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2023年11月6日月曜日

市川猿之助の両親が死亡した事件の即日結審について

元検察官の若狭勝氏が、この裁判の不審点についてyoutube動画で話している。二人が死亡している事件でありながら、しかも様々な疑いを残しながらの即日結審に対し、今後に悪しき前例として残るなどの疑問が呈されている。冒頭陳述の要点も若狭氏により、疑問点を沿えつつ与えられている。

https://www.youtube.com/watch?v=naK7OnK4x6U

 

 

猿之助氏は、―週刊誌(女性セブン)で指摘されたパワハラ、セクハラを否定しながら、それが原因での自殺未遂と自殺ほう助事件であると認めている。そして、「記事を見てそのように不満を抱いている人がいることを知った。弟子には申し訳ないと思った」と答えている。

https://hochi.news/articles/20231020-OHT1T51274.html?page=1

https://news.yahoo.co.jp/articles/ebb55598473a0e8c5c14558c432b74c4186d31fb

 

この件、自殺ほう助の罪で逮捕されたという話に、私は最初から不審に思っていた。猿之助氏本人は兎も角、両親と話合って三人が共に自殺を決断したとする供述に説得性がないし、情況とも整合性がない。本当は殺人事件ではないのか?と改めて思った。

 

この強引な結審から、木原氏妻の元夫不審死事件と同様、日本の司法も行政も、権威主義に支配されており、まともな裁判などないと思う。日本では、支配者層が適当に司法も警察も利用して、自分たちの権益を守る政治を行なって来たし、現在も行なっている。昨今、それを非常に強く感じる。

終わりにを先にお読みください

 

 

1)猿之助事件の概略

 

文春オンラインによると、2023518日10時頃マネージャーが自宅を訪れ、猿之助氏が半地下の自室クローゼットのドアで首を吊っていた補足1)ところを発見された。一方、両親は2階のリビングでパジャマを着たまま倒れており、首から下に布団がかけられていた。

 

猿之助氏は、自殺の恐れありとして、精神科病院に強制入院させられていたが、警視庁による複数回の任意聴取を受けており、それによると「女性セブン」が猿之助容疑者のセクハラやパワハラを報じたこと等を意識したのが、自殺未遂と両親の死去の原因のようだ。

https://bunshun.jp/articles/-/63954

 

女性セブンの記事の内容はネットでは以下のサイトにある。

https://www.news-postseven.com/archives/20230518_1870283.html?DETAIL

 

猿之助氏は、「週刊誌報道があり、みんなでさよならすることにした」「3人で死んで生まれ変わろうと話し合い、両親が睡眠薬を飲んだ」などと当時の状況を説明しているようだ。両親の死因は、睡眠導入剤による “向精神薬中毒”の疑いが強い、というものだった。(補足2

 

この催眠剤服用が死因だったかどうかには疑問がある。また、父親の段四郎さんは認知症を患っていて、自殺の意思を明確に示したかどうかも分らない。そのような事情から、警察は当初殺人罪の疑いも持っていた。https://bunshun.jp/articles/-/63954?page=2 

 

猿之助氏は、睡眠導入剤は「自分が処方されていた睡眠薬を両親に渡した」と供述。更に「楽に死ねるよう、両親にビニール袋をかぶせた」と発言していたという。そのビニール袋や睡眠薬の包装紙は、家のゴミ箱に捨てるのではなく、わざわざゴミ捨て場まで持って行っているのは、自殺を試みた人にしては不思議である。

 

更に、本人は睡眠薬も最初から死ぬ気がなかったのではないかとも思えるほどの量しか飲んでいなかったようだと上記記事に書かれている。627日、警視庁は自殺ほう助の疑いで猿之助を逮捕した。猿之助容疑者も、「両親が自殺する手助けをしたのに間違いありません」「両親の後を追って、自殺するつもりでした」と供述しているという。

 

両親には遺書はなかった。猿之助氏は喜熨斗孝彦という本名で書いた遺書を残している。そこには、M氏(男性)を養子にして遺産を相続させる、と書かれていたことも話題になった。(https://bunshun.jp/articles/-/63954

 

 

 

2)事件の原因とされる女性セブンの記事

 

関係者たちは当日発売された『女性セブン』の記事が事件の原因だと指摘している。猿之助さんが“師匠と弟子、座長と役者・裏方という絶対的立場を利用して、普段から濃厚なセクハラ、パワハラが横行していた”という記事である。

 

37日に『BBC』が放映したドキュメンタリーをきっかけに騒動となった、ジャニーズ事務所の件に続くタイミングで、その記事は出された。『女性セブン』の証言者たちが正しければ、弱者の“黙って我慢するしかない”という現状がまたひとつあったことになる。

 

MAG2NEWSは、このように報じている。

 

なお、この記事には518日に迎えに行ったマネージャーは上記濃厚な付き合いがあったM氏を含む二人だったようだ。 https://www.mag2.com/p/news/576378 及び、https://www.yumerohashi.com/ennosuke-masataka-kankei/

 

また、元文芸春秋の編集長だった木俣正剛という方が、Diamond Onlineに以下のように書いている。

 

歌舞伎界や沢瀉屋(歌舞伎役者の屋号;初代猿之助に由来)を取り巻くモヤモヤを、一気に解決できるチャンスがジャニーズ問題によって招来し、それによって得をしたい誰かがニュースソースを焚きつけて、歌舞伎ファン(主に高齢女性)がよく読む女性セブンを選んだ。

