1)新型コロナウイルス武漢研究所由来説の出所とその背景にある中国の権力闘争
19日の本ブログの記事に、「新型コロナ(Covid-19)の発生源が武漢の病毒研究所ではないかという疑惑(補足1)が、陰謀論から何時の間にかメジャーな見方になっている」という文章から始まる記事を書いた。その際、重要な出来事がその背後にあるらしいことは知らなかった。
その重要な出来事とは、今年2月、中国国家安全部の董経緯副部長が娘と一緒に米国に亡命し、その手土産として武漢病毒研究所でのウイルス兵器研究の秘密を米国にもたらしたというのである。この情報は最初、RedStateという米国の報道機関のスクープとして流された。(補足2)
董経緯副部長は、2020年4月の前公安部の孫力軍(Sun Lijun)副部長の失脚に関係しているのだが、今回の行動は、自分も将来同じ運命が待っていると考えてのことだという。つまり、公安部副部長という地位で、今後行うだろう周近平政権安定の為の様々な活動(つまり習近平政権への功績)が、孫力軍と同様の仕打ちの原因となると考えたようだ。
(a)独裁政権の功労者は、功績を積むことで目立ちすぎ、いずれ政権の邪魔者になるのが常である。
孫立軍だが、法輪功修行者弾圧に関連する2015年の人権派弁護士一斉拘束事件など、反体制派を“処理する”こと(西側からすれば人権無視のおぞましい犯罪行為)など、習近平主席の過去の取り組みにおいて重要な役割を果たしてきたという。
他に命題(a)が真であることを示す例をあげる。「蝿もトラも叩く」という習近平の反腐敗活動で活躍した王岐山にも、一時失脚説が流れた。実際に粛清されたのは王岐山の側近だったが、王岐山はそれで身動きできなくなった。(補足3)
2)董経緯中国公安部副部長の亡命の件とその後の米国の対中戦略転換
表題の件について、18日のHaranoTimesのyoutube動画で、この話にかなり信憑性が出てきたということで、動画後半部分で紹介された。https://www.youtube.com/watch?v=lL0PiYtq5vw
翌日の19日、法輪功系のyoutube動画「新聞看点」では更に踏み込んで紹介された。
それらの話によれば、董経緯氏は現在米国国防情報局(DIA)の保護下にあり、新型コロナの武漢病毒研究所での開発を裏付ける情報を始め、様々な機密情報を米側に流したと考えられているようだ。この董経緯の件が、今年3月に開催されたアラスカでの米中2:2会談における楊潔篪(中国外交トップ)のブリンケン米国務長官にぶつけた激しい言葉の原因だったと云う。そう考えると、当時異様に見えた楊潔篪の興奮の理由が解る。(補足4)
今年5月下旬、バイデン大統領が情報機関に対して、90日以内に今回のコロナウイルスの出現場所について報告するようにと命じたことを始め、米国政府から大手メディアに至るまで、新型コロナパンデミックの中国責任論に大きな質的変更があった。つまり、原因ウイルスの武漢病毒研究所由来説が(陰謀論としてではなく)表に出たのは、米国に亡命した董経緯氏によりもたらされた情報が原因だということになりつつある。https://www.youtube.com/watch?v=83RYge1FoHQ
一方、中国の方では、司法・公安機構を総括する組織である中央政法委員会が、亡命報道が出た18日午後、SNSを通して董氏がスパイ摘発懇談会を招集したというニュースを伝えた。環球時報や中国中央テレビなどの国営メディアも、同じニュースを流したのだが、それらは董経緯氏が中国に居り、米国亡命の噂は嘘であると主張するために流された苦しみ紛れの偽情報のようだ。
エポックタイムズ系のyoutube動画「遠見快評」によると、それら報道は文章だけで写真や映像は全く無く、信憑性に欠ける。そして、このように中国政府が迅速に対応することの方が、むしろ董経緯氏亡命説を裏付けているという。https://news.yahoo.co.jp/articles/3b8c7cd8bfc692f0fd790a0d37c14447a0768f95
3)習近平の異例な共産党幹部の引き締め
更に、「遠見快評」は、6月18日、習近平はチャイナ7(中央政治局常務委員会委員)と国家副主席の王岐山らを率いて、中国共産党歴史展覧館を視察し、全員伴に共産党入党の宣誓文を唱えた場面を紹介した。この「我々は党を裏切らない」を唱える儀式については、人民日報も報じている:http://j.people.com.cn/n3/2021/0619/c94474-9862803.html
