元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏がどこか(多分youtubeだったと思う)で言ったように、近い未来が新しい中世であるのなら、近代の論理に拘泥していては、日本の将来はないだろう。現在、日本は国際戦略を原点に戻って、0から考えるべきである。
1)経済のグローバル化による近代国際政治の枠組の破壊:
近代の国際政治の枠組みは、英国と米国の覇権の時代に生じ、維持されてきたと思う。その下部構造としての経済的側面を見ると、それは産業革命に始まり、自動車と半導体産業の発展、インターネットやスマートホンなどのディジタル産業の発展など、世界経済の英米を中心とする飛躍的な拡大であった。しかし、その経済発展の利益を独占する意図があったのかどうかはわからないが、経済を意図的にグローバル化しようとする動きが、主としてユダヤ系金融資本とその周辺により加速されたと考えられる。その結果、近代的国際政治の枠組みは破壊されることとなる可能性大であると思う。
世界人口の地球上での分布を考えれば、経済のグローバル化は、英米などヨーロッパ文化圏の価値観や宗教観を受け入れる素地のある国々以外に、経済の中心が移動することを意味する。その最初の舞台が中国大陸である。その結果、英米のグローバルな覇権の時代は終わりを告げ、少なくとも次の覇権国が現れるまで、政治的混乱を世界に引き起こすだろう。もちろん、覇権国が多民族を力で支配し隷属させるのなら、民族自決や人権などの価値も破壊される中世的暗黒の時代に入ることになる。
2)グローバル化によるデフレからの克服に米国も失敗し、米国の覇権が終わる可能性が高いが、米国次期大統領の予備選挙でトランプ氏が共和党の候補になろうとしているのは、その最初の兆候である。
経済のグローバル化は、必然的に先進国経済のデフレ化を引き起こす。デフレを克服するには、新規産業を創出して新しい雇用を産み出す以外に方法はないが、アップル、マイクロソフト、グーグルなどを創ったイノベーション能力の高い米国でも、トランプ氏の主張が受けていることでもわかるように、それも限界に近づいているのである。国内産業の低迷と貧富の差の拡大で、不満を蓄積させている米国のブルーカラーの数は増加する一途であり、その結果米国内でも政治的混乱の時代に入ったと考えられる。
米軍の駐留費用の全額を、派遣先の友好国が負担すべきであるという、トランプ氏の主張(補足1)が米国の多数の人々の支持を受けている。それが現実となれば、近い将来において米国の覇権が南北のアメリカ大陸とその周辺に後退することは確実だろう。経済のグローバル化は、米国の覇権の有効期限を短縮する働きがあることを、既に上記現象は証明したと思う。この現象を地球上空から俯瞰すれば、上記の英米を中心として発展してきた近代の枠組みの終焉プロセスであり、新しく覇権を主張する国が中国であることから、世界の中世への逆戻りの可能性が大きくなってきたのかもしれない(補足2)。
それは思い過ごしであれば良いと思うが、中国文化の特徴を考えるとどうしてもそうかんがえてしまう。つまり、中国文化では現実と現世と個人とその周辺(大家族)だけが重要な意味を持ち、パブリックとか、法とか論理とか、更に、キリスト教や仏教などには存在する“人間性”などは大きな意味を持たないと言う人もおり、その発言には一定の信頼性を感じるからである。https://www.youtube.com/watch?v=lXA9NpBqty8 (補足3)
中国が覇権を持つ領域ではどのようになるかは、チベットやウイグルを見ればわかる。既に日本が経験している、尖閣諸島周辺や小笠原周辺での(漁船の形をした)中国政府の派遣した船による暴挙や、南沙諸島や西沙諸島を占領して、軍事基地化して東南アジア諸国への覇権を確立しようとしていることなどを見れば、上記考えは的を射ているように思う。日本の中東からのシーレーンの確保も脅かされ、将来エネルギー危機が発生したときには、日本の経済は破滅に追い込まれる可能性が高い。
日本は、憲法改正したのちの核武装や、対ロシアとの関係改善など、これまでの平和ボケを緊急に治療しなければ、カルタゴのように消え去る可能性が高いと思う(補足4)。
追加:米国の覇権が東アジアから消えれば、中国がこの地域の新しい覇権国家になるだろう。中国経済は強い需要があるので、その経済発展は当分続くと思う。 豊かなれば、中国も徐々に変化するはずであるので、日本はできるだけ穏健な中国を期待し、中国をその方向に導くくらいの外交力を発揮しなければならないと思う。中国を恐れるのは賢明だが、一部の右翼のように中国を敵視する姿勢は、日本を滅ぼすことになる可能性大である。(18:00追加)
補足:
1)http://www.sankei.com/world/news/160506/wor1605060014-n1.html
2)台湾から来日した林建良氏が語る次の話は非常にショッキングである。「ある場所で中国人鳴霞という女性から聞いたが、彼女は中国で火葬場の仕事が大人気だという話であった。その理由を聞くと、火葬場で油を売っていると答えた。火葬場で屍体から油を取り出して市場で売るというのである。
http://blog.goo.ne.jp/nagatachoucafe7/e/d9d46dd79a1a90ca408f320ebc85892d」
3)林建良氏は語る。1994/3/31台湾が中国への観光が解禁されたとき、台湾人24人(ガイドなど含め36人)が中国へ観光に行った。2週間くらいのスケジュールで一行は三峡を回って浙江省の境の千島湖で強盗事件にあった。犯人が中国軍であったため、政府はそれを火災事故とごまかした上、遺族の遺体との対面を渋った。その後、なんとか遺体と対面できたが、手と足が切り取られていたり、臓器がなくなっていたりするなど、著しく損傷を受けていた。台湾人に計り知れないショックを与えた。それでも遺体を連れて帰りたいと言ったが、中国は無断で荼毘に付したという。
この遺体に対する畏敬の念がないのは、近世中国だけのことだけではなく、孔孟の時代からのことである。以下のサイトに、孔子が人肉を好んで食したという記述がある。https://ja.wikipedia.org/wiki/カニバリズム
4)平和主義のモリオリ族がマオリ族に虐殺されて食べられたのは200 年前のことである。ジャレド・ダイヤモンドの銃・病原菌・鉄を読んで、これを紹介したことがある。以下のサイトにこのエピソードが紹介されているので、引用する。
http://ameblo.jp/tsuguminokazoku/entry-12048108882.html
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