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2024年1月20日土曜日

台湾ロビーが中国との闘いに日本を追い込むのか?

日本政府は、国民に歴史の詳細を隠すことで政権を維持してきた。その一つに、明治維新から日米戦争までの近代史がある。(補足1)戦後から現在まで、政権を担当しているのは自民党なので、彼らは担当した戦後の政治も隠蔽している。

 

自民党、つまり自由民主党は、1955年に米ソ対立の構図に対応できるように、吉田茂の自由党と鳩山一郎の民主党の合同で結成された。現代史の詳細を開示すれば、米国の属国としての日本の政治が露呈するので、厳重に隠したいのである。

 

現岸田政権も、隠そうとする意図も見えない程強引に、例えばLGBT法案やウクライナ支援など、米国の指示通り事を進めた。この強引さは、米国にもトランプのような民族主義的勢力が現れ、従来のネオコン勢力に余裕がなくなり、対日要求が非常に強引になったからである。

 

20世紀の終わりころに始まる米国の国際的地位の降下で、21世紀の日本は米国への追従だけでは国家としての存続が危うくなってきた。そこで、日本の一部に、日本国存続の為に米国から真の独立を果たすべきと考える人たちが多数出現し始めた。

 

しかし、日本は真の革命など一度も経験しなかった(補足1参照)ので、新しい道を狭い視野で探すことになった。その結果、自民党右派を中心とする彼らの多くは、その目標をぼやかしているものの本質的には天皇を国家元首とする大日本帝国への回帰を考えたようである。

 

そのような右翼民族的勢力を日本国内に育てる勢力として、明治時代に日本を軍事大国に誘導した英国と同じ構図で、台湾ロビーとよばれる台湾を資金元とする勢力が存在するという有力な説がある。今回はそれについて考えてみる。

 

1)李登輝が目指す台湾と自民党右派が目指す日本

 

第二次世界大戦以前、大日本帝国は強力な武力を用いて、台湾、朝鮮、そして日本を一つにまとめていた。日本も満州利権を争って、中国の蒋介石及び蒋介石を支援する英米と戦っていたが、その戦争に敗れた。その結果、日本は満州利権と台湾及び朝鮮を失うことになった。

 

英米の代理として日本と戦う役割を終えた蒋介石は見捨てられ、中国には共産党政権が出来た。蒋介石は台湾に逃れ、そこを支配下においた。米国や日本などは、その後共産中国を重視し台湾もその一部とすることに同意した。

 

共産党支配に恐怖を感じる李登輝など台湾土着の中国人たちは、米国との関係を維持する一方、日本との連携関係も復活させ、それらの助けを借りて中共による併合を阻止することを考えた。その目的の為に活躍しているのが台湾ロビーである。

 

台湾に国家としての纏まりをもたらす概念(アイデンティティ)は、李登輝の「新台湾人」なる考え方である。それは、新しく流れ込んだ蒋介石ら新中国人、その時既に台湾に渡って土着化した中国人、もとから台湾にいた原住民らを統合する考え方であり、その思想は台湾にとっては現実的で立派である。https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/post/12763.html


そのような歴史を考えると、台湾と付き合う上で我々日本人が注意すべきは、李登輝の親日は日本を将来利用したいという思惑の表示であると言うことと、日中平和友好条約の存在である。

 

台湾を見捨てることで生き延びた我々の祖先の情けなさと台湾に対する贖罪意識を感じるのは当然だろうが、生き延びるための決断として、我々もそれを相続して生きなければならない。その上で、台湾との付き合い方も考えなければならない。

 

その一つの課題が、台湾ロビーの活動をどう扱うかということである。日本を昔の様な軍事強国に戻し、民主国台湾の対中国戦略へ協力させるという活動は台湾にとってはある意味で当然だが、それに同調することは日本の平和には重大な結果を招く可能性がある。

 

天皇を中心とした立憲君主制国家への回帰は、既に述べたように歴史の逆回転であり愚かな選択である。そのような古い日本へ回帰させる意図は自民党右派のものであり、台湾ロビーの活動の成果なのかもしれない。

 

例えば石原慎太郎の以下の国会質問により語られている。(2013年2月12日)https://www.youtube.com/watch?v=eUBwA現代dySEWc 

 

 

