元衆議院議員(元財務官僚)の松田学氏のyoutubeサイトで、新型コロナ肺炎に関する動画が削除されたようだ。真実を報道しているのに削除するyoutubeの姿勢に、全体主義的な空気を感じると、米国大統領選挙の際の同社の姿勢を引き合いに出して、松田氏は批判している。
その削除された動画は、新型コロナ肺炎(Covid-19)に対する大阪市立大医学部名誉教授の井上正康氏の仮説を紹介したものであった。この削除された動画の主旨は、同じ東大の同窓生の知人が語っていたこととして、以前から紹介していた内容であった。
松田氏の自説と殆ど同じ説を主張する学者を選んで出演してもらい、自説を補強するために流した動画だと思われる。その自説動画は、昨年4月14日に発表されており、今でも視聴できる。
https://www.youtube.com/watch?v=TDnyYYtTd4Q
そこではCOVID-19は、日本の土着の風邪に似た病気であると解説している。従って、日本人は既に集団免疫を持っており、それが原因で欧米の大流行に比べ、一桁から二桁低い被害で済んでいると主張している。
つまり、日本は大騒ぎしなくてもよく、スウェーデンのように、持病を持った方や老齢で体力の無い方のみを対象に隔離などの対策をすれば良いという意見である。もしその通りなら、経済的損失が大幅に減少するだろう。
尚、削除された動画に出演していた井上正康氏の主張は、「本当は怖くない新型コロナウイルス」と題して、出版されている。
2)データからの結論:
この日本人は集団免疫を既に持っているという仮説には説得力はない。何故なら、データの裏付けがないからである。そして、もし集団免疫があるのなら、何故現在も過去のある時期においても、実効再生産数が、長期に亘って1以上なのか?この疑問には答えられないだろう。
また、もし集団免疫があるのなら、感染発病しても重症化率や死亡率は低い筈である。しかし、日本でのCovid-19発病者の死亡率は、欧米とほとんど変わらない。下の表は、WorldmetersというCovid-19の被害統計を毎日更新しているサイトのデータから計算した各国のCovid-19発病者の死亡率である。このことを知る日本の人は少ないだろうと思ったことが、本記事を書いた動機である。
発病者が多い国の順序で、その死亡率を、死亡者数/(死亡者数+回復者数)として計算した数値である。日本の死亡率の1.97%は、世界平均、米国、英国、ドイツなどより少し小さいが、大差はない。この事実からだけでも、日本に集団免疫が成立しているというのは、インチキ仮説であることが解る。
しかも、この病気が我々老齢の者にとって恐ろしいのは、老人を“選択的”に殺す点である。下は、東洋経済ONLINEというサイトからとった年齢別統計である。今日更新されたデータから計算した、80歳以上の発病者の死亡率は、16.3%と非常に高い。また、70歳代でも6.1%であり、老人が発病した場合重篤化する危険性が高く、インフルエンザよりもずっと恐ろしい病気である。
以上から、日本での欧米に比較しての低い感染率は、日本の健康志向の文化が関連していると思う。油断すれば、医療崩壊で欧米と変わらない被害を出す可能性があると思う。今回は、この指摘だけしておきたい。
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