4月25日(3日前)の記事で、エリック・リー氏の二つの政治体制の物語(Atale of two political systems 2.1M views Jul 2013、
http://www.ted.com/talks/eric_x_li_a_tale_of_two_political_systems/transcript?language=ja)を紹介して、そこから民主主義について考えた。そこではエリック・リー氏のこの講演を傾聴に値すると書いたが、その内容、特に中国現体制の評価については注意して読む必要があると思う。
それは、中国の現体制が現在の西欧民主主義体制と並ぶものであり、今後そこからより高いレベルへ進化する方向にあると考えるリー氏の高い評価は、現時点では疑問だということである。そして、今後20年程度経過しないと現体制の延長上に中国があるかどうかは判らないと思う。
その根拠であるが、リー氏はあたかも、現在の中国共産党内において互いに能力を競うことによって昇進者が決り、最も能力の高いものが主席にまで辿り着くという体制が出来ているかのように書いているが、その評価は高すぎると思うのである。
現在主席の周近平は、多くの候補者の中から能力に関する競争で勝ち残りトップになったのではなく、命を賭けた戦いで勝ち残ったという方が正しいと思う。つまり、平和な環境下での競争ではなく、ルールも何もない生存競争的な政治闘争の中での勝ち残りだろう。
勿論、習主席の改革により、今後法と正義の下での競争原理が国家のエリート集団に持ち込まれ、国家のトップまで公正な競争で決定される様になる可能性があるが、現時点でリー氏の言う二つのMetanarrativesという括りで、民主主義と(中国の現体制の基礎となった)共産主義という政治体制を論じるのは間違いだろう。そして、リー氏が高く評価する中国の体制が、将来に亘って成立し得ると判断される時には、中国のエリート集団は共産党員という名称では無くなっていると思う。
既に指摘したように、中国の共産党大会でも“起てうえたる者よ、今ぞ日は近し
。さめよ我がはらから、暁は来ぬ
。暴虐の鎖たつ日、旗は血に燃えて、海をへだてつ我等かいな結びゆく。いざ戦わんいざ、ふるい起ていざ
。あゝインターナショナル、我等がもの。(英語の歌詞も主旨は同じ)”の歌を演奏して、共産党大会などの公式の会合を開く。
一方、寒村の民衆は飢えていても、共産党幹部は何十億円にも上る財産を築いて、米国に逃げる用意をしている。その矛盾を抱えている事実に近くで接する一般市民なら、或いは中国の広報担当でないのなら、あの様な発想の話は出来ないだろう。
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