石原氏の語りには、納得する部分もあるが、多くの誤解や誤魔化しが含まれている。例えば石原氏が固有の日本文化として言及する靖国神社を擁する神道は、明治時代につくられた国家神道であり、自然神を崇める古来の神道ではない。(補足2)その他、江戸時代の日本文化に対する賛美があるが、その多くは間違いを含む。(補足3)

 

石原氏はそれらのごまかしを用いて、国家神道を復活させて実質的に戦前の日本を復活させたいのである。実際、石原氏は個人の所有となっている尖閣諸島を都が買い取ると言い出し、それが野田内閣の時の尖閣国有化につながった。それでは過去の戦争に学んだことにならない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12751773056.html 

 

勿論、現在は過去の連続線上にあるので、日本は米国の、そして台湾は中国共産党政府の夫々自治国的要素を持つことは事実である。そこからの離脱には、原点から作り上げるのとは別種の壁が存在する。その中で大きいのは、現在の政治構造とそれに伴う既得権益である。

 

日本は新しい政治構造の樹立には、米国への完全追従路線で出来上がった既得権益の排除が必要である。その中には自民党の解体もあるだろう。石原氏にはそのような視点は全くない。

 

日本人の多くには、台湾ロビーの活動は単に親日姿勢(補足4)の表現と感じられ、その意図は殆ど気付かれなかったのではないだろうか。それがこれまで重要視されなかった理由だろう。最近、例えば深田萌絵氏は、台湾ロビーの活動について、激しく糾弾している。https://www.youtube.com/watch?v=vgP1U0gqlSI

 

 

2)台湾ロビーとは何者か?高島康司氏の考え

 

”日本の対中政策を操る隠れた勢力「台湾ロビー」とは何者”と題する記事(2016年8月)の中で、 著者の高島康司氏は以下の様に書いている。https://www.mag2.com/p/money/20764

 

アメリカの「台湾ロビー」は「ネオコン」を含む軍産系の政治家やシンクタンクに秘密活動資金を提供して働きかけ、おもに軍事面で台湾を支援するように誘導した。一方日本の「台湾ロビー」は、右翼系政治家や言論人そしてマスコミ関係者に対して、日本が中国から距離を取るか、中国脅威論を吹聴して両国を敵対させる外交政策へと誘導した。

 

高島氏は更に以下の様に記述している。

 

日本の台湾ロビーに近い政治家は、岸信介から、現在では森喜郎、麻生太郎、小泉純一郎、稲田朋美、高市早苗、そして安倍晋三などの反中国の右翼的な政治家が中心で、右派論壇のジャーナリスト、櫻井よし子もそうしたひとりである。

興味深いことに、現在の「台湾ロビー」は、憲法改正を行い、天皇制国家復活を夢見る「日本会議」と連携する関係にある。現在の改造安倍内閣の閣僚20名のうち、14名は「日本会議」か「神道政治連盟」、またはその両方の所属であるが、彼らは全員「台湾ロビー」の一員として、李登輝元総統と近い関係にある。

また、日本に常駐して「台湾ロビー」の人脈を結集させる中心軸となっているのは、評論家で日本に帰化した金美齢という人物だ。民進党政権では台湾総統府の国策顧問を務めたこともある人物である。提言は、櫻井よし子らの右派論壇と基本的に同じ内容だ。「愛国心の賛美」「激しい中国脅威論」「日中戦争の扇動」「自主憲法制定の支持」などだ。

それに対抗するグループが「北京派」だとしている。彼らは石橋湛山や池田勇人からはじまり、日中国交回復を実現させた田中角栄らの系列だ。現在では、加藤紘一、河野洋平、野田毅、田中直紀・真紀子夫妻、小坂憲次、二階俊博などがこの人脈である。(引用おわり)

 

ここで、日本人の多くには、台湾ロビーの誘導とされた部分は日本固有の主張と感じ、北京派の活動は中国共産党への特別な阿り或いはへつらいのように感じるのではないだろうか。

 

もし、これら二つの姿勢を等距離に眺めることが出来れば、石原慎太郎の考えも台湾ロビーの活動の成果に聞こえるだろう。そして次の時代の国民主権の日本の政治形態が徐々に見えてくる可能性がある。その為には、石原慎太郎の言うように天皇を軍神に戻してはならない。

 

