっち)政治局員と会談したという。
中日新聞は、二面の小さな記事でこの件を報じている。官邸での会談で安倍総理は、「習近平主席の訪日を契機に、正常な軌道に戻った日中関係を更に発展させ、日中新時代を築きたい」と表明し、楊氏もG20の成功を支持するとした上で、「両国関係がこれからも健全で安定的に発展すると確信している」と応じたとある。
この件、私は非常に危ういものを感じる。何故なら中国は、チャイナ7が政治の実権を握っていた共産党一党独裁の国から、皇帝的な地位を得た習近平終身主席の独裁国となり、時代を逆行する国家だからである。一帯一路政策は、鉄砲&大砲とキリスト教を携えてアジアと新大陸に植民地を広げた、16世紀のポルトガルやスペインの政策を連想させる。
そのような中国に警戒心を抱いたのが米国でありトランプ大統領である。そして、日本は中国が狙う東の標的である。(補足1)そのような国際環境にあって、日本政府は米国と行動を共にして、独裁国から国家と国民を守るべきである。従って、現在最重視すべきは当然日米関係である。第二に重視すべきは、後で説明するように、日露関係である。
仮に日中関係が改善しつつあるとしても、それは安倍総理の業績ではない。単に悪化しつつある米中関係の副次効果に過ぎない。その日中関係改善を宣伝材料にして、票に繋げようとする姿勢は、四流政治家の考えることである。兎に角、現在中国と積極的に関係を深めようと考えることは、亡国のシナリオである。
安倍総理は、中国に日本を丸呑みさせようと画策しているように見える。(補足2)
2)安倍総理をそのような方向に向かわせたのは、対露外交の失敗を隠そうとする政治屋的発想ではないかと思う。20何回かプーチン大統領と会談しながら、日露平和条約交渉の入り口にも至らなかった。安倍総理は、その大舞台を作り上げたのだから、それが失敗したのなら、本来そこで責任をとって辞職すべきである。
プーチン大統領は安倍総理をもう少し能力のある人物と考えていたのだろう。何故なら、世界が歴史的な大混乱に向かいつつある今、日本はその中心となりつつある中国の隣国である。ここで、日本は生き残るためには米国との関係を第一にするだろう。ただ、日中関係の破局状態を避ける支え棒的装置として、日露関係の改善を考える筈だと思った可能性が高いと思う。(補足3)
現在、日本の脅威は中国と北朝鮮である。従って、その脅威に対応するために利用すべきは日露の友好関係樹立である。プーチンは、それを期待して日本政府が接近してきていると思ったのだろう。
しかし、安倍総理は極東開発に焦るプーチンと仲良くするポーズをとって、なんとか北方4島の半分でも返還してもらうことを目的に、日露平和条約を結ぼうと考えていたに過ぎない。
領土問題は国家にとって大事である。しかし、時代とともにその重要性は変化しつつある。電波が縦横に空を飛び、自動車が文字通り自動で動く時代である。米中はその空を飛ぶ電波の件で、国防権限法と国防動員法を互いに定めて戦っている。農漁業が主要な産業だった時代の価値を、現在の歯舞色丹の領有権が持つわけがない。
それに気付いている安倍総理は、なんとか2島返還を後に廻して、兎に角平和条約とシベリア極東での経済協力を通して、日露関係を米国に次ぐ重要な関係に育て上げるつもりだろうと過大評価していたと思う。
それが20数回の首脳会談を続けた理由だろう。反日を国家の基礎に保つ朝鮮半島と、南京事件を捏造と脚色で大きくリフォームし、ヒットラーのホロコーストとともに20世紀の人類の二つの大罪として作り上げ、日本をATMとして利用する為の鍵にしようと画策する中国への対応に苦しんでいる筈だと、プーチンは考えただろう。
しかし、安倍総理にとっての朝鮮半島問題は拉致問題(補足4)であり、中国問題は過去の歴史認識問題でしかないのだろう。
3)米国のトランプ大統領は再選されるだろう。日露関係で失敗した安倍総理は、今度は日本を米国から引き離し、中国の属国化に舵を切るという最悪の選択をする可能性がある。安倍総理を買いかぶっていたのは、プーチン大統領だけでなく日本人全てである。
中国との関係を現在以上に深めることは、将来米国との対立に発展する可能性が高くなると思う。何故なら、ファーウエイの5G通信が世界を席巻した場合、中国政府は国防動員法を用いて、世界の情報を傍受する可能性がある。それは、米国の諜報能力の無力化であり、その結果米国は世界覇権を中国に渡すことになる可能性がある。ドル基軸体制が崩壊する米国の悪夢である。
将来の工業技術だけでなく軍事技術においても、この5G通信は必須である。リアルタイムで環境即応可能な兵器が宇宙を飛び交い、空母などに代わって戦争の道具立ての主役となる。この通信技術を抑えることが、世界覇権の大きな鍵を握ると予想されるからである。