更に翌19日に党員の腐敗などを監督する機関である中国共産党中央規律検査委員会(中紀委)の公式ウェブサイトは、古い事例を引用して党を裏切ると悲惨なことになる旨の警告記事を掲載した。
中国共産党結党100周年記念行事が目前に迫っている中、急遽そのようなことを行い大々的に報道させたのは、裏切ればどの様になるかを他の幹部に示すために行ったと考えられる。
この古い事例とは、1931年5月21日に党中央が、当時の幹部の一人である顧順章の党籍を永遠に剥奪する第223号通知を出し、全党員に裏切者と戦うように呼びかけたことである。顧順章は当時の中国共産党幹部で、反スパイ機構の前身である中共特科の責任者であった。その地位は、中共の秘密工作の最高責任者である周恩来に次ぐ、諜報機関No2の地位であった。それは今回の亡命説の董経緯氏の地位に相当する。
顧順章は共産党の秘密情報を国民党に流し、大きな打撃を共産党に与えた。そこで周恩来は自分のチームを率いて顧順章の家に出向き、一族8人を皆殺しにした。その際、たまたま周恩来が嘗て命を救われた恩人が顧家で麻雀をしていた居た。周恩来は躊躇うことなく、その人物も殺した。この中国共産党の歴史の中で有名な事件を引用して、現在の幹部に脅しをかけたのである。(以上、「遠見快評」の内容をコピー)
これらの出来事が、中国の情報機関ナンバー2が米国に亡命し、今回のコロナウイルスの発生源等に関する重要な情報を米側に漏らしたことが原因だとすると、全てすんなり理解できる。
終わりに:
昨日の及川幸久氏のyoutube動画は、中国共産党の内部文書についての話であった。この文章は米国国務省が昨年入手したもので、中国が2015年からSARS系コロナウイルスをパンデミックを起こすための兵器として研究していたという内容のものである。それは、来たるべき第三次世界大戦への備えだそうである。https://www.youtube.com/watch?v=0ig-VYVFs7k
(15時編集あり: 最初のセクションの第2節の最後の文、補足2としました。本記事全体にかかわります。そのほか数箇所修正。)
補足:
1)新型コロナウイルス兵器説については、本ブログサイトでも及川幸久氏のyoutube動画を引用する形で2020年1月30日に書いている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12571133490.html?frm=theme 当時はメジャーな考え方でなかったという意味では陰謀論だったが、私は最もあり得る考え方だと思っていた。「陰謀論」という言葉で大衆を思考停止に導くやり方は、米国支配層とそれに毒された人たちの方法である。歴史的事件の多くにおいては、真実は陰謀論として片付けられた方にある。例として、朴正熙韓国大統領の暗殺に関する以前書いた考察と、日本の著名な評論家を批判した記事の二つを以下に引用する。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515465.html
2)この件、未だ噂であるという点、断っておきます。
3)王岐山と習近平の間(不仲)は側近の拘束で確実になったが、王の末路には暗雲が立ち込めている。「蝿もトラもたたく」という習近平の反腐敗運動(政敵追放)に協力した王岐山も、2020年10月の五中全会(第19回中国共産党中央委員会第5回全体会議)で失脚するかもと噂されていた。https://www.visiontimesjp.com/?p=10285
4)アラスカでの米中の2:2会議で、中国の外交トップの楊潔篪がブリンケンに亡命者を返せと言ったが、ブリンケンはCIAなどから報告を受けていなかったので知らないといったという。そしてそれが、楊潔篪が激しい口調で米国にイチャモンを着けた原因だというのである。https://www.youtube.com/watch?v=83v3tuBZ7_Q 董経緯副部長を匿っているDIA(国防情報局;Defense Intelligence Agency)幹部が、CIAやFBIなどの他の政府情報機関には中国のスパイが大勢いると考えて秘密にしていたという。
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