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2015年1月18日日曜日

戦後70年記念の総理談話について

戦後70年に安倍総理が談話を発表すると考えられている。その内容に対して米国から何らかの圧力があるようである。http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/06/abe-conversation-us_n_6427022.html
“安倍談話”は東アジアの今後の政治に大きく影響するからである。そこで、安倍談話がどうあるべきかを“一有権者の立場(批判等書き込んでいただければと思います)”で考えてみた。

先ず確認すべきは、総理談話は歴史家の談話ではなく、政治家の談話であると言うことである。つまり、政治的意図を明確にした後、談話の内容をつめるべきであると考える。参考になるのは当然、戦後50年を記念して発表された村山談話である。以下に議論の対象になって来た戦争責任に関する部分を抜粋して示す。
「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。  敗戦の日から50周年を迎えた今日、わが国は、深い反省に立ち、独善的なナショナリズムを排し、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、それを通じて、平和の理念と民主主義とを押し広めていかなければなりません。同時に、わが国は、唯一の被爆国としての体験を踏まえて、核兵器の究極の廃絶を目指し、核不拡散体制の強化など、国際的な軍縮を積極的に推進していくことが肝要であります。これこそ、過去に対するつぐないとなり、犠牲となられた方々の御霊を鎮めるゆえんとなると、私は信じております。」

この談話では:(1)国策を誤って、戦争の道に進んだこと;(2)植民地支配と侵略によって、特にアジア諸国に損害と苦痛を与えたこと;(3)これらを反省して、心からお詫びをする、の3点が議論の対象となっていると思う。その後に続く、“独善的なナショナリズムを排し”は、特定の意見を対象にしなければ当然のことである。更に、“責任ある国際社会の一員として国際協調を促進し、民主主義を押し広める”も、異論のある人は殆どいないと思う。

(1)については、東アジアにあって勢力を強める日本を警戒したアメリカが、日英同盟を英国に破棄させ、日本の海軍力を抑えるように画策したワシントン体制(1931-1932年)などから、最終的にはABCD包囲網などを敷いて、日本を経済封鎖した(1937-1941年)などの経緯がある。(2)については、英国はインド、フランスはインドシナ、オランダはインドネシア、米国はフィリピンなどを植民地支配しており、それらを非難する国際的な意見は顕在化していない。

歴史の進行に責任論は元々相応しくない。歴史を支配して来たのは、野性の原理であり正邪の基準ではないからである。また、上記(1)と(2)の解釈を参考にすれば、(3)反省してお詫びするのは、日本が敗戦国であり、未だに国の交戦権を放棄した憲法を持っている軍事小国だからである。その外交上の束縛条件を忘れて、歴史学者の様に真実と論理を展開するのは、一国のリーダーの政治的態度と言えないと思う。

朝鮮戦争の勃発は、米国国防省がアメリカの防衛ラインはアリューシャン列島と日本で、朝鮮半島はアメリカの防衛ラインに入らないとさえ宣言を行ったからだという(注1)。つまり、米国の軍事力の下に居なかったことが、金日成の南進を招いた。つまり、日本の安全は現在、日米安全保障条約と米国の核の傘の下いるということで、護られていると言える(注2)。

村山談話の発表を土下座外交と言って非難することは容易い。戦後、早い時期に憲法を強引に改正するチャンスはあっただろうが、その選択をしなかったことも、今や歴史的議論の対象であっても政治的議論の対象ではないだろう。従って、安倍談話も村山談話を基礎にして、内容をつめるべきだと思う。積極的平和外交は安倍内閣の方針だが、自国のそして自分の足場を確認しないで積極的になるのは危険だと考える(注3)。

注釈:
1)例えば軍事ジャーナリストの神浦元彰の記事、http://www.kamiura.com/chuu22.htm、に書かれている。
2)時代が代わり、経済活動のネットワークが多くの国にまたがって存在することや、国家をまたぐ企業が増加している今日、国家が全面的戦争に入る場合の経済的リスクが大きくなり、戦争の抑止力となりつつある。しかし、金融崩壊などで経済が混乱した場合、全面戦争の危険性はあり得る。いましばらく(50年か100年かは判らない)は、国家間の壁は厳然と存在するだろうと思う。
3)憲法を改正する時の総理大臣は、中国や韓国との関係を表向きには良い状態に保つべきであると思う。憲法を改正して、或いは、集団的自衛権行使を詠って、自衛隊を用いた積極的平和外交を展開するには、東アジアでの日本の立場を確固としたものにすることが必須だろう。中国と敢えて敵対する姿勢では、無理だと思う。因に私は、あの戦争の総括を日本国が済まさないままに、戦争責任者を合祀した靖国に総理大臣や国会議員が参拝することには反対である。http://rcbyspinmanipulation.blogspot.jp/2013/12/blog-post_26.html

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