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2025年3月13日木曜日

米国がロシアに送った30日暫定停戦案の意味


トランプ政権は、マルコ・ルビオ国務長官らとウクライナ首脳との会談の後、対ロシア戦争に対する一時停戦の申し入れをプーチン大統領に送ったようだ。この提案にはいくつもの不思議且つ不確かな点が存在すると、国際政治に関するyoutuberの及川幸久氏が、配信した動画の中で語っている。
https://www.youtube.com/watch?v=nLswemCBHW0

 

 

協議に長時間を要したにも拘らず、共同声明で公表された停戦案はウクライナ側の最初の案にあった空と海だけの部分的停戦を、“全てにおける一時停戦”に変更しただけのものである。それだけに6時間の議論を要した筈がないので、それ以外の公表されていない条件があるのかもしれないと、及川氏は指摘する。この公表されただけのものでは、まともな停戦案になっていないと言うのである。

私が感じたところを言うと、今回の会議は停戦協議の名を借りたウクライナと米国の間の対ロシア作戦会議であった可能性が高い。不利な情況下では停戦したくないので、長時間の会議ののち、建前だけの「停戦の意志あり」という言葉をロシアに送ったのだろう。

会議終了と同時に、米国はウクライナへの軍事支援と軍事情報の貸与を再開したことも、この解釈の妥当性を示している。そして、ウクライナ支援の姿勢を明確にした今回の米国新政権の姿勢を、EU委員長、フランス大統領、そして英国首相などは高く評価している。
https://jp.reuters.com/world/ukraine/ULAXICMKOBMRBHTGJJ5M5X7NZI-2025-03-11/

一方、ロシアのプーチン大統領は数か月前に、「和平交渉の目的は、短期的な停戦や、紛争継続を目的とする軍の再編成や再軍備のための休息であってはいけない。当事者の正当な利益に基づく長期的和平でなければ」と語っているので、このままでは停戦に合意する筈はない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f6e21816ef9dc6607d1815b4f4368fb8b8b0cb89?page=2


2)マルク・ルビオによるウクライナ戦争に関する公式定義の変更

上の及川氏の動画は、「今回の提案は、3年間続いたこの戦争における停戦の提案とは成りえず、意味不明である。この提案はトランプの平和路線とは一致しないので、今後米国側から何か変更が加えられる筈だ」という趣旨の発言で終わっている。

ところが、前回記事に書いたマルコ・ルビオのウクライナ戦争に関する解釈或いは定義を、トランプ政権による公式見解だと考えることで、一時停戦に関するここまでの話の分かりやすい解釈が可能であることを指摘したい。

それは、マルコ・ルビオによる「ウクライナ戦争は米国とロシアの代理戦争である」という定義である。そして、ロシア大統領府のペスコフ報道官も「プーチン大統領自身の見解と一致している」と述べている。(補足1)

 

 

このマルコ・ルビオの発言は、ウクライナ戦争に対するトランプ政権の姿勢を示しているとロシアに受け取られるだろう。代理戦争だと言う限り、ウクライナと米国はこの戦争の一方の当事国であることを意味している。

 

従って、今回のサウジアラビアでの会議は、看板は停戦協議だが、米国は仲介国としての地位を既に放棄していることになる。今回の一時停戦の提案は、米国とウクライナの長い作戦会議のあと、それによる作戦の一つとしてロシアに送られた米国・ウクライナ側の作戦の一部と受け取れる。

 

マルコ・ルビオはウクライナを支援し続け、第三次世界大戦の危険性をおかしても戦争に勝利するつもりだろう。この戦況芳しくない時点で、ロシアに領土に関する譲歩をしてウクライナに停戦の合意をさせるのなら、米国の代理としてロシアとの戦争に従事しているウクライナを裏切ることになる上、ウクライナ国民に賠償責任を負うことになると考えるのが普通だろう。

 

この国務長官の「代理戦争発言」は、トランプに対しロシア側が有利な現在の状況下でウクライナに停戦を強要させないように放った禁断の最終兵器なのだと思う。今後もウクライナと米側が有利になる状況まで戦闘を続けるつもりなら、停戦案は雑なものになるだろうし、フランスやイギリス等の好戦派はその停戦案を素晴らしいとして拍手を送るだろう。

 

そのことをトランプは十分承知しているのかどうかはあやしい。トランプが、本当に平和を望むのなら、この代理戦争発言に対するコメントや対応なしに彼をサウジアラビアでのウクライナ高官との会合に送ったのはお粗末である。


サウジアラビアでの会議後のルビオ国務長官の言葉:「この戦争を終わらせ、和平を実現する方法は“交渉”です。それにはまず双方が撃ち合いをやめる必要がある。ロシアにもイエスと答えてほしいが、ボールはロシアにあります」という言葉は、私にはちょっとした脅しに聞こえる:

私の解釈:「新政権になった以降も、米国は対ロ戦争においてウクライナを支援する側であることを明らかにした。我々は今後、陰に隠れることなくウクライナを支援することにする。貴国が停戦の話し合いに応じるなら、その条件は今後協議で相談したいが、どうされますか?」

トランプは国務長官に策士的なRINO(名ばかり共和党)を置いたため、外交において大失敗する可能性が大きくなったと思う。

補足:

 

1)ウクライナ戦争はロシアと米国の代理戦争(ウクライナを米国の代理とする)であるという発言のオリジナルは: And frankly, it’s a proxy war between nuclear powers – the United States, helping Ukraine, and Russia – and it needs to come to an end. この発言の中でマルク・ルビオは、ロシアは勝ち逃げできないと明言している

https://www.state.gov/secretary-of-state-marco-rubio-with-sean-hannity-of-fox-news/

 

(17:30;22:30 編集しました)

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