 

この狡猾な人物は誰なのか。それが私の疑問であり、知りたいことです。それこそが、事件の実相だからです。そのためにはセブンのニュースソースを突き止め、その真意を問い質すしか道はありません。

 

この元編集長は、この事件の背景となるこの世界のセクハラ・パワハラの日常を単なる日本に固有の文化のように捉え、そのイザコザで損得が生じる利権をめぐる争いごとの様に記述している。日本が、基本的人権と法治国家であることを忘れているのかもしれない。

 

それが日本の報道の深刻な病状だと思うが、この元編集長は気付いていない。

 

ただ、この報道は事件の真相について重要なこと:「猿之助氏の両親は20錠程度の睡眠薬で亡くなって、飲んだのはサイレースとレンドルミンの2つの薬だったということです。ただし、サイレース20錠で死に至るという見方は否定する精神科医が多く、猿之助氏がビニール袋を両親の顔にかぶせたことが直接の死因となったというのが、大半の医師たちの意見です」と記している。

 

この精神科医の見方が正しくそして重要である。私は、この精神科医の意見を記した文章のような詳細かつ科学的な記述に至るまでに多くのネット記事を読むことになった。しかも、それは事件報道の記事ではなく、その背景にある歌舞伎界の古い体質を語る記事で見つけたのだ。(補足3

 

このような雰囲気の中で、硬骨漢に見える若狭勝元検察官が、上のような動画を公表した。これは専ら日本の司法を真面なものにしたいという若狭氏の正義感によるものだと思う。

 

この文章を書く気になったのは、その動画のコメント文を読むと国民の多くが本事件を猿之助の自殺未遂と両親の自殺をほう助とは考えていないようだし、その考えの方が日本の警察や司法の判断よりも正しいと思うからである。多分、皆殺人事件と思っているのだろう。

 

終わりに:

 

日本のあちこちに、西欧から輸入した近代文明の基準では犯罪となる慣習が、社会のウジ虫のように多数存在する。その一角に、警察も司法も政治も含まれているように思う。残念だが、大掃除で奇麗になるような社会ではないように思える。

 

また、今回の事件を例にした場合、上記元編集長だけでなく、下のネット記事にもあるように、一般民の多くははその社会に慣れきっている。

 

 

「一部では、セクハラ・パワハラについてのスキャンダルがきっかけで、自殺を試みたのではないかと言われています。スキャンダル報道は『女性セブン』が発表しましたが、出版社の小学館に批判が集まっています。」と書いている。

 

一部不明な動機があったとしても、女性セブンの記事は真実を追求する記事である。その記事は、上記元編集長の言葉にあるように歌舞伎界の前近代的情況の告発とも考えられる。その視点が、司法から報道に至るまで、日本の社会には欠けている。

 

女性セブンの記事が批判されるのは、有名人或いは上級国民にはセクハラ・パワハラが許されると考えているのだろうか。それが日本文化の常識なら、そんな文化など滅びるべきだとさえ思う。

 

この事件もジャニーズ事件も、この警察や司法の姿勢が問題の本質部分に存在する。個人が自身の尊厳を守るべく毅然たる態度をとっても、権威主義的な日本の警察や司法は、被害者の見方になってくれない。卑怯なJ.喜多川氏や猿之助氏に逆らえば、自分だけが損をして一生を台無しにする。

 

それなら、一瞬の枕営業も仕方がないと泣き寝入りするのだろう。事件の本質が、日本の部分社会に残る前近代性、そして今回は、日本の警察と司法とその背後の政治(補足4)にあることを毅然と指摘するマスコミは皆無である。日本のこの現状に迎合的な上記元編集長などが、報道の前線にあり、その行政と司法を告発しないでむしろ協力しているのである。

 

 

補足:

 

1)この記事には首を吊っていたと書かれているが、別の記事には首を吊りかけた様子だったと書かれている。首を吊って生き残るひとはいない。今回調べた報道記事で、死因についての推測等を正確な論理で記述した文章は殆ど無かった。

 

2)検出された向神経薬は、サイレース及びレンドルミン(微量)という睡眠導入薬である。サイレースは効果が強く、レイプドラッグとして米国などでは規制されてようだが、何方もベンゾジアゼピン系のもので、致死量は非常に多量(例えば数百錠とか)であることで知られており、よほどのことが無い限り、死因とならないようだ。https://bunshun.jp/articles/-/62968 

 

3)この事件の多くの報道記事で感じるのは、警察や司法の動きについての表面的記述は含まれるが、論理に厳密性がなく、真実に迫ろうとする感じもしない。これ以外の紹介の記事には、事件の真相を追う姿勢ながら、この重要な点:「睡眠導入剤で人は簡単に死ぬのか」の考察をしていない。

 

4)部分社会には前近代的な風習などが残っていることは、相撲界や芸能界、学校など教育界など、あらゆる組織で頻繁に指摘される。それをごまかすために、これら部分社会における慣習的な犯罪行為は、ハラ―スメントや虐めという言葉が多用される。今回の猿之助氏のケースでは、政治が日本の伝統文化を守るという誤った考えで、司法をゆがめようとしているのかもしれないと思う。

(16:00;16:45;翌日早朝編集で最終稿)

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