政権与党が二派閥に割れるのは、日本に独立する気概と、それが由来する日本のアイデンティティが希薄だということである。日本人の殆どが人種の壁は兎も角、国境の壁を感じる感覚器を持たないというのも、明治以来の英米による日本人骨抜き活動の成果なのかもしれない。(補足5)

 

 

終わりに:

 

全ての日本人は、戦後史を復習すべきである。日本は東京裁判を受け入れることを条件にサンフランシスコ講和条約を締結した。また、日中国交回復の交渉の中で、日中双方が尖閣の領有権問題は棚上げにすると約束した上で、平和条約締結に至った。もし日本国が条約を簡単に無視する国でないと主張する気があるなら、政治家の靖国参拝や尖閣の領有権の主張も根本的に間違っていることに気づくべきである。条約無視は、敵国になるという決断なしには本来行ってはならない。

 

この歴史は、戦争責任がない人には不愉快かもしれない。しかし、それを守る義務を我々は継承している。そうなら、靖国神社に所謂A級戦犯らを神として祀り、そこに首相が参拝することはあってはならない。そして、上記引用文献で高島康司氏が記述している尖閣問題が発生したプロセスをもう一度復習すべきである。

 

つまり、それら条約を無視して、戦前のような政治体制を目指しているのが現在の自民党右派の人たちである。その多くが高島氏の記事で、台湾ロビーと深くかかわる人たちであるとされていることを日本国民は十分考えるべきである。

 

尚、台湾ロビーについては「日本のディープステート」として何回かにわたって深田萌絵氏によりYOUTUBEで配信されている。以下の動画はそれらを含む内容で、台湾関連の話題は10:50辺りから語られている。その他数本の「日本のDS」と題する深田氏の動画は参考になる。

 

 

 

補足:

 

1)隠蔽の歴史は以下の様にまとめられる。薩長の武士たちが江戸や京都での残忍なテロと倒幕戦争で勝利し、軍事政権として明治政府を作り上げたのだが、その背後にユダヤ資本が牛耳る英国が存在した。英国の戦略は、東アジアでの利権獲得であった。明治新政府は、西欧の侵略から日本を守るため、江戸時代までの旧弊を打破し国を近代化する為の改革を行ったとし、明治政府の由来を誤魔化しと日本の皇国として連続性を国民に教育した。(皇国史観)

 

2)靖国神社は明治時代に兵士として死亡すれば神になるという国家神道の為につくられたものであり、古来の天皇家をトップとする伊勢神道から改変された。またその伊勢神道は、天皇家が日本を統治する為に自然崇拝の神道を一神教的に改変しつくられた。本当の古来の神道は、経典も偶像もない自然崇拝の宗教であり、社殿も必須ではなかった。石原氏は知ってか知らずか確かではないが、それら全てを神道として理解し、出鱈目をいっている。

 

3)西欧の微積分という概念を、日本の関孝和がニュートンより先に見つけたと言っている。仮に関がそのような数学者だったとしても、日本文化の中にはすんなりとは組み込まれていない。例えば、日本人の多くは力と仕事(=力の積分)の関係すらまともに理解していない。日本文化という日本政治の背景を語る時に、関孝和のような点で語るのはインチキである。

 

4)日本人の多くは台湾は親日的だと信じている。この「親日的」という言葉は注意して用いる必要がある。国際社会は本質的に野生の世界であり、日本と台湾が共同体メンバー的に付き合えると思ってはならない。日本の購入者の為を思って日本の業者は製品を作っていると言う風な考え方以上に、注意が必要である。(企業は社会の公器という松下幸之助の考え方は、素晴らしいが標準ではない)

 

5)八紘一宇とは、国境など意味がないという思想だろう。日露戦争や日米戦争の決断の時に天皇が詠まれた歌:“四方の海皆はらからと思う世に など波風の立ちさわぐらむ”には、この八紘一宇の思想が背景にある。外国との戦争を語る時に、このような考えかたが飛び交うとしたら、やはり日本は異常である。明治天皇ご自身が、英国を支配していたグローバリストの洗脳工作にはまっていた可能性を排除すべきではない。

(17:00;翌朝一度下書きに戻して再編集後に投稿;1/24早朝、軽微な編集、更に”終わりに”に「条約無視は、敵国になるという決断なしには本来行ってはならない」の一文を追加。

<----終わり――――>

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