注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2024年1月4日木曜日

JAL機と海上保安庁機の衝突の謎: 自動車事故のように片づけるべきではない

1月2日夕刻のJAL機と地震被災地へ支援物資を運ぶ海上保安庁機(海保機)の衝突事故について、深田萌絵氏が解説している。様々な原因が重なって事故が起こったのだが、当局は海保機機長だけに責任を押し付ける形で解決しようとしているように見えると、疑問を呈している。https://www.youtube.com/watch?v=qaVtYrL2fCo

 

 

航空機での旅客輸送等は大規模であり、しかも本質として非常に危険な業務であるので、①飛行機(操縦士と操縦システム)、②空港(滑走路とその装置群)、③管制(管制官と管制システム)全体で、安全を確保するシステムが出来上がっている。

 

従って、今回の事故の場合、一方の飛行機の機長がたまたまミスをしたとしても、全体としてのフェイルセイフ(失敗防止)機能がまともなら、事故は防止された可能性が高い。

 

深田氏は、上記①②③の合計4カ所(飛行機2機、飛行場、及び管制塔)で本来協奏的に仕事がなされていたなら、一箇所のミスがあっても事故を防止できた可能性が高いので、その何処に原因があり、フェイルセイフ機能が何故働かなかったのかを明らかにしなければならないと言っている。

 

しかるに警察は現在、海保機機長の業務上過失致死罪をゴールに定めて捜査していると報道されており、それはこの種の航空機事故の再発を防止する意味からも遺憾だと話す。

 

2)交信記録と海保機機長の証言の矛盾

 

英国国営放送BBCにより公開された交信記録は以下のように掲載されている。これは、3日ヤフーニュースで流されたものと同じである。https://news.yahoo.co.jp/articles/0c6e09aaadf2ea60c76adc92d679ce96e4c04121

海保機機長は重傷ながら脱出し、意識のある時に「管制から離陸許可」をもらって、C滑走路に入ったと明確に証言している。しかし、交信記録には、C5上の停止位置まで誘導路を走行してくださいとの指示のみであり、離陸許可の交信は確認されていない。

 

海保機機長の思い違いかもしれない。時刻は17:4519であり、夕闇に包まれる頃なので、目測を誤った可能性もある。副操縦士も居たのだから、恐らく事故で動転しての記憶違いをしたのだろう。

 

ただ、目測を誤るという類の単純エラーは、通常それを知らせるシステムが働いて、海保機の場合は引き返すなどの措置がとれる筈である。また、日航機に着陸許可が出てから衝突までに2分という時間があったので、再浮上して衝突をさけることも可能だったかもしれない。

 

これらの事故回避の措置が何故とれなかったのか、そこを明らかにしなければ、事故調査をしたことにならないと思う。

 

航空機事故の場合、単純なヒューマン・エラー(人為的凡ミス)に対して、フェイルセイフ機能が全く働かず事故となった場合、それはシステムの問題だといえる。

 

下線を施した上の文章は、小型飛行機の操縦経験のある堀江貴文氏が以下の動画の9:45秒からの発言を基にして書き記した。https://www.youtube.com/watch?v=OO_2ooIdb94

 

 

 

3)今回の航空機運航上のシステムにおける重大な幾つかの欠陥

 

これについては、最初に紹介した深田萌絵氏の動画で詳細に検討されている。それを以下に簡単に紹介する。

 

・海保機は最新式の位置情報を発信する装置(最新式トランスポンダ―)を搭載していなかった。トランスポンダ―は飛行機の位置情報をGPSで検出し、毎秒発信する装置である。(補足1)

 

・羽田のこの滑走路に本来備わっているべき滑走路警告灯が故障をしていたという。(補足2)それが修理されていなかったということである。この件は、国際民間航空条約で定められている航空情報(Notice to Air MissionNOTAMと省略)に記載されている。ただそこには補修の予定などは記載されていないようだ。

 

海保機は、位置について目測を誤ったとしても、トランスポンダーが正しい位置を管制塔やJAL機に知らせていた筈ではないのか? また、管制塔も海保機が誤って滑走路上に居たのなら、滑走路警告灯でそれを知り得たのではないのか? これら二つが成立しなかったことの責任を、国民に公表するべきだ。

 

何故、国土交通省は管轄下にある羽田飛行場の滑走路警告灯の故障などの補修を放置したのか? 海保のこの飛行機は、堀江氏によると、東日本大震災で津波の被害を受けたものの、修理の上利用している飛行機だという。使えるだけ使うのは予算節約上大事なことだが、何故安全確保の上で大事な最新式のトランスポンダ―を装着させなかったのか? 

 

深田氏は、このようなシステムの欠陥については、海外では報道されているものの、国内では報道されていないといっている。

 

最後に:

 

何故、羽田飛行場の滑走路警告灯を補修しなかったのか? また、何故海保が古い飛行機を使わなければならなかったのか? 最近政府は、金を惜しげもなく何兆円でも、ウクライナなど海外にばら撒いている。金がないとは言えない筈だ。

 

堀江貴文氏も上の動画で、このような航空機事故において刑事罰を問うような場合、事実が隠されることが往々にしてあると言っている。警察及び司法は、何とか政治と癒着しているという国民の疑いを払拭してもらいたい。

 

海保機もJAL搭乗員も、現場は自己を犠牲にして頑張る世界に誇れる人たちである。現場は一流、政治は三流だと誰かが言った。残念である。

 

追補:

 

昨夜のヤフーニュースで、「元日本航空機長が解説…事故防げた可能性 海保機の動きを“再現”…記録公開も残る謎」と題する記事が報じられた。海保機が位置確認を間違えた、日航機が海保機の位置確認ができなかったなどと記されている。それが出来ておれば、事故が防げたかもしれないというのである。それにも拘わらず、何故、トランスポンダーが最新でなかったこと、滑走路警告灯が故障していたことに触れていないのか? 日本という国は本当にどうしようもないダメな国である。

 

補足:

 

1)USA Today の記事には、衝突の原因に関する記述の最初に、海保機には最新式のトランスポンダーが搭載されてなかったことが書かれている。GPSで検出した位置と機体の高さとスピードが発信され、レーダーよりも確かな情報を与えると書かれている。How the Japan coast guard plane crash unfolded: A visual explanation (usatoday.com)

 

 

2)滑走路に何もないことを知らせる警告灯が故障していたことは、米国のabc eyewitness newsの記事には掲載されている。

 

 

 

(19:50;20:00 補足1と2を追加;翌日早朝、追補を入れた)

====おわり====

0 件のコメント:

コメントを投稿