米国が東アジアから完全撤退することになり、日本は中国にとって東方海上のチベットのような存在になる可能性がある。それを日本民族は受容できるのか。その危険性は考えれば、日露関係を改善することで中国との関係悪化に備え、且つ、米国の対中国貿易戦争の火の粉を避けることが賢明な選択だと思う。
中国は、米国が日本を蔑視の目で眺めながら東アジアから去ったとき、再び歴史問題を持ち出すだろう。韓国もユダヤ系資本家たちの応援を得て(補足5)、慰安婦問題の捏造を始めるだろう。
6年以上も前の話になるが、中国外務省の国際問題研究所のゴ・シャンガン副所長は、ロシア、中国、韓国が反日統一共同戦線を創設し、第二次大戦後の対日講和条約を破棄して、新しく講和条約を結び直そうと発言した。その条約で、日本から、南クリル諸島、竹島、尖閣諸島だけでなく沖縄も放棄させようと主張したのである。http://rpejournal.com/rosianokoe.pdf
これが中国の本音だろう。それをまっすぐ見定めて対中国外交を展開すべきである。現在の安倍政権のやっていること、親中派というか別の表現があるかもしれない矢内内閣参与の考えていることに、日本の政治関係者はもっと注意すべきだろう(補足6)。
{ 私は理系人間であり、政治&外交の素人の考えである。本文は単に、自分のメモとして書いたのであり、その内容に責任はとれません。}
補足:
1)警戒心を持って荒くれ男の姿勢を注視すべき時に、わざわざその前に出てベリーダンスをする軽薄女のような外交をしているように見える。
2)先週だったと思うが、テレビの政治バラエティ番組(多分そこまで言って委員会)での元産経新聞の古森義久氏の話が印象的だった。中国で2年間外交官として過ごした後、帰任前のリセプションである中国高官と交わした言葉を紹介していた。「日本は今後中国と良い関係を築くにはどうしたら良いのか」と聞いたところ、高官は「一つの国になることですよ」と言ったという。そこで、古森氏は「その場合日本人の言葉はどうすれば良いのか」と問うたところ、「当然、大きな方の国の言葉にすることです」と答えたという。
3)中国との間に世界一長い国境線を持つロシアは、中国にとって遺伝子レベルに書き込まれている脅威である。漢の武帝や秦の始皇帝時代から脅威だった匈奴の、そのまた背後に存在するのがロシアである。強かなプーチンと習近平の二人が和やかな雰囲気を醸成しても、日本は両者の心の中を見るべきだと思う。
4)拉致問題は外交問題ではない。一般国民の拉致はテロリズムであり、相手が国家なら戦争行為、しかも国際法に反した戦争行為である。それに対して外交的対応をしようとするのは非常織である。日本政府は、拉致をまるで日朝両国の外交関係のように論じ、国際的にもそう主張している。それは、自分で自分の顔に泥を塗っていることに等しい。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/02/blog-post_23.html
5)ジョージ・ソロスは左翼活動団体のヒューマン・ライツ・ウォッチに一億ドルレベルの寄付を繰り返している。米国国務省と関係が深いこの団体は、日本に関する問題として、慰安婦問題を指摘し捏造している。https://www.hrw.org/legacy/worldreport/Asia-08.htm
また、ジム・ロジャーズは、今年4月22日、釜山市金井区(クムジョング)長箭洞(チャンジョンドン)の釜山大学本館3階の大会議室で開かれた「朝鮮半島の統一と未来」というテーマの特別講演で、「21世紀にはアジアが重要になる。韓国にも、もうすぐ38度線がなくなり、8千万人口と北朝鮮の資源が伴うだろう」とし、統一した韓国の未来を楽観視することで、韓国をencourageした。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190423-00033302-hankyoreh-kr
米国民主党が反日なのは、F.ルーズベルト以来一貫している。その米国において、ユダヤ系資本家は民主党に近い。そして上記ユダヤ資本を代表する人たちの対日姿勢を考えれば、反ロシアと反日本の人脈が伝統的な米国支配構造である。トランプはその勢力に気を遣っているが、本心は独立しているように見える。
6)日露平和条約交渉で、北方領土を返還した場合、米軍基地が配備される可能性をロシア側に示した。その意図は明らかだろう。https://diamond.jp/articles/-/112757
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