町内会総会は市の施設である会館で行なわれる。そして、その会館の運営委員会は、そこを利用する幾つかの町内会の役員で組織し、その維持管理にあたっている。昨年度は防犯カメラの設置や樹木の剪定などを行なったという。会館の管理費用は市からの補助金と町内会の負担金で賄っている(補足2)。
市の行政と法人格を持たない団体である町内会や会館運営委員会の”法的関係”や金銭の受け渡しの”法的根拠”など、私にはさっぱり判らない。個人でも法人でもない町内会という組織に、市が補助金を拠出することが、真に不思議である。
今回の総会で、町内会費の剰余金がかなり多くなっているので、年二回にまとめて収める町内会費を今年は一回だけ(6ヶ月分)にすることになった。また、会長職は大変なので、謝礼として年間3万円渡すことになった。本来、このようなことは規約を改正して行なうべきだと思われるが、全て出席者の採決で決定された。
この町内会では、同居者が死亡すると、弔慰金を出すことになっている。規約によると戸主或いはその配偶者の場合は1万円、同居親族の場合は5千円である。数ヶ月前にある方の配偶者が無くなったが、誰も知ることがなかったため、弔慰金は総会後に渡し、新年度の支出とするとの報告があった。
以上が、2年前から所属することになった町内会及びその総会のほんの一部を紹介したものである。年間行事は、どの町内会にもあると思われるものである。上記決定は不思議なことではあるが、総会での動議並びに監査報告に対する採決の際、挙手をして賛意を表わした。何故なら、質問などをしないことが、昨年度の役員の労苦に報いることらしいし(補足3)、この国では全てが"粛々と進むべき"だからである。
本文章は、町内会について何の意思も感情も表明するものではない。ただ、研究者が実験系を観測して、その報告を書いたようなものである。実は私は、今後の日本社会にとって、町内会は益々必要な組織になって行くと思っている。各地にある大規模団地には、出身地の異なる人たちがランダムに住み着いている。今後高齢化に伴って、住民相互の協力が不可欠だが、その基礎としての役割を町内会は持つ筈だからである。地方公共団体は、町内会の育成に努力する必要があるが、上記実情を見ると指導的役割が果たせていないようだ。
補足:
1)市から、児童公園の管理、防犯灯やゴミ集積所の管理などを依託されている。それらに対する補助金(報酬金)は、町内会の予算の半分以上を占める。
2)前住所(別の市)では、町内会が町内会館を持っていた。詳細に書くと、所属住民は町内会館の約1/80(町内会の会員数は約80)を区分所有していた。従って、外壁塗装の経費は分担して支払ったし、毎年固定資産税も支払っていた。
3)会長への3万円の謝礼について一言だけ質問をしたが、してはいけないことだったらしい。というのも、私の質問の後に出たのが、「会長の苦労を考えると3万円位では少なすぎるくらいだ」という、質問とも何とも判らない意見であったからである。 (4/13; 同日夜修正)
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