5月10日のブログで、オバマ大統領の広島訪問は時期尚早であるという主旨の文章を書いた。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42788957.html それは核兵器を民間人虐殺に用いた明確な国際法違反行為であるのに、謝罪もしないで空疎な言葉を話すことは、両国のどちらに対してもプラスにならないからである。
今日の読売新聞朝刊の7面に、オバマ大統領の広島訪問を契機として、「日米歴史論争の再燃の恐れ」があると指摘している。その記事の中に、「米政府は長年、退役軍人などの声を考慮し、日本の首相が先に真珠湾を訪問し、その後に大統領が広島を訪問する案を検討してきた」とある。また、「今回も国務省は安倍総理の真珠湾訪問を日本側に打診してきたが、首相官邸は断った」と書かれている。
つまり、オバマ大統領個人にとっては、今回広島を訪問してなんらかのメッセージを出すことは、過去の核兵器廃絶の言葉との整合性をとるという意味があるが、日本側には何のメリットもない。この点、10日のブログで書いたように、画期的だと速報したNHKの考えは馬鹿げていると思う。
しかも、安倍総理が真珠湾訪問の案を断わるのなら、何故オバマ大統領の広島訪問を断らなかったのか。安倍外交のミスだと思う。読売新聞は、「オバマ氏の広島訪問で、日米の友好が更に進展することは間違いない。ただ区切りがついたはずの歴史をめぐる論争を蒸し返す両刃の劍になるリスクもある。」と書いている。
日米関係の鍵は一方的に米国が握っている。この件、読売新聞の日米の友好に役に立つという予想は外れ、関係悪化の原因になるという危惧の方は当たるだろう。つまり、米国の戦略家は、トランプ氏が大統領になった際、オバマ大統領の広島訪問と安倍総理の真珠湾訪問の拒絶を、日本との関係を疎遠にするための武器として頭におくだろう。
真珠湾では民間人を殺してはいないとか、ブッシュドクトリンにあるように米国も先制攻撃を否定していないとか、ルーズベルト大統領は日本の先制攻撃を知っていたとか、日本を追い詰めたのは米国だとか、いろんな言い訳はあるだろう。しかし、問題は人口の多くを占める米国ブルーカラーや、この件で声の大きい退役軍人らがどう感じるかである。政治は論理で動くものではないと思う。
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